望愛小説103弾《獣が道を造る・・22》

 九月に入ると里の動きは賑やかに為り出す、
其処にはお年寄りも中年の人も元気に動かれ出す。
収穫が至る所で始まる、早稲から稲刈が行われるのだ。
其れに従い、店も完成品の食事関係がいち早く無くなる、
外で仕事をこなすと台所はあまり使われない、其れほど総ての労力を野良に
使用されている。
裕太も其処は心得て弁当類とレトルト類を多く仕入れる。
皆が何とか生きている姿を垣間見れる、田舎の一大イベントが今年も始まる。
従い真弓さんも忙しい、稲刈での男手は既に頼んでいるが、食事は家で出す
ことに決まっている。
夫が居なくなり寂しい収穫時期、其れでも義母と二人で頑張る姿は、
裕太は想像してて感動すら覚えた。
 「ね~疲れる・・」「だろうな、今少しの辛抱しんさいや、十日だがね」
「うん、そう思い頑張っている」「四十九日は何時だった」
「え・・、あそうか其れも有るね、九月二十七日に為るんかな・・」
「じゃ其れまでは頑張ろうね」「え、何で其れ・・」
「ううん、考えがある、其れまでは・・」
「可笑しな人ね、何でその日を聞きんさったん」「お参りするね」
そんな話をしながら野菜をトラックの荷台に詰め込んで行く。
 九月十二日、裕太は可部の家に居た、家の奥の部屋は相変わらず落ち着ける、
川のせせらぎと女を掘り起こされた美代さんと裕太・・。
既に此処ではしこたま美代は肉を貪られた後、素っ裸で横たえ息も儘為らない
衝撃を一杯受け続けて居たのだ。
部屋は奥ばっているし、裕太が来ると鍵をかけ、誰もが急には来れないよう
にはしている、部屋は川辺、幾ら大きな声を出しても構わない事は最高、
無論事が行われる時は窓は閉めている、其れで凄い攻撃を毎度もろに受ける
肉体は、小躍りしながら往く事の凄さを満喫、美代は以前より姿形が変わり、
近所では知れ渡るほど、女の魅力が若い自分より覚醒して来たと我が身でも
判っている。
総て其処は横に裸で寝ている男の所為、憎い程来ると抱かれることは雰囲気
で知らされる、そうして美代の思いも何もかもが子の男により攪乱され破壊
されていった。
 「ねね、又お願いにきんさったがね」「あ・・、雅子さんか、良いね今度は
合同でなな・・」「馬鹿ね、あんた」擦り寄りキスを仕掛けると、
またまたあの地獄と極楽に行き来が始まった。
 とことん遣られた後、深い闇夜に落ちる、そうして気が付く頃には既に男は
家には居ない、何度其処は経験しているが、真裕太は余韻を残し消える子だと
感心する。
美代の気が戻る頃は既に裕太はトラックを運転し帰路についていた。
 九月二十日、郷の景色が様変わりしてくる、其れは刈田に為る風景、
見事に裸にされた谷は今は鷺が舞い降りていた。
そんな風景を見ながら裕太の軽は夕方に走る。
 「来た・・」「・・」無言で家で迎えるのは美津、八月に関係が出来てから
既に七度此処で抱き合っているのだ。
稲刈の忙しい間でも関係なく男は来る、その都度美津は戸惑いながら育成を
遅まきながらも肉に植え付け、会う度に新しい欲望と歓喜を与える男、
其れが裕太だった。
 「風呂良いんか・・」「どうぞ」「美津さんは・・」「後で行くから」
風呂は今は長い時間二人が居る場所に変わる。
裕太が買ったマットの威力が其処で炸裂、今じゃオイルや色んな道具が、
脱衣場の小さな箱に詰め込まれている。
美津は歓喜の泣き叫びが又来るとワクワクする女に変わる、こんなトキメキ
はもう美津には無いと決め込んでいたが、其処を遺憾なく掘り起こしたのが
裕太、だから来ると二度に一度はそうなる事に為り出す。
 いそいそと事を済ませると遅れて美津が風呂にとくる、其処で開始、
又抱いてくれる、其れが美津には耐えがたい日々待つ身、其れをいい事に
此処では裕太が独占場、相手がどんな事でも受けてくれる体が、
むごい仕打ちを此処では遠慮なしで試すことが出来ていたのだ。
 美津は善がる先がとんでもない程の快感を貰える場所と知る、
其れが毎度行くことが変化している、二度と同じ場所に行けないと知る。
其れも此れも総て裕太の所為と御陰なのだ。
 いつに無く、美津はソワソワとする、怪訝に思う裕太だが、
其処は瞬時で忘れる程物凄い肉体が待っててくれるのだ。
浴槽に現れると、もう其処は誰もが入れない区域に為り、二人だけの主戦場、
今日もあんた~の連呼で体を捩り手繰り美津は歓喜の中で埋没、
一度二度三度と往かされる度に叫ぶ声の音色が変わる、見事な遣られ方を
男に魅せ付ける。
 一時間後、漸く風呂から裕太が出て来た、そうして用意されている
コ-ヒ-サイホンからカップに注ぎ、美味しいと飲むのが毎度の道筋に為る。
美津は未だ風呂場の、マット上で荒い息をお腹が上下してされていた。
 十分遅れて居間に戻ると、もう其処は何時もの二人に変われる、
其のメリハリが憎い程大好き、先ほどまで抱かれ狂う自分が今はそうじゃ
無い女に為れるからだった。
「今日は・・」「あ、聡子、上がりんさい・・」「あいつは・・」
「うふっ、来て居りんさるけ」居間に行くと、「おう~きんさったな」
「ま~何とあんた主人面かね」「え、そうじゃ無いがそう見えるんか・・」
「阿保じゃ、年が違うからそうは見えんが、なんか変だぞ」
「そう、変変、此処では変・・」「馬鹿~」
裕太とのやり取りはそうなる、聡子は裕太を如何扱おうと毎度悩んで来て
いるが、顔を見ると揶揄いたい欲望が先に生じてしまう、
其れほど気が合う事の証だが、真思うように運べないもどかしさが有った。
 コ-ヒ-を飲み始める女二人、仕事の話を均きりして終えると・・、
「真弓ちゃんの家の四十九日が来るね」「そうか、そうなるんだ、早いね」
「・・」いつに無く様子がおかしい二人、裕太は其処は見逃さない、
美津を見るが変化は無いが、聡子さんに少し様子が変と思えた。

                つづく・・・・。




























望愛小説103弾《獣が道を造る・・21》

 あらけ無い程の大物を口に迎えた美津は当たる湯飛沫を身が受ける中、
想像すら出来ない我が身と行為、其れが倫理が有ると思う自分がこんな事を
している。
その嫌悪も直にかき消された、湯がそれらを総て流し心の奥底に持つ獣の
心根、美津は其処だけは押し殺して生きて来ていたのだ。
だが、今は如何、同じような物を持っているんだと美津は確信する。
 いい大人が何であんな問答をしたのかとその時は後悔したが、
今となると其処は自分で道を相手に教えたも同然、強かさを真逆にこの男
には現れた事に為る。
「嫌嫌嫌だあんた嫌だけね~」意味不明の断る言葉は続けさまに出た。
だが言葉とは裏腹に身は応じて行く、如何し様も無い程其処は真反対の動き方、
美津は既に狂い手繰り、相手の見事な愛撫に身と心は翻弄され続けた。
 何とか身が互いに離れた時、相手の体を見て仕舞う。
湯が落ちる中で斜め上に聳え立つ代物は仁王様の金剛棒にも見える。
其れほど厳つい代物、湯がそれにあたり飛び散っていた。
「・・」既に美津は観念している、この若い男に従う思いは其処で産まれる。
「あんた、此れからも従うけ~ね」「おいおい、反対じゃがね」
「ううん、今漸く理解出来た、何であんたと仕事を組もうと思ったのか赤い糸、
しかもそれは獣が編んだ糸かもよ」「獣か・・、婆ちゃんにも弥生さんにも
言われている」「何とじゃ本物じゃがね、良いわ雌の獣として従うけ~」
「良いよ、其処は如何でも、外に出様か・・」
「嫌や、此処で一度狂わせてよ、未だ心が泳いでいるんだけ~」「・・」
返事の代わり抱き上げると、今度は本当に挿入しようと裕太は決めていた。
風呂場の壁に美津を押し当てて、片足を上げさせると裕太の腰が寄る、
そうして美津の片足を抱え、棒は美津の参画に開く股の付け根目掛けて行った。
『ズズズズリリッズウウ~ン』
ものの見事に裕太の物は根元迄一気に食い込んで入る。
「・・、・・・、ああ・あううあうあわわわ~あんたああ~~~きき来たが・・
来た来た~奥奥よあんたああ~~~も・の・す・ご・・・・・・いいいい・・
も・の・す・ご・・・・・・いいいい・・」
足に入れていた力が抜けた、美津はずりずりと体が落ちて行く、其処を裕太が
抱えあげると、美津の両足を自分の腰に巻き付け美津の背中に手を回すと体を
密着させる。
壁から離れた美津の体、裕太に抱きかかえられているのだ。
「うぎゃうううぐう~、嫌だ何々があんたんんん~~肉が・嫌肉が肉が変・変
・・嫌だ・・気が気が可笑しい気が変あんた・・んんん~~~」
最後は泣く呻き声に変わる。
(うわわ・・、何じゃ此れは凄いぞ、中が変だぞ、ええ~何でや、く~良いぞ
動くが動くぞ良い美津さん良いぞ此処・・)
心で裕太は絶叫、其れほど変化する膣内、、生き物が居るみたいに動くのだ。
味を占めた裕太はそのまま抱え互いに濡れた体を浴室から出て廊下を歩いた。
 美津は狂う、その儘刺し込まれて腰に巻き付く脚は力が入る、歩かれる度に
強烈な衝撃が諸に肉に刻み込まれて行く。
その感じ方は半端じゃ無い、言葉に尽くせぬほどの威力を浴びてしまう。
 永い廊下を歩くと居間に入り、カ-ペット上でずんずんずんずんと少し
飛び跳ねられると、もう狂うなんてもんじゃなくなった。
膣奥を突き上げる威力はもろに脳裏に伝達、何が何でどうなっているのかさえ
判らず、幾度も気が朦朧とする、突上げで気を戻され、又其処に向かい戻る。
途轍もない威力に溺れ、美津は芯から崩壊して行く。
落された体、其処にまたも挑まれると迎える獣の根性、美津は壊れる覚悟で
迎えるから顔は夜叉顔、首筋は無数の筋が浮き出ている。
瞬く間におぞましい痙攣を相手に魅せ付ける、往くなんてもんじゃない、
美津は心底往かされ続けたのだ。
 三十分後漸く動きを止めてくれる、美津は涙が零れる顔で裕太を引き寄せ
寝たまま無言でキスだけをする。
其れが返答だと言わんばかりに美津のキスは長く続く。
 「休もうか・・」「え、何で果てたんでしょう」「え、ううん・・」
「あ、じゃ今迄果てずか、真獣の威力じゃね、ふ~凄かったが、あんた最高
の上の上じゃが・・」「良いのか・・」「・・、馬鹿ね顔を見んさいや」
「・・、有難う」「ふ~堪能したが・・」
「ええ、未だだぞ、此れからが本番じゃ」「うげ~嘘だろうあんた・・」
「真じゃが、漸く美津さんの肉が味わえ出したんだぞ、此れから夜中までは
離せないな」「嫌だ~まだ間があるじゃないね、嘘でしょう」「試そう」
「いやいや、もう明日仕事よ、こんなのは知らないから無理動けなくなる」
「大丈夫じゃ、美津さんは凄いぞ、良い本当にいい、もう又抱きたくなった」
「あんた~鬼じゃがもう堪えてくれんさいや~、嫌だ来たがあんたエロいや
嵌めて下さい,壊しちゃんさいや美津が壊れる~」
いやはやとんでもない二人だった。
 いやいやがシテシテと聞こえる程美津は貪欲、夜中までとは行かないが夕方
深くに、遂に美津は身動き出来なくなり、カ-ペットの至る所が濡れている。
 「え・・」美津が寝ていた事も忘れる程受け続けて居た、其れで気が戻ると、
其処には相手が居なかった。
(・・、恐ろしいこと・・とんでもなく強靭だ・・)
そう思いながら這いつくばり、冷蔵庫に向かうとビ‐ルを取り出して喉と体を
潤わせる。
 余韻に浸る我が身、どれだけ抱かれ続けたのかさえ、時計を見るまで気が
付かない、「ええ~さ・・・さ・三時間なの・・」
呆れかえる、美津は身震いをし浴室にと此処も立てず這いつくばり向かう。
 一方裕太はご機嫌で家に戻る、流石に待つ婆と話はせず納戸に向かい倒れた。
 二日後、広島から戻る裕太、直ぐに美津の家にと向かう。
「美津さん来た・・」「・・、・・」呆れかえる顔つきで迎えられる。
「此れプレゼントじゃが・・」「なあに、でかい箱じゃない・・」
「うん、あげる」「何よ、置物なの・・」「開けると判る」「・・」
美津は縁側で箱を開いた。
「ええ、何々浮袋なの・・」「あはっ、似ているが其れエア~マットじゃが、
風呂場で使いんさい」「・・、ええ~じゃ此れで、あんたもうイロキチね」
「言えるね」「上がりんさい」コ-ヒ-を出される。
持って来られた時裕太の頬を思いっきり抓られ、声も出せない程痛かった。
「思い知れ、化け物め」そう言いながら向かいに座られる。
「あのな、限度が在ろうがね、昨日どんだけ体が痛かったか、首もじゃぞ」
「揉むか・・」「イランは又転がされるけ~」笑われる。
一度身体を許した仲、でも美津は其処は何も言わん、判り過ぎる程の事は
言わないほうが良いと思えたのだ。
「あんた、今夜は帰るん」「うん、遅くな」「遅くって、ええ~あんた~」
「良いだろう」「良いけど本当に遅くなるん」
「美津さんと居ればそうなる事は判り切っているが・・」
「真、遣れん男じゃね、阿呆・・」
駄目とも帰れとも言わん、美津は心じゃあれが出来ると喜んでいたのだ。

