異淫小説102弾《獣を潜ませ生きる・・42》

 正月五日迄谷に居る、此処で冴香さんも来て、光江さんとこの宿の里美親子
に囲まれて最高な正月を迎えられた。
「じゃ、此れから此処は中の工事が始まる、里美さんと美樹ちゃんは落合の家
に逗留しんさい」「え、お邪魔でしょう」
「いいや、此処は居らん方がええけ、時々現場に来んさい、光江さんもじゃぞ、
計画通りに工事が進むのだけ気を付けてな」「あんたは、居るんじゃろう」
「時々は来る、雪が有る間は、居ても動けんが」「そうだろうが、大阪かね」
「ううん、其処は恵ちゃんが居るし」「じゃ何処にいきんさるん」
「あのね、僕此処に来たのはあの小百合さんと車の故障で来ているんだ、
そん時里に戻ろうとしていたんだぞ」「じゃお正月此処で、悪い事したね」
「ううん、其処は最高だった」そんな話をしてよく六日、翔太は谷を後にして、
皆を落合の家に送り届けると、直ぐに中国道に乗り上げ、
一路自分の里にと向かう。
 雪道だが、其処はタイヤが良いから難なく里に到着。
「叔母ちゃん・・」「うひゃ~お前・・」「おめでとうございます」
「あはっ、今年も帰らんと、お父ちゃん、翔太だがね」
「おう~、来たか上がれや」「お父ちゃんな腰痛めんさって難儀したがね」
「それは拙いが、おじさん、具合如何・・」
「阿呆、挨拶が先だろうがおめでとう」「今年も宜しくです」
「良いぞ、おい酒」「はいはい、また相手が出来て飲めるね」
「ああ、こいつは来んじゃろうと諦めていたんだ、よう来たな・・」
本当に懐かしい、此処には既に三年間戻れていなかった、会社を興したり
あれやこれやで忙しい、だが忘れてはいない、生まれ育った里、
思えば此処はあの谷とは少しはましだが、落合には遠く及ばない、
土地が化ける事も無い、山や田畑が有っても今じゃ半分が雑地、
島根県と広島県の境に近い、過疎地で有名な場所だった。
「病院は・・」「行かんでもええけ」
「拙いよ、腰は大事じゃけ~、ヘルニヤかもしれんが」
「うん、そう言われたな、でも寝て居れば良いが」
「もうこうなんじゃ、何時も大丈夫といんさり寝ている」
「そうか、じゃ一度大きな病院でも行こうか」
「おいおい、簡単に抜かすな、金が懸る」「保険入っておりんさろうが」
「でも金は要るが」「良いが叔母ちゃん、此処なら何処がええん」
「浜田か広島じゃけ」「じゃ広島か、浜田は田舎じゃしな」
「おいおい、駄目だ、金」「良いから其処は良い」
「良かないぞ遣れんのじゃ」「良い、叔母ちゃん、来週でも行こう・・」
「お前・・」「良いから、おじさんの事は大事じゃ、連絡してみるね、
赤十字が良いよね」「・・」
いきなり来て呆れるが、泣けるほど嬉しかった。
娘はいるが正月来てても其処まで気づかいはしてくれん、自分の事で精一杯、
其処は仕方が無いが悔しかった。
 その夜は久し振りに家の中から笑い声が聞こえる。
「そうか、じゃ会社引退かね、若いのにな」「そんでその谷は如何するん」
「生きかえらせるよ」「ま、お前大層な金要るんだろう」
「そうなるけど、其処も目途がついた」「ええ、じゃじゃ本当か」
「うん、そうなった・・」「お前・・」
呆れる顔で幸子は姉の子供を見詰める。
「良いぞ、薦めやどんどんな、此処はもう終い、雪で見えんが荒れ果ている、
若いもんは居ないしな、遣れん」
「そうみたいですね、何処もこんなところは同じですよ」
「でもな、悔しいが・・」おじさんはそう言われる。
 本当だ、此処は誰もが先を想像出来る程過疎地特有の萎み方を歩いて居る。
「おじさん、元気になれば何かしようよ」「お前簡単に抜かすな何が出来る」
「其処を感が考えようよ」「あのな・・」
「あんた、話をおりんさんなやこの子が此処を気にしてくれるだけで良い」
「そうだけど、要らん苦労させられんが」「でも考えようね」
「お前・・」手を握られて泣きそうな顔をされる。
