喜淫小説101弾≪ 弧獣一路・・29 ≫

 この地域は昔から色々有った場所、遥か昔を遡ると面白い地域。
豊臣と徳川との争いの前、此処でも大小は違うが、
地域争いは半端じゃ無かった。出雲側の尼子氏と芸州側(広島県)
の毛利氏との接点が数か所と存在する、
特にこの盆地は賑やかだったのだ。
海浜を渡る道と高田を経る道とこの盆地を通る道が争い合致点。
だからこの盆地は幾度となく争いの場所に為って来た。
処が他の三通りの道とは大違いで、尼子氏と毛利氏との戦いはこの
盆地が主役に為り出す。
もとの理由は笑えるが、当時この道が一番毛利側に近かったのだ。
アの大朝に向ける前に超す三坂峠、其れを超えると毛利側、
手前は尼子氏と決まっていたが、目の前のたんこぶのこの地域が
毛利氏側には耐えがたい場所。
其れで何度も戦場に為っている、其れに壁壁とする住民たちが
居るのだ。
其処でこの地域を支配する豪農が存在して居た。
度々戦いでこの地域がやれ毛利だ、また尼子だと支配がめまぐる
しく変わる。
其れに業を煮やし、豪農の家の婆様がしゃしゃり出て毛利が勝つ
と、其処に出向いて年貢の多さに悲鳴を上げていると懇願された。
其処で婆様は妙案を出され、此処は誰が支配されても文句は言え
ない百姓、其れで年貢の糧を安くして貰う為に、盆地で納める大将
と周りの武将たちには、谷の女の子を差し出していたのだ。
 其れが妙案で此処では戦こそ起こるが年貢は何処の地域より
少なかった。
其れも束の間、こんな良い事は幹部だけと兵が腹を立てて来た。
困った婆様は其れならと使い古しで子供を産むのを過ぎた女を
宛がう。
またまたこれが大当たり、今度は其れの総奪戦、尼子側も毛利側も
兵たちは血なまこで戦った。
無論、何度も戦う内に戦場はこの地域では定められている。
笑うほど賑やかで激しい戦いは続くが、百姓たちには被害は無い、
可笑しいほど其処は互いに避けているのだった。
酷い時は半年で変わる、一年はざら、本当に目まぐるしい程統治
する側が変った。
だから今でもその事は有名で笑い話で残されている。
 しかし、其処が残る習性と特色は、今住む人たちに何ら変化は
無いと妙子さんは笑われる。
どうじゃ女の穴は使いようじゃ、とうそぶくほど其処だけは呆気らかん、
他の地域とは積み重ねた歴史がまるで違っていたのだ。
 「だからのう、翔馬や遠慮は無いけ~、今でもどこそこの年寄りは
懲りずに夜這いしんさると噂が出るが、誰もダメとは言わん、今じゃ
都会に出る人が多くなり、地域も廃るが、どっこい其処だけは生まれ
てくる血がそうさせるのか、開けている」
酒を飲みながら翔馬に話をされる。
 半分は信じられんが、そんな話を昔聞いた事が在るのは確か、
でも今も続いているとは思えん、なんか此処は後ろめたさが無いか、
其処だけ何処よりも発展しているのかもと、妙子さんとの事を思うと
そう感じた。
、 七月七日、未だジメジメとする朝、庭に軽が滑り込んで来た。
「あ・・」「梅雨は未だあけんですかいのう」
「未だみたいですね、上がって・・」
軽から出られるのはあの圭子さんだった。
 挨拶を終えると書類を出される。
「此れ息子が書いた字じゃ、汚いが、あいつとわしの署名が在る」
「其処までしんさらんでも・・」「いんや、息子のケジメも有るしのう、
此れで良いですか」「・・、充分です、でも利子の部分は消して
ください」「え・・」「金貸しじゃ在りません」「真、良い人だ事」
「反対ですよ、悪い男です」「でも良いけ、じゃ利子は甘えるとして、
何か労働で返したいんだが、稲刈も任せて、息子が其処はすると
言うし」「其処も良いですよ、気持ちだけ・・」
「ま~じゃ何もせんとはいかんけ・・」「要りませんよ」
「そんじゃ困る」押し問答が続いた。
「何か用事させて貰えんかのう、何でも良いけ」「・・、・・」