                 つづく・・・・。























美津はいがり上げ泣き叫び、そうして幾度となくよ往く、往くよ往くがまただ~とのたまう。

望愛小説103弾《獣が道を造る・・20》

 翌日昼前までくたばる女性二人、起きると慌てて着替えられ、旅館を出る。
朝食を食べられていない、呆れ乍ら江津のレストランで遅い朝飯と昼食
をかねて三人は食べる。
「裕太さん、此れからもお願いね、我儘言わんけ~何時でも良いよ」
「はい、感謝です色々と教えて下さい」「ま~其処は違うでしょうがね、
私らは慌てたが、ね~美代さん・・」
「うふっ、こんな年で味を嫌程肉に染み込まされたね、裕太、罪じゃぞ」
「はい、済みません」そんな会話も楽しかった。
可部の家に送り届けて、仕事が有ると直ぐに裕太は里にと戻る。
 戻ると仮眠、其の姿に婆の峰子は何かしたと思った。
 夜は真弓さんが来られ野菜の積み込みをする、
そうして夜中にはトラックで広島にと向かう、忙しい体だった。
今回も帰りの荷は満載、今迄とは其処が違う、可部にはその日は寄らずに
里にと帰る。
流石に体力は消耗、又も寝てしまった。
 夕方電話が来て起こされ、そうして電話をして来た相手の所に向かう。
「ねね、スイ-ツも今度から仕入れてよ、好みはお年寄り向きよ」
「何がええのかな・・」「そう、和菓子なども良いけどバームク-ヘンや
チョコ味も色々と入れてね」「そうかそうだね、じゃ今度問屋に相談する」
「良いね、あんた頑張ろう」「良いけど詰まんないぞ」
「ええ、何でね順調じゃないね」「仕事はそうだけどな、他がね」
「え、他、何・・」「ウン、プライベ-ト」「え、何意味が見えんが何よ」
「美津さんとデ-トしたいが・・」「・・、え、えええ~何々、あはっ、
あんたいんさるのデ-トなんか」「そうじゃいけんか、僕はしたい」
「・・」返事が戻らない。
「裕太、あんたまさか」「・・」「ねね、持て余してんのかね」「うん」
「阿呆、正直に返事するな、年より捕まえてデ-トじゃと魂胆丸見えじゃ」
「そんでもええけ、此れから仕事でも合うから,我慢が出来んが・・」
「ええ、あんた本気かね」「うん、美津さんには何でも言えるけど其処が」
「阿呆、何いんさる年年じゃこんな体抱きたいんか、デ-トなぞ誤魔化して
させてといんさいや」「ええ、美津さん・・」
「うふっ、あんたには美津よりのう、あいつは如何」「ええ、其処まさか」
「そのまさかじゃが如何」「お願い美津さん・・」
「全く遠回しに言わんとしたいといんさいや相手も其処は理解させるがね」
「ええ、本当か、ねね」「ええ~裕太其れほどかね」
「僕はまだ若いが、願う事は其れくらいじゃ、だけどなしたいんじゃ」
「あらら、本音が丸出しかね、呆れる、こんな話は昼間じゃ行けんじゃろう」
「はい・・」素直に謝る。
 「阿保じゃが最初に機会作ったのに乗ってこないし、要らないと思うがね」
「其処じゃが余程飛び掛かろうと時期が悪い、あの時は仕事が肝心じゃろう」
「判るね、そうだね、では今は・・」「干乾びるが、錆びる」
「阿保か、あんた弥生がおりんさろう」「其処は訓練、外で暴れて見たい」
「いんさるのう、そんなに上等かアソコ」「ええ・・」
「そうだろうが、訓練なら上達はしているよね」「言いますね」
「当たり前じゃがね、紹介して宛がうなら責任が有ろうがね」
「だねだね、其処は自信が有る」「本当か・・」「疑うんか・・」
「そうなろうが、裕太の事其処其処は知っているが、事アソコは知らんぞ」
「ええ・・」「鍛えたんだろう」「うん・・」「じゃ成果は有ったんか」
「・・」「ははん、無いんだな・・」「・・」
「じゃ駄目じゃないか、余程の事じゃないと聡子は受けんぞ」「ええ~」
「だろうが、今は大切な時期じゃ、そんな事で仕事が出来んようになる
のが怖い、大事な女じゃろうがね」「そうなるが・・」
「じゃ、喜ばせて仕事も頑張れるほど出来るんかね」「ええ、其処か・・」
「だろうが、そうなるぞ」「だな・・」
「無理しんさんな傍で見ているほうが良い、相手が失望したら美津が困る」
「うん・・」「そうか、自信が無いんだ」「・・」
「ま、いい、若い男じゃ、欲望が無いのがお可笑しいけえね」
 美津さんとはそんな話まで出来る相手だった。
いちかばちかで話してみたが手ご手応えは相当、裕太は先の光明が見え出す。
「な、美津さん、あんたに僕の将来を託してみたい」
「ええ、将来って、阿呆要らんわ」「ううん、仕事関係じゃぞ」
「え、もうややこしいね今度は其処かね、其処は良いぞ、裕太は伸びるが、
其処は認める」「では理解してくれたと思って良いんだね」
「ああ、仕事は伸ばそうよ、美津も裕太となら出来る気がしている」
「うん、じゃ我慢する」「え、うふっ、お前はどうしようもない男じゃね、
今度は素直な姿で母性を擽るのかね、遣れんのう」笑われる。
 コーヒ-を入れに行かれた。
「裕太、訓練は本当なのか」「え、其処か、本当だ、婆ちゃんが弥生さん
に託された、其れで僕が」「其処も峰子婆ちゃんか、独りで動けんのかね」
「人見知り」「馬鹿か~、阿保じゃお前は真戯けじゃがね」「言えるが」
「もう世話がやける、アソコは小さいんか、訓練を頼むほど柔なんじゃろう
婆ちゃんも偉い迷惑だね」「其処か、ソコソコだけど」
「へ~いんさるね、ソコソコとはどれ位これくらいかね」
美津さんが親指を見せた。
「遣れんのう、現実は其れよりはでかいぞ」「自慢するほどかね」
「ほうら、答えが出んな、知れているね其処も・・」そう言われる。
だが、嫌な話し方じゃない、美津さんは本当に面倒見が良いと思えた。
 「なな、実物を見て品定めは駄目か・・」
「もう未だ其処かね、お前は呆れるがね、他所ではこんな話はしんさんな」
「するか、美津さんだから出来るだけ」「嫌味か、遣れんのう」
コ-ヒ-を飲まれながら裕太を見られる。
「おい、見せるか・・」「ええ・・」「見てからそうなら橋渡しはするが、
駄目なら諦めんさいや、他でそこそこなら紹介はするがね」「本当か・・」
「真、あんたは馬鹿垂れじゃがね」「はい」「・・」呆れかえり睨まれた。
「じゃ魅せちゃる」「うひゃ~あんたは・・」だが駄目とは言わなかった。
事は早い方が良いと裕太は立ち上がり、ズボンを素早く降ろした。
「・・、あ・あ・わわわ・・、何々なんで~これ何よ~、本当かね・・」
「駄目か・・」「・・」言葉を失い仰け反られる。
「なな、此れじゃ駄目なんか・・」「・・」「美津さん・・」
「・・、阿保じゃ吃驚するが、なんともう少し見せんさいや、横に来んさい」
不細工な歩き方で近寄る。
「なんと、此れ鍛えたんかね」「うん、駄目かな・・」「・・」
今度も返事が戻らないが、手が其処に伸びて来る。
「・・」触られ弄られていた。
「如何、もうこれが我慢できん」「・・」「なな、美津さん」
「阿保垂れじゃが、何でこんなにしたんか、あ、もしやこれも婆ちゃんかね」
「うん・・」「・・、呆れるが此処までせんでも良かろうにのう、呆れた」
「・・」「ふ~良いぞ仕舞いんさい」「・・」「何よ仕舞ってよ毒じゃがね」
「美津さん・・」「え~、もう阿呆、何でそんな声出しんさるん、困るがね」
「なな・・」「・・」「僕はナ美津さん・・」
「遣れんようになるけ、もういんさんなや」「美津さん・・」
直ぐ引下がらない裕太、此処でて終えばもう美津さんとは出来ないと思えた。
「阿呆、何で美津なの」「良い女性だからじゃ」「年だぞ、娘も居るがね」
「其れでも良いけ・なな・・」「・・」又も返事が止まる。
 だが、其処まで迫れば気が可笑しくは為る、見せろと言った瞬間、
美津は変になっていたのだ。
だが大事な男、其処が箍となり、進めなかった。
其れに年だし相手が可愛そうに思え、色々な事が錯綜する中美津は困惑する。
「あんたね、こんなやり方は相手が困るがね」「済みません」
「ええ、あんた・・」又も呆れかえる。
「良いわ風呂に行けや、誰にもいんさんなや、ばれたら広島にでも逃げるよ」
「はい・・」「馬鹿~」尻を思いっきり叩かれた。
 本当に裕太は風呂にと向かう。
未だシャワ-で充分な季節、シャワ-を浴びていた。
「そのまましておりんさいや・・」「え・・」洗い場に来られた。
 「・・、あ、ああああ~ひや~濡れるがね・・」「・・」
なんと頭を洗う中で美津さんが膝ま着いて股座に、湯がそ叩きつける中
向かわれる。
其れには流石に裕太は大興奮、こんな事は努々思えない場面、
シャワ-が降り注ぐ中で豪快に棒をしゃぶられ、美津さんの手は尻に
当てられ揺すり口から出し入れする動は半端じゃ無い、脚を踏ん張り
喜悦に耐える裕太、最高な気持ちで受け続ける。
 裕太とて大人しくは出来ない、着ているTシャツ、濡れて肌にこびりつく
のを剥ぐ様に一度棒を外すと脱がす。
ブルルンと揺れて出る乳房の凄さに感歎、座る身を立たせると土砂降りの
様に降り注ぐシャワ-の中でキスをした。
背が高い裕太が抱き上げてするから美津の顔は上向き、キスをされながら
顔に当たる湯は心地良い刺激、無我夢中でしがみ付いて長い長いキスを
しながらそのまま二人はへたり込んでしまう。
洗い場は未だ降り注ぐシャワ-の湯が床にたたきつける音がしている。
 そんな中で美津は総て身に着けている物が横に投げられ、素っ裸、
本当に考えられないシュチュエ-ション、美津は仕掛けたが、
今じゃ其れに酔いしれている。
永い間裕太の愛撫をシャワ-の湯に叩かれ美津の体は愛撫で蹂躙され出す。

                     つづく・・・・。













望愛小説103弾《獣が道を造る・・19》

 可部の家に寄り出してから、こんな事に進展するとは思えなかった、
だが事実は男女の中にと邁進してしまう。
大人で熟された女性の考えなど裕太には理解出来ない部分が有るが、
如何してそうなれたのか、考えると可部の家で出会った雅子さんの影響が
大きいと思えて来る。
その証拠に温泉など三人で行くなど欠片も考えていない、其れが急に行く事
に為る、其処には雅子さん御存在が大、美代さんじゃ其処まで動かれないと
知っている。
 「ね、あんた、もう苦しいよう・・」悩ましい声を出される雅子さん、
裸はもう震い付きたくなる、裕太は一人しか女性の経験が無い身、
でかく元気な物を持っている体は今弾ける様に割れようとしていた殻を
突き破り外に出ようとする雛にも似て、裕太は居間は夢見心地の世界にと
嵌り込んでいる。
「雅子さん・・、綺麗・・、美代さん素敵な体です」
「嫌だ~観賞は後で良いじゃないね、あんた雅子を抱いてあげてね」
美代さんがそう言われた。
淑やかな美代さん、弾ける肉弾の雅子さん、二人とも中身が違う感じ。
 そんな思いで裕太はベットで横たえる初めて二人の女性を眺める中、
我慢の限界を知ると裕太は愛撫を終えて部屋に戻ると、動きを開始する。
雅子さんに向かうと、既に露天風呂で準備は出来て居るからだ、
此処では愛撫は必要なかった。
弾ける体と思えたは正しく美代さんの肉体と比較し、如何見てもふくよか
な肉体は、男をそそる、其れが雅子さんだった。
「雅子さん・・」「言葉はええけ~ね、きんさいやきちゃんさい、お願い
もう気が持たんけ~、あんた~」
その声を聞いた途端、裕太の体が雅子さんを目掛けて沈む、
キスをし股を開かせると体を其処に入れ、雅子は足を広げて荒い息。
「・・」「・・」既に構える姿は横で横たえ見る美代には初めての経験、
人がまぐ合う姿など見たくも無いが、事今回は其れがやがて自分の体に
来ると思うと、其処は別次元になる。
 裕太はイキリ聳え立つ一物を急かせるように雅子の股座に向かわせる。
気配で来ると雅子は感じると目を瞑った。
其処は広島に出てでも遊ぶ肉が、今回は見た事も使用した事も無い程の
でかさの物を待つ身、尋常な面持ちでは無いのだ。
「・・、あ、ああ、会う~~~ううう、いやいやソコソコに言聞いて~~
早くイヤダ~まてんが~焦らさないでくれんさい、嫌早くいい意地悪~」
なんと雅子の股座に来ていた裕太の物が雅子が腰を豪快に動かし迎えた。
「うう、渦ううぐうう~小此処これだが此れよう~あんた一度奥に・・
来んさい
や突いて来て~」腰を浮かべて揺すり中にと誘われる。
裕太はとんでもない快感に酔う、なんと雅子さんの穴は粘りが有る、
棒がズリズリリとめり込んで行く感触は初めて味わう。
奥に来てと叫ばれるまま、従うと今度は仰け反るからだが裕太を乗せた
まま上で痙攣されていた。
未だ挿入したばかりなのに歯ぎしりをされ、腰を浮かせて痙攣、絶妙に
相手の男に伝染、溜まらず裕太も、「凄い~良いぞ良いが雅子さ~~ん」
と吠えてしまう。
その叫びを聞いた雅子は我に戻ると、今度は腰を落し前後にぐりぐりと
動かし、相手の棒を膣内で梃子使用、其れがまたまた裕太を喜ばせる。
今まで弥生はされる儘に従ったが、今回は相手から勝手に男の気を登ら
せてくれる動きに感動、裕太は女が喜ぶように吠え捲り言葉が出てしまう。
初体験の女性の穴の中、粘り気が有る膣内は張り裂けんばかりの大物を
迎えた、雅子も裕太に負けんほど吠え捲り賑やか、その中でまるで喧嘩
するように互いが相手の体に向かう、其の様は豪快そのものだった。
 横で見ている美代は既に興奮絶頂、女だから理解出来ると思うが、
今回は其処は見えない判らない、あまりにも最初から狂う雅子を見ると、
相当だとは判る、だから自分も傍で見ながら体が震えて来出す。
 動く動く、互いが渇いた肉に潤わせるかと思うほど抱き合い頭を仰け
反らせ震える、攻撃する裕太も奮闘、其れだけアk血が有るからだと膣内、
何もかもが弥生とは雲泥の差で味が違った。
吠える声と吐き出す息、互いが応戦する様は、汗が滲む肌がどれだけ
凄いかを表している。
 十分、十五分、流石に雅子は何度も飛ばされ痙攣三昧、とんでもない
男だと感じながらも我欲に負けて迎え挑んで往った。
 「あんた、雅子が動かんけ~、休ませて・・」
「あ、良いけど、最高じゃが穴が凄いぞ、美代さん・・」
「良かったじゃないね、裕太最高じゃが、見させてもろうたが、こんな
善がり声初めて聴いたがね」「うん、凄い反応、休ませようか・・」
「そうしんさいや、時間は余るほど有ろうがね」
「じゃね、じゃ美代さん良いんか」「え、あんたいきんさらんのかね」
「ええ、これくらいじゃ未だじゃが・・」「嘘・・」
呆れる美代、だが其れだけ期待は膨らんで来た。
「良い、出しても良いけ~ね、来ちゃんさいやあんた本気で迎えちゃる」
「はい、お願いします」
 雅子との豪快なマグアイとは真反対、其処が一番美代は驚かされる。
挿入時もジワリじわじわとめり込んで来る、其れが膣が驚愕して慌てて
いるのが持ち主の美代にはよう判る、長い時間中でゆっくり動かれて
奥に突き当たると、美代はもう狂った。
あんた~あんた~凄いが凄い良い~と叫びながら迎える姿は絶品この上
ない姿、声もか細いが其れも又良い、雅子さんは豪快に低い声で唸り
吠え捲られるが、美代さんは良い良い其処が良いあんた~とその繰り
返しだが、往く時は裕太の背中に乗る手が動き叩かれる。
そうして腰を上げると上で震えられ、判り易い往き様だった。
此処は二十分費やする、ぐったり横たえた体はどすんバタンと飛び跳た。
「雅子さん」「え~あんた、又なのう~、凄いから大好きよう~」
と吠えて迎えられる。此処は豪快に動ける肉、裕太は心底味わえる肉だ。
 遣った遣られた、裕太は元気そのもの、二人の違う肉にと突き入れて
は楽しみ味わう、受ける方は堪ったものじゃない、何度も往かされ泣き
じゃくる中で最高な往き様をわが身がする、其れが良いのか美代も雅子
も際限なく受けてしまった。
 事が静まったのは一時間半後、途轍もない強さだと二人は肉から知る。
 「あ、有難う・・」体がアセデヌルヌルする中、ビ-ルを渡され二人
は喉を鳴らして流し込む。
 「裕太、凄いぞ最高じゃがね、ね~美代さん」
「初めてとんだけ、知らんかったがね、凄いね」
「ええ、最高、誰にも負けんけ、裕太は最高よ」
そう言いながら裕太が寝る姿に寄り棒を手で掴むと・・、
「ああ~ひや~・・」今度は裕太が吼えた。
雅子は裕太の股座に顔を沈めると棒をほうばり舐める。
腰を浮かして応じる裕太、美代は雅子の跡に従う後退して、
今度は柔らかい唇を感じる裕太が居た。
 こうして三人は朝方まで裸で横たえ、思い出したように挑まれる二人、
裕太は十分すぎる喜びと快感を二人の女性から得たのだ。

                 つづく・・・・。

























望愛小説103弾《獣が道を造る・・18》

               【獣の覚醒】
 裕太は何を思ったのか立ち上がり冷蔵庫にと向った。
顔がこわばり何かを思うのか、其処には裕太が思いつめる何かが有った。
其処は先ほど二人が露天風呂に向かわれる時突然脳裏に婆ちゃんが出た、
その姿を浮かべると腹が決まる、常々言われていた事が浮かんで来たのだ。
【お前な、何時までも弥生だけじゃ詰まらんだろうが、其処はよう考えてな
機会が有れば戸惑うな】その言葉が浮かんでいたのだった。
 冷蔵庫からハ-フのワインボトルとグラスを盆にのせ庭に出ると歩いて
行く、向かう先は無論露天風呂、大岩の横を行くと、なんと物凄い景色に
見惚れる裕太、其処はすぐ下は綺麗な砂浜、遠くの水銀灯から出る明かりに、
打ち寄せる波が銀色に輝いている。
しかも露天風呂は軽妙な場所、砂浜からそそり立つ岸壁、以前別荘だと聞いて
いる旅館、成程なと感心した。
どこからもこの露天風呂は見えない場所に為る、しかも其処は自然で出来た
要塞みたいに思われる。
 「あらら、来たわね、え、何・・、ま~ワインかね、裕太凄いぞ」
二人は既に湯に浸られ、景観を見惚れて居られた。
「どうぞ・・」「気が利くがね、いい子だよ裕太は、あんたもはよう脱いで
入りんさいや、此処は遠慮は駄目だよ」「うん、直ぐに脱ぐね」
その返事に美代と雅子は顔を見合わせて小さく頷いていた。
海を眺めながら二人の女性はワインを早速飲み始められている、
そんな中後ろで素早く浴衣とパンツを脱ぐと、体を洗い滑り込む様に湯に入る。
気が付いた美代は、裕太にグラスを渡すとワインを共に乾杯して飲む、
横の雅子さんともそうする。
「来て良かった、温泉津も戯けにしてはいけないね」
「そうなるが、でも値段が高い筈よ、最高な景色に浸れるんだからね」
「言えるね、本当にいい場所だ事」もっぱら女性二人が話をされる。
其処で裕太は並んで海を眺めた。
「・・」何気なく横が雅子さんに為った。
「あんた、此処じゃ無礼講、此処で起きた事は他所では内緒にしんさいや」
「え・・」「雅子は、要らん事に気を遣わさんようにといんさるんじゃろう、
理解しんさいや・・」「はい・・」返事が出来た裕太。
 返事が終わらない内に横の雅子さんの遊んでいた手が、なんと早くも
裕太の股座を手が泳ぐように来る、其れでも裕太は覚悟を決めた後、
何事も起こって無い様子で綺麗な波を見ていた。
だが、経験豊富な雅子の手は素早く裕太の一物を掴むと震える、
其処でも素っ頓狂な嬌声の雄叫びは挙げられない、其れは弥生と大違いなのだ。
 六年前、同じ経験をしたが、其処は今とは大違い、驚き慄かれる姿が有った
が、今は如何、手が震えるだけで声は出されてはいない。
だが、その後はまるで大違い、獲物を掴んだまま裕太を横に泳がせ手は一物
を握り動かれた。
怪訝そうに美代が雅子さんを見られるが、其処も何かを感じられたのか、
湯の中の手がこれまた裕太の股座にと向かう。
 「・・、うぎゃ~~っ、何々・・」
「物凄い獲物じゃね、掴んでも指が繋がらんほど太いが、とんでもない、
こいつ隠していたな」「そうじゃ無いけど、別に言わんでも良いでしょう、
ああ、もう動きんさんなや、面倒な事に為るけ・・」
「こいつは強かぞ、此れ凄いってものじゃ無いが、有るんかこんな異物」
「私も初めてよ、だって、握ったら何これよ」
二人の手は一物の上と根本で違う手が有った。
 「嫌だ~硬くなる~」「当たり前ですよ触られているんだぞ」
「はいはい、あんた上等じゃないか、勝負するか・・」「ええ、雅子さん」
「そうだ、そうしんさいや、美代が見定めちゃる」
「良い、後は交代出来る、あんた出しても良いけ直ぐ回復出来るでしょう」
「色気なしですか・・」「有る大有よ、雅子は今はっきりと決めた」
「何か・・」「あんたを何時までも思って生きるね」「ええ」
「わしもじゃがね、のけ者は嫌だぞ」
「ええ、美代さんが主役じゃ、家で見つけたんだしね」
「ええ、まるで松茸かね、山はわしの家か」「笑えるが~」
なんとも言えない程豪快な二人、其処は救われる裕太だった。
 だが、そんな態度も其処まで、二人は露天風呂の洗場に裕太を寝かせ、
此処はまるで天国、今迄裕太はこんな場面は無い、相手が二人だし、
其処も裕太が敬服する美代さん、様麗菜雅子さん、其れが何と今裕太の
体にまるで大きな鯉が口で吸いつくような感触を得る。
本当に甘美な唇と手のお動き絶妙この上ない仕草、二人が互に移動し合い、
裕太の下半身と胸から上はどちらかが這いつくばり愛撫をされる。
十分は相手に任せ味わう、此れは生涯忘れる事は無いと思える程感じた。
「もう許しませんからね、此れからは僕が動きたい」
「ええ・、あんた出来るんかね」
「何とかね、六年もみっちりと鍛えられて来たんだ」
【え、ええ~~】同時に驚かれる。
「何で話して」「後じゃがね、今は其れ処じゃ無いが、覚悟しんさいや」
先ほどの裕太じゃない、そうと決まればこれからは裕太が動くぞと
決め込んだ。
 其処からとんでもない喜悦に襲われる二人、器用に二人の間に入り手
は双方の体を彷徨う、その中で内またや股の付け根は裕太の指が躍る。
身を委ねる真熟した果実、其れを良い様に手が忙しくユックリと動いた。
先ほどとは様子が違う二人、恍惚に身体を泳がせ彷徨う時、粘りが有る
声を出されるが、美代さんは甲高い音色、雅子さんは低く響く呻き、
其れが面白い様に出だすと、裕太は変われた。
 最初に血祭りにあげられたのは正しく美代さん、今案での恩がある人、
裕太は懸命に膣をいじくり続け、果はクリトリスを異様に舐め、
廻し指は膣穴を出入りする、すると美代は足を踏ん張り震え出す。
そうして次第に裕太~の声が発せられ続け、其れに呼応する裕太は
あらけ無い程指が膣内から出入りが激しく為り出す。
とんでもない豪快さは半端な刺激じゃ無い、流石に長い間誰も訪れて
いない穴はまともに感じを受けるから溜まったもんじゃ無かった。
 遂に美代は絶叫、海に広がる泣き叫びは物凄い声が鳴り響いて
海面を走り渡る。
「嫌嫌嫌だ~可笑しい可笑しくなるがあんた嫌じゃ其処あ・あ・あ・
あ~~何々か何か出るがああんたあああ~~」
とんでもなく体をくねらせ泣き叫けばれ、身を捩じらせ震える。
容赦ない動きは。益々激しくなり、遂に感じた事が無い体は未曽有の
欲液に浸される世界にと美代は飛ばされた。
そうして股座から綺麗な半円を描いて何かが外に飛び出す。
 其の様を横で寝て見ていた雅子は吃驚顔、固まってしまう。
ヒクヒクと飛び跳ねる肉体を置いて、横の雅子が今度は餌食となる。
 雅子も十分も持たずに美代さんと同じ姿にさせられ、
互いに忘れた頃、体が跳ねるからイヤダ~と苦笑いする。
 だが既に其処には裕太の姿は見えない、喉が渇くから残るワインを
二人は飲み始めるが言葉が出て来ない、
其れほど我が身と相手に呆れ果てている証拠だった。

