望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・13》

 煙草を買うと言って家を出る。
インタ-傍の唯一の信金ATMで五千円札十枚と、
後は一万円札を三度繰り返し出して車に乗り込む。
コンビニは無い、雑貨屋でタバコとお菓子と酒を買うと、店の主が不思議
そうに澄人を見られる。
「何か・・」「え、ああ、済みません、あんた見かけんが・・」
「そうなりますね、お客として訪れているんです」「え、そうか、何処ね」
「ええ・・」「何ね、沢山買ってくれるから、相手は女性じゃね」
「ええ~・・」「だって、あんた酒はワインとビ‐ル、ここ等じゃワイン
なんか買う人は一人だけだぎゃ・・」「・・」
「うふっ、矢張ね、じゃあそこの佳恵かね」「・・」
「良い子だぎゃ、ここ等で燻る子じゃない、勿体無いとみんなが言いよる」
「・・」「そうか、じゃあんた金有るなら、此れ持って行け」「え・・」
手渡さたのは、ロ-ル巻の卵が加わる名前は知らないけど見た事が有る。
「これな、佳恵が大好きなんだぎゃ、此れで落とせや」「ええ~・・」
「安くつくぞ・・」「おばさん・・」
「うふっ、其れとな、母親はワインだけどな、宛は此れに限るぞ・・」
出されたものはチ-ズを包んだ長方形のビスケットだろうか袋を三つ
篭に入れる。
「有難う、他に何か有りますか・・」
「だな、果物はバナナしか買わんが、メロンをいつも見ているが・・」
「其れも買うか・・」「はい・・」
本当に商売上手、苦笑いしながら篭が満載に為る。
「良いぞ、そんでな、あいつは頭が切れるから、娘を何とか外で倒せや」
「ええ~・・」「それは言える、娘は最高な子だぎゃ、ここ等で色んな子
が挑んでいたがのう、皆敵わずに負けたが、アンタ返り討ちにしてみたら」
「負けますよおばさんには・・」大笑いして見送られた。
(何とも言えない、アッケラカントした地域だな・・)
 戻ると、庭で待つ女性・・、「え~仕事は・・」「早く終えたの・・」
何と佳恵さんが待たれていた。
「お母さんは・・」「あら、すれ違いなの・・」「え・・」
「買物に出たがね」「・・」すれ違わないと思うけど行かれたんだと知る。
 「なあに~、何で沢山・・、ええ~嘘でしょう・・」
「あはっ、バレたか・・」「え・・、じゃこれは中村屋かね」
「そうなるな、だって店は其処しか無いぞ・・」
「呆れた、え~メロン・・、もうおばちゃん押付けたな・・」「判るか」
「ここ等は皆見通しが良いからこれだから困るのよ」
そう言われながら苦笑いされる。
 「なあ~、夕方には出掛けるよ」「え・・」「だって蛍・・」
「あ、そうか、じゃ時間を見計らい出掛けようね」「期待しているんだ」
縁側から台所に向かい大きな声で言う。
ここ等は田舎でも家はまばら、其れだから声も出せるし、
夜の行為の中での泣き叫びもそう遠くにまでは届かないと思えた。 
 暫くすると、貴子さんが大笑いして戻られる。
其処から娘を捕まえてお腹を抱えて笑われ、話はあの雑貨屋、家の物は何も
買わずに手ぶらで戻れたと、其処で大笑いが出た。
「澄人さん・・」「お母さん、此れ渡すけ・・」
「え・・、ま~あんた此処はもう良いぞ、他所ならそうして居りんさい、
此処は判るだろうがね」「でもね、此れは僕の決め事、一万五千円が気に
入っているんだ」「阿保じゃが、もうするな」「じゃ泊まれないぞ」
「もう、何でかね、悪戯坊主に見えるけど中身と大違いじゃがね」
「其処が良いな・・」「阿保じゃね・・」会話が楽しい夕暮れ、
そろそろと外を眺めるが、佳恵は未だ台所で居られた。
 落ち着かない澄人、其れを見て親子で笑われる。
「あはっ、こんな男がのう、夜と大違いじゃがね・・」
「ま~夜に限らないけど・・」「あ、そうじゃ言えるわ言える言える・・」
手を叩き大笑いする親子、居間でテレビを見ながら澄人も笑えた。
 「未だか~・・」「ア、そうね後三十分」「え、暗くなるが今は六時半か」
夕食は戻ってからと言われ、縁側で待機する澄人を親子は呆れていた。
 漸くあたりが暗くなり、七時過ぎに澄人と佳恵は澄人の車で出て行く。
