窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・15》

 暫くして美佐江は仕方なしで家にと向かう。勇んで出て行った手前、
どの面下げて戻れば良いのか、本当に困って岸壁の上で時間を潰していた。
 家に恐る恐る入る姿、傍が見たら笑えるほど、おどおどとして玄関を入る。
「・・、・・」「真っ先に謝ろうと覚悟を決めて部屋に入ったけど・・、
其処には目当ての勉の姿が見えない、放心状態でへたり込んで肩を落とす。
(あの人・・、車が見えないけど・・、もしや・・)危惧が当たった、
テ-ブルの上には一枚のメモが残されている。
 【今はお互い気まずいでしょう、ですから一度家に帰りますね、此れから
なんでも手助けします、ですから気を落とさずに頑張りましょうね、勉】
そのメモを持つ手が震えている、美佐江は感謝もするが、何て相手の気持ち
が読めるのかと、其処に驚いている。
家に姿が無いと思えたら、一気に気が抜けてへたり込み何も考えられない。
 一方、勉は既に大橋を走り、尾道側にと来ている、車は休まずに走り、
広島の祇園にと向かった。
 午後二時過ぎ、郷の家に到着、幸いか、冴美と母の姿が無い・・。
「婆ちゃん・・」「おう戻りんさったかね、詳しく話せ・・」
前日電話した相手は睦子婆ちゃん、帰るなり、二人は向き合い話を始める。
「よう理解出来んが、其処は瀬戸内海じゃろう・・」
「待って、PCで地図を出すけ~・・」
そこから睦子は画面を食い入るように見る。
 「何と、良い場所じゃないかね、此れは夏でもはやるよ、魚釣りだけじゃ
無いが、泳げるのか・・」「ああ、帰る前に建てたい場所に行ってみた、
なんと良いよ、其処は景色も何もかもが凄いんだ・・」
「だからさ、泳げるのかね・・」「あ、其処は工夫次第じゃが・・」
「工夫・・」「入江になっててな、船の溜り場、広いし・・、
其処でプ-ルみたいに仕切れば出来ると思う」「何と船が・・」
「此処見て、周りは島続きで懐みたいに広くなっているでしょう、昔は島の
船は台風が来ると、此処に避難されていたんだと今は船も少ないといんさる」
「で、向こうさんは・・」「ああ、大騒ぎ・・」「何で早く戻ったね・・」
「少し囃し立ててしもうたんじゃがね・・」「ええ、意味が判らんが・・」
そこから何事もとは行かないが、殆ど婆ちゃんには話して来ている、
少しだけ中身を話した。
 「あはっ、馬鹿垂れが美佐江さん大慌てだろう、小僧に好かれたと・・」
「そうじゃ無いかとね、家に戻りんさる前に逃げて来た・・」
「おう、其れは良い事じゃ、余韻が消えんようになりんさろう、でかしたぞ
我が孫じゃのう・・」頭を撫でて褒められる。
 其処から大島での経緯を総て話しをする、携帯に写メを残して居るから
見せながら説明・・。
「なんとま~、良いぞ凄いぞお前は、其れはお前がせんでも何れ誰かが目に
付けんさろう、今回は美佐江さんの今後の事でそう動いたんかね・・」
「・・」「うふっ、良い子じゃが,逃げるなよ、美佐江さんは上玉じゃ、
夫と離縁は知らんかったな・・」「僕も聞いて驚いたがね・・」
「冴美には如何する・・」「其処を婆ちゃんと相談・・」
「敵わんな、おお仕事じゃね」「何とか頼むけ~」勉が手を合わせる。
「其処は後で良いけど、お前、別荘を如何進めるつもりじゃね・・」
そこから建築関係と、造る物を説明する。
「あらら、なんと、わしも其処は考えていたんだ、美佐江の仕事場じゃね、
賑やかだし、ええ事じゃないか、良いぞ、其処まで考えて居るなら,進め」
「有難う、でな設計は叔父さん如何かな・・」
「あ、ああ~居たがね、康夫か、そうじゃあいつなら良い、お前頭がよく
回転しているがね、良いぞ直ぐに懸らせろ・・」
「内緒の話が有るんだ・・」「何や・・」
「誰にもまだいんさんなや、此れが大変な事になりそうなんじゃ・・」
「何・・」そこで一気にあの東広島の事をどさくさに紛れ勉は話し始める。
 長い長い時間、婆は口を挟まずに聞いてくれる。
「な、其処で時恵さんが僕を呼びんさったんだ・・」
「あのな、その時恵から既に頭を下げてきんさったが、中身は其処までは
言わなんだぞ、此れから、騒ぎを起こしますが、如何か本家の為と思って、
暫く目を瞑って欲しいと・・」「ええ、では・・」
「ああ、お前の事も頭を下げて謝りんさったがね」「嘘っ・・」
「阿保垂れが、でもお前は相手を見つけるのが上手いな、時恵なら被害は
無いぞ、あいつはこの家が命じゃといんさる、特にお前にだ」「・・」
もう其処までしれたら、何も言えない、頭を下げて聞くだけになった。
 「でもよ、お前らは凄いぞ、内の家でなら手を余す、そんなにジタバタ
せんでもええけえね、でも時恵は其処を勉の為と言い切り寄ったんじゃ、
中身を聞いて腰抜かしたが、お前、アソコを見せんさい、化物といんさる」
「ええ~婆ちゃん、其処だけは勘弁してよ」
「駄目じゃ、時恵が泣いて凄いといんさる、此れから命かけて後ろで手助け
したいとまで言わせたんだぞ、現物見せんと、此れからの話しには乗らん」
「ええ・・」「だから、恥ずかしい事は無いがね、孫じゃろうが・・」
「婆ちゃん」「男は、すっきりと決める方が良いぞ、立ってズボン降ろせ、
見定めて遣るがね・・」「婆ちゃん」「早くせんか・・」
「判った」最後は素直に応じる。
 「・・、・・・、あわわえ~・・あ・あ・あ・あ~~なんとなんと・・、
あらけ無いが物凄いがね、お前でかいな・・」「もう良いか・・」
「あ、未だじゃ裏側を見せんさい・・」「ええ・・」しげしげと見られた。
 「ふ~疲れるがね、良いぞしまいんさいや、お前何時の間に・・」
呆れ顔で聞かれ、話をする。
「そうかね、じゃ其処も時恵に言われて扱いていたんか、あ、そうなれば
あいつも褒めて遣らんとな・・」最後は呆れてか大笑いされた。
 その後は、なんと婆は勉を見直したのか、
話には一人の男として言い聞かせる。
「いつもとは駄目だぞ、今回はあそこが物ゆうな、東広島は時恵に任せるわ、
此処で総合施設は上出来じゃぞ、聞くと五年越しとか、良い考えじゃがね、
わしもおいそれと死ねんようになったがね、こいつ遣るじゃないか・・、
アソコが化ければ、此処も変われるよ、お前ドンドン進めや、相手の家も
相当と聞いて居る、相手にとって不足は無いが、良いなこれがお前の手初め
の仕事、あ、大島が有ったね、じゃ其処で経験してから、駅前の再開発じゃ、
じゃ康夫を呼んで、島の事を話して見んさいや、わしは大変な話を聞かされ
たから、寝る・・」「ええ・・」本等に寝室に向かわれる。
 その後、時恵さんのお父さんが家に来られると、ちっかり婆ちゃんも
起きて来て話しを聞かれた。
 「良いぞ、凄いわ夢が有るな、じゃ、建物には金懸けまい、過ごし易く
するだけで喜ばれるよ、其れで広場、ああ見学に行かんとな、其処で役所
廻りし、尾道の建築屋も紹介して頂いてと勉は凄い男に為りんさったな、
わしの家の子はまだまだ、困ったもんだ」其れは勉の友の誠司の事。
 夕方までに二時間、此れからの段取りを話し合う、
「任せんさい、役場から、設計まで任せてくれ、本当に快適な場所にする、
楽しみが増えたぞ、勉感謝だ」そう言われて機嫌よく家を出て行かれる。
 「勉はいつの間にか大人になりんさった、孫としては上出来じゃよ」
そう言われて、夕食の食事を作ろうとキッチンに行かれた。
 だが、何時になっても母と冴美の姿が見えなかった。

