望愛小説103弾《獣が道を造る・・13》

 いやはや、裕太を差し置いて女性二人は話しに花が咲く、
初めての顔合わせだが、其処は里が近くの真弓は美代さんとの話が心良いのか
笑顔だった。
「じゃ、何かね、あんた八重のどこら当たりか」「ご存知ですのか・・」
「ああ、沢山おりんさる学生時代からアソコには多く知り合いが有るよ」
「・・」急に真弓の顔が曇る。
「あんた、聞いていたが、後妻さんは本当かね」「え、何がです・・」
「放蕩じゃよ」「・・、あ、其処ですか聞かれました」
「あ、こいつがあんたの事を来る度に話すからな、今はお互い隠し事も無い」
「え、ではご関係が・・」「え~あんた~、まさか其処は望んでも叶うまいがね、
年・・」「え、関係ないと思いますけど・・」
「え、あんた飛んでいるがね、益々好きに為れそう」
縁側で涼みながら聞いている裕太は落ち着きが無い、どうしてそんな話題に
入るのかと美代さんを恨んでいる。
「私の義母も飛んでいます」「え、あんた両方の母が義母でどっちもかね」
「はい、巡り合わせですかね、そうなりました」
「笑えるがあんたは笑えないよな」「でも慣れれば、今じゃ出て来た事が何で
そんな事でと思うくらいです」「え、じゃ今の考えは・・」
「ええ、何処にであることと知りました」
「何処でもとあんた、郷と嫁入り先しか知らんだろう」
「いいえ、この男の事も・・」「男か・・、なんと裕太じゃろうがね」
「そうですけど、でもこんな話は裕太さんとは言いたくない」「え、何でじゃ」
「こう見えても此の男とんでもない男なんですよ」「嘘じゃろう、良男だぞ」
「外ずらだけですよ」「真弓ちゃん、あんた言い過ぎじゃろう」
「ええ、聞こえてたん」「聞こえるが・・」「そう、でも嘘じゃ無いし・・」
「え、あんた、嘘じゃ無いんかね」「ええ、郷では呆れかえり今じゃ黙認、
誰もが其処は何もいんさらん、其れをいい事にしておりんさる」
「おいおい、裕太其処は聞かされて居らんぞ」「言えるか大袈裟じゃが・・」
「そうなの、じゃ婆ちゃんの話は嘘なんか・・」
「うひゃ~何々婆ちゃんが何かいんさったんか・なな真弓ちゃん」
「内が聞いた、気に為る男だからね」「・・」
もう言葉を失う裕太、その顔を見る美代は呆れかえる。
「裕太、話が違うぞ」「違わないが、聞かれんから言わんだけじゃろうが、
そんな事男が他所でベラベラ喋れるかね」
「それはそうだが、真か其処、真弓ちゃん」「本当よ」
「そんであんたは如何思いんさるん」
「どう、でも其処は甲斐姓と男の魅力がないと始まらない事じゃないね、
見合いじゃ無い互いが其れで良いなら良いと思うけど」
「へ~理解出来ているね」「此れも婆ちゃんの押し売りよ」
「参ったぞ、面白い娘じゃがね、へ~話せるね」
「美代さんも其処の閉門は未だ早過ぎない」
「ええ、生意気ね、閉門かね面白いが、其処は門など私には無いがね」
「嫌だ~、弾けてる~」なんと広島での顔と大違い、此処ではそんな姿も
苦しみも見えて来なかった。
 其れからも話が弾ける二人、呆れ果てて如何にでもなれ、連れて来た自分
が悪かったと其処は悔やんでいる。
「え~じゃじゃ、何かあんたの里は打谷かね」「え、そうなるけどご存じ・・」
「ああ、その近くに私の友が居りんさる」「だれだれ・・」
「あんたより四つ上かな、雅子じゃ」
「ま・さ・こ・さん・・、嘘でしょう何で何で知っとりんさる」
「部活でな先輩じゃが私は・・」「アア、バレ-かね、ひや~偶然だがね」
「あのな、話を聞いててあんたの家にいきんさった女御も知っている」
「・・」吃驚した顔が固まる。