             つづく・・・・。

























望愛小説103弾《獣が道を造る・・17》

 いや~大変、裕太は大風呂の入り口のベンチに腰掛けて二人を待った。
「ええ、ま~あんた、美代さん見て待っててくれているがね、
なんと良い男ね惚れた」「うふっ、裕太遣るじゃない、女性が上るのを
待つなんて相当粋じゃがね」二人は裕太を囲んで廊下を歩く。
その中で何度も素敵と名前も知らない女性から聞かされる。
 部屋に戻ると、突然裕太がその女性に問いかける。
「あのうお名前未だ聞いていないけど何と言われるのですか・・」
「え、あらら、美代さん教えて居ないの・・」
「そうか未だだったな、うふっ、本当だな名も無き女性かねあんた」
「嫌だ、私ね雅子です、年は勘弁して下さいね」
裕太は漸く相手の名前を知る、其処からが大変、なんと二人の湯上りの
浴衣姿は目に毒、いいや心臓に悪い、二人とも衣服を着ている姿しか見て
いないから浴衣姿は驚愕する。
テ‐ブルに向かい座られるが、二人とも浴衣が緩い着こなし、胸の谷間
が大見え、とんでもなく見事な胸の谷間、女性では弥生しか知らない身、
本当に生まれてこの方抱いた女性は弥生のみなのだ。
だから目の前の二人にはどうしても見辛い、見ても目が直ぐ他所に映る
見据えられなかった。
湯上りの長い髪も滴るような艶やかさ、其れが見事にマッチされている。
ゴクンと音がするほど生つばを飲み込むと慌てて、テラスにと向い大きく
息を吸う、其処で海の香りを思いっきり吸い込むと少し心臓が穏やかに
なってくれる。(こりゃ~大変だ、あの姿見ないといけんのか、辛いのう)
裕太の本音だった。
 思えば美代さんでも最初はドギマギして居た筈だが、慣れるとそうは感じ
なくなっている、其処がマンネリという事かと思えたが、今見直すと
とんでもない程の良い女性だった。
年は正式に聞いていないが四十前後、自己紹介を受けた相手は三十の後半
くらいかでもそれ以下に二人は見える、こんな場面で女性を見た事が無い
裕太は、一度そんな機会は有った事を思い浮かべる。
其処にはあの美津さんと聡子さん、美津さんの家でこんな機会は有ったが、
其処は裕太が逃げている。
 夕食が豪華、海際だし海鮮尽くしとんでもなくイカが美味しいと三人は
飲んで食べる。
だが裕太は気が気じゃ無い、相手二人が食べるのに屈まれる度に胸割りが
丸見え、本当に其処だけは困る、裕太はまだまだ其処を凝視するほど女性
との間は狭まれてはいない、其処を婆が何時も嘆いているのは事実、
今回は試練だと言い聞かせ頑張ろうと裕太は思っていた。
 座が馴染んで行くと女性二人も大胆、胸は開けるまま、其れで雅子さんが
裕太の体素敵と誉めるから慌てて俯く、其れを見て美代さんが大笑いされる
がその時には完全に胸が丸見えになっていた。
脳裏に電光が走るのが判るほど鮮烈極まりない姿、肌は外に余り出れて
居ないのか白いし、首の真中へんから顔に渡り少し日焼けが見える、
腕もそう、二の腕までは日焼けされているが其処から体の付根まで白い、
雅子さんはそれ以上に白かったし、福与かな胸は極上が一目瞭然、
本当に二人の素晴しさに美味しい海鮮が体に入るが、
それ以上に前の二つの肉体を脳裏で浮かべて身震いをする。
(地獄だぞ此れは・・、大変じゃが)またも心で叫ぶほど辛いと感じる。
 一時間後漸く食事は終え、今度は宛を新しく頼んで飲みなおしされる、
其れに付き合う裕太が其処に居た。
「ねね、裕太さん、郷じゃどんな女性と付き合っているの・・」
「え、ええ~特別は居ないけ・・」
「へ~信じられないが、其れ、しないの出来ないの男でしょうが、盛りよ
あんた今が年はどんどん増えて行く、其れに連れて欲望も消えてゆくよ」
「ですよね、でも機会が無いけ」「ええ、其れって駄目じゃ、作るのよ、
あんた男だし作りんさい、相手にぶつかれば良い事だけまだ若いし相手
も嫌なら受け付けないし、其処は下がれば良いだけじゃ、いい大人なら
そうは行かないけど、未だ良いわその年なら縋り付いてでも頼めば良い」
「え、雅子さん・・」「あら~名前よんでくれた」大げさに喜ばれる。
「ね~美代さん何とかしなさいよ」
「ええ、美代がかね、いつぞや其処を言ったが話が進まなかった」
「え、ではあんた・・」「え、良い女性が居ればと願っている、良い男
裕太は優しいし、其れに節度が有る」「其処有り過ぎでも邪魔よ」
「雅子言えるが其処よ、そうだがね裕太、遠慮は無いぞぶつかれや相手
が驚いても頼んでみんさいや」
「ええ、美代さんまで囃し立てんさんなや遣れんが・・」
裕太の言葉に二人は体を叩き合い笑われる。
 だが裕太は内心有難かった、今回の温泉は辛いなと思えているし、
其れがこんな話題を相手から振られた事で何か気が少し楽になる。
「あのう、露天風呂が空きましたけど入りんさるかね」
テ‐ブルを片付けながら仲居さんが言われる。
「え、有るの、知らなかった何処に・・」
「庭の先の岩が見えるでしょう、其の海際に有る」
「ま~素敵じゃないね、他の方は・・」
「既に入り終えて居られる今夜は三組じゃけ、もう貸し切りですよ」
「なんと聞いた、有難う使わせて頂くね」
其処は真砂子さんが話をされている。
「美代さん・・」「聞いた、海が見える場所なんてそうは無いがね」
「言えるが言える、ねね裕太行こう」「えええ~~僕もですか・・」
「当たり前よ混浴露天風呂、く~恥ずかしいけど一度は経験したかった、
ね美代さん」「わしも其処は経験が無いけね、入ろう裕太きんさいや
先に入るぞ」「美代さん・・」
「なんじゃ泣き顔で、今回は度胸を点けんさいや、私らを使い其処まで
登りんさい、くるんだぞ、もう呼ばんからね」
「裕太さん来てね」「雅子さん・・」
二人はタオルを持ちテラスから庭に出て大岩の方に歩かれる。 
 残された裕太はまだ体が震えている、唯一体を知る弥生さんからは
凄い体だと褒め称えてはくれているが、其れが他の女性は如何なのかが
心配、経験が乏しい分、尻すぼみはする。
だが、こうして機会を作ってくれた美代さん達はどんな思いだろうかと
思えば行くと断言出来ていない、
でも動かないと先で後悔するかもと其処は思え出す。
 しばらく悩み考えていた裕太が立ち上がった。

           つづく・・・・。




















望愛小説103弾《獣が道を造る・・16》

 暑い夏も何とか乗越え、裕太は相変らず里と広島を週に二回往復をしていた。
 だから毎度可部には寄り道をする、だが其処では異変が起きている。
異変とは大袈裟だが確かに変化して来たのだ。
其れは何とあの家でもう一人の女性が加わり待たれている、
其処は最初は偶然美代さんのお友達と思いつつ、話が旨いから裕太は次第に
今回もいるのかなと期待を抱いて伺う、すると案の定二人で待たれていた。
 其れが九月に入ると待つ中年の女性が二人に為り、今に来ている。
「あら~今日はケ-キかね、此れだから待つ意味が有るんよね、美代さん
美味しそうよ」「裕太何時も済まんね」美代もそう言いながら裕太に
コ-ヒ-を出している。
 年は美代さんが少し上だと思うが、なんと垢抜けされた姿と顔立ち、
ここ等の田舎では真珍しい女性なのだ。
その人が話が旨いから必然的に滞在時間が長引いて行く、
其れが楽しいのか益々裕太は可部の家にと必ず寄る。
九月半ばころは裕太も忙しかった、仕事もそうだが、郷は稲刈の真只中、
より道は断り其処から当分可部には寄らずに里にと帰る。
十月初めまでそれは続いて行く。
 十月四日、裕太は新米をトラックに詰め込んで広島に向かい、
戻り道の可部の家でお米を渡す。
美代は喜んで有難うと何度も言う、ここ等は既に美代の家など田は無い、
有るのは畑が少しばかりあるのみなのだ。
もう一人の女性は農業をやられていると聞いてるから持込んでは無いが、
その時も家に居られる。
「あんた良い人ね」「ええ、序ですから」「序でなの・・」
「もう言葉の彩ですよ」女性とそんな遣り取りをしていた。
「ねね、お願いが有るんだけどね」「なんですか・・」
「あんた広島にきんさる時以外は多少暇が有るんでしょう、聞いたら野菜は
仲間が集めると聞いたけど・・」「はい・・」「じゃじゃ、暇作れるよね」
「それは少しならどうにでもなりますが、其れが何か・・」
「其処なのよ、今度私ら連れて車で運んでくれないかしら・・」
「え、何処にです」「それがね、もう嫌になる程体が凝る、美代さんとも
話して温泉でもと計画立てたけど、私らも長い間くつろげる身じゃ無いし、
其れで一泊で温泉でもと話していたの・・」
「ええ、では僕が同行に為るんですよね」「運転頼めばそうなるわよ」
「男ですけど・・」「うふっ、あんたが女に見えるかしら、ね~美代さん」
「あはっ、如何ね、何時も楽しませてくれるから、温泉は私らで出すが
行かんかね」「美代さん、本気なの・・」
「ああ、こんなこと言って喜ばせる年じゃ無いけど、温泉ぐらいは行ける」
そう言われる。
聞いて裕太は最初は驚いたが、二人の女性と酒を飲んだら楽しいだろう
なと思い始める。
 「良いですよ、運転しますが、車が小さいからな・・」
「其処は私の車で行くし」「え・・」
「そうや、この人の車はでかいし其れがええけ、ねね裕太行こう」
何時に無く美代さんがはしゃがれて言われる。
 こうして思いがけない事に為りつつある、温泉は近くじゃ良いのが無い
岡山方面か島根の日本海辺りなら有る。
温泉の話に話題が移り、裕太が仕事で持ち歩く携帯のPCで温泉を探す
女性二人、裕太は縁側で川を眺めていた。
「じゃじゃ、美代さん玉造がええけ~、少し遠いけどそうしない・・」
「でも運転手が可愛そうじゃがね、いっそ浜田道を走ると直ぐにある
温泉町、温泉津は如何・・」「ああ、アソコか、いじゃない永い間
行かないけど今でも湯は茶色かね」「あはっ、変わるんか色が、其処は
変わらんじゃろうね」女性二人で大笑いされる。
 「ええ~何何これって・・、凄い凄いよね~美代さん・・」
美代がPCを覗き込み感嘆する。
「ま~これは何々・・、以前は別荘だったんだ、其れが今は温泉旅館か
へ~有るんだ」「これにしない、でも部屋数が少ないよね五室だって、
値段もそこそこよ」「期待できるんじゃないかね、其処にしようよ」
全くそれには加われない、女性二人で大騒ぎだった。
 こうして温泉行が決定、其処は強かな二人、決める事が早いし、
直ぐに電話をされ空いている日を聞き出される。
「ね~あんた~十月十二日が良いって行ける」
「・・、ああ、その日なら行けるけど・・」「じゃ予約するね」
事も早い、呆れる裕太を差し置いて決まってしまう。
 家では婆ちゃんに事の経緯をかいつまんで温泉に行くとだけ言う、
婆が誰とじゃと聞かれるから裕太は運転手だと言う、相手は既に話して
いるから問題は無いが、女性二人と聞いて婆はなあんだ詰まらんねと
苦笑いする。
 裕太は可部にと向かう、無論トラックじゃ無いが軽で向かった。
空き地横の車庫にはピカピカと光る高級車、レクサスが有り驚いた。
 一時間後、その車に荷物を運び、三人は一路温泉津にと向かう、
裕太は聞いてはいるが初めて温泉津の温泉には行く事になった。
 車内では後部座席で女性二人がビ‐ルを飲み始められる。
半年余りの付き合いだが、美代さんがビ-ルを飲まれるのを初めて見た、
無論連れの女性も初めての事、バックミラ-には後ろの二人が映り
垣間見れる。
何とも言えない二人、其れが嫌じゃ無いから裕太も困る、
変な事で知り合う美代さんと裕太だが、今じゃ其処にもう一人の女性が
加わっているのだ。
 何とも早い、高速では一時間と懸らずに温泉津、江津で降りると地道
(国道九号線)を松江方面にと走ると直ぐに温泉津到着、
其処からナビに従い走る。
「ああ、アソコじゃない、ま~素敵よ美代さん凄い・・」裕太も見惚れる、
ここ等特有の黒松が風防の為に砂浜の限界地点を並んで餓えて有る景色、
その間に見え隠れする平屋が見えた、其れが旅館と思える。
 午後三時過ぎに到着、こじんまりとした構えが裕太には良いと思える。
部屋も角部屋で、庭から見過ごせる海と砂浜、小波が打ち寄せる様は感動。
部屋は二つ、八畳間と隣は洋式の部屋で格式は有る、本当に凄く良い部屋。
郷を出る前に婆に聞いたらすさびれた温泉じゃぞと言われている、
婆が行った時は壁は未だ綿壁だといんさる、綿壁とは土に綿状の物を
練り込んで塗る壁だそうだが、此処では見当たらなかった。
大風呂も旅館に改造され造られたと聞いている、海際の廊下を歩いて
とりあえずおお風呂にと三人は向かう。
 大風呂もがでかくは無い、何しろ部屋数が五部屋、
其れが良い今じゃ思えるし、なんと湯は聞いたまま茶色だった。

                つづく・・・・。


















望愛小説103弾《獣が道を造る・・15》

 八月九日、裕太は忙しい、荷が満載で二日続けて広島に向かう、
其れはお盆が来るからだが、毎年の事、年の暮れとお盆前はそうなる。
従い帰りの荷物も多い、海鮮から雑貨を見回り大忙しで荷を積み込んでいる。
八月十日の戻りは何とか可部の家で休むことが出来た。
「ふ~お盆が来る頃は漸く朝晩が凌ぎ易いね」「言えるは、疲れる」
「あんた、此処で休みんさいや縁側が良いか」「良いね、甘えるか転がろう」
裕太は本当に縁側で寝転ぶ、眼下の川から心地良い流れる水の音が眠りを誘う。
 裕太が寝ている間に誰かが来た。
「ま~この人があの裕太さんかね」雅子、こいつが世話がやける男で、女心を
弄ぶどころは理解が出来ん男じゃがね」「あらら、じゃ義娘はどうなるのかね」
「ええ、あんた・・」「美代さんが言わしたから気に為っているんよね」
「ええ~でも嫁に出ているだろうが、幾ら亡くなられても其処は・・」
「構や~しないわよ、アソコもまだ母親は若いしね」
「ああ、聞いたがなんか可笑しいと・・」「うふっ、以前より可愛いとさ」
「じゃあんた」「この間久振りに家に戻りんさってな、いろいろ聞かされたが、
そんであんたにも会ったと聞いたからこうして来ているんだがね」
「じゃ、此処にはそんな事で今度で三回目だが」「何とか相手に会えたがね」
「え、では真に・・」「あの家は男が無い、この人どうかと考えていたんだが、
良い男じゃないね」「雅子さん・・」
「うふっ、こっちが如何思ってもそうはいかないけどね、在れば良いかなとは
思えたんだ」「なんと其処まで・・」「ねね、如何なのこの人」
「良い男じゃが、真弓が一度きんさった時出来るかなとは思えたぞ」
「さすが美代さんじゃね、じゃ何とか空気入れて見て」「良いのかね」
「良いわ、こっちもそうなれば弱み握れるしね」「呆れたぞ・・」
そんな話を居間で話されるが当の裕太は高鼾だった。
雅子さんは一時間で帰られるが、美代は縁側で寝る裕太を傍で睨むように
見詰めた。
 思えば車のパンクで知る間柄、でも楽しみをくれる男でもある。
御陰で平穏過ぎる日々が様変わり、今じゃ一週間に一度か二度来てくれる相手、
美代が今生きている中で大事な男に為りつつあった。
 二時間寝ると、起きてコ-ヒ-を飲んで裕太は家を出た。
其処では美代は何も話さないが、今回はあの真弓の実家の義母が来て色々と
本音を聞かされた後、思いは今までとは雲泥の差だった。
 お盆が来た、裕太は自分の家の墓に参り、先祖様に手を合わすと、
直ぐに家を出る。
「今日は・・」「まあま~あんた~よう来ちゃんさったな、上がりんさいや」
オ-バ-過ぎる程歓待される。
「良いわね義母ちゃんが待ち焦がれておりんさる、あんた持てるね」
「おいおい、冗談は後じゃ、お参りせんとな」
仏間で田舎特有のでかい仏殿に手を合わせ暫く其処に居た。
広島や島根県では初盆は賑やかな飾り物が仏殿を飾る、今は電飾だが、
以前は蝋燭が火を揺らし幻想的だった。
「あんた有難う御座います」「其処は良いけ、何時も真弓さんをお借り
してすみません」「この子は楽しいといんさるしこんな時は救われる」
泣きそうな顔をされて言われる。
真弓さんも、其処は黙っておられた。
「秋が来るが如何しんさる」「其処じゃがね、真弓には相談して居るんよ」
「任せて、今回から頼む人がおりんさる、ね~あんた・・」「ええ、俺・・」
「違うけ~、あんたの仲間じゃ」「ああ、耕一か、そうだ頼もう」
「聞いて先に頼んだけ」「そうかじゃ良いな、あいつらに任せると良いけど、
コメ減るぞ」「良いの、其処は、でもあんたら凄いがね、手分けしんさって里
を守るんだもん、真弓は聞いて尊敬する」褒められる。
 「それでね、あんたには相談が有る」「なんです・・」
「真弓ちゃん邪魔ですよ」「ええ、のけもんかね、義母ちゃん酷いぞ」
「でもこればかりはそうしないと怖いんよ」「何でじゃ、何も怖いもんは無い、
真弓が居るけ~」言いながら部屋を出る真弓。
「ねね裕太さん、この子此処に於いてはいけんかね、無理は承知じゃが・・、
もう一人に為るのが怖いけ」「え、其処は僕じゃ何とも、正直に真弓さんと
話されたら如何です」「怖いからいけんのじゃ」
「なんと、では聞いてみましょうかね」「聞くだけなの・・」
「え、そうなりますが・・」「じゃ辞める方が良いかも・・」「え、何でです」
「・・」そこから何も言われない。
「あのう何か問題でも・・」「・・」「義母さん・・」「・・」
「話さないと何も解決できませんし、お願いです何か言って下さい」
「実は・・」そこからか細い声で話をされ出す。
 「え、では其処を心配と、なんとそうなりますかね、僕はそうは考えて居ない」
「え、でももう相手が亡くなったんですよ、戻ると言われるのが怖くて怖い・・」
泣きそうな顔でそう言われた。
「じゃ、僕で良いなら一度話をしてみましょうか、でも責任は取れないけど・・、
聞くと僕も怖いかな・・」「ええ~、もう益々怖いけ・・」
要らん事を言ったと裕太は後悔する。
 違う部屋で真弓を呼んで覚悟を決め裕太は話を始める。
「ねね、義母さんは其処を心配されているんだぞ」「・・」
「な、どう考えておりんさる」「あのね、相手が亡くなったし、其処はこっちが
居座るわけには行かんでしょうがね」「それは理解出来るけど義母さんは居って
欲しいといんさる」「・・」「なな、少しだけ居ては如何、後で其処は考えたら
如何ね,無理強いは出来んけど・・」「・・」
「なな、何とかいんさいや、此処が肝心だから・・」
「あのね、あんたは真弓にそうさせたいんか・・」「ええ、僕の話しじゃ無いぞ」
「そうかもしれんがあんた次第と決めている」「え、意味が判らん、何で僕・・」
「真弓はね、此処で生きるなら生き甲斐が欲しい」「生き甲斐か・・」
「そう、其れが適うなら義母と暮らしても良いと思える」「じゃ生き甲斐は何ね」
「言わないし、言えないが相手が有る事だしね」
「ええ、意味が理解出来んが、何じゃ生き甲斐は・・」
「阿呆、よう考えんさいや真弓からは言えんがね阿呆・・」
そう言われて部屋を飛び出た。
 暫く一人に為るが、其の言えん話は何かと考え込む。
「良いかね・・」「お母さん、どうぞ」
「聞いたがね、真弓は其処を考えて居るとは知らなんだ」「え、其処とは・・」
「あのね、女には生き甲斐は何と思いんさる」「それは相手ですよね、ええ、
じゃああ、其処は・・」「うふっ、あんたは正直ね、真弓が其処は上みたいね」
「ええ、お母さん・・」「あのね、相手は既に亡くなっているし・・」
「そうですよね、じゃ何・・」「私が思うに子供かな、息子はアソコが弱いから
駄目だったしね」「え、えええ~子供ですか、でも相手が居ないが・・」
「・・」「お母さん、此れは無理でしょう」「・・」
「そうか子供か、成程な、生き甲斐は其処か・・」
考えさせられる裕太、腕を組んで考えるが、其処の正解は見えて居なかった。
 昼過ぎ重い足取りで家にと戻る、真弓さんが里を出るとなると仕事の事も有り
裕太にも大問題となる。

