望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・7》

 車は快調、既に一宮から高速に乗り、直ぐ東海北陸道に入りジャンクション
を通過し、やがて間も無く岐阜の関を通過する筈だ。
 思えば当てもない旅にする筈が、昨日の縁で最初に向かう先を決めた。
色々な理由が有るが、男の澄人にはどうしても伺う理由が出来てしまった。
其れは言わずと知れた女体探索、凄まじい程味わった身は其処だけでは許さ
ない、澄人が思う以上肉が求めていた。
これまではこんなジャンルには興味が無かった、そう言えば嘘になるが、
最近はそちら方面は気にしていない、未だ家族を失って一年が経つ程度、
そんな事を思う気力が失せていたのだ。
 だがだが、其処を掘り起こしたのが居た、真奈美さん、その人は澄人の
大学時代知り置く女性の義理の母親、しかも友の彼女の義母だった。
真美ちゃんは知らない仲じゃないから道で出会うとお茶位はとそうなる、
其処で意外な話を聞かされ、とうとう御器所の家に一緒に向かってしまう。
家の災難を聞く羽目に為ると、澄人は抜き差しならぬ立場に追いやられ、
だが其処でも澄人は何とかしようと考えた、総て今思えば相手は女性、
しかも身震いするほどの姿、其れが何と友の彼女じゃない、義母にだ、
考えられないがそうなった。
 車を運転しながら、昨日の事を思い浮かべるから、車が高速で、
真直ぐ走れていない、後ろから警笛を鳴らされ、我に戻り、
何とかまともに運転開始、聞いたインタ-は郡上八幡次のインタ-だ。
 「もう直ぐか、意外と早いぞ」名古屋を出てから一時間半しか経過
して居ないが、既に車は岐阜のど真ん中を走り、やがて八幡のインタ-
を通り過ぎると見ていた。
 午後一時半、何とか其のぎふ大和インタ-を車は降りる。
此処迄ノンストップで走って所為か喉が渇き、道に面した喫茶店に入る。
 コーヒ-を頼み、スマホを弄る。
「え、来ている・・」メ-ルが来ていた。
【どうしてるの、未だ名古屋ですか・・】横浜の美咲ちゃんからだった。
返事を送り、又コ-ヒ-を啜る。
 「ね、あんた名古屋からかね・・」「え、そうです」
「こんなところに用事かね」「え、まそうなりますね」「あら、仕事・・」
「え、そうじゃ無いけど」「御免、探索し過ぎね」「そうなりますかね」
「あらら言われる」気さくな店員さん、いやもしかすると店主かと思えた。
「手前は郡上、先は白鳥から白川郷に為るけど行くん」
「え、まだきめてはいないけど・・」「決めて居ないの珍しい・・」
「そうなるんですか・・」「ここ等滅多に名古屋ナンバ-は無いけいね」
「そうですか・・」「ねね、行く当て有るん」「そうなりますけど・・」
「なあんだ、そっかそうだよね」そんな会話をした後車にと向かう。
「有難う・・」手を振り見送りされた。
「へ~、ここ等は気さくなんだな」喫茶店で声をかけられる事は余り無い、
其れが有った、しかも若い女性には見えるが、自分と同じくらいの年かと
思わせる程印象深い相手だった。
 気を取り直して走る、ナビは正確に行く先を示してくれるから従う、
地道は国道318号線、三級国道其の物小さな川を伝い山にと向かう道筋、
走った。
五分後、辺りが豹変、盆地の形状の中に入り込む。
「あ、大和町だぞ・・」ナビより先に気付いた。
 車の走りを緩め四方を見る。
「あ、有った、酒屋さんだ」そこの手前の橋を渡れと聞いて居るから従う。
そうして走ると民家がちらほら見える、その道を走り置くから二軒目
だと聞いて居た。
 「・・、ア、アソコかな・・」少ない家だからすぐに見つかった。
その家専用か狭い道に入り走る。