「何もなしじゃ、此れじゃあんたが詰まらんじゃろうが・・」
「いいえ、こうして姿を見れるだけでも良いじゃありませんか」
「ええ~あんた、いんさるのう年じゃろう」「年が良い時も有るし」
「あ、うふっ、上手い事いんさるけ、じゃ良い時に来ようかね」
「それが良いですよ、待っています」
「く~遣れん事いんさるが、あんた女には不自由しんさらんだろう
に、こんな年じゃアソコにも悪いけ~」
「あはっ、此れが楽しい、なんと楽しい会話じゃろう、良い圭子さん
素敵ですよ」「負けるわ」コ-ヒ-が美味しいと二杯飲まれていた。
」 三人で話して居る家に又も軽が雨の降る中庭に滑込んで来た。
「ま~早苗さん」「え、ああ~病院の・・」「その節は如何も・・」
「息子さん如何ね」「おかげで退院いたしました」
そう言われ妙子さんが部屋に招かれる。
「此れ、おすそわけじゃが・・」「何・・」「肉じゃが・・」
「まあ~何と塊じゃないね、でかいぞ」
「親戚の牛がのうきのう落されて、そんで持って来たが」
「翔馬凄い」「悪いですね」「いんや~、何時もじゃないが時々来る」
そう言われる。
 女性が三人そろえば部屋も賑やか、雨が降っているからと飲もう
と顔を寄せ合い話をしながらのまれだ
翔馬は参加しないが、聞こえる話が面白い。
どこそこの誰が何とか色々と世間話だが、其処は笑えるほど楽しい
話、そんな中で妙子が翔馬を呼んだ。
 「なあに・・」「あのな、如何じゃろうお前十万出さんか」
「え、何するん」「この親の息子達バイクが破損じゃ、車はは小型の
トラックじゃ、そんなんじゃ女の子を捕まえるには向かんじゃろうが」
「そうだね・・」「でな、早苗の所は怪我じゃろう、でも免許が無い、
圭子の所はそうじゃないが、バイクが同じく壊れているが」
「あ、では双方に、良いね其れ出す」「え・・、あんた、其処までは」
「いいえ、田舎じゃ、動くには必要でしょうが、良いよじゃ十万ずつ
出そう」「これで双方今回の事は納めてくれんかね」
「妙子さん、其れじゃあんまりじゃろううちらが悪いんじゃけ~」
「そうですよ」「其処は良い、出せるもんが出せば良い事じゃろう、
翔馬金・・」「判った、用意する」翔馬が部屋を出る。
 「妙子さん無茶だし」「良いんだ、其れくらい、あんたも大変じゃ
ろうが、牛の世話、息子がまともに歩けんじゃろう」
「今は仕方がないけ、親戚も居りんさる手は足りている」
「そうかね無理しんさんなや・・」
「ハイどうぞ、足りなかったら教えて下さいね」「あんた、本気かね」
「其処はええけ、聞くと牛って乳牛か・・」「いやここ等と違い黒牛」
「え、石見牛ですか」「其処は三瓶辺りがそう呼ばれるが、ここ等
じゃ単に岩見牛、ギュウとは言わん」
「あはっ似たようなもんだけどギュウとはそうなんか」
翔馬はそう聞かされ、其処から色々と牛の事を聞いて行くが、
其処は家庭で賄える数しか飼えないと嘆かれる。
「ここ等じゃ多くありますか・・」「そんなに無い、最近は人手が
無いし、遣れんのじゃ無論金もな」最後は苦笑いされた。
 其れからも話は牛の事が多く、翔馬が聞くから返答をされる。
「そうか、じゃ人手と場所か・・」「翔馬・・」
「妙子さん此れ発展させると面白いよ」「そうだが、金が・・」
「其処が解決できれば良いじゃないね、でも場所が・・」
翔馬は其処で考えていた。
「あのう、翔馬さん手どんな人じゃね」
「化け物じゃ、何でもそう言っても構わん位じゃろうな、ここ等では
適う奴なんぞ居らんけ~」妙子がそう言う。
圭子と早苗は意味が判らずとも頷いていた。
未だ縁側で一人翔馬は考える、其処には何か閃いたのか真剣な
面持ちだった。

   つづく・・・・。



















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