」     つづく・・・・。



























望愛小説103弾《獣が道を造る・・14》

 色々有った七月も過ぎ早くも里はお盆前に為っていた。
聡子さん達の仕事は順調、又それが少しづつ中身が変わる、其処は店もだが、
裏に小屋が建てられ、其処で働く婦人が二人、仕事は総菜類を作られている。
販売に出ると、多くの人が其れを望まれて居る事が判明、考えればお年寄り
は煮物は出来るが、油関係は怖い、其処で中華や揚げ物はその小屋で作る事
に為った。
何事も良いと思えばする、其れが皆の御陰だと裕太は思える。
あの真弓さんも一週間後には現場に戻られて汗を流し車で動かれているし、
裕太の家にも毎週二度顔を出されていた。
 「お盆が来るな・・」「うん・・」「真弓の家もじゃね」「・・」
「お前、いきんさいや」「え・・」
「良いからむかえや、挨拶に来られた時驚いたぞ」「え・・」
「阿呆、真弓の義母さんだが・・」「え・・」
「疎いぞ、あの人は若く見える、真弓がゆうにはなんか最近幼少化だと・・」
「幼少化って・・」「ああ、女が幼い自分の姿に戻りんさる」「え、有るん」
「お前知らんだろうが有るよ、縋りついていた相手が亡くなられたんだぞ、
しかも若い、其れで気が可笑しくなるんだ」「なんと・・」
「でも、為る方向が全く良い」「ええ」意味が判らず裕太は婆の顔を見る。
「あのな、アソコは今度は男手が無い、だから助けんさいや」
「え、するの・・」「当り前だ、お前がせんで誰がする」「・・」
「あのな、お前はアソコには堂々と出入りできるじゃろうが、婆が言わん
でも判るよな」「判らん・・」「阿保垂れが・・」頭を叩かれた。
 八月七日、美津さんに呼ばれて家に行く。
「おう、聡子さんも居るんだ」「嫌な言われ方じゃがね」
「そうじゃ無いが、期待していた」「何でよ、もう何を期待しているの」
「其処は言わんが」「ああ、きんさったか・・」
未だ外は暑いが朝晩は凌ぎやすく為り出す。
「夕ご飯食べてね」「え、良いのか・・」
「どうぞ、聡子と拵えたがね」そう言われる。
「裕太、風呂入りんさいや」「ええ、良いよ帰ると入るし」
「其処がいけんじゃろう、美津が頼んでいるんじゃぞ」
「え・・、何か有るん」「大ありじゃ、あんたならね」
意味深な事を言われる。
仕事関係で付き合う相手、最初はそうじゃ無かったが今じゃ同じ釜の飯を
食う仲間と思えた。
 言われるままに風呂を頂く、そうして出ようとすると脱衣場に新しい
下着が置いてあった。
「あんた~、其れきんさいや」「ええ~」気に為る時にそう言われる。
裕太は従う、なんの外連も感じず真新しい下着をはいた。
「浴衣もよ」今度は居間から聡子さんの声が聞こえた。
言われるままに着替え居間に行く。
 「ま~良いじゃない、此れ良い」「本当、なんか家に居る旦那の姿じゃね」
「言えるが~若い旦那様だ事」揶揄されているのか二人は裕太を出しに、
笑われる。
「さ、飲もうか・・」三人は居間で食事を始める。
「ね、あんた、今後も頑張ろうね」「うん、ああんた達の御陰で、ここ等も
元気が出るといんさる」「そう、でも其処はあんたの御陰だし、私らは、
毎度仲間内で楽しんでいるだけ、でもそれが結果良いと為れば嬉しいがね」
「だな・・」そんな話をするが裕太は落ち着かない、今迄こんな待遇は
されて居ない、寄られると仕事の話しかと来ている身、違う感じがする。
 「酒が進まんがね」「うん、なんか変」「何がね」
「あのな、美津さんと聡子さん」「え、違うって何ね」
「うん、普通には見えんが」「何で何で・・」二人は顔を見合わせる。
「裕太、あんた人の思い判るんかね」「判る訳が無いぞ」
「そうだよな、でも当たっているが」「ええ、何が当たった」
「あんたの思いじゃがね」「え、嘘なんも思って無いぞ」
其処で三人の会話が途切れた。
ビ‐ルを口に入れる三人、無言が続く。
「なな、何か在るね」「・・」「美津さん聡子さん・・」
其れでも話は始まらなかった。
 暫くすると・・、「実はなあんたに相談が有るんよ」「何・・」
美津さんが口を切られる。
話しは考えても居ない事、其れは嬉しくも有るが驚かされた。
「ええ、では正之の縁談か・・」「そうなのよ、美津が回る中で聞かされ
たんだけど、あんた佳恵ちゃん知っているんか」「佳恵・・、何処の」
「別所じゃがね、二歳年下だと聞いている」
「・・、ああ~居た居た、ええでも大阪に出ておりんさろうがね」
「そうなのよ、でもお盆には戻るといんさる」「で、その話は誰から出たん」
「母親じゃが」「うひゃ~まじか、本当なら良いぞ其れ,美容師だろう」
「そう、それでね、子供の時から憧れて居たといんさる」
「なんとそうか、良いぞ正之か良いな」「あんたは未だしちゃいけんよ」
「え、俺か無い無い・・」「それが良い」
「ええ、良いのか他人事だからそういんさる」
「そうじゃ無いが、あんたは別、な~聡子」「あんたは未だ其処は駄目」
「駄目か」「そう私らが居るけ」「居る、意味が・・」
「疎いね、未だ私らは女ですよ」「其処は判るが、其れが・・」
「全く木偶の棒じゃね、意味が読めんかね」「意味・・、判らん」
「阿保じゃ・・、もうこうなると飲むぞやけ酒じゃが、美津さん・・」
「往々、飲もうか、こいつは女を知らなさすぎじゃしな、遣り切れんがね」
「ああ、そうじゃ・・」なんと急に酒が進み始める。
 「・・」言われた意味を考えだす裕太、だが其処は有りかなとは思えたが、
機会を失って久しい、出会いがしらなら有るかもと思えるが、
今となれば仕事仲間に為っている。
どちらも田舎では捨てがたい女性、しかも今じゃ裕太の片腕の位置に有る。
「あんたも飲め、木偶の坊の裕太・・」「ええ、聡子さん・・」
「阿呆、覗いたままか・・」「ああ~其処か・・」
「何が其処かじゃ、馬鹿垂れが、女が酒を飲まないと言えん事じゃろうが、
薄情もんが・・」「ええ、聡子さん飲み過ぎじゃろう」
「飲んで遣るわ、もう阿呆・・」
手が付けられん状態になりつつある、美津さんも煽る様に酒を薦め、
呂律が回りにくい程酔われて行く。
 午後十時過ぎ、裕太は着替えを抱えて庭に出るが流石に酒を飲んでいる
身、車は乗れない、庭の隅に有る自転車で家にと向った。
 「え、何で戻った・・」「ええ、婆ちゃん・・」
「何でじゃ嫌われたんか」「そうじゃ無いぞ向こうからいんさったが」
「・・、あ・ああ~じゃじゃ婆ちゃん仲間かね」
「え、あはっ、出来んかったんか、なんとのう其れは不味いじゃろうが」
「何がじゃ・・」「阿保じゃお前は、寝ろ、役立たずじゃね」「・・」
家に入るなりそう言われ、ふてくされて納戸の寝間に倒れ込む。

               つづく・・・・。
















望愛小説103弾《獣が道を造る・・13》

 いやはや、裕太を差し置いて女性二人は話しに花が咲く、
初めての顔合わせだが、其処は里が近くの真弓は美代さんとの話が心良いのか
笑顔だった。
「じゃ、何かね、あんた八重のどこら当たりか」「ご存知ですのか・・」
「ああ、沢山おりんさる学生時代からアソコには多く知り合いが有るよ」
「・・」急に真弓の顔が曇る。
「あんた、聞いていたが、後妻さんは本当かね」「え、何がです・・」
「放蕩じゃよ」「・・、あ、其処ですか聞かれました」
「あ、こいつがあんたの事を来る度に話すからな、今はお互い隠し事も無い」
「え、ではご関係が・・」「え~あんた~、まさか其処は望んでも叶うまいがね、
年・・」「え、関係ないと思いますけど・・」
「え、あんた飛んでいるがね、益々好きに為れそう」
縁側で涼みながら聞いている裕太は落ち着きが無い、どうしてそんな話題に
入るのかと美代さんを恨んでいる。
「私の義母も飛んでいます」「え、あんた両方の母が義母でどっちもかね」
「はい、巡り合わせですかね、そうなりました」
「笑えるがあんたは笑えないよな」「でも慣れれば、今じゃ出て来た事が何で
そんな事でと思うくらいです」「え、じゃ今の考えは・・」
「ええ、何処にであることと知りました」
「何処でもとあんた、郷と嫁入り先しか知らんだろう」
「いいえ、この男の事も・・」「男か・・、なんと裕太じゃろうがね」
「そうですけど、でもこんな話は裕太さんとは言いたくない」「え、何でじゃ」
「こう見えても此の男とんでもない男なんですよ」「嘘じゃろう、良男だぞ」
「外ずらだけですよ」「真弓ちゃん、あんた言い過ぎじゃろう」
「ええ、聞こえてたん」「聞こえるが・・」「そう、でも嘘じゃ無いし・・」
「え、あんた、嘘じゃ無いんかね」「ええ、郷では呆れかえり今じゃ黙認、
誰もが其処は何もいんさらん、其れをいい事にしておりんさる」
「おいおい、裕太其処は聞かされて居らんぞ」「言えるか大袈裟じゃが・・」
「そうなの、じゃ婆ちゃんの話は嘘なんか・・」
「うひゃ~何々婆ちゃんが何かいんさったんか・なな真弓ちゃん」
「内が聞いた、気に為る男だからね」「・・」
もう言葉を失う裕太、その顔を見る美代は呆れかえる。
「裕太、話が違うぞ」「違わないが、聞かれんから言わんだけじゃろうが、
そんな事男が他所でベラベラ喋れるかね」
「それはそうだが、真か其処、真弓ちゃん」「本当よ」
「そんであんたは如何思いんさるん」
「どう、でも其処は甲斐姓と男の魅力がないと始まらない事じゃないね、
見合いじゃ無い互いが其れで良いなら良いと思うけど」
「へ~理解出来ているね」「此れも婆ちゃんの押し売りよ」
「参ったぞ、面白い娘じゃがね、へ~話せるね」
「美代さんも其処の閉門は未だ早過ぎない」
「ええ、生意気ね、閉門かね面白いが、其処は門など私には無いがね」
「嫌だ~、弾けてる~」なんと広島での顔と大違い、此処ではそんな姿も
苦しみも見えて来なかった。
 其れからも話が弾ける二人、呆れ果てて如何にでもなれ、連れて来た自分
が悪かったと其処は悔やんでいる。
「え~じゃじゃ、何かあんたの里は打谷かね」「え、そうなるけどご存じ・・」
「ああ、その近くに私の友が居りんさる」「だれだれ・・」
「あんたより四つ上かな、雅子じゃ」
「ま・さ・こ・さん・・、嘘でしょう何で何で知っとりんさる」
「部活でな先輩じゃが私は・・」「アア、バレ-かね、ひや~偶然だがね」
「あのな、話を聞いててあんたの家にいきんさった女御も知っている」
「・・」吃驚した顔が固まる。
「あのな、其れは半分は嘘じゃろう、あいつはいいやあんたの義母は頭が
切れるんよ、そんな姿をあんたに見せておりんさる」「・・」
「それはな、あんたが嫁に行かんからそう見せていたんだ」「ええ、嘘」
「この間裕太が来るからそんな話をして居たらな、雅子の知り合いの子だと
判ったんだ、そんでなあんたが言う姿を聞いたら、其処かと思い付いたぞ」
「じゃじゃ、あの動きと噂は・・」「半分本当だろうが弁えている女だぞ、
雅子が其処は違うといんさる」「・・」
聞いてて真弓の顔色が忙しく変化して来た。
「もう騙したのね義母さん」「そうじゃ無いよ、あんたが嫁に出んからだぞ」
「はいはい、そうしておきましょう、でも聞いて安心した、義母が本当に嫌い
だったんだ」「性根が有りんさるのう、良いぞ其れで良いじゃないか,
だから今回もその気丈夫で乗り切りんさいよ」
「其処は既に義母と話し合い、諦めている、今後はあの人が心配せん様な振る
舞いで送ろうと話し合っている」「良い事じゃ、其の義母さんも良いね」
「悪賢いけど良い相手です」「負けるわあんたには・・」
「初めてお会いしたけど裕太さんが此処に寄りんさるのがよう理解出来た、
今後とも裕太さんを宜しく」「あらら、言われたがね、裕太・・」
「聞いております、大変な女性じゃ二人とも」
そう言い返すしか思いつかない裕太だった。
 二時間話造目で、漸く腰を挙げたのが夕方になった。
車で帰る途中、美代は又疲れたのか居眠りをする、家に到着すると起きて、
呆れる姿に変貌、流石に裕太は今回で真弓さんを見直すより手ごわい相手と
嫌ほど知らされた。
 夕食は食べずに家にと「帰る姿を見送り、裕太は何か気持ちが変、
此れから如何付き合うほうが良いのかさっぱり判らん状態に追いやられる。
 七月二十八日、とんでもない暑さ、そんな中で裕太は縁側で寝転んで
暑さを凌いでいた。
「おい、起きんさいや・・」「あ、婆ちゃん・・」
「婆ちゃんじゃ無いがね、大変じゃ、真弓の夫危篤じゃと・・」
「うげ~早いが・・」
「うん、広島にいきんさる時すでに決まっていたんだと・」
「なんと聞いていないが、じゃ・・」「あ、暫く仕事はあの子は出来んぞ」
「では俺が・・」「既に美津さんが手ごろな女性を連れて来て居りんさる」
「うへ~早っ・・」「だろう、あいつは強かじゃが」
「言えるわ本当に其処は感服する」あの人は裕太より先走りが良いと思える。
聞いて少し安堵するが、今度は真弓さんの事が気懸りに成る。
 会社では既に誰が葬式に向かうか話が出たが、美津さんが裕太さんにと
一言で事は決まる。
 八月二日、葬式は執り行われ、裕太も前日から手伝いもしている。
葬式が終わると参列者は帰られ、残る人で後片付け、其処も裕太の姿が有る。
 流石に真弓さんでも憔悴され、母親も同じ姿、裕太は挨拶を終えると
引き留められるが今夜は二人でと言い帰った。
 戻ると婆が待ち、何も言わずに傍に居る。
「人間て儚いね・・」「ああ、其れだからこそ生きる中で意味が有る、
思いも途中で終わらされる事も有る、最後まで苦しむ人も有ろ、でも定め
じゃろう、幾人も生まれ幾人も亡くなる、其れの巡回じゃろうが、じゃいきて
居る内にせいぜい自分の道を歩むしかあるまいて、裕太そうだぞ」
「うん、感じるよ、こんな時に感じると本当に人生は何かと思えるな」
外では蛙が熱いぞ暑い~苦しい~と泣いているように聞こえた。

