望愛小説103弾《獣が道を造る・・9》

 翌日裕太に召集が懸る、美津さんの家に来てくれと電話が来ていた。
「上がりんさいや・・」裕太は招かれた身、上がり居間にと向かう。
「え、ああ何とあんたが真弓さんか・・」「え、ご存知ですの・・」
「いいや、昨日友から聞いたがね」「あらら、驚かそうと呼んだにね」
美津さんがコ-ヒ-を出しながら笑われる。
「そうだがね、えらい気落ちする」「聡子さん・・」「はいはい」
笑いながらコ-ヒ-を飲む四人、其れは言わずと知れた仕事絡み、
裕太は夕べ婆から何もかも聞かされている。
「真弓ちゃんも参加するね」「聞いている、お願いします」
「あんたね、此れだけの美人はそんじょそこらには居らんぞ」
「ええ、見事に三人が揃いましたね、壮観です」
「く~遣れんがこいつ、あら失礼裕太には敵わんがね」
「言える、動じないけ、つまらん」「聡子さん」「はいはい・・」
そこで三人が笑われた。
「じゃ承諾かね」「其処はあんたらがする事、承諾なんぞ要らんが」
「ええ、其れこそ冷たいがね、峰婆ちゃんからきいとられんのかね」
「必要以外は聞かんし言われんが」
「なんと、そうか、じゃ此れから話す事は内緒だぞ」「え、何か・・」
そこから美津さんが主に話をされ出す。
 「ええ、では其処が、でも其れじゃ生活が出来んじゃろうがね」
「凄いぞ裕太、其処が問題でな来てもろうたんじゃ」「・・」
話しは真弓さんの事、病院は何とか保険で賄えるが其れだけじゃすまない事
くらいは大人だから理解出来る。
「じゃ、其処を僕が見ようか」「うひゃ~裕太凄いがね、理解出来るん」
「ああ、すこしな、でもそれでいいんか世間・・」「其処を仕事で隠そう」
「美津さん・・」「あんたね、其処は既に峰婆ちゃんは了解して居りんさる」
「ええ、聞いてないが・・」「それは美津たちが頼んだんじゃ、あんた自身で
決断が欲しいからね」「よし、了解じゃ真弓さん、心配せんでもええけね、
何とか頑張ろう」聞いた真弓は目を真っ赤にする。
「でな、あんたにも二人友達がおりんさろう」「うん・・」
「其処も何とかせんと拙かろう」
「え、あ~そうかなんと昨日な謎かけ問答を婆ちゃんがしんさった、其れか~、
く~年寄りは怖いが」「あんた、じゃ・・」
「あ、昨日あいつらが居る中で婆ちゃんが人生は一度きり、此処で埋もれて
死ねるんかと・・」「なんと良い凄い婆ちゃんだ事」
「そう、何時も驚かされるがね」聡子さんもそう言われる。
「でも良いの裕太さん・・」「良い、仕事も頑張りんさい、此れから美津さん
や聡子さん其れに俺の婆ちゃんもおりんさる」「うん、泣けてきた・・」
横の美津さんに縋り泣かれる。
「来た早々じゃがね、可愛そうじゃないか・・」
美津さんの言葉に裕太も聡子さんも頷いた。
 車も三台、控えにもう一台と裕太が言う、其れにも大感動、
三人は頷き合い裕太に頼んで来る。
「直ぐに手配するが時間が懸る、冷蔵設備も必要だし、四トンで良いな」
「は~い・・」返事は元気が有った。
 だがその後、車は中古で安いのがと美津が言う、其れに聡子も賛成する。
事は進む、その中で裕太の役目も増して行く。
 家に戻り婆ちゃんが笑いながら迎える。
「如何だ、上手く運んでいるのか・・」「あはっ、総て知ってて言うんか」
「恐れ入りました」「婆ちゃん、そう手回しせんでも考えるけ・・」
「頼むぞ・・」夕方誰かが来る。
「え、あんた何で何か有ったんか・・」「何も、手伝いに来た」
「ええ、手伝いって・・」「往々、きんさったか家は大丈夫かね」
「はい、義母も泣いて世話懸けるといんさるし、真弓は外で動きたいから」
「裕太車に品物・・」「ええ、婆ちゃんもうか・・」
「あのな、気を使い手伝うと、相手の気心読みんさいや」
「あ、そうか上がって、休んでからで良いが、夜何時迄良いん」
「なんじでも、明日は寝るし」笑われる。
 昼間、美津さんの家で聞いた話は此れかと思えた。
【あのね、真弓には別に仕事を拵えてよね、今度の仕事はそう金には為らん、
其処で裕太の協力が要るんよ】そう聞いていたのだ。