             つづく・・・・。

















窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・14》

 何も言われず、只泣き叫ばれ、飛び込まれてそのままの姿で縋り付いて
泣かれている。
受けている勉は身動きせずに、美佐江さんの為すがままに従う。
慟哭とは此れかと思うほど相手は泣きじゃくり、グイグイと手に力が入って
来る。
背丈は勉は173センチ、相手は155前後、本当に小娘みたいな人、
然も憎い程小顔で可愛いから・・、其処が溜まらん女性なのだ。
 何とか、背中を撫で乍ら、落ち着くまで待って居た。
「これ、もう良いじゃろうが、泣き済んだだろうね・・」
「・・、うん、有難う、あんたには又世話に為りそうね・・」
「そうなれば、僕は嬉しいけど・・」
「何処まで親子を舞い上がらせさるんかね・・」
「何処までも上がりんさいや・・」「あんた・・」又泣かれ出す。
 「これ、子供みたいじゃがね、美佐江、手伝え・・」「うん・・」
漸く手の甲で涙を拭かれると家の台所にと向かわれた。
「勉さん、上がりんさいや・・」お父さんに呼ばれて部屋に上がる。
「今日は飲もうや・・」「ええ、お供します、でも弱いですよ・・」
「そりゃ~わしらには勝てんぞ、待ちんさいや、島の男が四人駆け込んで
くるけ~・・」「ええ・・」「さっきな知らせた、中身は告げんがのう、
酒を飲もうと・・」「そうなんですか・・」
そんな会話から酒盛りが始まる。
 台所では未だ、聡子さんに縋りついて泣く美佐江、婆様が苦笑いして、
タコ料理をされていた。
「お前な、子供じゃぞ、泣きじゃくってからに・・」
「御免、感動してて・・」「あはっ、馬鹿だね聡子は・・」
「ええ、わしかね・・」「ああ、そうだぞ、お前には無い女の良さを美佐江
は持ち合わせているがね、見んさっつろうがね、あの受けた青年の顔・・」
「えっ・・、ああ~そう言えば、なんと知らんかったが、お母さん・・」
「其処じゃ、此の子の男を狂わさせる技じゃがね、お前には持てない部分
じゃろうが・・」「ああ~言えるが、流石年の功・・」
「阿保じゃのう、此れ持って行けや、美佐江の男が待っておりんさろう」
「・・、えッ、男誰・・」「阿呆、勉さんじゃ、お前の男じゃろうがね」
「いやだ~、何でそうなるんか、あの人の家は恩が余るほど有るし・・、
そんでじゃがね」「其れだけか、まあええがタコが呆れているぞ・・、
早く運べとな・・」「はい・・」美佐江が運んで行く。
「お母さん・・」「ああ、出来るぞあいつら・・」
「ええ、年が、まるで相手は子供じゃろうがね」
「阿保やな、其れが如何した、何処でも有ろうがね、ええ、七十過ぎても
孫みたいな年の女、反対でも最近は要聞くがよ」「お母さん・・」
「なんじゃ・・」「本当にそうなるのかね・・」
「なるべくし生まれて来たと思えば良い事、其れがお前らにとんでもない
話が舞い込んで来たんだろうがね・・」「ああ、そうなるよね・・」
「そうじゃ、此処は化けるかもしれんし、下手るかも・・、其処は金以外
わお前らの力じゃぞ、全島手を合わせると叶うかもな・・」
「うん、其処はお父ちゃんを嗾けるけ」「ああ、たまには夜もじゃぞ・・」
「ええ~、もう其処まで指南しんさるんかね、年だしな・・」
「其れなりが有ろうがね、わしは六十過ぎても抱かれていたぞ・・」
「阿保らしい、ささ、じゃ連れが来ると聞いたから、未だ料理を作らんと、
元気なお母さん、頑張って・・」「こら~、年寄り使い腐ってからに・・」
親子で久しぶりに笑えたと婆ちゃんが言われる。
 来た来た、陽に灼けた男どもが四人と聞いて居たが、二人増えている。
全く胡散臭い男連中、部屋は異様な匂い、聡子がしかめっ面で、
風呂入れやと嘆いている。
 台所は大慌て、人が足りんと、今度は聡子が電話する。
直ぐに二人の女性が駆けつけて、台所も満員、部屋も満員、
家の中は一気に喧騒に包まれて行った。
 【え、え、え、ええ~~~真かその話・・】
なんとそれが同時に、台所では同じ事が女性の嬌声で挙がった。
全く、部屋と台所で同じ話が出ていた、其れから皆は動けずに、
部屋ではおじさんが、台所では聡子さんが話をされる、中身を知らない
美佐江も度肝を抜かれ出す、勉が話した事を上乗せされて、
話は皆を驚愕の世界にと引き上げて行く。
 三十分後、居間と台所で又も同時にため息が出る始末、其れから一気に
声高で話が飛び交って行く、台所の婦人達も居間で聞く方がええと決まり、
揃い居間で並んで座り聞かれている。
 「じゃ、何ですかいのう、此処は釣り客、嫌会員を募って別荘かね・・」
「ああ、そうじゃ、そんでな、広場で居酒屋兼コンビニ擬き、大変な事に
為るぞ」その言葉に手を叩き大騒ぎ、勉はその間手持ちぶたさだったが、
事の起こりは此の青年じゃと紹介され、勉の事が話されると皆が今度は勉を
囲い、酒三昧、受ける勉は酒に弱いから、瞬く間にダウン、
其れを見て喜ぶ男たち、家の中は大騒ぎだった。
 だが、話の中身だけで漁師の酒は強い、しっかりと中身を聞かれている。
「おい、此れは大変な事に為るぞ、正雄を呼ぼうか・・」
「阿保垂れが、誰が呼ぶ、町会議員等入れんぞ、入れると手柄が逃げるがよ、
此処はわしらで楽しむ為にも頑張ろうや、金は出る、後は御客集め、其処を
誰かがすれば最高じゃ・・」「待ってちょ、其処は娘が居るが・・」
「ええ、誰・・」「美佐江の娘じゃがね・・」
「ああ、おりんさった冴美ちゃん、ええ~じゃじゃ、倒れている青・年・、
ああ~何と祇園かね・・」「そう、言い忘れていたが、其処の成金の名家」
「何と、そうか凄いぞ・・、じゃこれは真実なんかね・・」
「ああ、相手から申し込まれた、聡子が受けたんだ・・」
そんな話で盛り上がり、夜更けも知らずに、部屋の灯りは赤々と灯り、
瀬戸の海に染み込んで行く・・。
 夜が明ける頃、部屋には誰も居なくなる、居るのは転がり寝てる勉だけ、
布団をかぶせられたまま居る。
 漸く勉の目が覚めると飛び起き、辺りを見回す・・。
「おきんさったか、朝飯じゃよ・・」
「あ、婆様、おはようございます、僕は・・」
「あはっ、海獣に酒飲まされんさってな、倒れんさったままじゃがね」
「ああ、そう言えば、済みません・・」「良いんじゃ、あいつらはタコで出て
いるがよ、あんたは朝飯、貝汁がええけえね、顔を洗いんさいよ」従う。
 朝食を終える頃、人が帰って来られる。
其処でこぞって皆が此処で朝食を取られる。
その様子を見て、此処は皆が力を合わせている場所と知らされた。
 午前十時過ぎ、美佐江さんと家を出て今度は美佐江さんの家にと向かう、
途中互いに無言、其れでも気が知れた間は、其れで済む。
「ご苦労さんじゃったね・・」「酒に弱いから・・」
「良いんじゃ、其処は此処の男とは違うけ~ね、そんで良いのよ」
「迷惑かけて済みません・・」「ま~反対じゃがね、あの話聞いたら・・、
腰抜かしたが本当か、漁でも全部あの話じゃけ、あんた出来るんかね・・」
「其処は如何かな、有る人次第ですけど」「ある人とはその人が・・」
「そうですよ、嫌われて居るなら出来ない話ですね」
「ええ、誰ね、聡子さんと共に口説きに向かうけ、教えちゃんさいや・・、
ねねあんた、誰ね・・」「言っても相手が知らない事だけに無理かも・・」
「何でよ、こんな話聞いたら、どが~しても作りたいけ、アンタ相手教えて
くれんさいや・・」「僕からは言えんが、何なら聡子さんに聞けばしっとり
んさろう・・」「え、じゃ聞いてくるけ・・」「ええ、今か・・」
「ほうじゃ、大事な事に為っとるがね、大変、行くね・・」
「え・ええ~まっ・・・・・テ・・、あ行っちゃったが・・」
苦笑いする勉の顔は微笑んでいた。
 美佐江が聡子の家に懸け込んで十分、唖然として佇んだままだった。
「阿保じゃね、踊らされているがよ、お前次第だって事だぞ・・」
「お婆ちゃん・・」「ああ、聞いたろうがね、相手はあんたの所為で此処を
起こしたんだ、其れだけお前には値打ちが有る証拠、貞夫なんかと大違い
じゃね・・」「言えるが、不幸が先方から逃げ出し、直ぐに幸せを運んで
来たがね、お前は罪なおんなぞ、ね、お母さん・・」
「あはっ、若い男にも慕われるけ、溜まらんね美佐江・・」
「・・、でも本当かしら・・」「あ、マジじゃが、あいつは既に此処に来る
前からあんたが理想と思い込んでおりんさるが、娘を預かった所為で縁が
出来そうじゃね・・」「おば様・・」
「ああ、神は捨て置かんと決められたみたいじゃね、じゃその最高な篭に
乗りんさいや、月まで連れてってくれるがね、序にこの島も竜宮城に衣替え
じゃぞ」「お婆さん・・」「ああ、泣いて良いぞ、泣けや、こんな良い事
滅多にないがね、娘に感謝しんさいや・・」「・・」
もう言葉が出て来なかった、慌てて家を飛び出したが、
事の起こりはまさかまさかであった。
 其処の家を出るが直ぐに家には戻れない、脚がガクガクしたままよろけて
岸壁に立っていた。
(有り得ない事、何で私なの娘なら理解するけどもう何でよ何で何でええ)
立つ事も儘為らない体、しゃがみこんで泣いてしまう。
 長い時間立てない、其のままで涙が零れるまま、今までの事を思い出す、
美佐江は恋や愛など経験が無い、ましてや愛情は有るが、其処も十分とは
言えない、夫は船で出た侭、娘は中学を終えると祇園、此処に居なかった。
そんな事をあれこれ考えると、自分の人生が走馬灯のように巡り、
今迄は何だったのかと思い始める。
 その後姿で肩が時々揺れ動いていた。

          つづく・・・・。



















窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・13》

 狭い岩場から、上に上がり、眺めのいいところで並んで座る。
「なんとま~、美しいが・・」「「景色は良いが其れで飯は食えんわな」
「言えるけど、真・・、綺麗」「・・」「上の此処は広いけど、雑草が」
「「ああ、親戚の土地だが、横はわしの家だが、もう面倒くさいから
ほったらかしじゃがね・・」「・・」
「でもよ、あの子は可哀そうな子じゃ、あれほど器量が良いの、お母さん
が煩いお人でな、生きて居る内は外にも出さんほどじゃったね」
「そうですか、でも此処は良いぞ・・」「何でね・・」
「だって、今は釣りもこうして景色も眺められるがね」
「あはっ、其処かね、他所から来るとそうなるんかね」
「ええ、総てそうなると思いますよ」
「じゃあんた、此処に別荘を建てたら如何、安く売りもする貸もするぞ」
「・・、え、今何と・・、売れるの・・」
「阿呆、何でこんな島欲しがりんさるんかね、阿保らしい・・」
「え、売れないの何かわけでも・・」
「ええ~あんた訳も何も考えた事無いがね、何処にそんな戯けた思いの人
がおりんさろうか・・」「・・、え、此処に居るけど・・」
「何処、おりんさらんが・・」「此処や、僕です・・」
「え~あんた~、笑えるが、こんな土地何ぼすると、二束三文じゃ・・」
「いいえ、欲しい人なら高値で売れるがね」
「阿保らしいこといんさんなや、本気にするがね」
「本気なら如何します譲ってくれますか・・」「え、あんた今何ゆうた」
「譲ってと・・」「で、こんな土地買って如何するん・・」
「別荘立てる・・」「あはっ、豪儀な事、何で此処なの・・」
「悩まれるお人が居るからですかね・・」「ええ、ああ~美佐江かねか、
あんた、まさか娘だろうが目当ては・・」「其処は妹にします・・」
「意味がよう判らんが、美佐江の年なんぼか知っておりんさるんかね」
「ええ、今年三十七才・・」「あ、そうだけど呆れたぞ・・」
「あ、勘違い、其処じゃ無いがね、傍に居れば何か手伝うことが出来ると」
「あんたね、其れこそ余計なお世話じゃろうがね、有難迷惑よ」
「言えますね、じゃ、個人は辞めるかな・・」「ええ、あんた・・」
「じゃじゃ、此処を釣専門に別荘を建てようよ、そうすれば全国から人が
きんさる、個人でなくて、会員を募り、管理人が日程を把握して割当てる、
その仕事は美佐江さんとおばちゃん、それでね、此処は五棟くらいモダンな
建物でね、出入りが優しいコテ-ジに仕上げる、外から入る時は・・、
シャワ-ル-ㇺで浴びて入る、着替えも其処で出来る、そうすると汚れた
侭部屋には入れないしね、ねね良い事思いついたが、おばちゃん・・」
「・・」言葉が出ないほど呆れられる。
 「でも土地がね、おばちゃんの分どれ位あるのかな・・」「・・」
「ねね、どれ位・・」「・・、え、ああ見えるところ全部じゃ、わしの家
は昔網元でな、金を貸した代わりに売れない土地担保、至所にこんな土地
が有るよ」「何と凄いじゃないね・・」「ええ、あんた今の話し・・」
「ああ、思いついたんだ、此処で五棟以上建物を並べて屋根は真っ青、海に
似た色で壁は真っ赤・・、其れで釣りをされる人は朝でも夕方でも来れる
ようにする。そうして会員なら安く泊まれるし連泊も可能、個人で会員に
為ればの事、ゲストは大歓迎、値段は其れだけ上がるけど、出来そうよ、
おばちゃん・・」「あんた・・」呆れ果て、口あんぐりとされた侭だった。
 「あんたね、軽くゆうけど、資金は如何するん・・」
「其そこは任せて、僕の家でもいいし、投資してくれる人もおりんさる」
「ええ~あんた本気かね・・」「ああ、土地が買えるか借りれば出来る」
「あんた・・」声が続かない聡子、本当に驚愕された顔だった。
 「なな、其処を判る様に詳しくね、いいや、あんた家に来んさいや、
内の人に聞いてもらうけ~・・」「ええ・・」無理やり連れて歩かれた。
 「お父ちゃん居るか、パチンコかね・・」
「往々、大きな声で、部屋で転がってるぞ、昨日負けてやけくそだって、
あ、この若い子誰ね・・」「お母さん噂の子よ、冴美の広島の兄よ・・」
「ええ~じゃじゃ、広島の祇園かね、なんとま~よう来ちゃんさったね、
上がりんさいや・・」大歓迎される。
「煩いぞ、昼寝出来んがや」「お父ちゃん、あの噂の祇園の子じゃがね」
「ええ、何、祇園って・・、ああ~じゃじゃ冴美のか・・」
「そう、でも今回は其処の話しじゃ無い、此の若者が恐ろしい事言うから、
お父ちゃんに聞いてもらいたくて連れて来たんよ」
「恐ろしい事なんじゃ其れ」上がるなり、そんな話をされるが勉は困惑。
 直におばちゃんが話を始めると、吸いかけのタバコを落す程驚かれた。
「なんじゃと~・・、別荘かあそこで・・、然も釣り客専用とな・・」
「行けませんか、完成すれば会員は募り、何なら僕がしても良いですが」
「おう、そりゃ~あんたがええけのう、するならわしらは総て援けるが金
がな、無いんじゃよ」「其処は何とでもするけど、アソコが良いと思う」
「何処じゃ聡子・・」「この前を北に行くと釣場の場所・・」
「ああ、アソコかね、そうかあそこが良いのか・・、あ待てよ、其れは
場所が悪すぎるぞ・・」「何でね、釣り場傍じゃないね・・」
「阿呆、今はそうでも無いがね、流が変化している、アソコは小魚じゃ、
造るなら向かい側の入江じゃろう、アソコは昔台風除けの船が集まる場所、
整備したまま元が取れて居らんんが・・」
「そうかあそこなら都合が良い、船も止められるし、出入りが優しいね」
「そうじゃろう、別荘の目の前で自分の船がたまり場なら尚良いがな・・」
「だよね、勉さん後で案内する、美佐江の横よ」「え、有るんですか」
「大有りよ、任せあんた酒飲もうかね・・」ご機嫌な旦那さんだった。
なんと勉は人に恵まれ過ぎ、此処でも話が進む相手を見つけている。
 「じゃ、何かね、あんたが其処で・・」
「待ってください、話は要聞いてて下さいね、此処は総て、あの冴美ちゃん
の母親と、このおばちゃんの為なんです、僕は資金は作ります、其れで別荘
を建てて、食事が出来る景観が良い所に事務所兼居酒屋、其れに釣りに必要
な小間物などと此処はコンビニが無いけ~、少し似た品物も加えると、
島で総て賄える。
其処に小さいけど会社設立し、役員は美佐江さんとおばちゃんと
おじさん、後は祇園の僕の母でも良いですけど・・」
「おう、良い話じゃないか全て飲むが、お前でかしたぞ、此処も賑やかに
せんとな、良いぞ、此れから人を呼んで説明してくれんかね・・」
「ま、待ってください、此処は用意周到で懸りましょう、土地は何とか
出来ますよね・・」「ああわしの家の物じゃが何とでもする」
「では建築関係は地元で如何です・・」
「地元か、尾道なら知り合いが居るが、此処はこまい島じゃ居らん」
「では其処を頼めるならそうして下さい、建築設計は、僕の友の家が
設計士ですから其処に頼みますね」
「おう、良いぞ、そうかあんた凄いな・・、聡子でかしたぞ・・」
「阿呆、パチの魚群じゃあるまいし、そう喜ばれても出来上がってから
いんさいや・・」「あ、今回は何ぼでも言うぞ、聡子でかしたぞ・・」
「もう阿保らしいわ、お母さん・・」
「あはっ、久し振りに元気な話じゃないかい・・」
「ええ、そうなりますようにと、拝み倒すぞ・・」
「呆れるね全く、勉さんタコ嫌いか・・」「大好きですよ・・」
「おう、良いぞ来たね、婆さん・・」「はいはい、人使いが荒い子じゃ、
全く、聡子・・」「行きますね、その前電話するけ~」
外に出られて電話されていた。
 代わりに勉も自分だけ了解じゃ拙いと考えて、庭に出て電話している。
 長い長い電話、しかも何度も頭をげるから米ツキバッタの様、
其れで何とか理解されたのか勉は電話を終えると胸を撫でていた。
 長い電話が終える頃、庭に軽が滑込み来て、突然勉の胸に飛込んで
来られた、慌てて受け止める勉の顔が豹変、相手は美佐江さんだった。
泣かれて縋り付いてそのまま慟哭、始末出来ないまま受け止める勉、
困惑しているとおばちゃんが大きく頷かれていた。

