喜淫小説101弾≪ 弧獣一路・・33 ≫

 八月八日朝、けだるい体を起こし、昨日迄の喧騒を思い浮かべてる。
(く~大変だったな、漸く帰られたか・・)
七月二十九日、其れは突然だった、知らせも無いから翔馬は大慌て、
奈良の桜井の家族と美代さんとその子供が大型の車で来られている。
本当に驚いて翔馬は唖然とする中、妙子さんも泣くほど喜ばれる。
そうして知らせ聞いて皆が集まった。
 一歳半と二歳の子供は元気そのもの、翔馬にもぐれ付く中、
部屋はムンムンとする女性軍団、奈良の桜井の婆さんと由美子さん、
そうして加奈子と美代、その子ら二人六人が来た。
さらに里では夕方勢ぞろい、あの佐代子さんと美咲ちゃん、
其れに圭子さんと早苗さんらが居並ぶと荘厳、本当にほとんどの女性
が翔馬に抱かれているのだ。
其れを知る婆様は粋な計らいをされ、顔合わせだと仕切られる。
子供らは休む暇もない、ひっきりなしで誰かに抱かれ大騒ぎ、
外に出るが、虫に刺されると虫よけだ、やれ麦わら帽子だと,
てんわやんわの賑わい。
其れを見る加奈子と由美子は笑っていた。
無論、何処から聞いたのか翔馬の同級生も集合、その連中も何と
婆様が仕切られる。
 二日目は庭でバ-ベキュウ-、大勢の人が集まり其処でも賑わう。
そんな中で色々と女同士が話を咲かせ、翔馬は仕方なしで我が子を
連れて車で川遊びに繰り出した。
田舎ではそんな遊びしかない、おまけにとうもろこしやスイカを取りに畑で
大騒ぎ、年端も行かない子供でも其処は珍しいのか喜んでくれる。
 そんな日々を過ごし、中でも里の女性と桜井の家族や美代さんらは、
昔からの知り合いの様に打ち解けて、残りの日々も一緒に楽しまれる。
何度も翔馬は呼ばれて、此処で何か興しなさいと煩い程由美子さんに
尻を叩かれる。
三歳に為れば半年此方で子供を育てるとまで言われ、生まれてくる子も
産んだ後すぐに此処に来ると言われた。
 「疲れたのう・・」「妙子さん凄かったね」
「あはっ、たまげたぞ、子供が二人か、そんで年前に生まれるのう」
「そうなんや・・」「でも何方も綺麗な女性じゃ、なんといっても由美子さん、
気品あふれる人じゃ、加奈子さんも美代さんも別嬪さんだし」「そうか」
「阿呆、何処にそんな美人居りんさる、ここ等じゃ見えんぞ」笑われる。
「如何じゃ、腹が据わったかね」「うん、由美子さんに嗾けられたが」
「何する」「まだ何も考えが付かんが、何かしたいね」
「そうじゃ、考えんさいや」そんな話をしていた。
狭い田舎、噂はたちまち広がる、翔馬を訪ね訪問者が後を絶たない。
御陰で此処に居ると里の総てを知ることが出来た。
中には町会議員も含まれている。
妙子さんがそれを見て大笑いされた。
「何で笑うん・・」「だってさ、あんたの存在が大きゅうて皆が浮足立って
きたという事。
「え・・」「そうじゃろうが、大阪からきんさった人たちを見んさいや、
まるでモデル軍団じゃろう、しかもそれらがみんな翔馬をしたいんさる
姿、馬鹿でも判るけ~」「そうかな・・」
「其処じゃ、此処に居て貰えれば何かしてもらえるとでも思いんさるん
じゃろうて、そんで挨拶の顔出しだけ、だが其処は偏りんさんなや、
総ての人に平等にじゃぞ」「うん・・」
そこまでかと疑うが此処は妙子さんが良く知る里、当りかとも思えた。
 だがだが、その証拠が直ぐに現れ出す、あのバイク事故の若者二人
が揃って家に来た。
何度もお礼をされ恐縮する中、話をしていると・・、
「おおう、其れは良いがね、何処か見たいが・・」
「え・・、翔馬さん」「廃谷がそんな場所にあるなんて知らんが」
「僕の家の前の道奥に向かうと有る」「じゃ、達之君の家の道か」
「その先には二年前までおりんさった家が一軒あるが其処も広島に
出んさったけ」「じゃ、他には・・」「誰もい無くなりんさった、無論
奥に続く谷も既におりんさらん」「なんと奥にも似たような谷がか、
知らなかった。で幾らくらいあるん」「いくらって、判らんが」
「じゃこの谷と比べると如何・・」「三倍は有る奥にはもっとでかい
と思うけど・・」「・・、・・」
翔馬は聞いてて声が出ない、思えばこんな地域には既に幾らでも
廃谷は存在して居ると思えた。
 先祖が苦労して開拓された地も、今じゃゆっくりと元の姿に戻そうと
する自然の力、そんな姿が浮かんで来た。
 「ようし、達之君、明日其処に案内してくれんか・・」
「わしよりおっかがええけ、知り合いも居りんさった」
「そうか頼んでくれるか・・」「うん・・」そんな話をする。
 この谷もそこそこ広いと思えたが見る谷は三倍の広さだと聞かされ、
しかもその奥にも前から廃谷に為った場所が在ると聞かされた。
(そうだよな、どれほどの人が此処を出たのか、知らずに虫歯われて
行くうちに、此処もあそこ元広がっていったと思える)
その現象は誰にでも判る。
谷には何処でも親戚で連なっている。
その力が開拓に必要だし、親戚で肩を寄せ合い頑張った証が今の
現状、虚しいとは思えるが、生きて来た跡を思うと胸の痛さを一層
締め付けた。
 朝、夕べその話を聞いた妙子さんも参加、早苗さんの家に向かう。
既に待たれていて、翔馬の車じゃ傷がつくと、軽の荷台に翔馬が
乗り、車はその廃谷にと向かった。
 なんと早苗さんの家から一キロとも進まない内に、
小高い峠を越えると翔馬は荷台で絶句する。
「なんと・・、此れが・・、・・、凄いぞ」
見渡す限り広がる盆地は夏の姿を洋々と見せつける以後に残る家
が一軒道先に在る、車はその庭にと入る。
「早苗さん、凄いが、此れが廃谷か・・」
「広いでしょう、内も此処に住んでいた人たちと親戚じゃけ」
「なんとそうなるんか」「ここ等はそんな関係じゃ」
庭は既に足首まで草が生い茂る、家はまだ頑丈、他には家など
見当たらなかった。
其処で今までの谷の家の配置を早苗さんから詳しく聞いて歩いた。

        つづく・・・・。



















 










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