異淫小説102弾《獣を潜ませ生きる・・54》

 諏訪湖湖畔のホテルは最高、沙織も感動しっぱなし、
食事もバイキングだが楽しめた。
部屋では何か気まずくも有ったが、翔太の話を聞きながらメモを取る沙織の
姿は真面目、これからする仕事に関われと言われているし、
明日から始まる見学にも胸をときめかせる。
 翌日、九時過ぎにホテルを出るとまた中央道に乗り上げ一路目的地の
塩尻市に向かう。
一時過ぎ現地に到着したが、其処は林業センタ-だった。
現場を見た後、此処は市場調査など必要ないと思える。
思いのほか、変わったことは無い、此処は主にシイタケ栽培で原木から
生えさせる昔からのやり方と、家庭栽培に出来るものがほとんどだった。
少し落胆するが説明を真面目に聞いて回り、沙織はカメラを回し従う。
○半日話を聞きながら、担当者と話をする。
夕方漸く現地を離れ、緊張かお互い多少疲れてしまう。
沙織さんは翔太より疲れた様子、慣れないカメラを持ち廻り、
色々な物を撮りまわっていたからだ。
 「ふ~疲れた・・」「ご苦労様・・」
「ううん、何時も見上げると富士山が見え綺麗、初めて近くで見た」
「そうだな、綺麗だった」「何時まで此処に・・」
「いや、もう見る必要が無いな・・」「え・・」
「だって、里で起こすのは此れじゃない」「え、違うの・・」
「うん、しいたけじゃ何も変わらんぞ」「・・」
「するのは菌床栽培、其れだから明日は群馬に向かう」
其れを黙って沙織は聞いていた。
 その夜は車を走らせ夜中までは知った。
其れで食事をする場所でホテルを聞いて、疲れた体を其処で休める。
沙織は何も言わずに従うが、計画は時々狂うと翔太はぼやく。
そんな気分だから、その夜は互いにか疲れた侭寝る。
 沙織は少し翔太とは思いが違う、其処は有るかなと待つ期待と、
此れからの自分の立ち位置とが悩むもとに為る。
 翌日何とか車で走り、群馬県入り、そうして昼過ぎには沼田市に到着、
昼ご飯を食べ、此処は塩尻とは翔太の顔色が違った。
「此れからは・・」「ああ、近所廻りするぞ」「はい・・」
返事で沙織は緊張する。
キノコで村おこしされている場所にと車は行く。
 「おう~ここ等かな・・」「・・」
車が来た場所は山間、雪が積もり里と何ら変わりがない景色だった。
「翔太さん・・」「うん、ここ等で何か聞こうか・・」
緊張が走り沙織はカメラ持参で車から降りる。
部落に有る雑貨店に翔太は入り其処で聞き込み開始、優しそうなおばさん、
その人に来た理由を翔太は話す。
「ま~そうですか、遠くから来たんね」そう言われる。
話を続けるとおばさんは急に顔が綻ばれる。
そうかね、キノコクラブじゃね」「見たいですが、如何なんでしょうか」
「如何って・・」「規模から働く人から何か聞きたいんで」
「じゃ、クラブに行けば良い」「でも、働く人に会いたいんですが」
「何で・・」そこからおばさんの気質頼りに翔太は本音を話す。
 「ま~じゃあんた達は、話を聞いて出来るかどうかを知りに来たんかね」
「そうなります」「・・、待ってそれじゃ私じゃ無理や、あそうだ清美さん
が良いかな・・、待って電話してみる」なんと親切な人だった。
 連絡して頂き、家を紹介され話を聞けると言われる。
何度も感謝の言葉を言って車でその方の家にと向かう。
 五分走るとその家、古い農家の家だった。
玄関で挨拶をし、直ぐに部屋に上がらせてもらう。
「そうかね、仕事の中身は会社に行けば聞けるけど、其れじゃ無いのね」
そう言われ頷いた。
「そう、ここ等じゃ三十人くらい其処で働いている、もう永い間世話に
なっている。そりゃ~不満は有ろうが私らは農家、それ以外働く場所など
ない、あの会社は此処で仕事を作って頂いた」そう話を始められる。
「中身は色々な仕事が有るが、一番は消毒じゃ、私らは会社に入ると、
着替え、外から菌を持ち込まない様に注意、其れが口やかましい程言われ
ている。それ以外は何も気には為らんが、給料は知れている私はパ-ト
だからね」お茶を飲みながら翔太と沙織は話を聞いているが、
承諾を頂きカメラは回す。
「それでね、キノコでも此処では菌床を主に生産、全国での家庭栽培用の
ブロック造りが主なの・・」「え、では・・」
「ううん、品物は其れだけじゃ無いし、なめたけイリンギなど多くの物を
作っている。其れは見学されたら判るし、後は如何かなお年寄りが多く
働ける事かな」「では・・」「ええ、ここ等じゃ有難い事」
「其処をしたいんです」「成程、良事じゃない、此処と地域が離れているし
これをしたい大義が其処なら清美は賛成ですけど」そう言われる。
 此処で永い間世間話と共に色々な話が出来た。
特に女性同士の沙織さんは直ぐに話の中には居られ、メモとカメラで忙しい。
「あ、もうこんな時間、そうだ仕事終える仲間がもう帰る頃、呼ぼうね」
返事を待たずに電話をされる。
 三十分後、部屋は女性で一杯、田舎は何処でも繋がりが強い、
反対に仲間割れすると無残、良いにつけ悪いにつけ此れは仕方が無い事と
思える動き廻る手間が省ける。
二時間、話を聞いていると知らずに酒が出て来る、其処で今度は宴会騒ぎ、
雪の中ではこんな集りが良いのか、座は賑やかになる。
 「ま~こんな時間。翔太さん・・」「え、しまった、お暇仕様」
明日会社に伺いますと告げると、「良いわ、所長には話を通しておくね」
清美さんにそう言われる。
 「良い方ね」「ああ、最高な人に会えたね」
そうして、二人はまともな宿には行けそうもない、車に乗り込んだ時、
窓を叩かれる。
「あんたら、此れから、泊る所行くのか・・」
「え、其れが決めていないから、こんな夜中に為ろうとは・・」
「そうか、沼田の町までは相当あるよ」「そうですか、でも仕方ないし」
「じゃ、内に来なさい」「ええ~其れは・・」
「飯は良いだろう、寝るだけなら寝れるが」「おばさん悪いが」
「なあに良いよ、明日私は休みだし、清美ちゃんが会社には通してくれる、
汚いが良いか」「え、其処は、良いのですか迷惑かけるし」
「構わん、じゃ車に付いて来て・・」なんとそう誘われた。
 「ねね、優しい人ね」「良いのかな・・」
「良いじゃない、此れから此処と繋がりが出来るなら良いと思うけど」
「なんとそうじゃね」沙織に言われて気が付いた。
 五分後、相手の家に到着、此処は昔ながらの家、入れと言われ玄関、
「お母ちゃんお帰り、えお客様」「そう、風呂沸かせ」「うん・・」
なんと出迎えたのは此処の娘か、翔太も沙織も挨拶を終えると・・、
「誰・・」「おう~可愛い女の子、お邪魔しますね」
「お邪魔って、お母ちゃん」
「良いからあんたはスト-ブの傍に誘いなさい」
「は~い、来て」なんと可愛い女の子に誘われた。
 和やかな雰囲気、様子がようやく見えた。
此処の住人は三人、叔母さんと娘とその娘の女の子だった。

                つづく・・・・。