              つづく・・・・。


















窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・12》

 寒いけど眺めが最高、梅が咲き誇る庭で、仄かな香りを堪能する。
「ええ~あんたもうきんさっているんかね・・」
「ああ、おばさん、お久しぶりです・・」
「そうなるかいのう、確か去年の暮じゃね・・」「はい・・」
「あんたが来ると聞いたから釣竿と餌持参じゃけ~」
「済みません御足労掛けます・・」
「え、あんた大人になりん去ってからに、言い方がおじさんみたいじゃよ」
「あはっ・・」頭を掻いて笑うしかない・・。
 『あのう、聞きたい事が有るけど良いですか・・』「良いけどわしにか」
「はい・・」「じゃ何か聞こうかね」釣差を置かれて来られる。
「なんじゃ・・」「あのう、お尋ねしますが、此処のお母さんに何か有った
んでしょうかね・・」「え、何でそういんさるん・・」
「だって、痩せて居りんさるし、何時もの笑顔が見られんが・・」「・・」
「内緒でええけ教えてくれんさいや、金か仕事か家庭かと聞いたけど、何も
いんさらん、こんな事初めてじゃ・・」「・・、そうか何も言わんかね」
「ええ・・」「でもな、此処じゃ言えん事じゃ、後でこそっと釣する仕度で
出てきんさいや、この前の道を歩くとな、小さな出っ張りが有るけ、其処の
下が釣場じゃ・・」「はい了解しました、じゃ怪しまれるから後で・・」
首をすくめて苦笑いされた。
何事も無かったように玄関に廻られ、家の中にと消えられた。
と同時に縁側から声を懸けて、釣り場を教えてもろうたから行きますと、
勉は庭を出る。
 何と頃がええ時におばさんに合えたと勉は思えた、
此処は何でもあのおばさんなら御存知と思い聞いてみた。
 釣り場は直ぐに判り、言われる通り岸壁の下は渦を巻いて塩が流れてる。
少し岩を伝い下に降りる、其処で大きな岩の上で腰を掛けて、
エサも初めて見るが、如何付けて良いのか知らない、其れでもええ加減でも
針にミミズのようなものを突き刺して海に放り込む。
(・・、・・)思いはこの家のお母さん、美佐江さんの事が益々気に為り出し、
釣りなどしている場合では無いが、此処で落ち合うと言われているから、
暫く待つ事にする。
 三十分ぐらいか、足音が聞こえて見上げた。
「往々~、聞いてもおりんさらんによう其処に行けた、待ちんさいや行くけ」
身軽に降りて来られた。
横に座り缶コ-ヒ-を渡される。
 「お話は・・」「待ちんさいや、此れは重大な事じゃから、娘には言わん
と約束してくれるなら話せるが・・」「ええ、何で内緒なんですか・・」
「ああ、先にゆうわ、あいつと離婚した・・」
「離婚って、ええ~~、嘘でしょう・・」
「嘘じゃないから困っているんだ、此れからの事も有ろうがね」
「じゃじゃ、冴美ちゃんには聞かせた方がええけ、理解してくれるよ」
「其処だ、あいつが言わんと駄々捏ねる、高校卒業したら言うと・・、
此ればっかりじゃがね」「じゃ離婚原因は・・」
「女じゃ、其れが浮気だけなら許せるといんさる、でも嘘は駄目じゃろう、
あいつは正月日本に帰っていたぞ・・」「ええ~~・・」
そこだけは衝撃な事、勉は竿を落としそうになる。
「じゃ、日本で女性と・・」「ああ、既にバレていたんだ、わしらも前から
知っていた、此処の島の子でな、相談をしているうちに出来たと後で聞いた、
わしとも遠くの親戚に為る家だがね」「・・」
「そんでな、あいつは馬鹿垂れじゃ、子供まで作りよってな」「ええ・・」
え~ばかり言っているような気がするが、其処は驚く話だった。
 「それで、何でじゃと聞いた事が有る」「え、本人にですか・・」
「ああ、親戚の子じゃろうがね、聞くわさ・・」「それで・・」
「そいつは戯けじゃ、美佐江が感じてくれないからと言い腐る、其れで今の
女は泣きじゃくるぞと、阿保な男じゃ、お前が本気で抱かんからだろうがと
言ってやった」「で何と・・」「ええ、其処も言うんかね」「是非・・」
「高くつくぞ・・」「はい、お願い致します」
「敵わんが、じゃさ、話すけど此れも誰にも明かすな・・」
「ハイ約束します・・」そこから意外な話を聞いた。
 初めからセックスは上手く行かなかったと、ご主人は話されていた、
其れでおばさんが聞かれた、早いのか・・、相手は普通と言われたが・・、
如何も早漏かと思えるとおばさんが笑う。
其れでアレは遠のいていったとも言われる。
 「でも其れだけでは・・」「其処じゃ、其れは言い訳にしてもだぞ、既に
四歳の子が居ると判ると、美佐江は如何したら良いんじゃね」
「え、其処は、でも本当ですか其れ・・」
「わしが既に確かめているが、先方にも会いに行った、知り合いだろうがね、
仕方が無いけ~ね」「そうでしたか・・」其れで窶れて、覇気が無いと知る。
「じゃ、娘さんには内緒で・・」「後一年間は黙ってと、あの子が知るとどう
なるかと・・」「何とそうでしたか、悪い時来ていますね」
「え、其処は其れは違うぞ、あいつはあんたの家に足を向けて寝られんと、
芯から有難いと思っているがね、わしもじゃがね」そう言われる。
 「お聞きしますが、解決しているんですか・・」
「ああ、この間親族が集まり決めている。娘の養育費は高校卒業まで五万円
仕送る。そんでお終い・・」「ええ、其れだけですか・・」
「ああ、あの家は美佐江の家だしな、婿として滑り込んだんだ」「・・」
そう言われた。
「其れだけでは、此処が成り立たんでしょうが・・」
「其処じゃね、問題は・・」勉は其処が大問題だと叫びたかった。
 考えると有り得ると思える、船に乗ると、家庭が恋しくなるなど嘘なの
かも、何処にでも其の気なら金で遊べるし、中には其処に減り込む人も居る
筈、そんな思いで話を聞いて居た。
「じゃ今後の生活を何とか考えないと・・」
「其処だがのう、あいつは此処を出たいと・・、そうなろうがね、逃げた夫
の事は既に前から廻りは全部知っているよ、こまい島だろうがね」「・・」
黙って頷くしかなかった。
「では今後の事は未だ決まっていないんですね」
「そうなるのう、わしらも手一杯、何とかしたいが、其ればっかしは何とも」
暗い顔でそう言われる。
 暫く二人は会話を止めて溜息をついている、当前で、島では既に承知の
話しと聞いたら、あの人は外にでも出られない程・・、可愛そうと思えた。
こんな時広い都会なら知れないで済むだろうが、此処じゃ丸判り状態だと、
勉が頭を抱えて悩み始める。
「あんたには、嫌な事教えたが、現実はそうなってしまったんだ、聞いたら
五年間無いと・・」「ええ、そんな可哀そうに・・」
「あんた、じゃ娘と親を抱えてくれんか、家は何とでも出来るじゃろう」
「ええ、おばさん、其処は間違いじゃ、其れで済むなら良いけど、そうは
いかんじゃろうがね、いけんよそんな事、出来たら嬉しいけど無理な話だ、
あの人はそんな事言ったら、明日にでも島を出んさるよ」
「ええ、あんた判るんか其処が・・」
「ええ、なんとなく、でもそれ以外で考えれば道は見えるかもしれんがね」
「え、あんた良い男じゃね」「ええ~・・」
「あのな、何とかしてくれんか、あんたが頼む事なんでもわしが出来る事は
するけ~のう、頼む・・」「おばさん・・」手を合わされて勉は困り果てる。
 だが、話し込むが、二人にはいい知恵など持ち合わせていない、
一大事は急に知った事で、先の事は何も考えて居ないし見えて来なかった。

             つづく・・・・。




















窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・11》

 月は既に三月を示す、勉は最近勉学に励んでいる、其れを冴美から聞いた
婆は喜んでいる。
「な~、なんか真剣に勉強していると聞くが、本当かね・・」
「ええ、其処が気に為るけど、冴美も中身は知らんといんさるが・・」
「何か異変が起こっているな・・」「ええ、お母さん・・」
「だって、そう考えるしかあるまいてあいつが何で勉強、大学に入る前一度
そんな事が有ったよな・・」「あ、そう言えば、急にそうなりましたね」
「何でじゃ・・」「知りませんよ、あの子が、何考えているんでしょうね」
「お前は暢気じゃね」「だって、今時の子の考え等判らんし・・」
「そう言えばそうなるな、でも気懸りでは有るが勉学なら良いと思えるが」
「そうですね・・」そんな会話をするも無理は無い、時々顔を出しているが、
最近は早くに部屋に戻る姿、親として孫として、二人は気にはなっている。
 その当人は、最近一層男臭くなる、年は漸く今年で二十歳、
大学も後二年間は要する身、家の婆の睦子も母の真澄も勉が励む勉強は
何かも知らなかった。
 勉は益々男に為りつつある、あの東広島の家は今では掛け替えのない家、
そうして指南役は最初に関係した女、時恵、其の嫁ぎ先が半端じゃ無い、
やり手の義母と、小姑の玲奈、三人揃い勉が向かう度に、
心身とも粉々にされ続けて来ている。
 だが、勉は其処でも満足していないのか、何時も不満顔で大学に居た。
「おい、勉、如何しんさったん、最近浮かない顔つきじゃろうがね・・」
「ああ、誠司か・・、うんなんか物足りんからかな・・」「何がよ・・」
「其処が判れば苦労せんがよ・・」「あはっ、そうか不満か・・」
「そうなるのかのう・・」友達はあの最初の女性の弟、其れが同じ大学に
通っている。
世間では親戚関係に為る相手だが、血は繋がらない不思議な親戚だった。
「お前は、アソコどうだ・・」「アソコ、ああさては女かね・・」
「・・」「当たりか、相手は誰・・」「無いから悩んでいるんだぞ・・」
「うふっ、紹介するか・・」「え、心当たり有るんかね・・」
「古だぞ・・」「古・・」「ああ、使いこなしているぞ、習えや・・」
「ええ、お前・・」幼き時から友の間柄、そんな会話も出来る友だった。
「誰よ・・」「お姉ちゃん、こまい時からお前の事を要聞かれていたな」
「え、そうなんか・・」「あ、保証するが、今は幸せそうだから無理かな」
「・・」「でもよ、童貞を無くするなら年上が良いと聞くが、本当か・・」
「ええ、じゃお前は未だか・・」「そうなるな・・」「・・」
そんな会話をしながらも憂鬱な顔は収まっていなかった。
「どんな年増が良いん・・」「ああ、泥臭いのが良い、美人や、ハイカラ
な女等興味が無いけ、俺はどんくさい程良いな、其処にはそんな表で歩く
女性とは違う面が有ると思えるんだ・・」「何で、そう思えるんか・・」
「だって、考えて見んさいや、普通以上の女性はもっと上、其れももっと
と上を望まれるぞ、敵わんが、俺じゃとても望み叶えられんが・・」
「何と、其処かね・・」「ああ、其れが良い、楽しめるし、教えてくれる
と思うんだ・・」「そうか、じゃジャンルは其処がど真ん中か・・」
「言えるがそうは居ないみたい、都会じゃな」「都会か、此処もか・・」
「半分はそうじゃ無いか、昔はド田舎だったが今見てみんさいや・・」
「そうなるな・・」そんな話も続いていた。
 「早く捨てろ・・」「え~お前に言われたくないわ、似たり寄ったり
じゃ無いか・・」「言えるが~・・」大笑いする。
 部屋に戻ると、昼の友との会話が未だ気に為る。
(そうか、泥臭さか・・、有り得るな其処も・・)誠司が喋ったことが頭に
残っていた。 
 其処に意外な人から電話が来た。
「ああ~お母さん、お久しぶりです・・」
何と、ご無沙汰していた、冴美ちゃんの母からだった。
「今忙しいの・・」「ええ、暇ですよ、大学も休みだし・・」
「じゃ、此処に来て暢気に過ごしませんか、釣りでもして・・」
「あ、そうか出来ますよね、忘れていたが釣か・・、でもした事無いが」
「だから、良いじゃない、飽きれば其処は駄目と判断出来るし、娘が偉い
世話になっているし、其れくらいなら此処で出来るけど・・」
「冴美ちゃん、帰りんさらんのかね・・」
「あの子は、あんたの家が偉い気に入って居る、今回も高校で部活だって」
「ええ、ではそれで戻らんと・・」聞くと、今年は三年生になる年、
部活もそれで最後の年だからと言われた。
「そうでしたか、其処は聞いて居なかったな、じゃ戻らんのかな・・」
「見たい、でも其れは良いの・・」「え、何か他に・・」「・・」
何もそれから言われて居ないが、電話の向こうで何か感じた・・。
「じゃ明日にでも行きましょうか・・」「良いの無理はしないでね・・」
「ええ、そうじゃ無いけ、嬉しいから飛んで行きますよ」「あらら・・」
そんな会話が出来たが、なんか喉に突刺さるような気がするのは何だろう、
そんな思いで電話を切る。
 三月二十二日、朝早く部屋を出る、向う先は今では懐かしい、
あの瀬戸内の大島、道は覚えているし、なんといっても汚れていない
あのお母さんの面影が蘇って来た。
気がせくだけ、車は早く走る、朝、早出したおかげで道はがら空き、
一時間少しで到着。
「お早う御座います・・」「・・」「お母さん・・」
「・・、ま~こんなに早くきんさったん、御免ね、まだ寝間着、夜明け前
蛸壺上げに出たから二度寝していた」
「済みません、事情を知らんから・・」
「良いのよ、じゃ上がって、待ってて少しだけ、布団上げるし・・」
待つ間、懐かしい庭に出て、海を眺めていた。
「どうぞ、其処まだ寒いでしょうに、済みません・・」
着替えられて、髪を巻き上げて結ばれている。
 部屋で挨拶を終えるとコ-ヒ-を二人で飲む。
「・・」えも言えない程女々しい女性、何と勉のど真ん中と今知らされた。
此れが、冴美ちゃんの母親じゃ無かったら飛び込んでいるな・・、
と思えるほど理想の女性そのものだった。
 でもあの当時よりやつれた感じがする。
「釣道具は、昼に聡子さんが持って来てくれるけ~・・」
「済みません造作懸けて・・」「いいえ、来てと言ったの美佐江だしね、
こんな家で済みませんね・・」「其処は言わないで、何でそう気にされる
んです、最高じゃ無いですか、此処は海が有るし、其れに最高な女性が
居られる・・」「ええ・・」
「あ、済みません、もう僕は先走りが得意なんです」「ええ・・」
益々驚かれた。
「コ-ヒ-、美味しいです」「うふっ、もう笑えるがね、インスタントよ、
あんたの家とは大違いじゃね」笑われた。
 だが、前より会話が進んで行かない、其れは何故か勉が会話が下手なのか
と心配する。
「何か、悩みでもありますか・・」「え、何で・・」
「だって、今迄会えた美佐江さんと違う感じがする・・」「・・」
「何か有るんですね・・」「・・」
「なんですか、聞きたいけど言えない事ですよね・・」「御免なさいね」
(矢張在ったんだ・・)そこから俯かれた侭顔が見えない、でも膝上の手
は震えて、何かが有ると其処で判る。
「僕じゃ解決出来ないんでしょうね・・」「え、貴方・・」
「心配なんです、お願い何かだけでも教えて下さい、其処から掘り下げ
ませんから、お願いします、何・・」「・・」其れでも言われない。
「じゃ、僕からヒント出しますよ、娘さんの事・・」「・・」
首を横に振られる。
「じゃ、仕事関係、と言っても友達だし、じゃじゃお金ですか・・」
其処も首を横に振られる。
「ではなんだろうな、世間は、違うだろうし、あ~、じゃ旦那さん・・」
「・・」体がピクリと少し動いた。
 だが、其処から勉も黙ってしまう、危険地帯と思うから進めなかった。
 その後は何かお通夜状態、二人は何も会話は成立出来ていない、
其れほどの事と察した。
居た堪れずに縁側から庭に出て、庭の椅子に座り、海を眺める事にする。