           つづく・・・・。
















望愛小説103弾《獣が道を造る・・12》

 七月二十二日、朝から裕太は大忙し、其れは真弓さんが車に乗れないと
朝から報せが来た。
慌てて、予備人が無い、裕太が代わりに車で向かう事となるが、
いやはや初めての事、美津さんが怒る様に説明をされるが、聞く方の裕太は
とんでもない難しさ、売るとその金額を携帯みたいな器具に打ち込まないと
いけない、其れは在庫調整にもなるから、それは三人が使いこなしている。
 何とか習い時間が過ぎて漸く裕太は車を動かす。
向う先は真弓さんが受け持つ地域、しかも三か所廻らないといけない、
午前十時には一番奥の部落、二時間後には冠山の麓の集落、
午後二時には手前のでかい集落と汗を掻きながら判らない事だらけ、
携帯で美津さんに聞いたり、買い物をされるお年寄りたちが笑いながら裕太
頑張れと囃し立てられる。
何とか場所を回り売った後店に到着、其処でも冷やかされるが、
本人は其れ処じゃない、後始末にも汗を掻かされる。
「美津さん、こりゃ~大変だが、暑いし」
「そうよ、柔じゃ無いが、其れにねお年寄りの体の具合も気にせんと行けん」
「なんと其処までか・・」「ええ、其れが此の仕事のメリットよ」
「恐れ入りました」本当に一日だけでくたくた、夜中に漸く家に戻れた。
婆が大笑いされて食事を食べる。
「そうだ、あのな真弓さんの夫が転院じゃと」「え、何其れ・・」
「うん、病院を変わった」「え、何処に大朝だろう」
「それが手に負えんと、そんでな広島の大学病院・・」
「あ、じゃじゃ遣れんのか・・」「大学病院じゃろう、誰もがそこに行くと
後はのう・・」裕太は食事中で箸を止めて固まった。
聞こえは悪いが誰しもが病院を変わる事は良い事とは思わない、其れは其処の
病院で梃子に合わないと判断されるからだ。
つまり終着点が其処だと誰もが思う、裕太もそう感じていたのだ。
「可愛そうに・・」「・・」
婆は其れに返事せずにやけ酒か、ビ‐ルをグイグイ飲む。
 七月二十四日、夕方真弓さんが家に来る。
婆は病院の事は何も聞かなかった。
「ね、知っているでしょう」「え、何・・」「もう心配かけたね」
「ああ、病院か、で如何なん・・」「・・」
「そうか、聞かないね、頑張りんさいや」「うん・・」力ない返事を返す真弓。
「これ、休めや、裕太こき使うな」「え、そうだな、もう休みんさいや」
「もう、する、動いているほうが良いの・・」
そう返事されると後は何も言えなかった。
 九時前に車に野菜を詰め込むと居間で一休みする。
「真弓、体が大事じゃ、疲れて居るなら来んでも良いぞ」
「婆ちゃん、特別扱いは好かん、要らないの・・」
「え、え~そうじゃ無いがねわしは・・」「判っている、来たいの・・」
「はいはい、飲みんさい」ビ‐ルを婆が渡す。
「え、え飲んだぞ・・」「あ、何でよ飲むわ・・」「ああ、車が・・」
「ひや~忘れていたが・・」真弓さんが久しぶりに笑顔で叫ばれる。
「もう飲んだがね、良いわ飲んで遣るが・・」一気に缶を飲み干された。
「豪快じゃが、もう一本かね」「はい、頂戴」
苦笑いしてみる裕太、婆が大笑いする。
「明日は行くんか・・」「初めてだし顔だけでも」「そうか裕太乗せて行け」
「え、良いけど朝が早いぞ」「あ、そうや、ねね乗せてよ」
「良いけど朝が早いし見舞は八時からだろうが・・」
「そうだけど、真弓は一度広島の、市場見たいし、裕太さんの仕事も見たい」
「ええ・・」「だから連れてってよ、戻りは何とか考える」
「戻りも載せるが、僕は広島で時間潰せる」
「じゃじゃ、お願い・・、ねね婆ちゃん良いでしょう」
「良いとも、付いて行きんさい、帰りもな」「有難う、電話する」
縁側に出て電話されている。
裕太は其処で婆の顔を見た、頷いて笑われる。
 「義母さんが御願いしろといんさった」ドタンと座り婆を見てビ‐ルの催促。
「じゃ、飲んだら寝ろ、朝起こすからね」「うん、婆ちゃんと寝る」
「ええ、こいつ」婆が破顔で頷き抱き締める。
 こうして朝早く二人はトラックで家を出た。
「早いんだね、此れじゃ大変だがね」「馴れているよ、早い方が道も走り易い、
行きは高速だし」「初めて走るのよ、上は走った事無い」
「そうか大朝から乗ると一時間も要らんぞ」「そうなんだ、良いね早く乗ろう」
「ええ~・・」二人は仲が良いだけ話が他愛無くても楽しかった。
 午前五時前に市場に到着、仲買人の顔見知りに冷やかされながら荷を降ろす。
いつに無く美人が来たからか、仲買人の数が多過ぎ、中には手伝う男も出て
大騒ぎだった。
「おい、裕太、お前が来んでも良いぞ、この女性がきんさるなら、俺が全部品物
を買うが・・」その声に皆が大笑いする。
そんな中で真弓は生き生きとした顔で動いてくれる。
 なんと荷下ろしが早い事、何時もなら四十分もかかる時間がニ十分で終えた、
二人は市場内の食堂で朝食を並んで食べる。
入れ替わり立ち代わり髭ずらの男が来て裕太を冷かして行く。
「裕太さん人気者じゃね」「阿呆、其処は違うぞ、今日はあんたが主役だがね、
皆(^^♪見たさに覗かれるんだぞ」そんな会話も楽しい、喫茶店でも同じ、
荷を運んで集まる仲間が其処にたむろしているから、其処でも真弓は人気だ。
 八時過ぎ、市場を出て大学病院に向かう、
「電話してくれんさいや、此処に来るからね」「・・、お願い、行くね」
言われる顔は先ほどと大違い、其処は裕太も理解出来ている。
重い気持ちで裕太も見送る、昼過ぎに電話が来る、ちょうど帰る時運ぶ荷物を
載せた後、車を病院に向けて走る。
 真弓を乗せるが、来た時より別人、落ち込まれているし、
其処を聞けないもどかしさが有った。
「帰りは下を通るが、実家に寄りんさるか」「・・、ううん寄らない」
「そうか・・」戻る車では会話は進まない、仕方が無い事情、裕太は気を使い
其処は黙って運転する。
 可部に入ると真弓が起きて裕太を見た。
「寝て居れば良いが・・」「ううん、ねね可部の家に寄ろうか良いでしょう」
「ええ、何で知っとりんさるん」「えへ、婆ちゃんから聞いているもん」
「ああ~、もう喋り過ぎだぞ婆ちゃん」
「良いじゃない良い人みたいだし、真弓も会いたい」「良いけど・・」
「じゃじゃ、何かお土産買おうよケ~キ」「はいはい・・」
 いつもより遅い時間だが,可部の家の横の空き地に入る。
「ま~遅いじゃないね、あ・・、此れは失礼、女性同伴かね」
「誤解じゃが、この人の夫が大学病院に入院しんさったから、見舞なんじゃ」
「そうかね、あんたきんさい綺麗な女性じゃがね」
美代は裕太を置いて真弓の手を引っ張り家に入る。
(く~何処も俺はのけもんか・・)苦笑いしながら後に従う。

            つづく・・・・。





















望愛小説103弾《獣が道を造る・・11》

 七月十五日、遂に最初の車がス-パ-から出る。
荷台には綺麗にデザインされたロゴと名前が【石見ファ-ム出張販売車】
此れを機会に会社を設立、店は石見ミニス-パ-とし,石見物産、
石見ファ-ム販売の三つに部署を作った。
社名は石見ファ-ムで統一、社長は裕太が為り、部署は販売車は美津さん、
物産は隆、店は多恵さんが代表者に為る。
資本金は二千万円、定款は里で行える色々な事を加えている。
其処は此の後広がるであろう職種も加味していた。
 「ふ~出たな・・」其れが裕太の心内、傍で婆が裕太の背中を叩ている。
多恵さんも感慨無量、無論娘も同じ顔、既に出た三台の車には美津さんと
聡子さんと真弓さんが笑顔で車は走らせて向かわれる。
 隆と正之などは後片付け、無論手伝う人も加わり、誰もの顔が綻んでいた。
出初式は九時、其れから片付けに一時間、漸く終えると店は相変わらず繁盛、
其処は田舎だから賑わう事ほどでは無いが、ソコソコお祝かてらに滲みの顔
が来てくれる。
「裕太お兄ちゃん凄かったね」「うん、紗代ちゃんも頼むよ」「任せて・・」
多恵さんの娘がはつらつとして動いている。
「うん・・」そこで何かを知る。
「嘘だろうが・・」なんと店の前の駐車場で見た現実に裕太は驚かされる。
「まさか、有るのか・・」何度も思うが其処は消せない何かが有った。
「多恵さん・・」「裕太何・・」「あのな、聞くが違うならそういんさいや」
「何や・・」店の中で多恵と話込む裕太、其れが話をする中で顔色が変化した。
「え、じゃじゃ、其処・・」「あんたは知っとりんさろうと思うていたがね」
「うひゃ~真か、其れで其れで相手は如何・・」「聞くまでも無いじゃろう」
「では良いんか」「良いとも悪いとも言えんがね、相手次第」
「では良ければ・・」「あんた中持ちしてえな」
「ええ、良いんか、良いぞ喜んでするする」なんと話は結果良しだった。
直ぐに婆ちゃんに話をする。
「あはっ、もう昔からだがね、知らんのはお前だけだぞ」
「嘘だ~、そうか婆ちゃん良いんか」「良いも悪いももう出来ているぞ」
「うそっ・・」そこは心底驚いた。
「・・」何も其処から言えない、友がまさかの相手、考えると無い事も無い、
あれほど煩雑に店に出入りする相手、しかも心根は裕太が一番知っている。
 「隆~来い」「何や恐ろしい顔をして・・」
「あのな、何で先に話しせんのじゃ」「何お・・」「美沙じゃ・・」
「え、何で美沙ちゃん何か有るん・・」
「あほくさ、お前とじゃがね付き合っているんか」「・・、御免な・・」
「え、じゃほんまか」「うん御免、何時話そうかと悩んでいた、なな良い
じゃろう、頑張るしなな裕太」「阿呆、わしにゆうな相手が違うが」
「じゃ良いのか、凄いぞ美沙ち~ゃん・・」「阿保か・・」
店に飛び込む友を呆れ顔で見る。
「うふっ、遂に知れたのか」「正之・・」「一年前から聞いていたが」
「なんとそうなのかあいつめ、隠れて」「違うぞ、其処は真剣だった」
「そうか、ま良いが出来ているんだな」「聞いたら半年前だと」
「遣れんな~」友と苦笑いするしかなかった。
思えば自分だけが良い目をする事に後ろめたさが有ったが、
友にも相手が居る事には嬉しい、その反面血が繋がる紗代だから尚更だった。
 夕方四時過ぎに車が戻る。聡子さんの笑顔は格別栄えて居る。
「裕太、最高じゃが、待っててくれたんよ」「えでは・・」
「凄かった泣かれたけ、嬉しいといんさる」急き立てる様に話をされる。
十分後,美津さんが戻る、同じいい顔をされていた。
心配な真弓さんを店の前で待つ裕太の姿に店中で大笑いして見られていた。
「あ・・」車が戻り駆けつける裕太、「お帰り」
「・・、凄いわ、もう泣かれるし抱き付かれたがね、最高」「良かったね」
「うん、感動した」「ご苦労様でした」
頭を下げる裕太の肩を叩かれ最高と一言言われる。
三人が揃い話をされる中、裕太は店の中のカウンタ-で体が震えている。
(良かった・・)心底からその言葉が浮かんで来た。
 販売車は水曜日と金曜にと決まっている、特別は別扱いに為るが、
其れは裕太の仕入れが関係している。
店は遅くまで賑やか、買い物に来る人も、今度は待てるがと喜ばれた。
販売する場所も既に自治会の回覧板で報せが行き渡っていた。
無論、知れた間柄、年金前は借りも有りと聞いているから待つ相手は
大喜び、此処は金など買い物以外は要らない、其れほど顔見知りの間なのだ。
 家に戻ると流石に裕太は疲れがどっと出た。
婆ちゃんが寝ている横で倒れ込む、
「こいつ遣るじゃないかね、良いぞどんどん進めや、めんこいはお前・・」
「婆ちゃん、疲れたが」「阿呆、此れからだ、頑張れ、ななアソコもだ」
「何処・・」「此処じゃろうが~」「痛いっ、もう叩きんさんなや」
「こいつも喜ばせんさいや」また二度も股間を叩かれた。

          つづく・・・・。







望愛小説103弾《獣が道を造る・・10》

 遂に梅雨に入った、裕太は相変わらずトラックを転がしている。
其処は何時もと変わりが無いが、変わったのは縁が有り仕事をする予定の
真弓さん、其れが何と婆の計らいで店にも顔を出されているのだ。
婆の妹の多恵さんと娘の恵ちゃんが大喜び、此れから此処も忙しくなるから
と婆ちゃんがそうされた。
 処が真弓さんは会うたびに顔色が変化、其処を婆が見て喜んでいる。
日曜日の夜と水曜日の夜は必ず真弓さんが家に来られ、
トラックに野菜を詰め込むことに手伝ってくれる。
その変化は裕太が一番喜んでいるのだ。
婆も傍でニヤニヤしながら裕太をからかい、その時間は真弓も楽しそうだ。
 広島からの戻り道で美代さんの家も寄る事は続けている。
もう直ぐ美津さん達の仕事のトラックも改造を終える時期、
其処も裕太は忙しい身、何から何まで今までとは其処が大違い、従い裕太は
婆に相談し、店の奥の遊んでいた畑に間伐材を利用して集会場を造る話も
出来て、其の話し合いに毎夜人が集まる始末、其処でも婆が事を興し、
その問題には裕太を席にはばらせ責任者として皆が扱う。
其れが事集会場は里総てに知れ渡り、今じゃ自治会も事を為さない形骸、
其れで公民館など朽ち果てる様、其処で集会場を皆が使えると聞くと良い事
だと話が広がる。
 だがもう一つ里には大変な変化が起きて来た。
其れは農協だ、其処は裕太の動きは目の上のたん瘤状態だったからだが、
此処に着て集会場や、出歩けない人たちえの品物を売り歩く車も農協での
変化は加味する。
役場も同じ、其処は農協が仕方なしでも認めるならと遅まきながら役場も
何でも相談してと裕太の家に来られている。
八年目で漸く里は婆と裕太の事を認めざるを得ない状況にはなった。
 七月に入ると、いよいよデリバリ-が始まる。
其の開所式がミニス-パ-の駐車場で執り行われる。
店の後ろでは早くも棟上げが出来ている集会場、
既に此処は動き出したのだった。
 関係者や役場農協信金などが参列、大勢の関係者が揃う中で里では
珍しい開所式、夕方まで賑わう。
 「遣れやれ、終わったか・・」「ええ、婆ちゃん、始まったかだぞ」
「あはっ、そうじゃね、わしは疲れたがね」「言えるね、ご苦労さん」
「阿呆・・」漸く喧騒から逃れた婆と裕太、家で伸びていた。
「婆ちゃん・・」「おう真弓か疲れたが・・」「体揉む」
「要らんけ~お前も疲れんさっつろうが此処に座れ」
婆の横に着て嫌がる婆を寝かせて真弓は背中を揉んでいる。
真弓さんとは知合って一月足らずだが、この家では今は一番煩雑に会える
女性に為っている。
其処が裕太にとって痛し痒しの状態、本当に目の前で見える姿は迷惑千万、
裕太は必ず其の後家を出て冠山の麓の家にと駆けこんでしまう。
 其処で待つ女が苦笑いするほど抱いて狂う姿に呆れる。
嬉しいが女だ変化は解っていたのだ。
 しこたま肉に減り込んで狂う相手を迎え、何で最近煩雑なのかは薄々
理解出来ているが、来てくれるのは嬉しかった。
 遣られた後、裕太に・・、「あんた変ったね」「え、何処がね・・」
「我慢しんさんなや、此処はソコソコでええけ、此れからの事を考えんさい」
「ええ・・」「だって判る、苦しいのでしょうがね」「あ、・・」
「もう如何にかしんさいや、此処に連れて来ても良いんよ」
「ええ、阿保か・・」「うふっ、白状しんさったがね」「お前・・」
六年間体を抱いて来た相手、いいや女を教えてくれた大切な女性、
其れから言われる事は何とも返事のしようが無かった。
 本当に大事にしてくれている相手、しかも悩みが判る相手だった。
「どうしようもない相手じゃが、本当にそうなんだ」
「判る、でも其処は相手は如何思っているのかしら、私なら狂うけどな」
「ええ・・」「だってそうでしょう、夫が病に伏せているのよ、板挟み状態
でしょうがね、聞くと本当に良い女性と思える」「うん・・」
「じゃ苦しさから解放したら如何ね」「出来んが・・」
「そうか、其処ね、あんた獣じゃないね、違うん」「ええ・・」
いわれて苦笑いするだけ。
「私もそうなるね、其処に相手を入らせたら如何、内緒なら良いじゃない」
「お前がゆうか其れ・・」「言うわ、あんた命の身よ」「・・」
そんな会話をしながらもまたまた体を抱いて裕太は狂った。
受ける身は最高な善がりをくれる相手、何度もいがり泣き抱かれ溺れて行く。

