望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・16》

 六月七日、澄人は牛を飼う家で三日滞在している、だが、
なんと此処では男女の仲は成り立っていない。
何故かそうならない、澄人が思う女性の枠中に親子は入っていたが、
其処は進んではいない。
何時でも出来そうな雰囲気は有る、だけど・・、色々考えている澄人、
此処は踏み切れない何かが存在する。
そう思うしか理解出来ない、毎日動かれる親子、話すと色々出て来るが、
どうしても男女の話しには向かえない、考えさせられる問題は山ほどある、
だが手を出そうとはしなかった。
 そんな三日目、メ-ルが来た、「あ・・」急いで電話する。
「あら~・・、今何処かしら・・」「はい、岐阜の飛騨ですが・・」
何と相手は伊豆の美咲ちゃんの母親からだった。
電話で色々話をされる中。「ねね、的中よ・・」「え・・」「株よ・・」
「ああ、何か有ったんですか・・」
「そうなの、有るかなと買っておいた株ね、増資なのよ」
「ええ・・、良いですね」「え、あんたに勧めたんだけど・・」
「え、ああ~じゃじゃ・・」「そう、未だ正確じゃ無いけどね、耳にした、
一月後には正式に発表があるわ」「何と・・、で僕は如何すれば・・」
「其のまま、株は増資だからやがて売買禁止の知らせが来る、待てば良い」
「なんと、そうなんですか、有難う御座います」「御礼は高くつくわよ」
「はい・・」「馬鹿ね、其処はええ~でしょうがね、旅は如何・・」
そこから現状を話す。
 「あらら、危険よ、一度そこから離れなさい、離れてもう一度考えれば
良いじゃないね」「そ、そうですね、今如何し様かと・・」
「うふっ、絡まれて動けなくなるからね、相手は聞いたら強かね」
「・・」そう言われる。
電話を切ると、座り込んで考える。
(今は何しても良いのか、今後は・・、此処は・・)頭を抱えて考えていた。
のんべんだらりと過ぎしている我が身、電話で話を聞いたら考えさせられた。
 昼前、家の中には誰も居ない、居るのは澄人だけ、急ぎメモを書いて
テ‐ブルに置くと、家を出る。
そうして澄人はあの貴子さんが居る家にも寄らずにインタ-に向かい走る。
「・・」だが、其処で車は止め、喫茶店に懸け込んだ。
 「・・、ええ~あんた・・」歓迎され驚かれる。
「聞いたけど、今度は雅己の家かね、遣るじゃないね」「え・・」
「夕べね集会、貴子さんと佳恵も来たが・・」「ええ、何処で・・」
「中村屋」「あ~~」苦笑いするしかない、何で集まれたのかは少しは解る。
「でね、あんた逃がさないと・・」「ええ、だから今逃げようと・・」
「あらら、何で白状するん・・」「なんか貴女には言いたかった」
そこは本音、誰かに話しておきたかった。
「じゃ此処は・・」「今何か動けば動けない家が出来るだろう」
「え、そうなるわね」「其処は駄目、其れでな色々考えるために一度此処を
離れようと・・」「成程ね、じゃ満更嫌で逃げるんじゃ無いんだぎゃ・・」
「そうなる・・」「信じてもええのか・・」「うん・・」
「そうか、良いよ、理解した、其処は皆知っているん・・」
「ううん、ここだけ・・」「ええ、あんた・・」
沙保里は驚いた顔で澄人を見る。
「だから此処は知ってて貰いたいんだ」「成程、了解、で此れから何処・・」
「うん、海が見たいしな・・」「・・、そうか・・」「じゃ行くよ・・」
「何時寄るんね・・」「日本海を見た後に為る」「良いわ、待って居る」
そう言われ、澄人は喫茶店を出た。
本音を言えば心残りは有る、未だ動ける幅は有った、だが此処で留まると、
旅する事が出来なくなりそうと思えたから一度旅をつづける事にしていた。
 「さてと、ひとまず海じゃが・・」
東海北陸道をひた走り、日本海目掛けて進む。