             つづく・・・・。































窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・10》

 お正月期間も開けると、勉は大学にと通う、郷では勉の代わりに新しい
女の子が居る。
冴美は、今は本当に我が家同然、然も婆も母も振り回されながら笑顔、
そうして、高校生活が始まっている。
「婆ちゃん、ね、今日遅くなっても良いかね・・」「何か有るんかね・・」
「うふっ、お兄ちゃんの部屋、汚くして居そうだから覗きたいの・・」
「あはっ、そうか、行って益々汚してやれや・・」
「ええ、可愛そうじゃない・・」「うふっ、聞いたか真澄・・」
「ええ、可愛そうとは思わんけど、気に為るんかね・・」
「お兄ちゃんだから当たり前でしょうがね」「はいはい・・」
そんな会話を楽しんで、冴美は婆ちゃんに買ってもらった、
真っ赤なママチャリに乗って家を出る。
此処から高校までは僅か十五分、頬被りして防寒姿が風を切り下りの道
を疾走、そうして見送る真澄の目から消えていった。
 「お母さん・・」「あはっ、あの子が来てから寂しゅうないがね・・、
反対に踊らされるのが良いね」「言えますね・・」
家ではそんな扱いを受ける冴美、本当に天真爛漫そのものだった。
 一月の最終の土曜日、勉は招かれて、東広島の家にと向かう、
あの最高に楽しめた家は二度目になるが、其処まで色々な事を時恵さんと
携帯で話し合って来た。
だから向かう家の事情は把握してる、大学で昼迄気に為る事を調べて、
そうして車で向かった。
 「今日は・・」「いらっしゃい、どうぞ」又も家は女性だけと理解する。
この家の男には合った事は無い、でも中身は時恵さんから聞いて居た。
「奥さん、来ました・・」「待って居たがね、寒かろう温まりなさい・・」
「はい・・」広間に来て、スト-ブの前で陣取る。
「あら、来たね・・」「お邪魔しにきました・・」
「うふっ、嫌味かね、待って居たんだよ」「有難う御座います・・」
「え、あんたは・・」「僕の心は聞かずとも理解出来ているでしょうがね、
此処は僕の天国ですからね」「あら~、言ううわね、こっちは地獄よ」
「そうなるんですか・・」「まあま、此れてんごせんと、コ-ヒ-・・」
「え、あそうか、お手伝いさん留守か、はいはい了解ですよ」
「馬鹿じゃね、直ぐ顔に出るがね」
「え、其処は素直で良いじゃ在りませんかね・・」
そんな会話を時恵さんと奥さんがされている。
「ねね、此処は月に二度くらい来れないかい・・」「え、其れだけ・・」
「ま~お前・・」満代が大笑いする。
 「どうぞ・・」「頂きます、あ・そうだ時恵さん、男性は・・」
「今は別宅よ・・」「じゃ会えませんね・・」
「そうなるかな、会わせたくも無いけど」「じゃじゃ、門閉めてきます」
「ええ、何で・・」「行けませんか・・」
「何で閉める・・、ああ~そうかね、良いぞ玲奈行って・・」
「え、私かね」「早く行かんか・・」「・・」変な顔をされて向かわれる。
 「勉・・」「はい、こんな時は何でも有じゃ駄目ですか・・」
「え、時恵・・」「うふっ、従いましょうか、楽しいと思いますけど・・」
「・・、そうか判った、何でも言いつけてくれ・・」
「了解です、じゃじゃ、直ぐに裸で過ごしますよ」「ええ、裸かね・・」
「はい、お願いします、邪魔なものは付けないで・・」「時恵・・」
「楽しそうじゃ在りませんか、私は従います」「じゃ、満代もじゃがね」
 本当にそうなった、時恵と満代は互いに脱がし合い、笑われる。
「うふっ、此れがスッポンポンじゃね」三人が裸になる時、戻った玲奈は
唖然と部屋の入り口で固まる。
 「此れ勉~剥がしてしまえ、血祭りに向かうんだ」「は~~い・・」
「え、え、え、え~何々・・、嫌だ~何裸かね、為るから許して・・、
ええ~あんあつぉ・ぉぉ・・そこ其処は~もう遣れんようになるがね、
あんた其処無茶よ、もう顔顔が・・、ああああう~~~~あんた~~~」
玲奈の首には未だセ-タ-が巻き付いたままの姿で・・、豊かな胸が
ゆっさゆさとリズムを刻む様に揺れて股の付け根には勉の頭が
減り込んでいる。
 その光景をニヤニヤしながら見る二人の女性・・、「え、お前・・」
「義母さん、良いじゃないねねね・・」
「ええ、ア、其処嫌だこいつお返しじゃぞ・・」
横で時恵さんと奥さんが真反対の形で引付かれ相手の股座に顔が沈んだ。
二組はまるで修羅の世界、いいや越天楽か、とんでもない事に為りつつ
あるが、何処でもそうは出来ない、此処は特別な家と思えた。
 玲奈は既に我慢出来ずに、勉をまともにに迎え、猪狩上げる中・・、
横では互いに弄り手繰り組みつ解れず愛撫をし合っている。
 五分経過すると、もうテンション上がりっぱなしの玲奈は気が持たない、
何度も上がり詰めて今は気が朦朧とする、そんな中、既に勉は其処には
居ない、同性同士の愛撫の最中に割り入り、とんでもない事を仕出かす。
 下に時恵を犬スタイルで居らせ、上に満代を乗せると同じ格好で上下に
為らせる。
「良いぞ~貰うが、うほう~鏡餅が重なっているが・・、喰らえ~~・・」
とんでもない興奮が二人の女性に舞い降りた。
予想だにしていない事が現実に・・、なんと団子が重なる中に減り込んで
来るおぞましい衝撃、下の時恵は上の義母を支える為踏ん張る中で、
ドスンボコボコと突き入れるでかい物が、中で暴れる、一溜りも無い・・、
喜悦の嵐の中に埋没、其れは上の満代にも伝染する。
上下交互に突き刺さる化け物はなんと二人の女性の常識を木っ端微塵・・、
とんでもない悲鳴を二人は発しながら嫌だとは決して言わない、其れ処か、
有り得ない世界にと向かわせられた二人は、最高な極みの越天楽を・・、
味わってしまう。
横で戻れた玲奈が驚愕、とんでも無い悲鳴を聞かされている。
「・・」唖然してただ見詰めるだけ、その眼には母と時恵さんのいがり
泣く姿だけだった。
 いくらなんでも堪えるには限度が在る、時恵は往くと叫ぶ都度腰砕け、
其れを抱えて元に戻し再度突き入れる、又も直ぐに腰が砕けると・・、
今度は上の満代が餌食、其れも敢え無く陥落・・、ええ~と驚く玲奈を
引っ張り横に寝かせると、此れまた犬スタイルをさせ突き入れた・・、
受ける玲奈は頭を急角度に挙げて・・、良いが良いよ凄い~とその後
泣き喚いても腰だけは勉の方に突き出して受けている。
其れも僅かな時間、三人はほとんど気力は残せない、其れほど強烈な
受け身をさせられていたのだ。
部屋は暖房が聞き過ぎる、ク-ラ-とスト-ブが燃え盛る中、
部屋は人間の肉が熱くなり、最高な気持ちを分け与えられている。
こんな事は到底考えられないが、なんと此処では出来ている・・、
然も相手は年増の年齢の三人、攻撃は若者だが、其れも年が未だ行かない
少年と青年の真只中、横たえながら時々襲われている三人、苦笑いの中で
こんなセックスを味わうと普通のことが出来なくなると思える。
 理解しながらも、其処は辞めたくない、あの上り詰める瞬間の我が身、
嬉々に小躍りする我が体、其の中にマグマが爆発・・、
とんでもなく泣き叫んで飛ぶ自分が最高だと燃えるからだった。
 夕方、何とか食事をするが、其れもこの部屋、誰も邪魔が無いから、
無礼講、そう言ううが此処は扱きの部屋の方が当て嵌まる。
 夕方過ぎても、どこかで蠢くカップル、其れが夜になっても同じだった、
流石に年上の満代は精魂果てて横たえたまま動けない、その体に惨い事、
後ろから突き刺す勉、受けながら息絶え絶え、そうすると時恵と玲奈が
その分受けなくては為らなかった。
 とんでもない仕打ちは、夜中でも思い出したように誰かが襲われている。
朝が来るまで、蠢く姿は終わりが無いと思えた。

