異淫小説102弾《獣を潜ませ生きる・・44》

 一月十一日、翔太は美恵さんを乗せて広島に向かう。
叔父さんは暫く此処で入院と決まる。
昼過ぎ、三人で食事を終えると里にと向かうが、
広島界隈では雪等積もっていなかった。
戻る途中、なんと車内では美恵さんと叔母の話し合いが聞こえて来る。
なんと総てが話が合う二人、呆れる程賑やかな車内だった。
「まげな事に為りそうじゃのう」
「幸さん、今度ばかりは美恵は燃えている、翔太が大物に為りんさって、
帰ると話を聞くと逃がすまいとのう」
「判るか、其処じゃが、わしら面倒を見てのう」何とも悪の叔母達だった。
幸子さんの家、つまり智樹も呼ばれている。
「わしはこれから佐々木の爺さんの所に向かうが、翔太は如何する」
「話は任せるけ、此処で一休みじゃ」「じゃ美恵は・・」
「あんたは沙織の所じゃ、わしよりも知り合いじゃろうが」
「そうね、其処担当」「良いか、話した通りにのう」
「任せて、じゃ出かける智樹・・」「判った、もう忙しいおふくろじゃ」
「馬鹿垂れが、総て先にはお前の為じゃろうがね」「はいはい・・」
 二人が出られると、翔太と智樹は苦笑いする。
「おい、わしは、昨日の晩から動いているぞ」「え・・」
「お前が此処に滞在すると為ると、あいつら利用せんと行かんじゃろう」
「誰と誰・・」そこから懐かしい名前を聞いた。
「なんと、四人も居るんだ」「そうなるな、此処が少しでも楽しくなるなら
大賛成だと」「今何して居りんさる」其処から色々な話を聞き出す。
「そうか、辛いのう、其れじゃ若者は逃げて行くな」
「そうなんじゃ、どが~しても居らんと行けん奴はこの有様だろう」
そう聞かされた。
「お前、何とか頼むけ、わしらは付いて行くと決めたんだ」
「じゃ、正之と浩二、澄人、雅満か・・」
「今んところそうじゃが、何れ増えるかもしれん」そんな話をする。
 高校を出てから八年、様変わりはあまり見えないが、
中身は益々酷い状況に為りつつあると思えた。
町も合併を数度し、人が少なくなるし子供と言えば数える程度、学校も合併、
今じゃ遠くの学校に向かう羽目に為った。
「おい、此処を変えるか・・」「如何変えるん」
「待て、本を持って来ている、読んでくれ」
「おいおい、わしは苦手ぞ、其処はオマはんに任せるけ」
「もう、じゃお前は佐々木さんと話が付けば家頼めるか」
「任せや、其処は出来る、わくわくしているが」
翔太も其処は其れで良いかと思えた。
叔母の家での居候は長くは無理、監視されているようで動き辛かった。
だが其処はどうにもならん現状、家が完成するまでは時間が懸る、
其れまで如何するか悩んでいた。
 夕方叔母が戻り、佐々木さんが偉い喜びようで、わしの最後の棟梁として
の仕事じゃと泣かれたそうな、叔母が家の事は明日来て聞くと報告された。
 午後七時過ぎ、智樹の母親が家に来られる。
其処からが大変、「え・・、では・・」
「ああ、あんたの事は噂できいとりんさる、そんでな、一度会いたいと」
「是非・・」「呼ぼうか「え、今か、でも夜中だし雪が有る」
「お前なここ等じゃ雪など何ともない、そう返事すると思ってな連れてきて
いるんじゃ」「うひゃ~、何処に」「車じゃ、呼ぼうか・・」
「美恵おばちゃん」「任しんさい、直ぐ連れて来る、幸さん酒有るか」
「有るぞ、良いぞ連れてきんさいや」
とんでもない事に為りそう、展開が早すぎると思えた。
 「こんばんは、あのう・・」
「知っているが、正月の挨拶だけでのう、上がりんさいや」
叔母が土間に居られる沙織差を連れて部屋に来る。
「・・、・・」翔太はお正月の挨拶を受けながら絶句、返事が出来ない、
其れほどこんな田舎じゃ珍しい程の美人だった。
(く~凄いぞ、なんと有馬の佐和子さんと良い勝負だが・・)
容姿、顔、特に目と鼻が綺麗、噂は本当だと今知る。
炬燵に入られ、直ぐに熱燗で乾杯。
「あのう、話は聞いたけど、何処までですか」「何処までとは・・」
「借金は肩代わりですよね、其のお礼」「お礼、其処は無いけど」
「無い、何でです、親戚でも無いし余りにもこっちが勝手すぎると思うけど」
「其れで良いじゃない」「良くないから聞いているんです、覚悟はしています、