 一時間半で海が見え始め、意外と近いと知る、海はグングン迫り来る中、
砺波と言う場所に来た。
一度海にと車を走らせ、綺麗な砂浜に到着、万感な思い、
海は母だと言われるだけは有る、広い海は何事も包み隠してくれそうな感じ、
其れが母と言わしめる由縁かと納得。
「く~良いが、最高」打ち寄せる小波の音を聞きながら砂浜に寝っ転がる。
 思えば名古屋から出た後、悦子さんの家族としか抱合ってない事に気付く。
「あはっ、なんと三人だけじゃないか、多くと思えたが其れだけ・・、
考えた最初は其処だった。
梅雨前だけど爽やか、海から押し寄せる風も肌を潤す程度の湿り気を与えて
くれていた。
 「・・、・・」暫く目を瞑り味わう澄人、傍に駆け寄る音に気が付いた。
目を瞑っているが其処は気が付く。
「・・、うん、ええ~~」目を開くと何と可愛い女の子がしゃがみ込んで澄人
は顔のまじかで見て仕舞う。
「ああ、可愛いが・・」「なあんだ、生きているんだ・・」「ええ~~」
苦笑いしながら起きる。
「おう~、可愛いが幾つ・・」「お兄ちゃんは幾つよ・・」
「あはっ、年だぞ・・」「五十か・・」「ええ~・・」大笑いする。
「舞は四歳よ・・」「おう、そうか良いね、独りじゃ無いだろう・・」
「うん、お母ちゃんと来た・・」「何処に・・」
「アソコ、岩の向こう、泣いている・・」「ええ・・」
「そう、泣いているから逃げた」「・・」意味しんな事を四歳の子が言う。
「家は近くか・・」「近くかな、電車で来た、そうなるんか・・」
「そうなるかね」「変なの・・」笑われた。
 其れから色々と楽しい会話が始まるが・・、「なんや如何したん・・」
「おかあちゃんね、おじちゃんに叩かれたり蹴られたりしてしててね、
毎日泣く、舞は幼稚園には行けるけど、部屋では恐ろしいのよ・・」
「何と・・」「それでね、お母ちゃんが今朝早く起きて、舞を連れて電車」
「で此処か・・」「そうなる・・」子供だ正直に話をしてくれた。
 でも穏やかな話じゃない、母が岩陰で泣いていると聞くと、じっとして
居れないが、多少の中身を子供から聞き出そうと考えた。
 すると、その男は最近だと聞く、家に一緒には住んではいないと聞く。
「そっか、じゃお父ちゃんは・・」「知らん、見た事無いがね」
「そっか・・」子供から大体の様子ははかり知ることが出来た。
「お腹如何・・」「空いて居るよ、朝も食べて無いし・・」
「ようし、食べに行こうか・・」「ええ、駄目よ、お母ちゃんが・・」
「一緒なら良いだろう・・」「ええ、本当か、じゃじゃ呼んでくる」
「良いよ行くから・・」子供の手を引いて、砂浜の端に有る大きな岩が
並んでいた。
「お母ちゃん、ねねおじちゃんが・・」「ええ~・・」「今日は・・」
「あ、あ~・・、吃驚した、あんたねおじちゃんと呼ぶから驚いたがね」
「あ、其処違うおじちゃんよ・・」「だね、如何したの・・」
「舞がお腹空いていると聞かれたんだ、空いていると、じゃ食べに行こうと
誘われた・・」「ええ、あんたね、知らない人よ・・」
「仲良しに為れているもん、あのおじちゃんとは大違いよ」「舞・・」
「御免なさい・・」「良いじゃないですか、子供だしね~舞ちゃん・・」
「・・」黙って子供を引き寄せられる。
見るとまだ三十には行かない女性、子供が三歳と聞いて居るから、
おおよそ年は二十半ばを過ぎた頃かと思えた。
 良いですと何度も断られたが、澄人は子供を味方に迫り、
何とか食事だけはと許しを請うと、三人で車で栃波の繁華街にと向かう。

              つづく・・・・。



























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