           つづく・・・・。






















窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・9》

 満代は自分が二十歳で産めば今は子の年だと思うと、気が変に為りそう、
其れだけ年の差と現実は惨たらしいと思える。
 そんな気持でも、今は如何か・・、浴室に入る事を少しためらっていたが、
広間で待機する二人の女性の為にも此処はと、意気込んで向かっていた。
「勉ちゃん、見事だけ~、おばさん感激しているがね・・」
「お願い、何も知らんけ~、教えてくれんさいや・・」
「ああ、いいとも、此れからは、此処の勉強をしようかね」
「良いんですか、お願いします・・」
「はいはい、じゃ上がりんさいや洗うけ~・・」「はい・・」
湯から出る音を聞きながら満代は何時もの満代じゃない、当たり前だ、
こんな物凄いものは見た事も無い、此処に嫁に来る前は、人には言えない
生活をして来た。
食う為に何でもした、無論男相手でもほかの女性の数倍は知っている身、
其れだからどんな事でも怖気着いた事は未だかって無かった。
でも今は如何なのか・・、其れは自分がはっきりと判っている・・、
手が震える程見事なものを掴んだ時の衝撃は半端じゃ無い・・、
其処から動くが何を如何して居る事さえも知らず、自然と昔していた
動きが出ていた。
「ああ~、気持ちが良いです~・・」
「ぷはっ、そうかね、じゃどんどん良くしようね・・」
「お・ネ・が・イ・し・マス~~」
其処から一気に満代は本気モ‐ド、今までになかった意欲が湧き出て来る。
そうなると、母のような年上の満代、破廉恥極まる事も、何でも出来そう
と思え出す。
 既に浴室ではマットに勉を寝かせると、果敢にアナル責め、
腰が浮いたまま震える若い男を舞い上がらせようと、奮闘努力、
其れが功を奏したのか、受ける勉は引切り無しで嘘だ~・・、
奥さん凄いが感じるけ~、其処が良いソコソコが~おおおお・・・・
奥さ~、ああん・・」執拗にアナル責めは豪快、時には優しくねめるが、
受ける相手が吠え捲ると、猛攻撃、舌がアナルに入ろうとする方、
もう二人とも大変、気が狂うほど勉は吠えて居る中、満代は今まで知得た
技を駆使して攻撃を続ける。
その間豊かな乳房は相手に引き千切られそうに引っ張られ揺すられる。
そんな行為をお互いがし合う中、ついに我慢が出来なくなる努が動いた。
 「え、ええ~あんた・・」「待てんが納めさせてくれんさいや・・」
「あんた~・・」粘っこい声が出ると、既に承知の合図・・。
 其処から勉が主役、今迄技の実演は無いが、その分内緒でアダルトを
十数本をPCでストックしている、其れも全て秀逸品、昭和から現在までの
人気な作品を、自分のを扱く時でも利用して、実際は相手にしては
居ないが、興奮する中で画面は聡明に脳裏に浮かんで来る。
 勉が一番好むのは、複数との混じり合い、相手は目け時と頑張るから、
凄まじい光景、無論作品だから演技だろうが、中には本当に往かれる人も
居る、其処は何度も見ているから判って来だす。
今回は今迄溜めていた念願の技を一気に放出と決め込んでいる。
 それが其れが遂に現実となったのだ、既に満代は目を白黒させ、
迎えた大物は、ガッシと膣穴に挿入されて、其の入る瞬間は例えようが
無い程舞い上がり、マットの上で座る若者に跨りしゃがんで要れている。
気が狂った、とんでもない膣穴の充実感は、未だかって知らない。
其れだから、満代はしがみ付くだけ、教えるどころの騒ぎじゃない、
相手が動くままに身を任せ、満代の役目は、いがり叫び泣きじゃくるだけ、
何度も腰を下から突き上げられると、頭が真後ろに落ちて口を大開で
おう~うが~来た来たよ~あんたあんた・・、凄いが感じるけ凄いよう~
と宣う。
其れが直ぐに頂点を目指す我が身、貪欲に何度も上がりたい欲望は、
この男なら直ぐ叶えてくれると知らされる。
「奥さん、穴が気持ちいいですよ・・」
「何でもして~~~な、あんたあんた~、良いが良いよ最高よあんた~、
着て来て暴れんさいやあんた~・・」
しがみついて泣き叫びながらそう呼応する。
 なんとなんとどれ位はめ込んでいるのかさえ判らない、勉か入れた侭
抱き抱えて立つと、湯が滴る体で浴室を出て、満代はしがみ付いて強烈
な刺激を浴び続けた。
とんでもない気が飛ぶ歩き方、総て諸に満代の中に減り込んだものから
電光が体内を駆け巡っていた。
 涎を垂らしてもう声も掠れる中、気が付くと、なんと広間に勉の腰に
足を巻き付けた侭行かれていた。
 「ま~~、なんと派手ね、義母さんの顔見んさいや、時恵さん・・」
「・・、・・」時恵は返事が出来ないほど驚かされる。
この義母がしがみ付いて居るのは、可愛い勉、其れが相当な威力発揮して
居る事が一目で判る。
 「勉、如何や・・」「心地が良いけ、溜まらんが、アソコ柔らかいね、
包んでくれているんだ」「そうか、じゃ良かったんか・・」
「ああ、最高、此れで奥さんと繋がったがね」
「良いね、よくやりんさったね」「未だだぞ・・」
「え~、あんた嘘でしょうがね、もう二十分経過よ・・」玲奈が呆れる。
「未だですよ、少し遣り過ぎたから、奥さん休ませるね・・」
気を失ったまま、床に転がされた。
 「・・、・・、ええ~嫌だ何見てるの・・、まさかえ、嘘でしょう・・、
ねね時恵さん助けてよ・・」「うふっ、行けるんか勉・・」
「まだまだ元気ですよ、脱がして見たい・・」「任せ、脱がそうね・・」
「時恵さんもじゃぞ、此処は平等じゃろう・・」「・・、あそうかね、
じゃ皆と同じ姿に為ろうね、玲奈さん・・」
「ええ、まじ、何で此処でかね・・、ああああ、嫌嫌嫌だ~・・」
 床に転がされ衣服を剥がす時恵、その時恵の衣服も勉が剥がして行く。
 遂に四人とも裸・・、睨む先は、この家の小姑、部屋の隅まで逃げて
居る中、勉が襲い掛かった。
なんとま~甲高い声、悲鳴染みた叫びは何の役にも立たない、
いいや相手が興奮するためには最高に必要かも、寝かされた侭足を大開、
片足をかかえあげて交差、其の付け根に勉は腰を向かわせた。
「嫌嫌いやああああああ~~~~、ああ、あ、あううう~キ・・来たが
きんさったが~、うううわううや嫌や破れるがきつい良い~・・、・・、
うげええ~・・・・入ったが~あんた来ているよあんた来たが~・・」
何とも煩い女性、其れから自分がドンな事に為っているか相手に知らせ、
其れは気を失った時は止むが、戻されるとまた実況放送、
楽しい程強靭で最高な肉を勉は味わうことが出来た。
 其れも僅か十五分で陥落、其処から念願の肉体、忘れていない分、
挑みが激しい、迎える時恵も同じだった。
其処は優しく只今と言いたそうなアソコを挿入、穴に埋めて迎えた、
時恵は仰け反り震える。
其処は三年前とは雲泥の差、衝撃は火山の爆発の様に威力ある。
受けた侭何度も昇天、数度其処に向かうと、抜かれて残る時恵の体は、
痙攣三昧・・。
 そんな時、又も満代が攻撃され出す、直ぐに他の人のを見ているから
舞い上がり往き続ける、他愛無く筋肉が緩んでいく、其れからまたあの
最高に泣きじゃくる相手、玲奈さんに向かい、又も甲高い声を聴く羽目に
為った。
 やりたい放題、受ける三人は遣られ放題、家の中は無残な姿態が三体
転がって、虫の息をされていた。
 勉は桶を抱え戻り、義母の体を最初に丁寧に拭きあげるとされる満代
は泣いていた。
其れから玲奈さん、時恵さんと体を拭かれた。
 盆を持って戻る勉、ビ-ルが運ばれて来る。
其れを冥々に飲ませ、本当に至れり尽くせりの女性陣、受けながら、
又泣き顔で何度も勉の手を握られている満代、抱き付いて震える玲奈、
何度も頷いてくれる顔は涙が零れている時恵さん、本当に一時間半は
地獄と天国絵の行き来だったのだ。
 まだ物足りないのか勉・・、満代さんに向かい、棒を舐めて貰う、
其れが済むと今度は玲奈さんも同じ、またまた最後は時恵さんの口に
向かわせた。
ええ、と三人が同時に叫ぶ、其処には既に寝ている満代の上に被さると、
豪快に動き正常位の極意を発揮、とんでもなくいがり泣き叫んで往く、
玲奈さんも同じ形で瞬時に飛ぶ、時恵さんも同じ正常位で攻め立てる。
これが三十分、合計二時間は抱かれ嵌められている計算・・、
呆れるほどの強靭さに三人の女性は声も出せずに互いを見て苦笑い。
 疲れ切り、三人は裸のまま、暖房が効いて居る部屋で爆睡、
相当な運動量、特に満代は動く事すら出来なかった。
其の横たえる三人を見詰めると、なんと勉はその家から消えてしまう。

        つづく・・・・。
















窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・8》

 「時恵無理よ・・」「じゃこの計画から勉を降ろします」
「ええ~、何でね、あれほど推薦していたじゃないね」
「だからですよ、此の子はこの家に使われるほど落ちては居ません・・、
此処はこの家が思うようには絶対為りません。その理由は簡単、此の子の
お婆様はこちらで全員が向かっても太刀打ちは無理でしょう。
計画を聞いてから何度も考え、アソコは絶対変われる、購買意欲が凄まじい
環境、其処には入れ代わり立ち代わり新しい購買客が高校やら、大学にと
集まりんさる、そんな有望な土地ですよ、此方さんの考え通りには行かない
でしょう・・」「ええ、時恵話が違わないかい・・」
「違っていないですけど、でも此処まで掘下げて相談は無かったですよね」
「・・、そう言えばそうだけど、でも最初から爪弾きはしとらんがね・・」
「ですが、中身は話して頂けませんでしたよね」
「其処はおいおいと考えていたんだ、だって刺客が決まらんかったしね」
「刺客だけなら何処でも居る、金さえ積めば広島でホストも居る・・」
「時恵、其処は勘違いだぞ、そんなに刺客を見下りはしていないがね」
「ですか、じゃこの子はどんな扱いですのか、聞き様に寄れば時恵もこの
家を出ないといけなくなりますが・・」
「ええ~お前・・、其れほどまでこの子に・・」
「ええ、最初からはそうじゃ無かったけど、お正月合うと考えが変わり、
其れほど成長していた証拠です」
「じゃ、何か、勉さんをメインに考えているのかね」
「え、そうならないと向こうはびくとも動きませんからね、たとえ囲まれた
敷地がこちら側に入っても、周りは動じません、急に成金に為られたのでは
無いし、其処から悲惨な家族を見て来た人達ですよ。今更目先の良い話に
ホイホイとは乗ってくれないでしょうね」「じゃ如何すれば良いのかね」
「こちらが是非とお望みなら、中身を詳しくこの子に教えて、聞いて判断
させてからでも遅くは有りません」「え、では叶う事も有り得るのかね」
「ええ、其処は義母さん次第ですよ」「私か、何でじゃ・・」
「まず最初に勉をご賞味ください、総て其処から始まる、青年ですが、
一端の大人より、桁が違うのです、其処を見極め味わいながら、義母さんの
考えを自身に聞いて見てはどうかと、全ての話はその後としてです・・」
「あんた、本当に凄い女じゃがね、見過ごすところだったぞ、そう其れほど
肝入りなのね」「そうみて良いと思いますけど・・」
「判った、じゃこれからの事は時恵と勉さんに総て相談して進めようかね」
「そのほうがあちらさんでも動易くなる、土地は大方田中家親族、・・、
二つは残るが、其れも手を廻せば簡単な事、其処で起こす偉大な事業は、
こちら側で幾ら金が用意出来ても絶対叶わぬ事と知ってて下さいね」
「時恵、よう理解出来たぞ、あんたが総て先を見越しての事を腹を括れた
みたいだね」「ハイ、先ほど勉と話しをしている中で確信が持てました」
「そうかね、じゃ仲間じゃ、あんた其れで良いかね・・」
「総て時恵姉ちゃんに委ねます」「おう、言われるね、良い子じゃないか、
玲奈聞いたか・・」「はい、私も金では如何かなと心配していたのよ・・、
其れが先方の若殿様じゃないね、時恵さん、凄いわ、感動したけ~・・」
そう言われた。
 「では如何運ぶんかね・・」「まず最初は肉と心の絆を固めましょう、
此処は既に役者は揃っています、一番はその役者の首実検が先ですよ」
「ええ、じゃ前の話しかね・・」「ええ、義母さん、覚悟してて下さいね、
其れに控える玲奈さんと私も参加致します」
「・・、うぎゃ~何々聞いて居ないけど、嫌よ義母さんと一緒じゃ・・」
「じゃこの計画は降りて頂く事に為るけど、駅前一帯に出来る総合施設、
何でも出来るけどね、惜しいわ・・」
「え、何・・、時恵さん、脅しなの其れって・・」
「うふっ、相取れますか、でも反対ですよ,参加を願っているんです、
考えると私達三人で懸れば都合よく相手も満足してくれるかな・・」
「え、なんと三人、出来ない、無理無理、可愛そうじゃない勉さんが・・」
「さてと其れは可哀そうにはなるけど、其れ相手とは限らないと思うけど」
「いやだ~、こっちは三人、相手は一人、精子を出させれば勝じゃないね,
簡単、ね~義母さん・・」「・・」返事はされないが何か考えて居られる。
 「な~、味わう前で意見が飛び交っても埒が明かんが、如何此処で暴れて
見んさるかね、勉君・・」「そう決まれば嬉しいですが・・」
「何と豪儀な青年じゃ、よし、満代は参加する、時恵さん・・」
「はい、じゃ、勉、此処で総て脱いでお風呂に向かいなさいね・・」
「え、あ・ハイ出来ます・・」何と抵抗せずに時恵のいう事に従った。
 大広間で、然も三人の熟女が見守る中で、一気に総てを体から剥がす様に
脱ぎ捨てる。
 「・・、・・、え、え、え、ええ~~」最初に玲奈さんが度肝を抜れる。
「・・、ま~あ・あ・有得ない事、なんと凄いじゃないね、時恵・さん・・」
「はい、見事でしょう、此れが体の中で暴れんさるから覚悟してて下さいよ、
勉風呂よ・・」「行きます・・」
頭を下げて部屋を出るが、風呂場を探す羽目に為る、其処は大方の予想通り
に有る場所が分かり、向かった。
 「おいおい、時恵、化け物じゃがね、あれ鍛えたんかね・・」
「ええ、其処までとは知らないから、今見てて心臓が止まった、三年前も
でかかったが今見るととんでもない変わりよう、もうあいつは化け物じゃ、
体ごと全てがそうなっている」「・・、此れ玲奈、戻りんさいや・・」
「・・、あああ・・う~ん、もう驚愕よ、何であんな事にしたん・・」
「誰にも負けるなと言聞かせただけよ、でも初めて見たがね私も同じ思い」
「ねね、時恵さん嵌められるとどうなるん・・」
「其処は実際に抱かれてから聞きたいわ・・」
「呆れるよ全く、義母さん・・」「阿保か、お前は辞退するのか構わないよ」
「ええ~、何よその言い方酷くない・・」
「酷いのはお互い様じゃろう、お前は体よく利用しようと考えて居たがね、
其処を見抜かれたんだ、時恵さんが数枚上の策士じゃが・・」
「・・、言えるわ、今は後悔しているんよ・・」
「じゃ、抱かれて謝れば良いじゃないね、喜びが倍増する」「時恵さん」
「ねね、義母さん、お願い、あいつの体洗って下さらない・・」
「ええ、お前・・、あ・そうだね、其処から始めるかね」
「お願い、私しか知らない体、義母さんに任せるからお願い早く行って
下さい・・」何と時恵が義母を追い出す様に風呂場にと向かわせる。
 「時恵さん、如何かこれからも宜しくお願い致します・・」
「うふっ、小姑さんこそ宜しくですよ」「ま~嫌だ~・・」
勉のアソコを見てから玲奈は変わって行く・・。
 其の頃、風呂場ではどんな様子だろうか・・、
時恵は漸く自分達の立ち位置を探し当てた思いだった・・。