聞くと現場は遠くない、前の小さな川を伝い車で走る。
五分も経たないうちに小さな橋を渡れと言われる。
「え、この道は・・」「その現場に通じる、今は誰も居ない盆地かな・・」
「・・」「気を付けてね、道・・」
そう言われる中、薄暗い周りに少し開けた場所に入る。
 「入り口よ、奥に広い盆地、この谷には七軒有ったの・・」
そう説明を聞く、車は早く走れない、道横から生えている雑草が車体を
撫でていた。
「良いわ、此処で、ライトを消してね、周りが見えだすと、少し進んで・・
言われる通り従った。
 「此処で止めて・・」「・・、・・」「見て・・」
「あ、ああ、ああいた居た居たぞ~、なんとええ湧き出ているみたいだが」
「車のライトに怯えているのよ、未だ出るよ」「・・」
本当だった、人が今は住んでいない分、自然と原始に為りつつあると思えた。
豪華絢爛、綺麗、本当に瞬く光が最高、夢の中居るみたいに思える光景、
感動・・、大感激、車の中で佳恵の手を握り、窓から見える素晴らしい景色
に息を呑んだ。
 言葉を失い暫く蛍の群舞を見詰める。
「凄いな、此れ初めて見た・・」「此処は特別かな・・、小川が良いのか、
タニシが少ないから生き延びられるのかな」「・・」「ね、此処、如何・・」
「良いぞ、でも奥はどうなっているん・・」
「このままよ、行き止まり、道はこの谷を開拓された人が作られたの・・」
「どれ位あるん・・」「ええ、考えた事無いけど相当よ」「・・」
今度はクルマを反転し谷を見れるようにしてライトを照らす。
「・・、凄いぞ、なんも無い、雑草と雑木だけか・・」
「だってそうなるがね」「だね、でも虚しいね」「判るけど、此ればかりは
如何し様も無いがね」「だね、でもな」未だ言いたかったが、其処で止める。
「外は駄目か・・」藪蚊が居る」「そうか残念」「今度は虫よけ要るね」
「そうだ、其れが在れば適うな、良いぞそうしよう」「ええ・・」
呆れるが其処は良いと佳恵は思えた。
 「え・・」バタンと椅子が倒れ、そのまま寝姿で居ると、澄人は後ろに
移動し、並ぶ椅子を倒す。
「佳恵来て・・」言われるままに従う姿、既に何が起こるのかは自ずと
知らされている。
「あんた・・」「此処では二人だけだ、最後までしたいが良いか・・」
「最後まで・・」「ああ、佳恵にはそうしたい、出す迄挑むぞ・・」
「ええ、じゃ今までは・・」「出して居ない、駄目か・・」
「馬鹿ね、じゃ今までは相手だけに尽くしていたん・・」
「ううん、最高に感じていたよ」「じゃ出さないの・・」
「あ、我慢できる」「何と考えられないがね、男はそうじゃ無いでしょう」
「うん、出も出来る」「我慢は嫌いよ、出し尽くして、ねあんた~~」
其処を聞いて佳恵は狂う理由が出来た。
其れほど相手を考えてくれているとは知らなかった、恐る恐る抱かれてる
身だが、聞いたら其処の堰が一瞬に消えた。
 自分から直ぐに裸になる、狭い中で動き、其れを見る澄人は大興奮、
なんと佳恵さんが先に動かれて、見ると得も言えない興奮が湧き出た。
自分も慌てて衣服を脱ぐ、二人は微かな三日月の灯りと蛍が灯す明かりの
中で、誰も邪魔されない場所で、しっかりと抱き締められ、
佳恵は涙を落としながらしがみ付いて、入れて暴れてね、
と耳元で囁いてしまう。
 其のゴーサインを聞くと、佳恵の股座に顔を埋め、澄人は佳恵~と叫ぶ。
もう滅茶苦茶に最初から狂う、とんでもないシュチュエ-ションが増幅剤、
計り知れない歓喜を待つ身、佳恵は此処で死んでも良いとさえ決める。
其れがその後の佳恵の変化に為り得ると信じていたのだ。
 車が揺れ動居く中で、汗まみれの獣が挑み挑まれ、
長い時間誰も入れない世界に二人は没頭、セックスの神髄を嫌程浴びる。
佳恵は幾度となく泣き叫んで、澄人の背中に指の爪が減り込んで痙攣三昧、
数知れない程往く我が身、女としての凄味も善がりもこれ以上ないと
信じる、其れほど心と体が蕩けて行く・・。

            つづく・・・・。






















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