突き当りがその家と思えて、庭の手前で止めると車から降りる。
 誰も居ないのか静かな場所、鶏が驚いたのか動きを止めてこっちを見る。
「どなたですか~・・」家の裏から声がすると本人が庭に現れる。
「あのう、名古屋から来たんですが・・」「名古屋、ああんた遠藤さんか」
「え、はいそうですが」「まよう来たね、車を庭に入れて上がりんさいや」
応対された人は母親か、元気そうな姿、田舎特有の人と言えば当て嵌まる。
 ワイン好きと聞いて居たからセットを持参する。
渡すと満面笑顔、安物でも美味しいから、でもこんな高価なものは喉を
通した事無いがね、笑顔の後そう言われた。
 インスタントだぞと呟くように言われてコ-ヒ-を出される。
小さな盆地だが結構見惚れる景色、庭の前は右手から下る様に段々で降り
てきている。
 「あんた、朝電話で聞いたが、よう援けてくれたね」
「え・・、行きがかり上ですから、大半は自分たちで賄われていますよ」
「そうだが、私も聞いて何とかと考えていた矢先、家に戻そうかと話し
たが、其処はきっぱりと断られたがね」「そうでしたか・・」
「だがな、朝方とんでもないテンションでな、電話が来たぞ」「・・」
「そんで、其れが呆れかえるがね、昨日まで金金と言っていた口が・・、
今朝は生きて手最高凄い幸せと、煩い程な・・」「・・」
コ-ヒ-を続けて飲む澄人を横で見ながら話を続けられた。
 「災い転じて福が来る、と言ってな、中身を聞く気も無い私に・・、
もう止まらんかっただぎゃ、私も聞いて行く内に話しの中に嵌込んでしもう
たがゃ、とんでもない中身にじゃ。私は天を見た、昔の話だが、ここ等では
唯一愉快な話が語り部で残されている。其れを思い出してしもうただが」
「え・・」「それはなこの谷でだが起こった愉快な話じゃが、其れは後でも
良いけ、今はあんたにお礼がしたいんじゃ」「其処はお構いなく・・」
「そうは行くかね、聞いたらじっとしとれん質でな、あいつは名前まで変え
よって、その家で生涯暮すと抜かしよったがね、だが今は如何でも良いと、
え~と耳を疑う、何でかと聞いたらあの様、聞いてて呆れかえっただがね」
「・・」「そんでな、あんたに迷惑は懸けんから従わんかね」
「従うんですか・・」「ああ、其の後はたんと楽しみんさいや、ここ等じゃ
こんな愉快な話なんぞ無くなっているが、昔を紐どけば有るんだ、だが見て
この盆地には三十数軒あったが今は十二軒のみ、周りの集落も同じ運命、
仕方が無いけど無様じゃ、そんな谷でも縋りついて生きておるだぎゃ・・」
「・・」「さてと、あんた三日位貴子に身を預けてくれんかや・・」
「え、預けるんですか・・」「出来たらじゃが無理か・・」
「無理じゃ無いけど、何か有りますか・・」「作るんじゃ」
「作る・・、ですか」「そうなるが、あんた次第だけどな・・」
意味しんな事を言われる。
「澄人さん・・」「え、あはい・・」「あんたの体借りるが良いよな・・」
「身体・・、えああ~では・・」「総て聞いた、其れで待って居たんだ」
「・・」驚いて横の母親の顔を見て仕舞う。
 (ええ、なんとこの人は・・)陽に灼けた顔だが、見ると正しくあの妖魔
の真奈美さんその者だ、年こそ取られているが、顔は正しく似ていた。
「駄目かね・・」「え、其処は預ければいいんですよね・・」
「そうだが、良いぞ凄いよあんたは、いいや澄人さん・・」
笑われると益々気が可笑しくなるほど妖魔に見えだす。

           つづく・・・・。



























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