異淫小説102弾《獣を潜ませ生きる・・25》

 冴香と光江さんの電話でのやり取りで冴香の家で落ち合う事に決まる。
「そのほうが良いかも、此処では決断が鈍りそうだしね、お兄ちゃん」
「其れも有り得るね」当事者の気持ちなど確かめずにそう決められそうだった。
「女将さん戸締りしましょうか」「え、ではお宅にですか」
「冴香の家です、気を遣わずに少しここを離れたほうが良いと思えるし」
「・・」返事はされなかったが、そうしたが良そうな姿だった。
「じゃ、早くい戻ろうか」翔太は、この先の事を考えると菜摘が要る家の方が
良いと思えた。
 一時間後、三人は車で谷を出る。
里美は昼過ぎからの事を思い出すが、如何してこうなって行くのか考えた。
総て事件は警察任せだが、生活に関してと行く先は自分たち親子の問題、
此処に住めるならそうしたいが、今じゃそれが我儘にさえ思える。
 車は直ぐに谷の境の峠を越えた、流行く景色は何時でも思い出せる記憶に
刻んで育っている。
これから先は如何なる事は親の里美すら考えつかない、流がそうなのか
はたまた人生の節目なのか、其処はどう考えても我が身の先は娘と生きる
しかないと最近決めている。
そんな気持ちを運ぶ車は遂に峠を越えてしまう。
「あのうおうちはどちらに・・」「落合の手前にあります、遠慮は無いし、
娘さんも其処に来るそうですよ」冴香が後ろの座席で隣の里美にそう言う。
峠を越えてから戻りは早い、なんと二十五分で戻れる距離だった。
「義母ちゃん」「おう、戻りんさったか、光江さんは一時間後だそうだ」
「何で・・」「いろいろ手続きや聞きたい事が残っているそうだ」
「じゃ夕食は」「光江さん達が戻りんさってからと手配は済んでいるがね」
「有難う、さ、上がろう」挨拶を其処で里美と菜摘は交わす。
互いに相手を観察するが思いは別、菜摘と里美は立ち位置がまるで違う。
「・・」「如何しんさった」「大変ご立派な家で、驚いて」
「これは先祖の遺産、山が高値で売れるやら借りてくれるやらですのよ」
「え、じゃ高速道」「そうなの、とんでもない事が三十年前から起きて、
おまけに松江道までも」「なんと・・」
聞いてあきれる里美、これほどの屋敷尚見た事が無いと息を呑んでしまう。
大広間も和風だが、宿とは雲泥の差、何もかもが想像を遥かに超えて居る事に
唖然とする。
 深い秋の夜のとばりは早い、午後七時その暗闇の中車が戻る。
「先輩~」「往々、里美、よう来ちゃんさったな」「お母さん」
「うん、ご苦労さんだったね」親子が並んで頷き合う。
「翔太、あんた疲れんさっつろう」
「おばさん、ご苦労様、まさか警察とは驚きました」
「詳しい事はアソコが一番じゃろうが」「言えますね」
「話は後じゃ、菜摘御腹がのう」「すぐに用意できますよ、ご苦労様です」
「其処はええけ、里美お前たちは風呂が先だぞ、冴香着替え有ろうが」
「はいはい仕切りのお局様」「阿呆・・」そこで皆が笑われる。
一人だけ違う面持ちの男、翔太が其処に居た、
(なんとこの親有で子の娘か、大変だぞ此れは・・)
何が大変なのかは知らないが、驚きの姿は既に冴香も義母の菜摘も感じ取った。
 親子でいやいやながら背中を押されて浴室に向かわれる。
「光江さん」「待ちんさいや、警察での話しだろうが」「其処ですよ」
其処から光江の話が始まる。既に夕食は持ち込まれている、
菜摘も居て四人で話を聞いたり話したりする。
「え~じゃじゃ、お前の里か、なんとそういえばあいつの女の里は田所のマス、
マス何とか」「あ、其処は増渕じゃろう」「お~そうだぞ其処、え翔太お前」
そこから冴香が話を引き継ぐ。
 「なんとま~奇遇じゃがね、お前の里か」「郷でも広いけ~」
「言えるが、でもな其の女性は里に一晩泊り込んだそうじゃが、中身は里は
知らされていなかったそうだ」「そうだろうね、其れで・・」
光江の話は続いて行く。
「え・では持ち逃げした金額,三百二十万円になるん」
「そう聞いた永い間苦労してため込んだ金額じゃ、相手にとって三千三億に
等しいぞ」「言えるわ、金額云々じゃない、其処は汗水垂らしつみ重ねて
来て居られた金よ」「言えるがね、悔しいだろうな」
「男は渡板前だそうだ、前科も二つ、似たような内容だと」
「じゃ渡り歩いて、其処で値踏みかね、酷いね」
「里美も人手が無いし、其れに台所を任せられるからついついそこの方向」
「判るわ」そんな話を聞いた、翔太は益々親子が気に為り出した。
 暫くすると親子が風呂から上がられる。
その姿を座ったまま仰ぎ見る三人、特に翔太は驚愕するほどの妖艶な親子、
浴衣が栄える容姿に光江も菜摘も息を呑みこむ。
「ささ、お腹が空いたろう、腹が減っては戦が出来んぞ、座って食べよう」
此処でも仕切りは光江さんだった。
 喧騒の中、出前を取っている、しかも寿司桶二つ、でかい中に見事な握り
寿司が並んでいる、おまけに刺身、豪華な夕食に親子はたじろいた。
「遠慮は無いぞ、わしも呼ばれるけ~、里美ワインか」「え、先輩」
「構や~せんけ~、此処は良いんだ」ワインを注ぎ流れで娘にも注いだ。
其れを合図の夕食会、光江さんが気を回され親子は何度も頭を下げつつ
食事が進んで行く。