              つづく・・・・。










望愛小説103弾《獣が道を造る・・9》

 翌日裕太に召集が懸る、美津さんの家に来てくれと電話が来ていた。
「上がりんさいや・・」裕太は招かれた身、上がり居間にと向かう。
「え、ああ何とあんたが真弓さんか・・」「え、ご存知ですの・・」
「いいや、昨日友から聞いたがね」「あらら、驚かそうと呼んだにね」
美津さんがコ-ヒ-を出しながら笑われる。
「そうだがね、えらい気落ちする」「聡子さん・・」「はいはい」
笑いながらコ-ヒ-を飲む四人、其れは言わずと知れた仕事絡み、
裕太は夕べ婆から何もかも聞かされている。
「真弓ちゃんも参加するね」「聞いている、お願いします」
「あんたね、此れだけの美人はそんじょそこらには居らんぞ」
「ええ、見事に三人が揃いましたね、壮観です」
「く~遣れんがこいつ、あら失礼裕太には敵わんがね」
「言える、動じないけ、つまらん」「聡子さん」「はいはい・・」
そこで三人が笑われた。
「じゃ承諾かね」「其処はあんたらがする事、承諾なんぞ要らんが」
「ええ、其れこそ冷たいがね、峰婆ちゃんからきいとられんのかね」
「必要以外は聞かんし言われんが」
「なんと、そうか、じゃ此れから話す事は内緒だぞ」「え、何か・・」
そこから美津さんが主に話をされ出す。
 「ええ、では其処が、でも其れじゃ生活が出来んじゃろうがね」
「凄いぞ裕太、其処が問題でな来てもろうたんじゃ」「・・」
話しは真弓さんの事、病院は何とか保険で賄えるが其れだけじゃすまない事
くらいは大人だから理解出来る。
「じゃ、其処を僕が見ようか」「うひゃ~裕太凄いがね、理解出来るん」
「ああ、すこしな、でもそれでいいんか世間・・」「其処を仕事で隠そう」
「美津さん・・」「あんたね、其処は既に峰婆ちゃんは了解して居りんさる」
「ええ、聞いてないが・・」「それは美津たちが頼んだんじゃ、あんた自身で
決断が欲しいからね」「よし、了解じゃ真弓さん、心配せんでもええけね、
何とか頑張ろう」聞いた真弓は目を真っ赤にする。
「でな、あんたにも二人友達がおりんさろう」「うん・・」
「其処も何とかせんと拙かろう」
「え、あ~そうかなんと昨日な謎かけ問答を婆ちゃんがしんさった、其れか~、
く~年寄りは怖いが」「あんた、じゃ・・」
「あ、昨日あいつらが居る中で婆ちゃんが人生は一度きり、此処で埋もれて
死ねるんかと・・」「なんと良い凄い婆ちゃんだ事」
「そう、何時も驚かされるがね」聡子さんもそう言われる。
「でも良いの裕太さん・・」「良い、仕事も頑張りんさい、此れから美津さん
や聡子さん其れに俺の婆ちゃんもおりんさる」「うん、泣けてきた・・」
横の美津さんに縋り泣かれる。
「来た早々じゃがね、可愛そうじゃないか・・」
美津さんの言葉に裕太も聡子さんも頷いた。
 車も三台、控えにもう一台と裕太が言う、其れにも大感動、
三人は頷き合い裕太に頼んで来る。
「直ぐに手配するが時間が懸る、冷蔵設備も必要だし、四トンで良いな」
「は~い・・」返事は元気が有った。
 だがその後、車は中古で安いのがと美津が言う、其れに聡子も賛成する。
事は進む、その中で裕太の役目も増して行く。
 家に戻り婆ちゃんが笑いながら迎える。
「如何だ、上手く運んでいるのか・・」「あはっ、総て知ってて言うんか」
「恐れ入りました」「婆ちゃん、そう手回しせんでも考えるけ・・」
「頼むぞ・・」夕方誰かが来る。
「え、あんた何で何か有ったんか・・」「何も、手伝いに来た」
「ええ、手伝いって・・」「往々、きんさったか家は大丈夫かね」
「はい、義母も泣いて世話懸けるといんさるし、真弓は外で動きたいから」
「裕太車に品物・・」「ええ、婆ちゃんもうか・・」
「あのな、気を使い手伝うと、相手の気心読みんさいや」
「あ、そうか上がって、休んでからで良いが、夜何時迄良いん」
「なんじでも、明日は寝るし」笑われる。
 昼間、美津さんの家で聞いた話は此れかと思えた。
【あのね、真弓には別に仕事を拵えてよね、今度の仕事はそう金には為らん、
其処で裕太の協力が要るんよ】そう聞いていたのだ。
 三十分後、二人は隣の作業場に向かい、其処で整理されている野菜類を荷台
に運んで積んで行く。
「ま~凄いね、此れが毎度なの・・」「そうなる、でも戻りも荷物が・・」
「聞いているが、凄いじゃない、此れが毎度なん」「そうなる」
「じゃじゃこれからも来るね」「え、良いのか・・」
「良い、気晴らしにもなるし、たまに広島にも付いて行きたい」
「ええ、あんた・・」「真弓と呼んでください」
一気に空間が狭まる、裕太は健気に動く姿を唖然として眺めた。
、 一時間後、荷積みも終え部屋に戻る。
「ひや~婆ちゃん」「これはお前にじゃ、食べんさいや家で食べんと此処で
食べるんだよ」「・・、有難う泣ける・・」本当に泣いていた。
 其処から婆が色々と真弓さんの事を聞き出す。
「え、では里は八重かね」「はい・・」「何で此処に嫁に来たん」「そこは」
「・・」「仕事で広島で居て、仕事仲間でした」
「ほうかね、そんで仲が良く・・」「其処は少し違うけど・・」
「言えんのかね」「詰まらん事だしね、別に話しても如何って事はないけ」
「そうかでも結婚したね」「うん、其処も逃げたい事情が在ったし・・」
「・・」「え、其処から聴かんの・・」「ええ~お前・・」
「うふっ、其れね家に事情が有るんよね」「そうか・・」
「でね、其れは他所では言えんけど此処では言いたい」「なんでそう思える」
「婆ちゃんと裕太さんには言いたいの・・」「じゃ吐き出せ」「はい・・」
 其処から真弓さんの話が続いて行く、頭が良いのか話し方も流れる様に事を
話されて行く。
「え、ではあんたの実の母親は四年前に死にんさったん」
「はい、そこもガンです、でもこれは別、其れから後妻に来られて人が・・」
「なんと父親に、其れで・・」「それが何と大変な女性」
「ええ、何処が大変・・」「」家に余りおりんさらん」「あらら・・」
「そんでね、何時も揉め事ばかり嫌になるほど・・」
「揉め事もなんぼでもあるが何ね」「賭け事、遊び何でも御座れ」
「あああ、なんとじゃ家は・・」「其処が上手い人、家は確り遣りんさる」
「なんと・・」「でね、今度は男も激しい、此れは近所から聞いた話・・」
「あらら・・」「それは良いの・・」「え、良いのか・・」
「うん、お父ちゃんには若すぎるし無理」「なんと幾つじゃ」「四十手前」
「え、お父さんは・・」「六十手前」「・・」
「でね、嫌なのは趣味が悪い」「え・・」
そこから義母の事を話しをされ出す。
「え、じゃ金が持たんじゃろう」「其処は家には被害が無い」
「何でじゃ、要るぞそんな遊び・・」「でも其処は実家・・」
「ああ、そうかでも良いのか・・」「それが嫌なの、相手の家は成金」
「成金何で・・」「道路で土地が山だけど」「あ、広島から浜田えの高速か」
「それも言えるけど、新しく出来た工場の土地も有る」
「なんと恵まれた家じゃがね」「だから困るの」「そうか、其れでか・・」
「それが平気なの、此処に迷惑は懸けんだろうと、そんでね為してじゃ此処に
きんさったと聞いたら、周りが煩いからといんさる、お父ちゃんが可愛そうで
見ておれないから逃げる様に私も出たんよ」そう言われる。
「・・」婆も此れには何も言えん、本当にあるのかと疑うが、真弓が話す顔を
見れば本当と思えた。
「放蕩女じゃがね、でも父ちゃんが情けないからどうしようもないが」
顔が曇る中話をされる。
「もう良いが、其処で止めんさい、家は出た後じゃろう困るとお父さんが相談
されるが、其処は其れで知らん方がええけ」
「裕太さんの言う通りです、だから今は考えていない」
「良いぞ、そうしんさいや、僕も八重近所で知合いが有る、八重じゃ無いが可部」
「近くね、そうなんだ」漸く真弓さんの話しから変われる。
 考えても理解出来ない部分が有るが、当事者には悩みに為るのかと思える。

                  つづく・・・・。















望愛小説103弾《獣が道を造る・・8》

 「今日は・・」「は~い・・、ま~あんた、上がりんさいや」
裕太が来ているところはあのトラックのパンクで知り合う家。
「もう梅雨かね・・」「やがてはそうなる、空もどんよりしているしね」
美代は毎週一度は着てくれる男に為る。
月曜か木曜日はそんな気持ちで待って居るのだ。
「今日は此れ・・」「アララ、バ-ムク-ヘンじゃね、有難う」
他愛無い土産だがもらう美代は嬉しい。
 「ねね、郷は如何何か有った・・」
一番それが気に為る美代、話は其処から始まるのだ。
郷とは関係が無い此処は、裕太がのんびりと出来る場所、何から何まで色んな事
を此処で話せるのだが、其れが唯一楽しみなのが美代、
今日もワクワクしながら待ち構えていた。
「何にも無いが・・」「嘘じゃ、いんさいや其れが美代の楽しみじゃけ・・」
「もう、他愛無い事じゃぞ」「良いが、・・」
「そんでも聞きたい、聞かせてくれんさいや」仕方なしで裕太の話が始まる。
 「うひゃ~何とあんたもそんな事しんさったんかね」
「子供じゃろうが興味は有るが・・」
「あはっ、そんで覗かれた相手は、大した女性じゃがね」「え、何で・・」
「だって気が付けば驚くし大騒ぎじゃろうがね」「あ、其処か・・」
「そうだよ、女には大変な事じゃろうが、風呂場で覗かれているんだぞ」
「だな、だな」「それが大騒ぎせんとガラスを変える等粋じゃないか」
「粋なんか・・」「そうだ、お母さんも聞いて騒がず交換じゃろう」
「・・」「なな、そうだろうがね、綺麗な人かね」「うん、憧れだった」
 其処から今回の仕事の事を話しだす。
「ま~じゃその奥さんも相当な珠じゃね」「え、どっち・・」
「あんたを呼びつけた女性」「ああ、美津さんか、そうなるのかな・・」
「当り前じゃろう、男の弱みに付け込んでおりんさろうがね」
「あ、そうか其処ね、参ったが・・」
「判るは、其処を見抜いて今度の仕事じゃろう、良いぞのりんさいや」
「え、美代さん・・」「良いぞ此れは相手が頼み込んで来た事じゃしな、
其れに儲けは少ないが此れは里を動かせるぞ」「え・・」
「従い其れをしんさい、そうなると視野が開けて来る。あんたの里はそうなる
と何でもこなせるほど元気が出るぞ」「美代さん・・」
「あのな、世間はうざいが反対に利用すれば凄い事に為る」「・・」
「一番は毎度の食事に関係するし、其れに生活に欠かせない品物も有る、
其れが出向いてくれるなら尚都合がええけ、世間は大歓迎じゃろうがね」
「・・」この男は自分で動かんでも周りから色んな事が集まると知る。
「ねね、あんたの事教えて・・」「何・・」
「女性じゃがね、おりんさろうが・・」
「うへ、其処かおらんでも無いが言えんぞ」
「ええ、何でね、此処は里と離れて居るがね聞きたい・・」「其処は駄目です」
「いんや~聞くぞ」「ええ、美代さん」「なんでも知りたいがね、聞かせて」
「言わんが・・」こんな問答を始める。
「じゃじゃ美代さんの事聞かせてくれたら考える」「考えるの、何でよ」
「普通ならどうでもええけ、勉強に為る事なら聞きたい・・」「なして・・」
「僕は今は手習い中」「あはっ、そういんさるんか遣れんのう」笑われる。
 此処での会話は楽しい、相手が美代さんだし、如何見てもまだ女の中、
真ん中におりんさると思える。
だが此処では旦那さんの顔を知らん、其処を話してはくれていない相手だ。
「じゃじゃ、今度来る時聞くよ」「じゃ来ないわ」
「ええ~あんた相当ないけずね、来んかったら美代が悲しいけえね」
「そういんさんなや、楽しい会話だけで大満足じゃしな、其処を話し出すと
後が怖い」「何でね・・」「理由が有るんじゃ」
「何が理由ね、相手の女性の事聞くだけじゃろう」「聞いて如何しんさるん」
「聞くだけじゃが」「尚更無駄」「そうは無いけ、聞けばあんたが好みが判る」
「判ったらどうしてくれるん、だれか紹介してくれるんか」「ええ、あんた」
「そうじゃろう、聞くだけなら要らん事、世間では色んな話や事故が有るが、
其れを聞いて、自分にそうなれば困る話は沢山あろう、そんな話なら参考には
聞きたいけど、自分がしてきた道など他人が聞いても詰まらん」
「え、じゃ聞かせてはくれないの」「嫌です」「なんと・・」
呆れるが裕太は口が堅いと思えた。
 「今度来る時は聞くからね、如何してもあんたの事が知りたいんだ」
「はいはい、もう来ないです」「ええ~あんた~・・」
そんな話をした後裕太は其処を出る。
見送りは必ずしてくれた、車が見えなくなるまで手を振り送ってくれた。
 自宅に戻ると、未だ作業場に隆と正之が居る。
「おい、聞いたぞお前な・・」「ま、部屋に上れや、其処で・・」
二人は母屋に入る。
「おいおい、美津さんが・・」「ああ聞いたか、驚いたぞ」
「そうなんじゃ、遣りたいと・・」
「良い事じゃ無いか、おっか~も大賛成じゃと・・」
「その話な母から聞いたが・・」「なんと、正之は誰からじゃ」
「俺も叔母からだ」「ええ・・」
噂がこうも早く蔓延しているとは裕太は知らなかった。
 其処にマンがええのか悪いのか婆が家に戻る。
「婆ちゃん」「往々、雁首並べんさって悪巧みか、そうじゃ無さそうじゃ、
こいつらだけでは何も出来ん奴らじゃね」「え~婆ちゃん、其れは酷過ぎ」
「酷い、言われんようにしんさいや、其処は変えんぞ」「なな、裕太・・」
「うふっ、黙って聞き流せや、婆ちゃんには勝てんぞ」「言えるわ・・」
二人が頷いた。
「そんでな、なんともう一人加わりんさると」「え、正之誰ね」
「俺の家の奥におりんさる、真弓さん・・」「真弓・・、誰・・」
「裕太、嫁じゃが、其れが物凄い美人」「ええ、聞いてないぞ、おるんか」
「居てる、三年前にきんさったが」「なんとそうか」二人は聞いていた。
「だがな、運が悪い人」「何で結婚されたんだろうが・・」「それが病」
「病何・・」「癌だそうだ」「ええ、若いじゃろうが」「若いから遣れん」
「なんとそうか、其れで・・」「入院された、其処で何か仕事をと・・」
「なんとそうかね」知らない隆と裕太は初めて聞く事に為る。
「じゃ、その人も参加かね」「ああ、三か所に分かれて動くといんさる」
「裕太知っていたんか・・」「ううん、二人は聞いているが知らんぞ」
「はいはい、どうぞ」「うほう,和菓子か、凄いぞ」
「裕太が買って戻ったんじゃ」「よばれるわ」婆が其れを見て笑う。
「お前らは根性無じゃね」「ええ、婆ちゃん」
「あのな、お前ら此処ではもう既に必要な男に上っているが、其処を使えや」
「如何使うん」「あほう、女じゃろうが、なんでせん」
「ええ、できんが田舎じゃばれる」「ばれんかったらするんか・・」
「それは・・」「ははん、隆は如何ね正之は一人じゃ無理じゃしね」
「俺もそうなるかな」「情けない奴らじゃね」「婆ちゃん教えてよ」
「阿保くさ子供のころなら教えちゃるが、今は大人臭いわ」
「ええ~・・」二人は驚いた後大笑いする。
「本当に詰まらん人生じゃね、此れじゃここらから若いもんが逃げる筈じゃね」
「婆ちゃん・・」「世の中楽しく渡れ、一度きりの人生じゃろうがね」
そう言われれば何も言えない、本当にここ等じゃ何も起きんし出来んと
観念している二人だった。

            つづく・・・・。























望愛小説103弾《獣が道を造る・・7》

 裕太がその家を出る時は既に夕方、飯でもと言われるが、
其処は丁重に断り車で出る。
(く~何と会えたが、変わらんぞ・・)ハンドルを握る手に力が入る。
車は家には向かわず、冠山の麓に向かっていた。
慣れた家なのか車は庭に入ると、玄関にと向かう。
「あ、あんた・・」迎える女性が微笑んでいる。
 此処は裕太が通える家、しかも住む女性は四十過ぎの女性だった。
此処に通えるのは色々な訳が有る、あの強かな裕太の婆の峰子の存在が有る。
 峰子は幼い時から裕太を可愛がり育てて来た、其れも普通に可愛がり用
じゃない、とんでもない事を平気で裕太に仕向け、裕太も褒められるから
其処の道を懸命に歩いて来ている。
誰しもができない事を峰子は裕太にしいり今が有る。
「あんた、聞いたけ」「え、何を・・」「実はね・・」
ここでも来るなり驚かされる、今聞いてきた話は既に弥生は知っていた。
「うひゃ~じゃ其処を相談にきんさっていたんか、何で弥生が・・」
「あのね、店の土地は誰のもんよ」「ああ、其処か、なんとじゃじゃ」
「薄々だけど知られて居るみたい」「うげ~真か・・」
又しても今日はなんて日だと思うくらい吃驚仰天、裕太と手流石に今日は
度肝を何度も揺すられていたのだ。
話を聞くが信じられん位に事は進んでいた。
「では其処まで・・」「ええ、昨夜きんさって美津が言うには事を荒立た
せて離婚すると息まいてのう」「・・」
「そんで、話のついでじゃと、今度は弥生の事をぬけぬけといんさる、
あんたは良い事しんさって居るが、今度は仕事で裕太と関係したいと」
「あらら・・」「話を聞いたらこれは良い事じゃろう、しんさいと薦めた」
「うん・・」「其処であいつが断れんような女が仲間に居るといんさる、
誰かと聞いたら笑えたがね」「おいおい」
「だって、あんたにも憧れの女性じゃろうね」「弥生さん・・」
「良いじゃないね、私らも言わんが知っておりんさると思えた、
仕方が無いけ~此処じゃ見つかるがね」「だな、じゃ良いのか・・」
「良いも悪いもあんたは暴れんさいや、此処じゃ泣いて夜を耐える女は未だ
未だおりんさる」「おいおい」「其処は止め様がないけ、あんたは獣じゃ」
「言えるがあはっ、獣か」「だって、あんたとの抱合いは毎度死ぬ思いじゃ」
「え、きついんか・・」「きついなんて代物じゃ無いけえね、殺されている」
笑いながら話をする。
 高校時代からこの女性とは世話になって来た裕太、そのおかげで今ある店の
土地は弥生の家の土地、場所が良い所だし土地も広い、其処を婆が目をつけて
裕太をその方向にと進めていたのだ。
其れが運が良いのか悪いのか、弥生の前の夫と離婚させ、空いたスぺ-スに
子供のような男を育ててくれと峰子が弥生に懇願していたのだ。
 当時の弥生は気が滅入り、離婚したての我身、未だ三十六歳のころ、
峰子が作る道にとまんまと嵌り込んでしまう。
 だが、子供じゃと思いつつ峰子にそそのかされた挙句は何ととんでもない
子供だったのだ。
愛撫も抱き合いも既に完成された代物、迎えた弥生は挿入時から我を忘れる
程の快感に溺れる。
「嘘だ嘘嘘よ~」の連呼の最中、生まれて初めて飛ぶ事を嫌ほど知らされた。
 それが当時三十半ば、今は如何,四十を超えた年にでも待つ身が有る、
とんでもない小僧がこのド田舎で育って来ているのだ。
しかも其処には弥生が居る、高校三年生の時味わう裕太は婆の仕掛けにまんま
と捉まり、其れが最高だから何おかいわん、以後婆のゆう事は否応なしで
従ってきた。
無論弥生と手同じ事、土地の縁でと思うが其処は今じゃ違う、あの峰子さんが
仕掛けた罠に捕まっていたと知るが其れも良いと今じゃ最高な女の道を歩んで
いる弥生だった。
 弥生には妹が居るが、大阪で良い男を掴んで幸せに暮らしている、
郷では弥生が儘為らぬ道だが、其処も結構楽しい道だと今更思える。
何もかもが今から始まるおぞましい程のマグアイは誰しもができる事じゃない、
其れが有るから弥生は生きて行ける、今じゃ裕太命の体と心根今回も其処は
良い事だし、裕太を独り占めは出来かねる存在、何時かこんな事が有れば
許そうと思えて来たが、いざあの凄味が有る股座を相手は如何思うかを
考えると面白くも有る、それらが総てもとは弥生が使い育てて来た代物だ、
其処を思うと女冥利に尽きる。
如何足掻いても独り占めは不可能、わが身が嫌ほど知っていた、
じゃ今後どうするべきかを一時期悩んでいた頃が有った。
結果は一目瞭然、自分だけでは賄いきれ無い程の凄さ、其れをわが身が承知
しているから弥生は成り行きで自分が居る立場さえあれば其れで良いと最近
理解出来て来た。
歳も今年で四十の峠、其処で悋気などしている暇は無い、
相手が此処に通う事だけで其れだけを望み迎えている。
健気さは有る、四十でもまだ間に合っている、いいや今まで以上に快感は
磨かれ育てられ、今は真反対の立ち位置に為る。
風呂に湯を張りながら、毎度の事だが,今も胸が時めいているのだ、
笑うほど以前と変わりがない部分、裕太命は其れがそう言い聞かせてくれる。
「あんた~、良いよきんさい・・」「おう~・・」
その合図は今夜も弥生は雌の獣に為る合図だった。
 真夜中家に戻り、何食わぬ顔で隆と正之が用意した野菜類をトラックに
詰め込んで、未だ朝は明けない間に裕太は広島の市場にと向かう。
裕太は考え事をする時は何時もトラックを運転する時だった。
無論周りを気にしながらの事だが、此処は誰も邪魔しない場所と時間帯、
其れで考え事を練り今迄そうして来た。
だが、今回は其処でもまるで思いが違う、あの美津さんの話しから今度は
仕事の話と進んでいる。
中にはとんでもない女性が加わり、慌てた裕太、でも今考えると最高な
組み合わせ、仕事に絡んであの憧れて居た女性が仲間にかと思うと気が騒ぐ、
裕太にとって思いもしないシナリオ、其処は如何描いても自分では仕向ける
ことが出来ない位置、其れを美津さんが起こしてくれたんだと今じゃ大感謝、
わくわくしながらトラックは一路広島の市場にと邁進する。
 午前七時過ぎ、何時もの飯屋で朝食を取る、其れは必ず寄る食堂、
日替わりに美味しいおかずを出してくれる。
「おう~田中さん、今日は顔色が良いよね」「おばさん、判るんか・・」
「え、どれ本当に当たりかね」「ええ・・」二人は大笑いする。
ここでも裕太は一時の安らぎを受けていた。