「あのな、其れは半分は嘘じゃろう、あいつはいいやあんたの義母は頭が
切れるんよ、そんな姿をあんたに見せておりんさる」「・・」
「それはな、あんたが嫁に行かんからそう見せていたんだ」「ええ、嘘」
「この間裕太が来るからそんな話をして居たらな、雅子の知り合いの子だと
判ったんだ、そんでなあんたが言う姿を聞いたら、其処かと思い付いたぞ」
「じゃじゃ、あの動きと噂は・・」「半分本当だろうが弁えている女だぞ、
雅子が其処は違うといんさる」「・・」
聞いてて真弓の顔色が忙しく変化して来た。
「もう騙したのね義母さん」「そうじゃ無いよ、あんたが嫁に出んからだぞ」
「はいはい、そうしておきましょう、でも聞いて安心した、義母が本当に嫌い
だったんだ」「性根が有りんさるのう、良いぞ其れで良いじゃないか,
だから今回もその気丈夫で乗り切りんさいよ」
「其処は既に義母と話し合い、諦めている、今後はあの人が心配せん様な振る
舞いで送ろうと話し合っている」「良い事じゃ、其の義母さんも良いね」
「悪賢いけど良い相手です」「負けるわあんたには・・」
「初めてお会いしたけど裕太さんが此処に寄りんさるのがよう理解出来た、
今後とも裕太さんを宜しく」「あらら、言われたがね、裕太・・」
「聞いております、大変な女性じゃ二人とも」
そう言い返すしか思いつかない裕太だった。
 二時間話造目で、漸く腰を挙げたのが夕方になった。
車で帰る途中、美代は又疲れたのか居眠りをする、家に到着すると起きて、
呆れる姿に変貌、流石に裕太は今回で真弓さんを見直すより手ごわい相手と
嫌ほど知らされた。
 夕食は食べずに家にと「帰る姿を見送り、裕太は何か気持ちが変、
此れから如何付き合うほうが良いのかさっぱり判らん状態に追いやられる。
 七月二十八日、とんでもない暑さ、そんな中で裕太は縁側で寝転んで
暑さを凌いでいた。
「おい、起きんさいや・・」「あ、婆ちゃん・・」
「婆ちゃんじゃ無いがね、大変じゃ、真弓の夫危篤じゃと・・」
「うげ~早いが・・」
「うん、広島にいきんさる時すでに決まっていたんだと・」
「なんと聞いていないが、じゃ・・」「あ、暫く仕事はあの子は出来んぞ」
「では俺が・・」「既に美津さんが手ごろな女性を連れて来て居りんさる」
「うへ~早っ・・」「だろう、あいつは強かじゃが」
「言えるわ本当に其処は感服する」あの人は裕太より先走りが良いと思える。
聞いて少し安堵するが、今度は真弓さんの事が気懸りに成る。
 会社では既に誰が葬式に向かうか話が出たが、美津さんが裕太さんにと
一言で事は決まる。
 八月二日、葬式は執り行われ、裕太も前日から手伝いもしている。
葬式が終わると参列者は帰られ、残る人で後片付け、其処も裕太の姿が有る。
 流石に真弓さんでも憔悴され、母親も同じ姿、裕太は挨拶を終えると
引き留められるが今夜は二人でと言い帰った。
 戻ると婆が待ち、何も言わずに傍に居る。
「人間て儚いね・・」「ああ、其れだからこそ生きる中で意味が有る、
思いも途中で終わらされる事も有る、最後まで苦しむ人も有ろ、でも定め
じゃろう、幾人も生まれ幾人も亡くなる、其れの巡回じゃろうが、じゃいきて
居る内にせいぜい自分の道を歩むしかあるまいて、裕太そうだぞ」
「うん、感じるよ、こんな時に感じると本当に人生は何かと思えるな」
外では蛙が熱いぞ暑い~苦しい~と泣いているように聞こえた。

           つづく・・・・。
















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