 三十分後、二人は隣の作業場に向かい、其処で整理されている野菜類を荷台
に運んで積んで行く。
「ま~凄いね、此れが毎度なの・・」「そうなる、でも戻りも荷物が・・」
「聞いているが、凄いじゃない、此れが毎度なん」「そうなる」
「じゃじゃこれからも来るね」「え、良いのか・・」
「良い、気晴らしにもなるし、たまに広島にも付いて行きたい」
「ええ、あんた・・」「真弓と呼んでください」
一気に空間が狭まる、裕太は健気に動く姿を唖然として眺めた。
、 一時間後、荷積みも終え部屋に戻る。
「ひや~婆ちゃん」「これはお前にじゃ、食べんさいや家で食べんと此処で
食べるんだよ」「・・、有難う泣ける・・」本当に泣いていた。
 其処から婆が色々と真弓さんの事を聞き出す。
「え、では里は八重かね」「はい・・」「何で此処に嫁に来たん」「そこは」
「・・」「仕事で広島で居て、仕事仲間でした」
「ほうかね、そんで仲が良く・・」「其処は少し違うけど・・」
「言えんのかね」「詰まらん事だしね、別に話しても如何って事はないけ」
「そうかでも結婚したね」「うん、其処も逃げたい事情が在ったし・・」
「・・」「え、其処から聴かんの・・」「ええ~お前・・」
「うふっ、其れね家に事情が有るんよね」「そうか・・」
「でね、其れは他所では言えんけど此処では言いたい」「なんでそう思える」
「婆ちゃんと裕太さんには言いたいの・・」「じゃ吐き出せ」「はい・・」
 其処から真弓さんの話が続いて行く、頭が良いのか話し方も流れる様に事を
話されて行く。
「え、ではあんたの実の母親は四年前に死にんさったん」
「はい、そこもガンです、でもこれは別、其れから後妻に来られて人が・・」
「なんと父親に、其れで・・」「それが何と大変な女性」
「ええ、何処が大変・・」「」家に余りおりんさらん」「あらら・・」
「そんでね、何時も揉め事ばかり嫌になるほど・・」
「揉め事もなんぼでもあるが何ね」「賭け事、遊び何でも御座れ」
「あああ、なんとじゃ家は・・」「其処が上手い人、家は確り遣りんさる」
「なんと・・」「でね、今度は男も激しい、此れは近所から聞いた話・・」
「あらら・・」「それは良いの・・」「え、良いのか・・」
「うん、お父ちゃんには若すぎるし無理」「なんと幾つじゃ」「四十手前」
「え、お父さんは・・」「六十手前」「・・」
「でね、嫌なのは趣味が悪い」「え・・」
そこから義母の事を話しをされ出す。
「え、じゃ金が持たんじゃろう」「其処は家には被害が無い」
「何でじゃ、要るぞそんな遊び・・」「でも其処は実家・・」
「ああ、そうかでも良いのか・・」「それが嫌なの、相手の家は成金」
「成金何で・・」「道路で土地が山だけど」「あ、広島から浜田えの高速か」
「それも言えるけど、新しく出来た工場の土地も有る」
「なんと恵まれた家じゃがね」「だから困るの」「そうか、其れでか・・」
「それが平気なの、此処に迷惑は懸けんだろうと、そんでね為してじゃ此処に
きんさったと聞いたら、周りが煩いからといんさる、お父ちゃんが可愛そうで
見ておれないから逃げる様に私も出たんよ」そう言われる。
「・・」婆も此れには何も言えん、本当にあるのかと疑うが、真弓が話す顔を
見れば本当と思えた。
「放蕩女じゃがね、でも父ちゃんが情けないからどうしようもないが」
顔が曇る中話をされる。
「もう良いが、其処で止めんさい、家は出た後じゃろう困るとお父さんが相談
されるが、其処は其れで知らん方がええけ」
「裕太さんの言う通りです、だから今は考えていない」
「良いぞ、そうしんさいや、僕も八重近所で知合いが有る、八重じゃ無いが可部」
「近くね、そうなんだ」漸く真弓さんの話しから変われる。
 考えても理解出来ない部分が有るが、当事者には悩みに為るのかと思える。

                  つづく・・・・。















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