喜淫小説壱百弾≪ 祖獣の覚醒・・41 ≫

 午後十時過ぎ、話し合いは終えるが、何も決まらず後日と為る。
雅満が中野の家に戻ると・・。「え~圭子さん・・」
驚いて叫んでしまう。
「何じゃこっちが驚くがねお前」「聞かれたんですか・・」
「あんたが家を出ると直ぐに紗月から電話が来て飛んできたが」
「・・、・・」本当にそんな様子、未だ息が整えておられず、
肩で息をされていた。
「聞いたが、其処は仕方が無かろう、でもなわしらとの出会は
別じゃ、そんな事で雅満を離さんぞ」「圭子さん、其処は」
「いんや~誰が何と言おうが、わしらは結束しているが今更
そんな遺産が無かったからと切れる縁じゃ無いぞ」
「圭子さん・・」「総て来る時、谷には知らせた、其処は何も
変わらんと言っておいたぞ」「圭子さん・・」
「心配しんさんなやわしが居る、旦那様も聞いて心配なさって
おられるが、他は変わりないと言えと・・」
「有難う、でも其処は僕が駄目」
「あんたな、此処は東広島の家を信じてな・・」
そういわれるが、嬉しい反面、雅満は其処まで甘える気は
更々無かった。
 既に心は生まれた家の事が解決出来れば大阪に戻り、
事実を冴美に話そうと決めていた。
「そんでな、奥様も心配せんで良いと伝えてと・・」
「有難いけど、事情が変わった、一人で考える」
「お前、そうは行かんぞ・・」「でも・・」
「デモもくったくれもないがね、わしらが居るじゃろうが、
お前は既に我が子同然」「圭子さん・・」
「なな、だからこのまま此処で計画は進めよう、頼むけ~」
「圭子さん・・」「其処はわしだけじゃないが、旦那様も
家に来いといんさっている、奥様も頷かれたぞ、其れでな
房子さんたちにも電話で事情を話した、其処は今まで通り
薦めろと」「良かった、でも金・・」
「其処はもう肩代わりしただろうがね、心配は要らんが」
「圭子さん・・」「良いから、後は事次第だが大阪に戻らんと
いけんね」「うん、此処が落ち着けばそうする」
肩を落とす雅満を抱きかかえ、圭子も少し顔が曇る。
其れを見た圭子の妹智代は姉の姿を本当の雅満の母の様に
さえ思えた。
 其処から、今までの事を詳しく説明を始める、相手と会って
からの中身は電話じゃ言えない部分が多い、
其れで圭子はここに来ていたのだ。
最後に、何かあれば自分で決めるな弁護士も居るからなと、
必ず如何なっても東広島には来いと約束させられた。
 だがあれ以来出家から何も話があるから来いとは聞かない、
先方も公正証書が出た事に慌てられたのか、二日待っても
お呼びが無いので大阪に雅満は一度帰る事にする。
 八月十日、お盆前の日、雅満は四か月半振りに羽曳野市に戻る。

「ひや~、お兄ちゃん、男顔やんか・・」「お兄ちゃんは止せ・・」
「だってそうなんだもん・・」「良いから、少し用事があるから出掛ける」
「ええ~、何処・・」しつこく聞かれるが、其れを振り切り、
雅満は駅前にと向かう。
 二時間を要して二か所訪ねた後、車が家の駐車場にと入る。
待ち侘びる冴美、玄関先で座り待っててくれた。
「阿保じゃ、此処で待たんでもええじゃろう」
「え・・、お兄ちゃん、其れって田舎の方言なん・・」
「あ、そうだな染まりそう」二人で大笑いする。
 夕方に為ると、冴美はお寿司を取ってくれて、再開を祝うんだと
はしゃぐ、その姿を見ると気が重かった。
 午後七時、未だ外はうす暗い、二人は食卓で大好きなお寿司を
雅満が食べるのを笑顔で見詰める冴美。
「うん、如何した・・」「ううん、懐かしいなと・・」そう返事される。
 食事が終わるとコ-ヒ-を飲みながら雅満は徐に話をし始める、
其れは広島での出来事のおさらいが先だった。
 「ま~メ-ルでは其処までよこさんし、凄いやんけ本当に凄いわ、
圭子さんは母みたいやね」「そうなんだ、本当に感謝している」
「でも、東広島の家凄いがね」「いえるわ、桁違いじゃ」
「それで奥さんと其処の家の娘さん、お兄ちゃん上出来じゃね」
「・・、・・」「もう、そこの話が聞きたいんねん、詳しく・・」
「其処は後でええやろ」「今が良いの・・」
そんな事を振り切り、早く話す本題に入りたかった。
「冴美、今から話す事は重大、録音してても良い」「録音、何でね」
「後々の為には其れが良いかも、そんだけ大事な話を今からする」
「大げさね、良いから何、田舎の事」「そう・・」「じゃ、聞く」
 四十分懸けて雅満が一人話を続ける。
「これな、今日整理して来た、通帳にはほとんどの金が入っている、
証券会社から証明書を貰って来ている。今まで使った分は僕が
働いて返すな、本当に夢のような日々だった、有難う」
「・・、・・」「僕は此処を出ないといけない、田舎がどうなるか
まだ決まってないが、住む家はあの谷には有る、里はこれからの
話し合いだが住める家じゃ無かった、倒れそうなあばら家・・」
苦笑いしながら、何とか其処までは話が出来た。
 「・・、・・」「何か言えや、黙り込んで・・」
「・・、だって、驚かすんだもん」「本当の事だぞ」
「でも、確定じゃ無いでしょうがね、お兄ちゃんがおお婆ちゃんの
息子の子じゃないと・・」「其処は調べんでもええが判るんだ、アソコ
に居並ぶ連中を見ると僕の血は此処だと判る、親父は精子が極端
に少ないと聞かされた、其れで、おお爺さんが他所の女を抱いた時、
身代わり種を春江に入れたと聞いているとも、しかも田舎は話した
通り、少ない金額だけど今じゃ僕には大金、其処も何とか考えない
と、其れで、いち早く冴美に知らせようと来たんだ」
「・・、・・」次第にうつむいて話を聞く冴美、信じられないと
何度も言うが、雅満の話の中身は其れすら受け入れ無い、真実は
驚きだけど、事実は事実、最後に言い放つ。
 昼過ぎの冴美の喜びの笑顔は何処えやら、午後九時過ぎには
その顔も様変わり、苦痛の様を呈していた。
 
         つづく・・・・。

































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