でも此処に居る事は無理、広島でも出ようと、其処で会いませんか」
「会う・・」「はい」「何で・・」
「ええ~貴方、いいや翔太さん」
「あはっ、そうか其処が心配なんじゃね、あのね肩代わりはするけど其処から
先は無い」「無いって、じゃ何で肩代わりしんさる」
「それはこの田舎じゃ一番綺麗な女性、そんな人を苦しめるのは好かんだけ」
「え、貴方・・」「まあま、酒のみんさい、先は知らんでもええけのう」
「幸子さん・・」「な、今あんたの身が軽くなる事だけ考えんさい、
其れでもと思うならそれはこの先の事、其れが条件では無いぞ」
「え・・」「あのな、髭爺様とは其処が違うんじゃ、な美恵ちゃん」
「そう、言ったじゃない、成行きでそうなるなら仕方ないけど条件じゃ無い」
「でも二百万円よ」「其処もそれだけで良いの、生活は・・」
「其処は何とか」「娘さんの仕送りは・・」「三月で終える、卒業」
「じゃ玲奈ちゃん、就職決まっているの」「年末に正式に」
「何処ね」「大手の百貨店」「ま~良いじゃない、じゃ毎月は送らんでも
良いのね」「そうなります、私もやがて其処にと・・」
「そうか、行く先が明るいじゃない、では肩代わりだけで良いの・・」
「・・」「何よ、何か有るん」
「あのう、ここを出ようと考えているんです」「それで・・」
「家良いとしても田畑、あのままじゃやがて荒れる」
「そうね、皆そうなって来ているがね」「それでは先祖様に・・」
「其処か、翔太さん、あんた其処面倒見んさい」「え、如何するん」
「買わない、安い、其れ買うと皆が助ける、稲も植えられるし」
「幾ら・・」「ね、あんた幾らあるん」「一丁歩くらい」「なんと有るんだ」
「だから困る」「そうか、じゃ幾らなら売れる」
「この間聞いたら、二束三文だって,一反以前は二十万円と聞いていたけど
今じゃ十万を切るといんさる、其れでも売れんと・・」
「そうよ、ここ等じゃもう誰も手出しせんしね」
「あのう、アソコは山裾じゃろう」「そう、冠山の麓よ」
「景色が良いだろうな・・」「最高よ」美恵さんが翔太に言う。
「じゃじゃ、十万で良いが、買う」「ええ、あんた一町歩よ、千万円」
「良いよ」「あんた」「では田畑総て付けます、家も・・」
「ええ~家もか、其れじゃ割が合わんだろう」
「いいえ、田畑だけでは家も付けます、もう古いけど住む事は出来ると思う」
「あんた・・」今度は幸子が傍に来て言う。
「でもよ、家諸共じゃ安くないか」
「ううん、其処も計算してたけ~、解体が驚くほどの金額、とてもじゃ無いが
其れは手が出ん、其れならいっそ田畑買って頂けるなら家総て、裏の山も」
「沙織さん・・」「肩代わりをお願いし、家田畑総てで一千万は沙織に
とって掛け替えのない金です」「でも・・」
「二百万円肩代わりして頂くなら、其れを差引いて八百万円でお願いできます」
「良いですが、良いのか其れで・・」
「身に余る金額です、どなたが買ってくれますの、無理」そう言い切られる。
 「翔太・・、どが~する」「うん、思わぬ事に為るな、あの家は中身を
知らんが如何・・」「昭和の半ばに立てんさった、使用する木は天下一品
じゃぞ、大黒柱などでかいし鴨居も太い、最高、洗いすれば綺麗になる」
「じゃ、叔母さん買う」「じゃあんた家は作るんじゃなかったんか・・」
「其処は作ろう、でも生活は其処ではしないで別荘仕立てで如何、
皆が集まれる場所」「お前・・」
「良いぞそうしろ、お前は憑いているが、アソコなら皆が知っているし眺めも
此処とは比べられんほど良いぞ」
「そうか、じゃ中身見んでも良いが、買う、沙織さん良いですか・・」
「良いも悪くも、あんた本気かね」「え・・」
「話は聞いているけど、良いの」
「良いですよ、じゃ役場に行って抵当権と農協もですよね」
「はい、でも・・」「何か拙い事でも・・」
「こんなに苦労して来たのに簡単に、何で此処迄に苦労して悩んでいたのかと」
「それはこいつが来たからじゃが、良いねあんた」「ハイ、もう嬉しくて」
「じゃのみんさいや、此処で乾杯しよう」美恵さんが言われ全員で乾杯する。

       つづく・・・・。











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