           つづく・・・・。




















窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・7》

 「只今・・」「・・、あ・お帰り・・・」
磨かれた玄関廻りは無節の桜材、とんでもなく一目で豪華さが見えた。
出迎えられた相手にもだが、最初は造りそのものに驚かされ、今度は相手の
姿に驚愕、其れほど予想より遥かに家も相手も別格、迎えてくれた女性は
身なりも派手で、顔つきも姿もいいや抜き出て美しいと一言で言える。
「ささ、あんたも上がりんさいね、時恵さん・・」「ハイ、行こう・・」
長く広い廊下は姿が映るほど磨かれている、部屋に向う途中の内庭が目を
見張るほど綺麗、冬なのにそれなりに花も咲き、庭園は和風家屋に相応しい
と見惚れる。
 「どうぞ・・」我に返り、部屋にと入る。
「えっ・・」又も驚く勉、部屋で待たれる女性が居られた。
「義母さん、連れてまいりました」「ご苦労さんね、どうぞ座りんさいや」
何と言葉が出ない程勉は慌てる、(此処はなんなんだ、三人揃って美人だし
年も似ているぞ、待たれている方は多少上かも・・、でもそう離れている
とは思えないが、今お姉ちゃんは、お母さんと呼んだぞ・・)
支離滅裂になりそうな心、慌てて指示に従い座る。
「ようきんさった、話は聞いて居るけど本当に若いし、可愛いじゃないね」
「ええ、郷では目立つ男に為りんさったけ~・・」
「だろうね、玲奈コ-ヒ-、其処でぼさっそせんで後で見んさいや・・」
「・・、嫌だ~お母ちゃん、酷い、直ぐに用意するね」部屋を出られる。
「そんでどこまで話したんかね」「え、未だ話す時間が無いけいっとらん
けど承諾させちゃる」「ええ、お前・・」
「任せて、此の子は義母さんの思いを汲んでくれるほど成長して居りんさる」
「そうかね、じゃ、本題も話して良いのかね」
「是非、此の子の将来に関係する話じゃけ」その時恵さんの返事に頷かれる。
だが、可笑しい事に男の姿が見えない家だ、広間は和式、庭が臨める部屋は
最高な造り、互いに威厳さえも醸し出ていた。
 コ-ヒ-が出されて四人は飲む。
「勉、今からお姉ちゃんが薦める事には逆らわずに従いんさいよ・・」
「え、何か有るんか、言い方怖そうだけど・・」「うふっ、度胸試しかな」
「ええ。何其れ・・」「ま~何も教えていないのかね・・」
「急いでいたから何も、只行く所で嫌といんさんなやとは言っていますけど」
「あはっ、其れだけかね、大丈夫か・・」
そんな会話を聞かされるが、なにが何だか未だ皆目知っていなかった。
「勉さんよね・・」「はい・・」「あんたは大学二年生か・・」
「あ、其処は此れから二年に上がる年ですが・・」
「ま、そうね、じゃあんたには勉強も有ろう、此れからの話しも序に聞いて
参加できるなら、こっちは助かるけどね」
「どんな事ですか、お姉ちゃんの願いなら聞きたいけど無茶な事以外なら」
「無茶はどんな事指さしんさる・・」「其処は暴力とか、盗みですかね」
「あはっ、そうかね、じゃ其処以外なら出来そうかね・・」
「・・、でも色んな事が有る、ハイと言えんが、出来る事なら努力します」
「良いわ、そう来ないとね、時恵、合格よ見た目はね、で如何なんかね、
アソコ・・」「ハイ聞きますと、未だに鍛えて居ると・・」
「ええ、そう、じゃ相手は・・」
「それが、なんと恥ずかしいけど私以外とは未だと・・」
「ええ、二年半も経過しているじゃないね、無いんかね」
「聞くとそう応えました」「何と、勿体無いぞ、相手を掴んで磨けば良い
ものを、でも大学で其処は忘れているのかね・・」
「其処も違うと、今も訓練はしていると・・」「ま‘じゃ可能性は・・」
「其処は未だ実物を見ていないけど、此の子は嘘は付けん子ですけ~」
「そうかそうか、じゃ其処は信じてと、玲奈如何・・」
「ええ、私か、如何って、若過ぎない・・」
「見てくれはそうなろうけど、中身で勝負じゃろうがね、相手は強かぞ」
「ですよね、じゃ玲奈は良いけど・・」
「決まりか、時恵、時間を上げるけ、中身を話してごらん・・」
「はい・・」そんな会話を聞かされた。
 時恵は勉を連れて部屋を出て別の部屋に入る。
「良いかね、此れから話す事は性根を入れて聞いてね、此れはあんたにも
影響する話だし、如何してもあんたに参加してもらいたい事は間違いない、
だから話す事をよく聞いててよ」「うん、嫌、はい伺います」「良い子ね」
 其処からいきなり本題に入られる、其れは何度も耳を疑う事だらけ、
信じられないとさえ思える話の中身だった。
 二十分間、一言も口を挟まずにいる勉、其れだけ有り無い事を聞かされ
ているのだった。
「え、じゃじゃ僕は・・」何と漸く其処で声が出た。
「そう、あんたのアソコで狂わせてくれないかね、相手は強かさでは名が
知れた家と女性、でも今は藁でも掴みたいほど困っておりんさる、この家
に知合いが来て金の無心、其れで中身が知れた訳よ」「でも、僕が・・」
「其処、あんたの家とも関連が有ろうがね、先様の持つ土地は、あんたの
家が首を振らないとどうにでも出来ない代物じゃろう、銀行も融資したい
が、ひも付きだと断られて居りんさる」「でも回りは確かに家の土地が
多いけど、親戚のも有ろうがね」「其処なんだ、だからあんたが先導して
くれれば周りはしたがいんさろうがね」「ああ、其処か・・、でも私道
ってそんなに強いんか・・」「そう、周りは全部あんたの親戚の物だし、
其処は昭和の半ばからマンションが立て続けに建てられている・・」
「そうなるね、でも道って他に無いんかね・・」
「無い、有るのは二か所、マンションだけど有るよ・・」
「あ、其処は親戚から手放されている場所だよね」
「そうなのよ、でも其処は既に手配済、内緒だよ」「ええ、じゃ・・」
「そう言う事、袋小路、袋の鼠・・」「・・」言葉が出て来なかった。
有得ないほどの計画、其処を射止めると今度は実家の自分の家に話しを
持ち込むと時恵は言った。
「でも、計画は凄過ぎないか・・」「其処が、誰もが出来る話じゃない、
この家とあんたの家が合体すれば叶う、大変なプロジェクト、だから
今からあんたが噛めば、五年後は大変な事になる、其処に立ってくれる」
「ええ、お姉ちゃん、本気か、僕未だ大学生だよ」
「だから、今からだろうがね、訓練よ、世の中を渡り歩くには都合がいい
試練じゃないね、時恵を踏み台に上がりんさいや、其れが私の夢なんだ」
「・・」驚く話を耳にし、勉は動けなくなった。
 あの祇園の駅前を再開発される話、目当ては袋小路の土地、其れさえ手
に入れば、後は勉の家と親戚で囲まれている敷地だった。
幸か不幸か、大事な土地は袋小路、左右に伸びる道は半分は田中家の所有、
何度も市から道を買わせてと懇願されたが、断っていた。
だからその土地は半値以下、田中家が首を縦に振らないと身動き出来ない、
唯一有るのは、二つのマンション、其処は親戚が土地を売った相手・・、
其れが買えれば叶う事だが、其処は如何も良い返事が貰えていないと知る。
あれやこれやで、身動きどころか破産寸前の相手と知らされた。
「お姉ちゃん・・」「良いね撒餌はこの家の玲奈さんがしんさる、あんたは
言われるままに動きんさいや、でも性根を入れて懸れ、相手も強かぞ・・、
寝床で遣っ付けんさいや・・」「ええ、お姉ちゃん・・」
「阿呆、男でしょうがね、勝負はする時は褌を外すのよ」「ええ~・・」
言い方が笑えるが、顔は真面目その者、其れほど此処も熱を入れていると
知らされた。
 部屋の電話が鳴る、「はい、そうですね、じゃ連れて行きます・・」
「・・」「あんたは此れから修羅の道を突っ走るのよ、そうすると先が見え
だす、此れはあんたの最初の試練に為るかも、でもすると進めるよ、本家も
驚きんさろうけど、結果良しなら大万歳でしょうがね」
「・・、うんそうなるね」「じゃ頑張るのよ、行くよ待たれているし・・」
従うしかない、勉は会うまでは抱けると喜んでいた自分が・・、
今じゃ恥ずかしかった。
 最初の部屋にと勉は向かう、同じ場所で座ると・・、なんといきなり勉が
腹を据えたのか正座して頭を下げる。
「え、あんたまさか、ね時恵・・」「見ての通り、覚悟出来たんでしょうね」
「何と今は無理かと呼んだんだけ・・」
「ええ、私もそうなるのかと、でも今見ているとなんか勉の体から電信が、
感電して寒気がします」「なんと、そうなるのかね、じゃ進められるか」
「それは今後のお母さん次第かと・・」「ええ、私か何で・・」
「此の子は、最初はこの家の大御所を抱いた後と思って居る筈です」
「ええ、何々あんた、まさか・・」
「そのまさかです、今まで見ていると息子の浮気も夫の女遊びも許して
おられる中、何で義母さんは男を求めないのかと不思議です・・」
「時恵、アンタ・・」「ええ、図りました、勉に家ごと面倒を見させよう
と決めているんです、無論この家もですがね」「ええ、あんた・・」
「嫌なら、此処で話を切りましょう、其れほど此の子は値打ちが有るんです、
心根と裏切らない強い気持ち、アソコは誰もが及べないに場所に誘い込んで
くれる物、偉大さはあれから鍛えて居るなら、鬼に金棒・・、持続も桁違い
ですのよ、賞味して戦場に送り出して頂きたいです」
「時恵、あんた其処まで・・」
「ええ、正月見た時、この子と将来同じ道を歩いて見たいと、夢ですがね」
そんな事をお姉ちゃんが言ってくれた。