              つづく・・・・。














望愛小説103弾《獣が道を造る・・6》

 美津さんの家に招かれて向かう。
丁寧に広島での事でお礼を言われ、家に入る。
コ-ヒ-を出され裕太は飲みながら話を聞いている。
「先日は有難うございました、本当にお世話になり、済みませんでした」
「え、序でしたしお礼は要らんけ・・」
「そうは行かない、本当に感謝しているんです」
もう良いからというが何度も頭を下げられる。
 話はその事から始まる、既に事は進んでいるみたいだった。
「え・・」「娘が泣いて怒るからあいつは心底滅入り、二日前電話が来た」
「・・」「そんであいつに言ってやった、娘もそうだが、美津はそれ以上
じゃと」「・・」「そしたら、あいつ如何すれば気が済むんかと・・」
「・・」「気など如何でも良いが、離婚覚悟しんさい、相手も訴えると
言ったがね」「ええ・・」「そんでな、娘が大阪で弁護士と知合いでな、
直ぐに事を進めると息まいている」「なんと・・」
「其れで夕べ遅く流石に参ったのか、あいつが話し合おうと電話して来た」
話は続いて行く、聞くと其処は既に闘争状態と思えた。
「そんでな、あいつがとうとう本音出しよったがね、相手は会社の役員の娘
だそうな、行きがかり上そんな関係に為ってしもうたと、そんな理由でも
なんでも同じじゃが、と怒ったがね」
益々気は高ぶり、美津さんの話は終わらなかった。
 だが話を聞いてゆくうちに、此れは大変な事と思え出す。
「ねね、其れでは話し合いなど出来んじゃろうね」「そうなるよね」
「ええ、美津さん・・」「良いの、其処は既に弁護士に委託しているがね」
「まじ・・」「そう、娘が許さんと、大阪で動いているが」
「なんと、其れじゃ穏やかには済まんがね」
そう言うしか無い程決裂の文字が浮かんで来た。
 思えばこれはどうしようもなくその道にと進むと思えるし、
自分も此れから気を付けないとと思う話だった。
何とか腹の中のムラムラを出し切られたか、一時間後大きなため息をつかれる
と急に穏やかな顔に為られる。
「話はあんたには別にあるんよ」「え・なんですか・・」
そこからは裕太はドギマギして何か言われると覚悟する。
自分でも人に言われん事は有る、今迄の話を聞いただけでも怯えてしまう。
「あのね、以前から考えていたんだけどね、あんたの店の事」
「店、其処は自分じゃ無いし・・」
「ええ、そういんさると思うたがね、何処でも中身は御存知じゃけ、あんたが
しているんと同じよ」「え、でも、じゃ其れで良いとして店に何か・・」
「有るんよ、待ってあんたに会いたいと人を待たせている」「・・」
急展開で何事かとまたまた気が動転する。
 縁側に立たれ携帯で電話されている。
「うん、良いわ待って居るね」部屋に戻ると直ぐにきんさると告げると
何故か微笑まれた。
誰が来るのか皆目見当がつかない、おどおどとして待つしかなかった。
 時は来てしまう、庭に軽が滑り込んで止まる。
運転席から出た人を見た瞬間、裕太は腰を抜かした。
忘れもしない人、其れは裕太のみが知る事では有るが、なんとその女性は
裕太が高校生の時から憧れて居る人だったのだ。
「ええ~お姉ちゃん・・」「うふっ、やっと会えたね」「・・」
返事が出来ないくらい驚いている。
「上がりんさいや、こら裕太あんたは・・」「え・・、美津おばさん・・」
「あんたね、聡子に何したんね」「ええ、何もしては居らんがね」
「嘘コケ、あんた二度も聡子が風呂に入っている時覗いて居たろうがね」
「あ、あわわ~何々・・」「阿呆、其処は既に仲間が白状しているがね」
「え・・、ああ~くそ~隆か~」「うふっ、気が付いていたんよ,当時ね」
「ええ、では・・」「其処も最初から気が付いていたがね、誰かとは判ら
なかったけど、あんたら三度目は見えんかっつろうが」
「え、あそうだ、ひや~白状してしもうたがね、すみません」
裕太の慌てぶりに二人の女性は大笑いされる。
 そういえば当時覗く場所が無くなっていたのだ、窓のガラスが透明から
磨りガラスに変わっていた。
「なんと・・、見つかっていたんか」
「判るわさ、外でごそごそと音を立てるからね、怖かったが、小声で話す声は
子供と思えたんじゃ」「なんとでは・・」
「そうなる、お母ちゃんに話して磨りガラスに変えた」
其処でまた二人は大笑いされる。
「あのな、そんな事できたんじゃ無いがね、聡子が如何してもあんたに会い
たいとせがまれていたんだぞ」「ええ、では・・」
「阿呆、其処じゃ無いが仕事じゃぞ」「えっ・・」
裕太が落胆する姿にまたまた大笑いする相手二人、今度は睨みつけたくなった。
 裕太が高校二年生の時分、聡子さんは既に二十歳を過ぎた頃だった。
隆の家の近所だし、悪仲間では何時も聡子さんの話しばかりだったのだそれ程
美しく綺麗な女性、憧れは裕太にも芽生えていた。
「済みません、なんせ子供時代ですが・・」
「じゃじゃ今は如何ね、其処は要らんのかね」「え、美津おばさん・・」
「あはっ、其処は如何でも良いが、今回は仕事じゃしな、あんた店の事じゃ」
「え、店が如何して、何か有るん」
「大あり、あんたの店の外を任せて欲しいと、美津も今回は参加したい」
「ええ、意味が中身が見えんが店を如何するん」
「外販、今はそうは言わんねデリバリ-じゃが」
「デデ、デリバリ-って・・、ああ其れって車で販売か・・」
「そう、あんたの店に向かおうと思っても外に出れん人が大勢居りんさる」
「うん、じゃ其れを・・」「そう私らが組んで遣ろうと考えているんだ、
他にも考えたが、あんたが仕入れる値段は問屋から受ける品物と半値違うけ、
其処であんたをと聡子がね」「・・、なんとそうでしたか・・」
裕太は話題が変わると胸を撫で下ろす。
 四歳年上の聡子さん、当時より見ると益々綺麗な存在に為られていた。
「じゃ、其処をしんさると・・」「お願い,この事は誰しもが喜びんさる、
美津も時々介護に協力して来たが、本当に其処は皆難儀しておりんさる」
「確かに・・」「よその事は良くテレビで見るが、此処も同じじゃ、
いいや酷い、其処を裕太何とか整備するかね」
「美津おばさん、良いぞ其れ協力する」「本当か、聞いた聡子・・」
「感激しとるんよ、あんた良い男に為りんさってからに・・」
苦笑いするしかない裕太、先ほどの話しからおどおどしていた自分が
可笑しかった。
 それから車の話し、販売経路などる色々な問題が有るが、其処は裕太が
何とでもすると言い放つ。
「え、では車もかね」「うん、広島にそんな特殊な車の整備をする会社が
有る、其処に頼むね」「あんた・・」美津が喜んだ。
「ねね、裕太、こいつは今は軽い身の上じゃ、子供時代の事の続きしても
良いぞ」「ええ、何良いんさるん」
驚く姿を見て二人はまたまた大笑いされた。

            つづく・・・・。























望愛小説103弾《獣が道を造る・・5》

 六月に入るとここ等は暇、其処は田舎では癒される時期かもしれない、
やがてうっとしい梅雨が来る前と思える。
「うん・・」裕太の携帯に電話が来た。
「はい・・」見知らぬ番号だった。
「あのう田中裕太さんの携帯・・」「はいそうですが・・」
「私二つ谷を越えた所の美津ですが・・」「美津さん・・」
「ご存じないかも、でも電話した」「はい、其れは良いですが何か・・」
 電話で意外な事を聞かされる。
「え、ではあの山根紗月さんのお母さんですか・・」遂に相手が見えた。
「何か僕に・・」「来て下さらないかしら電話では中身が言えないし」
「良いですよ、三十分後なら伺えますが・・」
電話は其処まで、裕太は意外な人からの電話だった。
 紗月と二歳年下の女の子、今は大阪に出て居る筈と思いながら支度して
車に乗り込む。
「あ、そうだ・・」一度家に戻り小さな箱を抱えて車に戻る。
白壁が目立つ家、高校に通う中で道上の家は目立っていた。
「今日は・・」「ま~無理言ってすまんね」「いいえ・・」
挨拶をして玄関から家の中にと入る。
「なんと・・」初めて家に来た裕太は居間を見て綺麗に整頓されている
のに驚く。「綺麗にしんさって居られる」「あらら、褒めるの・・」
紗月ちゃんと似ていて綺麗な母親だった。
 コーヒ-を出されて座る。
「何か・・」「待って、話はする」前に座られる。
此処は夫は広島に仕事に出て居られると聞いている。
「あのね、あんた広島によういきんさるじゃろう」「そうです」
「じゃじゃ、頼みが有るんよ」「何です」
其処から話し難い事なのか間が開いた。
「何か広島の事・・」「え、あんた・・」「何か有ったん」
「うん、そこなんだけどね」またも中身を言われない。
 漸く話をされ出す。
「え、じゃお父さんの事・・」「そうなの、人には言えんが、あんたは広島
に仕事でいきんさろう、其れで聞いている」「お父さんが如何したん・・」
「おかしいのよ」「おかしい・・」「そう、この間も戻ると直ぐに帰るし、
田植えも二日だけよ」「・・」「そんでね、娘が其れは可笑しいと・・」
「・・」「ねね、あんたにお願いがある」「何でしょうか・・」
「あんた広島にいきんさる時、あいつの事気にかけてくれんね、いやね、
女が居るならそれでもええけ、知りたいだけ」「え・・」
「もう其れほどしがみ付くほどじゃ無いし」「ええ・・」
「だって、あいつと出来たんは事故よ」「事故・・」
「そう、酒を飲んでその勢いで・・」「あらら・・」
相手は山根美津と言い、ここ等じゃ綺麗な人と有名な女性だった。
聞けばその時身籠りそのまま流れで結婚、出来た結婚だとは知っている。
 「お願い、ねねなんでも聞くから調べてくれんかね」「ええ、僕がか・・」
「頼みます、証拠だけでも・・」「証拠・・」
「そう、二人で居る時の写真が欲しい」「ええ・・」
呆れる顔を裕太はしていた。
「でも二人の写真て如何するん」「あのね、娘がいうには既に部屋にいると」
「え、本当に・・」「部屋に行った時感ずいたって」「・・」
「それでね、マンションから出る時は一緒のはず」「何でです・・」
「だって相手も同じ会社だと思える」「あらら」そこまで聞いてしまう。
「なんでもするけ~、証拠が欲しいの・・」再度懇願される。
「でも・・」「裕太さん、仕事荷を降ろすと何時くらいに為るの」
「それは七時過ぎかな・・」「じゃ其れから行けば間に合う・・」
「でも・・」「お願い・・」「じゃ、奥さんがいきんさいや、携帯で写メ
取れば良いが」「え、私が・・」「それが確かでしょう、僕が見るより」
「そうだけど」「何時でも行けますよ、月曜日と木曜日なら乗せますが・・」
「あ、そうよね、じゃじゃ行く」「本当に遣るの・・」「遣る、お願い」
そんな成り行きで美津さんを車に乗せる事となる。
 二時間居て解放され家を出る。(なんと浮気か、人の事は言えんが・・)
裕太にも其処は言える。
 六月七日未だ夜が明けない午前四時前、裕太の家に軽が庭に来る。
婆ちゃんには事情を話している中,美津さんは婆に何度も頭を下げ挨拶、
トラックの助手席に乗られる。
 「ねね、御免ね、確認だけはしておきたいし、あ・この間のお菓子
美味しかった、広島でかいんさったん」「うん・・」
「じゃ今回も買うから教えてね」そんな会話をしながらトラックは走る。
「如何しんさるん」「そこね、先に現場に連れてって、其処に美津は残る」
「え・・」「だって何時出て来るかも、荷を降ろされたら来てくれない」
「そうか待ち伏せか」「ねね・・」「良いですよ」
裕太は其れは賛成、現場で張る事が嫌だった。
 市場には五時過ぎには毎度行く、荷を下ろす時間が決まっていたのだ。
幸か不幸か相手の部屋は横川、マンション前で降ろすと裕太は市場に向かう。
 そして一時間荷卸を済ませ横川に行くのは未だ早い時間、
なじみの喫茶店で時間潰しする。
八時過ぎに美津さんを降ろした現場に向かう。
 運悪く雨が落ちていた、其れでも美津さんは現場に居られる。
「美津さん・・」「ああ、きんさったか・・」「如何・・」
聞くまでも無い、目が真っ赤だった。車に乗せると裕太に構わず泣かれる。
「・・」無言で運転する裕太、話はしないが結果は判る相手だった。
 「帰りますか・・」「・・」返事の代わり頷かれる。
こうして戻る中,車内は重苦しい空気、互いに会話は無い、
其処は理解出来ていた。
帰路の一時間半は地獄そのものだった。
 送り届けて流石に今回は裕太は疲れた、
婆も何も聞かないけど孫の裕太を見れば一目で読める。
 一週間後又も美津さんから電話が来た、
家に来て欲しいと今回も懇願される。
裕太は軽で美津さんの家にと出向いて行く。

                   つづく・・・・。


























望愛小説103弾《獣が道を造る・・4》

 広島の市場を出てから此処に着た裕太、其処では美代さんと言われる人と
一時間以上話をしている。
美味しいコ-ヒ-を飲みながら、今話をしている中身は里の婆ちゃんの事、
既に其処に話が行くまでには、裕太の立つ位置が美代には判って来ていたのだ。
「ま~、じゃじゃあんたはお婆様の誘導で・・、なんと凄い人じゃがね」
「うん、郷では一目置かれているよ」
「だろうね、良い事じゃないね、あんたが運ぶ荷物もだが、郷じゃお店も重宝
がられるよね」「言えるね、今はそうだけど先は如何かな・・」
「ますます重要になるけ、あんた頑張りんさいや」
そう言いつつ、なんと美代はこの青年の姿に少し絆されている。
話もそうだが、二度目のはずが、美代には古くから知り合う間に思える程、
二人で居ても落ち着くし、話の話題が美代には湧いて出るように思えた。
 其処には美代が忘れられない事が重なる。
遥か昔、美代には青春時代の思い出が有った。
忘れる事が出来ない、十年前の事、美代が三十の頃、事件は起きた。
 その日もこんな季節、夜一人で家に居た時だった。
当時も隣は空き地、既に其処で暮らしていた親戚は家を解体し大阪に出られた
頃と思える。
夜中に何か音がするから窓を開けて見た、すると自転車が倒れてその傍に男が
一緒に倒れているのだ。
美代は驚いて声を出し、大丈夫ですかと声を懸ける。
すると若い青年が腰を擦り、夜中にすいませんと言う。
でも起き上がれそうにない姿に、寝間着姿で家を飛び出し空地に美代は向う。
男を見ると腰を痛めたのか動けない様子、何とか家にと連れて入り、
入り口の小さな部屋に寝かせた。
「医者呼ぼうね・・」「いんや~、しんさんなや、僕が困るけ・・」
「困るの・・」「はい、家を飛び出した・・」「え、え、家飛び出したん」
「うん・・」そこで何か有ったと思えた。
「寝ておりんさいや、御腹は如何ね」「・・」「腰痛めたんか」
「うん、すぐ手前で転んだ、其処で腰を打ったみたい」
「なんと、そうかねじゃ寝て居れば・・」
「おばさん、いやお姉さん、済みません」何度も頭を下げて謝る。
 暖かいお茶を飲ませて美代は一度部屋を出た。
居間に戻るが気に為る、様子を伺いに土間を歩いて入り口の部屋に向った。
「え・・」なんとその小部屋からすすり泣きが聞こえたのだ。
美代は思わず戸を開けると、青年は泣いていた。
「どが~しんさったん、家を出た事かね」「・・」
「何聞いているけど言えんのか、悪い事かね」「・・」
未だ青年は言葉を発してくれない。
「あんた、悪い事しんさったんか、そうは見えんがのう、なして泣きんさる」
美代が部屋に入ると男はいきなり抱き付いて大泣き、
しかも慟哭まがいの泣き様だった。
へたり込んで男を抱え泣き止むまで待つ、美代は男に対しての怖さはなかった。
 暫く泣くと、鼻をすすり、美代の体から離れた。
「何が有ったん、言えるなら聞きたいけど、あんた家は何処ね・・」
「・・」返事は戻らない。
「良いけ、言いたくないなら言わんでも良いけどね、でもこれからどこに行こう
としたんね」「・・、お姉さん、僕大変な事したがね」
「何しんさったん・・」「・・、僕は悪い男じゃが、何であんな事したのか」
「何したんか、言わんと判らんがね、警察沙汰かね」「・・」
「此れ、黙っては判らんけ~いんさいや」
「姉ちゃん、僕どが~したらいいか判らん」
「阿保じゃ、中身が判らんから何とも仕様が無いけいね、いんさい」
「・・」暫く部屋は静か、漸く青年が口を開く。
 其処から美代は口を挟まずに話し終えるまで傍で聞いていた。
 「え、義理のお姉さんじゃね」「うん、まだ結婚しんさって一年も経たん」
「あらら、其の義姉をあんたがかね・・」
「無我夢中だった、訳が分からんうちに飛びついてた」「あらら・・」
そこからも話を聞いて行く。
「そうかね家は何処・・」「八重」「近くじゃね、其処から自転車かね」
「・・」返事は無いが頷いた。
「じゃ、家は今は誰が居りんさる」其処からも話を聞く。
 名前は浩二で家で農作業の手伝いをしていたと聞く、ホウレンソウ栽培を
兄と一緒にしているのだ。
今兄は仲間と旅行と聞いたら、美代は想像がついた。
「じゃ今家には誰が居りんさる」母と義姉と聞く。
「そうかね、あんた大変な事と理解出来るよね」「はい・・」「そうね」
美代は暫く考える。
 「逃げたら駄目、悪いと思うなら謝ろうか、其れでも駄目なら考えようね」
「え・・」「良いから、あんたは逃げると其処から逃げれるが残された相手は
如何かな」「・・」「あんた、其処を考えて泣いていたんじゃろう」
「・・」「じゃ今夜は此処で泊まりんさい明日にでも何とか考えようね」
美代はそう言い聞かせる。
 朝が来て男を連れて家を出る、自転車に乗って美代も同行、そうして八重の
家にと向い、男を近くに居らせて美代だけが家に乗り込んだ。
 一時間話を終えると、美代は男が待つ場所にと戻り、母も同行されていた。
青年は母を見ると飛びついて大泣き、迎える母は背中をさすり泣き止みを待つ、
その姿に美代は感動する。
その場は美代は引き下がり、数日後、その母と義姉が家に来られ、話を聞いた。
なんとか穏便に済ませたと、義姉は青年が飛び掛かるほどは有ると思えた。
 そんな事の青年が、今居る裕太に思いが被さるのが不思議と美代は思える。
その後その家とは行き来が出来、今は青年は田舎を出て大阪で働いている。
「裕太さん、夕食食べんさるか・・」
「いいや、帰る、こんな時間か、ご馳走様でした」「・・」
苦笑いしながら裕太を見送る、十年前の青年とは違う立位置と知らされた。