白ワインが美味しいのか、親子の胸周りがほんのりと赤みが懸る、
其れをいい事に光江が益々ワインを薦めだす。
 一時間半後、座は賑やかに為り出す、其処は総て光江さんの動きでそうなる。
冴香も菜摘も其処は承知、波に乗る義理の親子は翔太の為にとその方向に向かう
姿、既に翔太の思いは冴香には手に取る様に読める、だがそんな事とは知らぬ
親子、歓待に何度も頭を下げていた。
 午後九時、漸く夕食は終える。
「ふ~これから飲み会じゃね」「女子会かね、翔太さんが可愛そう」
「良いんだ、翔太は御陰で妖艶な女性軍を盗み見して居るよ、な~翔太」
「はい、思わぬ事で、独りを除いてですがね」
「え、独り、こら~お前は~正直すぎだろうがね、こいつ」
光江さんが大袈裟に怒られて翔太の頭を人叩き、受ける翔太もこれまた大げさに
逃げ回る。
よろつく足取りで追いかける姿に冴香と菜摘がお腹抱えて転げまわり泣き笑い、
其れに少し乗らされる親子も少し笑顔だった。
 だが広い廊下を走り逃げる翔太を追いかけた光江、部屋には戻っては来ない、
其れを見て菜摘が気を利かせる。
「これからの事はじっくり考えてね、私も叔母も相談に乗る」「え・・」
「そうよ、此れは災害、命が残った、此れからの授業料よ、頑張ろう」
「冴香さん」「良いの、此処はそんな家なの」「そんな家ですの」
「ええ、此れでもここ等じゃ有名、破廉恥だけど面倒見が良いと、自分で言う
のが恥ずかしいけど、義母さん良い人よ」「有難うね、いい子ね」
「え、では義理なんですか・・」「年を考えてよ、七つしか違わない」
「あ、そう言えば、なんとそうでしたか」
 今まで何も話さない女性が要る、其れは美樹さん、ここに来て挨拶を
されてから一言も声を聴いていなかった。
其れほどショックが大きいんだと察した。
 その間、光江と翔太は奥の部屋で話をしている。
「お前・・」「うん、何とか考えるね」「どう考えるんだ」
「叔母ちゃんの思いと一緒じゃが」「え、では、こいつ」
「いた、もう何とかしようと考えているんだぞ」
「判った、急ぐな味わえや、あいつらはわしが捕まえておるけ~」
「おばちゃん・・」「ああ~光江と呼んでくれんか」
「光江、そなたにすべて任せるぞ」「畏まりました」
其れで其処での話を終えると居間に戻った。
「先輩、感謝です」「如何した」「相談に乗ると申され親子で感激しています」
「甘いぞ、其れだから騙されるんだ、世の中ただでは何事も無い、良いかね、
世話と背負う責任は同居しているが、只より怖いものは無いと世間では言う、
其れとな男女も同じだ、何事も金で済ませるなら世話はないが、潜ませている
魂胆こそ難儀な代物じゃぞ、良い経験したろうが・・」「・・」
「良いか、此処は光江が責任を持つが他所ではそうは行かんぞ、世間は辛い、
其処を味付けをするのが人間の繋がり、何かする、して貰う、させる、総て
恩義と何かしらの金銭が生まれる、其れだからこそ円滑に世の中が回るんだ、
国でもそうじゃろう税金を集めて総ての人に公平に生活をよくするのが務め、
わしらは既に其れの恩恵を受ける年になりそうだがね、此処で言いたいのは
何事も後ろ裏側が有ると思うんだ、ボランテヤ以外は皆同じと思うんだぞ」
「はい肝に銘じて」「良い子じゃ、流石気に為る後輩じゃね」「先輩」
「任せや、後はおいおいと相談しようかね」「・・」
「何じゃ、不服そうだが、親子で決めた事は最悪そうすればいい、だが未だ
ほかに策があるやもしれんがね」「先輩」
「良いね、此処でじっくりと考える方が何よりも得策じゃ出て行くも良いし、
此処で踏ん張るも良い、他に何か在れば尚良いがね」「・・」
「今回は先走りしんさるなや、娘も良いね」
「はい、叔母様、警察から幾度も考えて、何でこうも親切にして頂くかと」
「其処か、其れは可愛い後輩の為じゃ、この件は金は絡んではいないぞ、
其れになあんたももう少し顔をあげて生きんさいや、済んだことは事故、
そう思うしかあるまい、相手が上手だってことで良いじゃないか、あんたは
悪くないが、何でそうなり得たかは反省じゃぞ、夜の務めは如何だった、
日毎の暮らしでの夫は如何だった、何で逃げたのかとか、色々有ろうが、
だがな、考えるのは少しの間だけだ、其処を抜け出せんなら次の行動は慎み
んさいや、責任は総て相手と自分に有ると思いなさい、此れからはそうなら
ない道を歩もうかね」「おば様」
「良いんだ、可愛いから気に為るしね、おまけに可愛い後輩の娘じゃろうが、
わしがしてやりたくても出来ん事が唯一有るんじゃ、其れは金銭関係、
其処はこの家の主が面倒を見させる」「え、先輩」
「良いから、この家は総てあの男に従う羽目に為って居る、確かは其処だけ」
「・・」怪訝そうな顔つきの親子、家の人を見ると笑われていた。
 「お母さん」「まてや、わしも理解が済んでおらん、先輩には聞いてみたい
部分じゃね」「良いとも、夜なべで聞かそう」「お願いします」

                    つづく・・・・。




















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