             つづく・・・・。























窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・6》

 正月三が日が過ぎると冴美と母親は一度大島にと帰られる、
冴美は学校が始まる前に、此処に戻る事とし、
四日の朝横川迄勉の母の真澄が送る。
その日見送ると直ぐに勉の姿が消えた、無論車と共に・・。
 其処には理由があった、新年の挨拶に集まった親族、その中に時恵さん
と父親の姿が有る、僅かな隙に時恵は勉にメモを手渡している。
其れに従い電話番号を書かれたメモで電話した後、出て行った。
 何で親族なのに抱き合いがいとも簡単に出来ているのか、叔父や叔母や
従妹はとこは血のつながりが有るし、この世では無い事は無いが、
避けるべき獣道、今でも親子とか兄弟で近親相姦などは珠に有るが、
好ましい事じゃ無い。
 だが、勉は如何してと思えるが、其処は時恵さんから話された事で、
其の柵は消えている。
今でこそ親族と名をつられられるのは血が繋がる事が条件、
だったらなぜ時恵はと訝るが、其処は此の中国地方で昔あった事が原因、
はるか昔から昭和の半ばころまで、契約子供と言う特殊な繋がりが有る。
其れは、昔は小作人と土地持ちとの差別や世の中での違いが生じていた。
田中家でも三人契約子供が結ばれているのだ、その一つに山根家、
無くなる筈の契約だが時恵の家だけが残っていた。
通称契約っ子と言われる関係は何故出来たのか・・、其処には小作人の
辛い部分を多少たりとも和らげる約束、役場に申し出れば受け付けて
くれていた、其れで公に親戚扱いをしてくれる。
 小作人は当時本当に苦しい生活を余儀なくさせられている。
生活資金も儘為らない状態で生き抜くのだ、だがどうしても道具や、子供が
出来た時など、そうして家族が病気など、金が必要になる時が出て来る、
そこで公金や金融関係に金を借りるには後ろ盾が強固でなくては成らない。
その時、どこそこの契約子供だと言えば、時間を懸けずに金が借りられる
仕組み、其れだけ土地の名主や不動産を持っている家が、親となっている。
其れが契約子供の仕組み、頼母子講とは意味合いが違うが、急な時には必要
なつながりとして昭和の半ばころまで続いている。
其れが亡くなったのは、農地改革が施行されると消えていった。
 だが、山根家は真面目な人が多い、然もどんな時でも昔の名主様だと
駆けつけてくれる、そんな家だから、今まで通り契約子供、すなわち親戚
付き合いが続いて来て、そんな事で血こそ繋がらないが、
田中家と山根家は未だに親戚とされていた。
 そんな関係の中で三年前に勉と時恵は結ばれていた、言いようはどうに
でも出来るが、二人は七歳も年が離れている、未だ勉は中学二年生の時期、
人に言える関係じゃ無かった。
無論主導は時恵、手慰みの仕方を教えようと勉を誰も居なかった時呼んで
家で、風呂場でと教えていた。
だが、其処は間違った道にと嵌り込む二人、勉は興味が在り過ぎるし、
手習いを教える側の時恵は時間潰しでもと軽い考えで動いている、
だが其処はドツボにと邁進する理由が有る、あまりにも立派なアソコを持つ
勉、最初から時恵は我を忘れて本気に為らされた。
その関係の延長で、遂に時恵は勉をわが身にと誘いこんでしまった。
其れが其れが余にも二人との男とは違い過ぎたのだ、経験は僅か二人しか
知らない体の時恵、相手が悪すぎた。
 とんでもないでかさと強靭さに我を忘れて行く・・、
一度善がり上げる我が身の味は忘れられない、時々人目を盗んで逢瀬を
重ねる時期が有った。
一年半、体は大満足、だが悲しいかな、時恵に縁談が舞い込んでしまう。
広島で喫茶店のウエイトレスをしていた時分のお客、店を辞めると金に
物を言わせ、時恵の里を知り、仲人を立てて、其処で一千万の金を積んで
嫁に来てと頼まれたのだ。
 それが正確には二年半前の事、時恵は嫌々ながら、家の事情も考えると
直ぐに承諾、其れが結婚の中身だった。
 以後、勉にも音沙汰無で来ていたが、今年の正月、家に年始で来た折に
メモを渡してしまう。
其れが勉が向かう中身、都合を聞かれ勉の都合に合して会おうと言われ、
直ぐに嫌じゃ無いから勉も返事する。
向かう先は初めての場所、東広島市、其処の街に時恵は嫁いでいた。
 時恵さんが嫁いだ先は祇園の我が家と同じランクと聞いて居る、
無論昔はドン百姓,だがその場所も祇園と似て成金百姓、嫌本当は祇園の
ようじゃない、それ以上の成金群・・、其処は空港が出来ているし、
おまけに高速道や山陽新幹線と昭和から続いて二束三文の山や畑地が目が
飛び出るほどの金額を運んで来た。
一度と言わず二度三度と、其の地の周りは雨後の竹の子状態、
見渡す限り成金の家となって行く。
 同じ土地でも値段は都会と田舎じゃ天と地の差、其れでも莫大な敷地が
必要な空港や新幹線の駅回り、高速道とんでもない場所に大変革、
そんな所が東広島の地元、其処え今勉は向かっているのだ。
 待ち合わせ場所は駅前の喫茶店、何とか時間通りには到着する。
全く何も無かった場所に、とんでもない街が出来上がり、呆れる程未だ
周りは更地が目立つ、其処はまだまだ開発の余地を残す地と思える。
喫茶店のドアを開けると、直ぐに相手が手を挙げて歓迎される。
「御免・・」「ううん、会いたかったし・・」そんな挨拶で座り向き合う。
「・・」「・・」二年半は長過ぎる、発育途上の若者には味わった感激は
生涯忘れる事は無い、其れが今目の前で座る女性、時恵さん・・。
「ねね、あれから如何女性関係・・」「え、無い無い、未だ其処までは」
「ええ、まじかね、何でしんさらん・・」「ええ~お姉ちゃん・・」
「だって、勿体無いがね・・」「あはっ、そういんさるんか、相変わらず
凄いわ」コ-ヒ-を飲みながら懐かしさとアの行為は忘れる事ない相手、
本当に合いたかった女性だった。
「ねね、此れから連れて行くけど、驚かないでよ・・」
「え、何処にいきんさるん・・」「家よ・・」「え、家か拙かろうが・・」
「うふっ、其処は後よ」「後・・」
「そう、紹介しておかないと後あと面倒になるけ~・・」「面倒か・・」
「そう、あんたを育てた罪と欲望は未だ残っているし、あれから無いなら、
益々意欲が湧いて来るがね」「お姉ちゃん・・」
「待って、良いね、家では驚かない事、紹介したい人がおりんさる」
「え、会うんか・・」「そうよ、此れから必要な相手に為る筈、あんたの
将来にも必要よ」「僕にか・・」「其処は後でね、追々と話すけど先ずは
初対面で驚かそうかね・・」「・・」
「あのね、聞くけど、アソコはそのままかね・・」「え、意味が・・」
「鍛えてはいるの・・」「え、そうなるけど・・」
「じゃ未だ育てているんだ・・」「だって、お姉ちゃんが薦めたんだぞ」
「うふっ、相変わらず可愛いわ・・」そう言われる。
 「行こうか相手が待って居るし良いわね、時恵の言う通り行動するのよ、
躊躇うと拙くなるし・・」「何か有るの・・」
「大有りよ、今後のあんたの道が開けるかもよ・・」
「ええ、意味がよう判らんが・・」
「後で思い出しなさい、もう大人になっているんだから、何もかも相手に
縋りんさらずに、自分で考えて進みんさいや・・」「お姉ちゃん・・」
「良いから行くよ」二人は喫茶店を出ると時恵の車に従い勉は付いて走る。
 駅前のロ-タリ-を廻り山手にと向かう、なんと直ぐ家に到着、・・、
唖然、祇園の家に引けを取らないでかさと豪華な庭、本当にここにもある
のかと驚かされた。
 駐車場も広く五台分はスぺ-スが有った。
時恵さんに従い階段を上がる勉、予想を遥かに超える家にと向かっていた。

           つづく・・・・。
































窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・5》

 平成二十一年が来た、年末は違う意味で賑やかに年越しが出来る。
其れも此れも全て新加入の冴美ちゃんの御陰だ、若い子娘がいるだけで家の
中は明るい、姥桜と其処に猛進する母親では、どうしても暗くなるが・・、
今年の正月は大変化、元旦の朝神社に揃いお参り、御節料理を囲で食べるが、
独りはしゃぐ冴美、なんと年越しまでは、奮闘、勉の母親につきっきりで、
お節料理を手伝う、その姿が面白いのか婆ちゃんも常に傍におりんさった。
  だから正月の御節は大変、「此れはこうして作ったの、冴美は此れだけ
任されたの、此れは見てただけ、でも楽しかったよ」
そんな具合で勉は合槌をしながらだからおちおち食べておれなかった。
其れが面白いのか婆ちゃんと母がお腹を抱て大笑い、そんな元旦が終える、
今度は違う意味で家の中は大騒ぎ、なんと二日は此処は田中家の本家、
挨拶に親族が集まる、其れに出させようと、母と婆ちゃんが大騒ぎ・・、
其処には田舎で名残か、母が成人式に着た振袖、其れを引っ張り出して、
冴美に着せようと騒がれている。
別の部屋から時々見る勉は苦笑いする。
今迄は何でも勉が主人公だった、だが今回は其処の座を有無言わさずに
奪われて、だけど悪い気はしない、反対に背負う責任が無くなり安堵も
している。
 「勉~見んさいや、まるでお人形さんじゃがね、・・」「・・」
返事が出来ないくらい言われた通り、母の大切な思い出の晴れ着、
保管が良いのか新品と見間違うほど綺麗、其れに袖をを通す冴美の体が、
此の着物の花柄を際質せるに十分な威力が有った。
 「なんと~・・、誠に合うがね・・」
「お婆ちゃん、見てみんさいや、此れ凄い綺麗よ・・」
「わが家の遺品じゃがね、冴美に取っていたようなもんじゃ真澄・・」
「ええ、見惚れます」本当にそう見える」着た本人は喜んで手を横に挙げ
回り、其れを眺める母と婆、家の中は今日も明るい兆し、此れから集まる
親戚連中はどんな思いで見るのだろうかと、其処は興味が在った。
 午前十時前後、来るわ来る来る、家に入る手前の空き地には豪華な車が
並んで行く。
祇園が開発され出してから、此処は一層絆が太くなってきていたのだ。
参加される人が、いち早く冴美を見つけ驚かれる、その様子が可笑しいのか
婆ちゃんがご満悦、膳が並べられる中、冴美も手伝うと言うが、婆が駄目、
親戚の相手して居りんさいと手を出させなかった。
其処を見た皆は、家の中で重宝がられていると知る羽目に為る。
 遅れて午前十一時、なんと瀬戸内海の大島から、冴美の母親が来られた。
 生涯忘れる事は無いだろう、集まる親戚の人たちの驚愕する姿・・、
とんでもなく田舎とは言え、冴美の母親は際立って美しく抜き出ている。
まるでサトイモやジャガイモの中で輝く異物、太陽の子マンゴウに例える程
姿が抜き出ていた。
暮に冴美と電話をされ、二日に来てと冴美が頼み今年はこの家で正月迎える
と娘に言われている。
何とか住所を書いたメモを握り、横川からタクシ-を婆が手配され、
其れに乗って来られた。
 大広間の手前の廊下で座り、深々と頭を下げて親戚連中に挨拶。
皆が感動し、直ぐ冴美の母親だし仲間に入れられる、其処は本家の威力か、
総てが嬉しい、楽しいお正月にと、花が加わったと大騒ぎで歓迎された。
 美佐江は、挨拶を終えると、母と婆にしがみ付いて大泣きされる。
其処は娘がこんなにも大事にされている現場を見ると、誰しもがそうなる
だろう、特に美佐江は感動して、長い間涙が零れ、うす化粧が落ちる、
でも其れでも素顔はまた違う意味で綺麗だった。
 役者が揃う、平成二十一年度のお正月、宴会が始まった。
其処に三年ぶりの時恵さんの顔も見れる、親戚だから当たり前だけど、
事情が違う、時恵さんは既に十二月の当初から、実家に居たと後で知る。
何故かと訝るが、其処は勉も気に為った、だけど誰も時恵さんの事は話しが
出て来ない、既に承知なのか、親戚の人達は何も言われないで宴会が進む。
 午後三時過ぎ、広間は大変な事に為り出す、特に男連中は顔を真赤にして
踊るやら、カラオケで下手な歌を披露し、冷やかしながら楽しまれる。
 其の頃は既に婆の差配で、喧騒な広間から、冴美と母親の美佐江さんは
居られなかった。
 午後五時過ぎには、自分達の家に帰られる、其処で今度はその家の人が
集まり宴会だと聞いて居る、正月はこんな感じの田舎、
何処でも大なり小なり、顔合わせは行われていた。
 「ご苦労さんじゃったね・・」
「婆ちゃん、有難う、凄く良かった、写メたくさん撮った・・」
「ほうか、其れは良かったね、お母さんお疲れでしょう・・」
「いいえ、この度は・・」「良いからそんな形ぐるしいのは好かんのじゃ、
あんたはお客様」「え、冴美は・・」「この家で女の見習いだろうがね」
「あ、そうよね、じゃお正月は・・」
「普通なら、後片付けをするんだがのう・・」「着替えたから行けるよ」
「ええ・・」「良いわ、おばちゃんもおりんさるんか・・」
「キッチンで居るが」「じゃ手伝う」「正月じゃ良いよあんたは・・」
「お母ちゃん・・」「あのう、何でもやらせて頂けませんでしょうか、
此の子は世間知らずで、そう言えば私もですが・・」
「そうかね、じゃ好きに動きんさいや、疲れたら、此処に来い・・」
「は~い・・」跳ぶように着替えているから部屋から消える。
 婆と美佐江は苦笑いする。
「あんたの家は・・」「はい、夫は今回戻れないと・・」
「そうかね、じゃ少し此処で骨休めしんさいや、話も有るし・・」
「大奥様・・」「嫌だ、その呼び方好かんのじゃ、昔ならいざ知らず、
今は平成じゃろうがね、婆で良い」「でも・・」
「いんや。其処は譲れんぞ、婆で呼んでくれんかね」
そんな会話から、いろんな話を二人は外が暗くなっても続いていた。
 勉と言えば、既に家には居ない、友達と飲み会だと祇園の街に出て
行っている。
 家の喧騒も終えると、親戚の婦人達も、婆に挨拶されて帰られた、
部屋では既に母と婆と美佐江さんが炬燵に入り込んで酒を飲みながら
世間話、冴美はよほど疲れたのか、炬燵に足を入れて寝ている。
 こんな調子で正月二日目は終えようとする。