自分の親が交通事故で無くなり、その後高校を出させて貰い今が有る。
恩は一番有る家だった、特に叔母は高校で終えようと考えているのに、
怒り大学に行けと、金は余りないが行け、何とかするとまで言われた。
奨学金がもらえる事に為り、大阪の大学にと行くことが出来たのは総て叔母の
御陰、此処を何とかするのが翔太の役目と今はっきりと思えた。
 おじさんはご機嫌で酒に酔われて横たえられる。
「お前、何とかしてくれるかね」「うん、落合の谷はもう計画は出来上がって
いるし、後は工事を待つだけ、此処は何が良いのか考えるね」
「お前は、お姉ちゃんが生きておりんさると良いのにね、喜ぶよ」
「そうかな生きて居ればこうは為れていないかも,叔母さんに尻叩かれた
からね」「おまえは良い奴じゃのう」酒をお互い飲んでいた。
「あ、そうじゃ、お前頼みが有るが・・」「何・・」
「あのな・・」そこから叔母の話を聞く羽目に為る。
 「え、じゃじゃ、其処如何しんさるん」「出んさるといんさる」
「出るか、其れも良いかな、そんな事じゃ居れんじゃろうが」
「其処じゃがな、聞くとどうも無理やりだと狭い田舎じゃろう、良い事言わん
奴が居るがね」「うん、では」「聞くと最後までは出来んかった」
「未遂か・・」「そう、そんでも世間じゃ、アソコは遣られんさったと」
「そうなるのか、可愛そうに」そんな事を話していた。
「金は何で要るん・・」「そこは娘がおりんさる」「幾つ・・」
「十八、広島の高校今年卒業」「其処か、でも卒業出来るんだろう」
「金・・」「借金か」・・」「「うん・・」「幾らね」
「二百万」「何処で借りたん」「農協」「じゃ何で男が・・」
「其処じゃ、肩代わり」「あはっ、判るが」「え、お前」
「判る、男じゃろう、じゃその人綺麗か・・」
「綺麗、最高じゃが、ここ等じゃ誰も知りおく美人じゃがね」
「そうか、じゃ娘もかね」「勿論、其れで広島に出した」
「成程な、でも肩代わりは悪くないじゃろう、返せるんか」
「田畑抵当、安いしな」「なんと、そうかじゃ僅かな金じゃないの」
「其処が田舎じゃろう大金」「成程な・・」
「家は去年までお婆ちゃんが居りんさった、年金でなんとかね」
「成程な、今は・・」「働くにも良い金は稼げんが」「だね」
世間話は進んで行った。
 どこの世界でも色々と在る、一番は男と女の事、此ればかりは当事者で
ないと本当の事は判らない、相手もどこかで色香で賄おうとされたのかも
と思えもする。
「お前、相談に乗るか、良いぞ相手は」「え~、叔母ちゃん・・」
「な、あいつは賢い、此処で何かするなら使える。其れで利用したら如何」
「叔母ちゃん・・」「なな、見るだけでも良いぞ、真綺麗な女じゃ」
「年は幾つ・・」そこで翔太はあ、と思い口を手で押さえる。
「あはっ、乗ったな、良い女じゃぞ」「叔母ちゃん、敵わんな・・」
翔太も笑うしかなかった。
年は三十六、娘は十八で産んだと聞かされる。
「会うだけでも如何じゃ」「叔母さん・・」
「あのな、お前が此処で居るのなら其処も要るだろうがね」
「ええ、飛んでいるが」「お前迄はいかんが、考える事は出来るぞ」
笑われる。
 話はそれ以外でも弾む,何処こうだ、アソコはこうなっているとか、
中々の情報を持たれていた。
「叔母ちゃん、よう知っとるがね」
「これくらいは此処田じゃ誰も知る事よ、狭いしな・・」
「だから、苦しいから外に出んさるんだ、都会じゃこうも噂は立たんぞ」
「だね、そう言えばそうじゃね」
 話は中々尽きない、三年ぶりにゆっくりと話が出来る所為か、
叔母は翔太に此処の話しを聞かせていた。

               つづく・・・・。



































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