           つづく・・・・。















































望愛小説103弾《獣が道を造る・・3》

 裕太が今話をする相手、婆ちゃんにそそのかされて今が有る。
高校の途中で車の免許を取らされ、挙句に二年がかりで牽引や大型車迄取る。
其処には二人での話し合いの末の事だが、今仕事が出来るも総て婆ちゃんと
相談しての事だった。
 以外にも色々と裕太はして来た、郷で生きるには何が必要かを嫌程
聞かされて来た。
六年前、裕太が大型免許を取ると、直ぐに裕太の同級生が数人谷に残って
いた、二人を集めて婆ちゃんが話をする。
「ええ、お婆ちゃん、其れ良いぞ良いよ、するする・・」
同級生の仲間、隆と正之は感激していた。
其れが今動いている仕事だった。
隆と正之は地元で野菜造りを広める動きと、出来た野菜を集め仕分けする
作業を任される。
其れには裕太の家の納屋を改造し広めて作業場に変える、
車はトラック一台で始めた。
 それが二年後には冷蔵車も買い、そうして今裕太が広島で集める品物を
この地域で売る算段も婆ちゃんが薦めていた。
其処は婆ちゃんの一番下の妹の家族が請け負い、集落が数か所ある中で
メインの小さな町で店を開いている。
都会のコンビニとは少し違うが、此処では重宝な店、ミニス-パ-として
地元の人が喜んでくれていた。
無論値段も安い、裕太が広島で仕入れているから同じ品物でも安いのだ。
其処で売り上げは婆ちゃんの妹家族に為るが、ちゃっかり安いから売れる、
売り上げの5パ-セントは裕太の家に来る。
其れでも安いから利益は相当な物、山奥だからそう数が売れる訳じゃ無いが、
ソコソコは上りが有った。
無論、隆と正之も裕太が運ぶ野菜類の広島での上がり中で給料として貰える。
其れだからこそ皆が頑張れる、婆は其処を見越し何とか仕事には出来ていた。
 その体制が出来てから六年が経過していた。
「お前な、婆が言いつけるだけじゃ駄目だぞ」「え、何で・・」
「あのな、お前も考えんさいや、此処で何をすると楽しいのか良いのかを
じゃがね」「え、未だするん」「あほう、これくらいでは我慢できんぞ、
お前が考えて何かしんさいや、少しは金が溜まっているじゃろう」
「うん・・」「じゃ先にもっと良い事考えるんじゃ」「婆ちゃん・・」
「何でも良いが、今じゃ多恵も喜んで店をしている、娘も手伝うから良いが、
其処は其処、此処は未だ違うのを考えろ」「・・」
返事が出来ない、本当に貪欲か其れとも裕太の事を考えての事かは定かでは
無いが呆れる顔で裕太は婆を見た。
「良いな、女もそこそこに楽しみんさいや、此処じゃ顔が有るけ~大っぴら
には出来んじゃろうがね」「うん・・」「あはっ、でもしとるよな」
「ええ、婆ちゃん・・」「阿保じゃが、皆に知れるぞ注意しんさいや」
「え、うん・・」「馬鹿垂れが、白状したがね」
「ええ~婆ちゃん、酷いぞ」
「わしはお前の三倍も生きて居るがね、見えるんじゃ」「嘘・・」
「あはっ、其処は嘘だがのう、そうかなと・・」「呆れるが・・」
 本当に物凄い婆様だと何時も驚かされて来た、だが、婆の御陰で今が有る、
仲間も婆ちゃんには頭が上がらん状態と聞いている。
裕太が広島に出る事は二つの仕事絡みに為っているのだ。
毎週月曜日と木曜日は広島の市場に向かう、其処で野菜などを卸し、
戻りは仕入れる品物を多恵さんからメモを貰い集める。
往復トラックは荷物満載で動いて来た。
 三月二十二日、裕太は広島からの戻り道、あのタイヤがパンクした場所に
向かっていた。
横の広場に車を止めると、裕太はその家にと向かう。
「今日は・・」「は~い・・」奥から返事が聞こえる。
「え、あ、ああ~あんた・かね」「え、来ちゃいけんのか・・」
「ええ、そうじゃ無くて、今思い浮かべていたから驚いたんじゃがね」
「此れ、この間のお礼・・」「ま~綺麗じゃないかね、チ-ュ-リップは未だ
早いじゃろうに有ったんか・・」「外国からじゃ・・」
「なんと綺麗、有難う上がりんさいや・・」
二度目、奥に歩くと川が見れるぞと裕太は喜んでいた。
 縁側に座り、流れる川を眼下に見て長い時間動かなかった。
座る横に在のコ-ヒ-が出た、美味しいと飲みながらも飽きずに川を眺める。
「あんた、年は幾つじゃ名前は何・・」
そこを答えながらも目は川が流れるのを見詰めていた。
「そうかね、二十六か、良い年ごろじゃがね、付き合う女性おりんさるんかね」
「其処か、いるようで居ないかな・・」「意味しんじゃね」
「言えるわ、でも恋はしたいな・・」「出来ているんじゃろう」
「其処か、少し違うかな」「如何違うん」「おば、いや奥さんには話し辛い」
「あらら、不倫かね」「・・」「当たりか、気を付けんさいや」
「うん・・」「うふっ、正直もんじゃねあんた」「裕太です」
「じゃじゃ、私は美代です」「え、そう良い名前ですね、お年は・・」
「こいつ・・」頭を少し叩かれ笑われる。
 本当に二度目とは思えない程二人は話しが出来る、
其処は相手の女性が良いのか裕太は自分から此処に来ているのだった。
 美代は暇な毎日を過ごす身、其処に現れた青年を眩しそうに見詰めて居る。
今日は何を里から運んだのとか、仕入れて戻る品物は何かと聞かれても返事が
出来る相手、裕太にとっては珍しい事だ。
 知らずに其処に居る時間の経過が早かった。

            つづく・・・・。















望愛小説103弾《獣が道を造る・・2》

 裕太は幸か不幸かタイヤのパンクで其れを変える中、話好きなのだろう空き地
の隣の家のおばさんに捕まっている。
 ニ十分で交換は終える。
「あんた生活品て何・・」「え、色々ですが・・」「じゃテッシュ有るん」
「え、あある積んでいるが」「じゃ買う」「ええ・・」
「ねね、買い物遠くで困っていたんだがね、買わさせて・・」
「え、良いですけど・・」なんと無茶な事、でもあると言った手前荷台に入る。
五個一束のテッシュを取り出して出る。
「此れで良いかいのう」「此れじゃが、有難うはい此れ」「え、金は良いけ」
「いけんけ、品物じゃろうがね、金出すけ・・」「でも・・」
「五百円で良いじゃろう」「余るけお釣り」「要らん手間賃・・」
「ええ、其れではいけんが・・」「良いのよ、寒いけはよう行きんさいや、
其れとも中で本格的なコ-ヒ-出そうかね」
「え、其処は良いけ、じゃ二百円お釣り」「ま、あんた要らんといったがね」
漸く相手の顔をはっきりと見れた。
「あ、御免なさい、おばさんじゃ無いがね」「え・・」
「てっきりおばさんと思い話をしていたが、なんと娘さんかね」
「ええ~、あんた~笑ええるがね、娘さんだと~」仰け反り大笑いされる。
「違うのか・・」「違う違うけ~、あんたまげな事いんさるがね」
未だ大笑いされる。
 だがその問答で相手は裕太に興味を持たれたのか、
「こうなりゃ~是が非ともコ-ヒ-じゃね、きんさい」「え・・」
「良いから来て・・」なんと強引、裕太を否応なしで隣の家にと誘われる。
「・・、・・」家に入ると裕太は絶句、永い土間を歩いて奥に向かう。
其処は道端で車が通る街道筋、昔は総てこの道を通る事に為っていたが、
今は高速が出来てこの道も車は近所の生活道路だけと思える。
其れでも煩い事は違わない、其処で此処の家は奥が深かった。
「え~これは・・」「そう、此処は道側じゃ煩くてな、奥に家を伸ばしたが」
「なんと静かですよ、え、あ、裏に川が・・、ひや~綺麗じゃが・・」
「気に入ったかね、夏はアユが取れるけ~」
「なんと知らなかったが、川かほんに綺麗・・」縁側に立って見惚れた。
 「さ、出来たけ飲もう」「あ、有難う御座います」
裕太は居間に座り本当に美味しいコ-ヒ-を飲まされる。
「美味しいです・・」「じゃろう、此れが唯一の楽しい」
そう言われお互いにコ-ヒ-を飲んだ。
「ご家族は・・」「うふっ「か家族何て良いもんじゃ無いけど居るよ」
「良いなこんな家・・」「そうかね、あんたの家は何処じゃ」
「この道を走ると先に、広島県を超すと直ぐです」
「え、超す、じゃ三坂峠をかね」「そうなる」「へ~じゃじゃ邑南町かね」
「そうです、知っておりんさるんかね」
「うふっ、娘が其処に居るけ、何でそんな田舎にと思いんさろうがね」
「え、其処は・・、お嫁さんですか」「そうなるがね、あいつはもう男が好き
じゃな、抱き付いてから行くと煩いけ呆れて行かせたがね」「ええ・・」
そこで笑えないが、言い方が可笑しかった「今じゃ後悔だとさ・・」
「え、何で・・」「だから、最初が良過ぎたんじゃね」「・・」
「あのな、言っとくけど最初女には頑張りすぎん方がええけのう」「え・・」
「だろうが、最初に抱かれて相手が頑張ると女は常にそうだと思うがね」
「・・」「だから、最初から頑張ると、其れからが大変、受けた女は最初が
そうだからそれが普通と思うがね」「・・」「違うか・・」
「え、其処はあんまり要は判らんが、そうなるん」
「そうじゃろうがね、受けた味は染みついている、其処を考えんと頑張るから、
男は困るぞ」「なんと意味が漸く判りました」
互いにそんな話をするつもりは無い筈だが、裕太が住む場所に娘が嫁いでいる
と知るとんな話になってしまう。
 だけど、なんと話しやすい人か、裕太は時間の経過も忘れて話に夢中だった。
話しの中身に興味が湧いての事、其れは女を扱うには先を考えてしんさいと
言われる始末、笑いながら聞くが面白い話し方には流石に裕太は感服した。
「あ、大変、こんな時間だ、御免おばさん嫌奥さん、ご馳走様でした」
「あ、帰るんかね、そうか仕方ないのう、忙しい所御免な」
思うとなんと此処で一時間半経過していたのだ。
慌てて挨拶を終えると車に乗り込んだ、横で手を振り送られた。
 「く~凄い人じゃがね、初対面で俺になんとあの話方は凄いぞ」
変な方で関心をしながら車は里にと向かう。
 戻ると、此れまた凄い自分の婆に出来事を夕ご飯の最中に話す。
「ええ、真か其れ、其れは凄い女性じゃな、何ぼじゃ」
「なんぼ・・、ああ年か、そうだな娘が居りんさるから四十は超えておると思う
か聞いたら手前だと・・」「ええ、じゃ娘は幾つじゃろう」
「未だ二十ソコソコじゃないかな」「ま、そうかねまげな女かね」
「うん、綺麗じゃったが」「そうかそうか、じゃ今度広島で花でも買って挨拶」
「え・・」「阿呆、より道を造れや、もう八年走っておろうが、休憩場所じゃ」
「うへ~婆ちゃん・・」「なな、アソコ暇じゃろう」「アソコ・・」
「阿呆股の付け根じゃ」「婆ちゃん・・」二人は其処で大笑いする。

            つづく・・・・。
























望愛小説103弾《獣が道を造る・・初回》

 平成二十二年、三月十五日、田中裕太は何時ものトラックを運転していた。
此処は日本では有るが忘れ去られた地、過疎地と言われて久しいが、
其処も今じゃ破壊地と名が変わるほど酷い。
中国地方の山奥、其処は世間とはかけ離れた地だが、
どっこいまだ多少だが人が生きている。
 其れは大事な子供を産んで育てて、後に子は羽ばたいて都会にと向かうのだ。
だから此処は人の産まれて育つ、只の巣となっている。
産んで育てるだけの巣,雛が羽ばたけるようになればおのずからその地の
巣から飛び立つ。
其れが幾度となく繰り返されて来たが、今じゃ其処すらままならない状態だ。
其処は後に子を産んで育てる親鳥が激減、しかも半端無い程落込でいる。
 そういえば日本全国こんな過疎地は至る所に存在する。
其れが今の日本、当たり前だが、其処は以前より危惧された事項、
でも世の中の変わりようは其処は容赦ない、都会に向かえばどれだけ此処より
違う生活が有るのか誰もが知っている、田舎は先が見えない望めもしない。
 そんな状況の中で田中裕太は生きてまだその巣から出様とはしなかった。
其れは生まれた地で生きると決めていた訳じゃ無い、
だが結果今でも生まれた地で生きていた。
巣を飛び出ることが出来ない事も有るが、裕太には都会に憧れる部分が薄い
のか、一度も其処を出ようと考えた事はなかった。
 理由は簡単、生まれて育っている家には既に親鳥は居ない、
二人とも追いかける様に中学時代に亡くなっている。
じゃ出れるだろうと思うが、其処には婆様が生きているのだ。
 中学から高校までその婆様が裕太を育てて来られている。
でも其れでも都会に出れば済む事、何処にでもこんな家族は存在する、
だが裕太は出ていない。
 そんな裕太が運転するトラックは過疎地と都会の接点、
つまり都会に里の野菜などを積み込んで都会の市場にと運んでいるのだ。
だから巣にとどまるとは言えないが、生活している場所がそうだから都会
とは別、此の運び屋も婆が決めた。
其れで免許を取りいち早くトラックを婆が買い、与えている。
山奥から運び出す野菜などが集められ、其れを広島の中央市場に卸している。
運んで戻りは郷で必要な生活品を仕入れて戻る。
聞こえは良いが、此れも昔と何ら変化は無い仕事、昔はこんな山奥に魚や
生活品は手に入れるのが難しかった。
其れをするのがブリキの大きな缶を背負う婦人達、海際から新鮮な魚を
缶に詰め込んで背負い、山奥まで来る。
其処で住んでいる人は魚などを食べることが出来ていたのだ。
無論金銭売買は少ない、其処は代価として物物交換に為る。
米や大豆などを缶に詰めて背負い海際の部落に戻る。
そんなツナギをされる婦人は多くおられた。
だが、其の効果は絶大、どれほどの人々が恩を受けていたのか、
婆様の話しでは裕太が生まれた里でも数多くの嫁が海際から山奥にと嫁に
来られていると聞かされる。
それらも総てそのでかいブリキ缶を背負い訪れる婦人達の仲介の御陰と
聞いていた。
 「ふ~やはり田舎とは違うけ~、もう雪など欠片も無いが・・」
運転しながら裕太は多くの荷物を荷台に積みこんで里にと向かう。
広島と里を行き来する頻度は数えきれない程走っている。
向う時は鮮度を落とさぬように大朝から高速に乗る、
戻りは急ぎが無い時は平地を走るのだ。
広島市内からヨコ横川を経て祇園,可部八重大朝三坂峠を隧道で走り田所
から小さな峠を越えると里が有る。
其の道のりを何度も通う,今日トテ変わらぬ道だった。
 祇園を過ぎて走っていると車体が揺れ出す、
「え、ああ、拙いぞ・・」トラックを止め裕太は外に出てタイヤを見る。
「あ~遣っちまったが・・」後輪の右側のタイヤがパンク、
其処で少し先の空き地に車を動かして止めた。
八年間も走っているとこんな事は慣れている、一度や二度じゃない、
手慣れている仕草でタイヤ交換をする。
「ま~あんた、パンクかね」「え、ああ~、慣れているし」「寒かろう」
「其処も何とか・・」「え、あんた何時も通るトラックじゃね」
「え、おばちゃん、見んさっているんか」
「ああ、わしの家は道筋じゃがね、何度もこのトラック見ているが・・」
「そうかね、煩いじゃろう」「いんや~慣れているがね」
笑いながらそう言われる。
 人との話は苦手だったが、以前より裕太は其処は苦手じゃない、
仕事柄話は出来るようには為れていた。 
黙々とタイヤ交換をする姿、「あんた寒かろう缶コ-ヒ-だけど・・」
「ええ、有難う御座います,よばれますね」
軍手を外し、暖かい缶を両手で包んで頭を下げる。
「何度も見えるがあんた何処から何か運んでおりんさるんかね」
「ええ、郷から野菜等を、戻りは荷台は生活品」
「なんと、往復でかね、良いじゃ無い其れ・・」
話好きなのか裕太から離れてはもらえなかった。

                 つづく・・・・。













新年のご挨拶・・。

 昨年中は色々とお世話になりました。
本年もどうか宜しくお願い致します。
投稿させて頂いてから早くも十三年目を迎えます。
今までつたない小説擬きを投稿し、
長い間ご愛顧を賜り此処でお礼を申し上げます。
 正月を挟み投稿はお休み頂いていますが、
一月中頃からまた始めたいと思っております。 
其れまではお暇なら今まで投稿している小説擬きを見ていてください。
 今年も相変わらずひわいな文章で相済みませんが、
午前二時頃には又お会い致しましょう。
 では皆様、今年も良い年でありますよう此処でお願いし、
ご挨拶といたします。

   令和2年元旦・・・・。
              上山惣一記。