            つづく・・・・。



























窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・4》

 家で話しをしていると、誰かが来られる。
「おい、さっきお前を尋ねて若い男がきんさったと聞いたが・・」
「ま~、其れでかね、此処におりんさるが・・」
「・・、ええ~あんたかね、何しにきんさったんか、借金取りなら金なんぞ
無いぞ」「え・・」「もう、聡子さん早とちり、この人そんな人じゃ無い」
「ま~御免なさいね、この家は親戚でのう、主が留守じゃろう、其れに子は
器量良しじゃがね、気を付けてと頼まれているしな・・」
「もう聡子さん辞めてよね、恥ずかしいじゃないね、座れば・・」
「ふ~慌ててきたけ~、喉が・・」
「冷蔵庫に有るが、アンタ其れ目当てじゃろうがね」
「うひゃ~、お見通しかね、だがな、今回はそうじゃ無かった、色々と噂が
有るしな・・」「ああ、お父ちゃんの女かね・・」「ええ、美佐江・・」
「知っているけど、今は外国じゃ・・」笑われる。
 「そんで用事は何ね・・」そこから気が許せる仲間なのか、娘の話を包み
隠さずに話される。
「何と、あはっ、冴美がかね、あいつよう遣りんさるわ・・」
「笑う事じゃ無いけえね、この方の家が偉いご迷惑かけているんよ」
「そうか、じゃ真面目に話を気かなあなるまいのう・・」
話す相手が二人に為った。
 其れからも娘の話が中心だが、来られた女性は豪快な人、聞けばこの家
とは縁続き、夫の外国航路に行かせたのもこの人だと聞かされた。
「じゃ、何か、あんたの家で下宿かね・・」
「そうなると、真っ先に此方さんに伺い了解をと言われてきました」
「そうかそうか、暮の忙しい中、よう来ちゃんさったね」
「あんた、態度急変・・」「当り前じゃろうがね、冴美の将来が懸っている
大事な年ごろじゃろうが・・」「ええ、私の子供だけど・・」
「何、其処はええがね、面倒を看るし、今後もじゃが、金は無いぞ・・」
「え~、聡子さん呆れる」本当に意味が通らない事でも平気な顔されて、
ビ-ルを飲まれる。
 色々な話をその方から聞き出せた。
今この家は夫の仕送りと、僅かな小遣い稼ぎにと聡子さんの家が商う、
瀬戸内のタコ漁を手伝っていると聞かされる。
「なんとそうでしたか、ここ等のタコはブランド品ですよね」
「関西ではそうなっている、でもよ昔より上がりが悪いしな、女がする仕事
じゃ無いけど、仕方が無いがね」そうも言われた。
 次第にその人が加わり、話の変更は無い、今後どうするかが話合われる。
 「じゃ、美佐江一度この方の家に伺い挨拶が先じゃろうが、聞いてお願い
だけじゃ、相手に失礼だぞ」「だよね、其処を考えているのよ」
「え、其処は良いです、こうして預かる事を許して頂けただけでも・・」
「そうは行くかね、美佐江今年は後僅か、新年でも挨拶に向かいんさいや」
「そうする、其処は既にそう考えて致し・・」そんな話を二人でされていた。
 だが、勉に聞かれるから総て本当の事を話す、すると聞かれる二人は
驚かれ出す。
「ええ~・・、じゃじゃあんたの家で総て賄ってくれると・・」
「はい、婆ちゃんからはそう聞いて居ますが・・」
「おいおい、美佐江これは不味いぞ・・」「え、何処がね有難いがよ・・」
「阿保じゃのう、そうなれば全て向こうさんの思う通りに為るぞ」
「え、意味が・・」「待ちんさい、其処を考える、言ううから慌てさせるな」
ビ‐ルを飲まれて、勉を睨まれた。
 「・・、はは~ん、先方の魂胆見えたりじゃね・・」「え、魂胆って・・」
そこから聡子さんの仮設の話が始まった。
 「ええ~そんな事あり得ません、僕は此処に居ますから断じてないと断言
致します」「ええ、あんた、そう此処で断られたら、後で冴美が怒りんさる、
なな、仮の話しだろうが・・」「そうとしても、冴美ちゃんにも失礼だし、
僕にもですよ、恩を着せて家に囲おうなど失礼でしょうが、冴美ちゃんに、
僕にもですが・・」「・・、あんた謝ってよ、酷い事いんさる・・」
「うん、少し言い過ぎたがのう、結果そうなるぞ」「ええ、聡子さん・・」
「考えて見んさいやあの子は器量も良い、まだ子供だが其処で育てられたら
先は、な考えろや・・」「先はどうなるか判らん、でも聞いたら、冴美に
とって其処が良いと思えるんだけどね」
「そうかもしれんが、先には有り得るって事・・」
「それはそうなれば致し方ないし、相手がこの人なら良いと思える」
「ええ、美佐江・・」「そう話を聞いて居る内にそう思え出した、責任感が
ある人だし、何よりそうならない内に、此方に来てくれて如何かと伺われて
いるじゃないね・・」
「そりゃ~そうだけど、そうか美佐江は此の青年を気に入りんさった・・」
「言過ぎよ、もう途中から出て来るから、話がややこしくなる、良いわ、
美佐江が先方に伺い、ご挨拶がてらに中身を聞いて来る」
「そうか、じゃもう何も言わんがアンタ娘みたいなもんだ、あの子を頼むね」
「ええ、僕は連れて戻っただけですし、後は家のもんが・・」
「だからじゃ、後ろでなな・・」「ええ・・」
声色が変化し、頼まれ出す、可笑しな女性だった。
 如何見てもこの家の母親とは雲泥の差、でも力仕事は熟せる体と思える。
「じゃ、邪魔したね、今年は向かわんのかね・・」
「え、年明けといんさったのはあんたじゃがね」
「そうは行ったが、決めごとして年を迎える方が良いとも思える」
「もうなんね、あんたは・・」苦笑いされた。
 しかし考えると、この女性が飛び込んで来られて、
事の周りを固め練込まれた気がする、其れほどまとめる力が有ると見える。
「では、行くにも、年を開けるにも、一度向かいんさいや、後で聞かせて
くれんね」「ええ、総て知らせるけえね、心配かけて御免・・」
「うんや~、何でも賑やかな方がええけ、ここ等は錆て来た、いいや其処も
通り過ぎて、ガタピシと戸迄もが動かんぞ、若者は逃げて行くし、この島も
今じゃ半分も残っとりゃ~せんがね、じゃね、あんた御免、冴美頼むよ」
そう言われて家を出られる。
 夕方過ぎて、周りは真っ暗、寒いからスト-ブが燃え盛る中、
冴美さんに母親が電話される。
横でスト-ブを見ながら聞いて居る勉が居た。
 長い電話だった、途中で怒る声も出ていたが、全体的に、母親らしく娘の
言い分を聞かれる、この島に残りたくても現実は無理、何も無いし、
仕事は海を相手する事、女性には向いて居なかった。
 「勉さん、有難う御座いました、冴美が泣いて嬉しいと・・、本当によう
拾うてくれたね」「ええ・・」
「だって判る、有ん時に現れたのは何かの縁じゃろう、氏神様だと思える」
「大袈裟な事、僕は何もしとらん、家の母と婆ちゃんが、冴美ちゃんに
惚れ込みんさって、朝起こされて行けと、そう言われただけです」
「でも、良かったあんたで・・」
「ええ、其処は如何かな、鬼か狼に戻るかも・・」
「うふっ、そうなる人は言わんけ~ね、其処は隠しんさろうがね・・」
「え、言えますね・・」二人で笑っていた。
昼過ぎは海が荒れていたが、今は波も静、本当に穏やかな瀬戸内海を見る。
庭で仰ぐと、曇っていた夜空が今は真綺麗な星空、
キラキラと輝きながらまるで星が息をしているかのように煌めいてた。

                   つづく・・・・。




















窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・3》

 翌日朝早く目が覚める、其処は自分では起きていない、
婆ちゃんに起こされて縁側に座った。
色々と話しを聞かされる中、冴美を此処で面倒見たいとまで言われる。
此の家は勉だけ、女の子が欲しかったとも言われ、
「そんでな聞いたら母親若い、写メ見たんかね」「ううん、見ていないが」
「それがな、とんでもない程の美人じゃ、そんじょそこらでも見つけられん
ほどの器量じゃ、肌は陽に灼けているが中身は最高と見たぞ」
「え、婆ちゃん・・」「な、お前は約束した通り、後二年は大学じゃろう、
その後は良いか婆と約束、二十五までは遊んでも構わん、誕生日に為ると、
もう仕事を作るんだ、良いな其処だけは約束したぞ」「婆ちゃん・・」
「そんでな、お前は未だ女を知らんだろうが・・」
「当たり前じゃがね、大学に入って間が無いじゃが、何で聞きんさる・・」
「其処でじゃ、最初の女性が肝心、冴美も良いがあいつは未だ小娘・・、
だが良い顔と根性と体つきは見逃せんぞ、良いなやがてお前が料理しんさい、
其処まではわしらが面倒を看る」「ええ・・」
「だがな、其処は結婚は別じゃ、あの子が良いならそんでも良いが、其処は
わしが言った通り二十五までは結婚は考えるなや、其れで遊んで鍛えんさい」
「鍛えるんか、何処を・・」「阿保垂れが、何抜かす、アソコじゃろうが、
男が一番肝心なのはアソコ次第だぞ、誰もが思うが口に出さん、体の中じゃ
其れが一番じゃ、女のわしらが断言しちゃる」「婆ちゃん・・」
「だからな、大島は大切にして置きんさいや、わしらで出来る事はするけ~
のう、勉、遅くは無いぞ、今から其処の道を突走れ、後で考えると偉い財産
になっているからな・・」「婆ちゃん・・」
「良いね、二十五までは遊んで鍛える、其処からは表を歩いて進むんだぞ、
そんな頃婆は生きて居らんだろうが、遺言として勉に言い聞かせているんだ」
「婆ちゃん、早くないか・・」「うんや~、遅いくらいだが、高校生で卒業
と思えたが、真澄が言うに未だと・・」「ええ、お母んがか、酷いぞ・・」
「心配しているんだがね、口には出せん事じゃろうが、判るな」「・・」
呆れるが、其処迄心配をかけていると今更乍ら知らされる。
 処が、婆も母親も知らない部分が勉には有る、無論今出ている話にも関係
するが、既に勉は童貞じゃない、其処は中学生で捨てている。
母も其処だけは知らない、勉は口が堅く相手も其処を見込んでの事、
同じ部落の女性、今は既に結婚されてて、部落には居ない、遥か遠い青い
青春をその女性と共に数歩歩んでいたのだ。
中学三年生の冬、其れは偶然に起きた事故みたいだったが、何故か相手が
その後隠れて勉に連絡し、逢瀬を重ねる。
まだ子供の勉をいっぱしの男と見る相手は普通じゃない、だが如何せん其処
だけは秘密なら誰も知らない世界、禁断の園、其処で相手の女性は感極まり
善がり泣き叫ばれ続ける、其処には勉のアソコが物を言った。
中学二年生から友の悪仲間で競い鍛えて来ているアソコ、既に尋常な代物
じゃない、だが其処で異変が起こる。
なんとその悪友の姉が知る事となり、覗く中で唯一でかい物を目に
飛び込ませてしまった。
無論其の持ち主は勉、其れから思案して姉の時恵は待ち伏せて車に乗せ、
祇園町を出て一路横川方面のラブホの中に消える。
 最初は戸惑う勉だったが、一度経験すると、もう其処は底無し沼、
抜け出る事は敵わなかった、だがその友の姉は強か、身を与え善がる中
でも、勉をたたえながら、勉強と共に鍛えんさいと、吠える、其れほど
見込みが有る証拠、今度会うときは愛撫、次は技と持続方法等、
いろんな宿題を言いつける程減り込む、其れが普通の勉強も倍ほど頑張り
んさいと嗾ける女性、わが身が小躍りする中でも常に相手を褒め称え、
お釣りを嫌ほど我が身に浴びせ、恍惚三昧、年は七つ上の出戻り女性、
だが、其処を認められたのか、良い家に再婚として迎えられている。
 其れが三年前の事だった、最後におうた夜は泣きじゃくり、
頑張ってのし上がりんさいや、何時か合って褒めたいしねと囁かれる。
それがどれほど力になったか、勉は其処から俄然奮起、猛勉強を始める、
其処は家でも母も婆も知っているが、何で様変わりしたのかは到底理解
出来ていなかった。
 太田時恵二十四才、それ以後一切連絡はなかったが、忘れることが
出来ない相手、然も初挿入の相手なのだ。
 そんな事を思いながら、婆に言われて車で走る、向かう先は瀬戸内海の
島、既に呉を通り過ぎて海が臨める道にと出る、右手には冬の瀬戸内、
然も寒々とした海の色、内海だが波は激しい、特に渦を巻く流れ
は特有、有名な観光地として淡路付近では遊覧船が走る。直ぐに真白い
吊橋が見えだす。
尾道の手前の国道からその高速道の橋に乗り上げると爽快・・、
本当にテレビでもサイクリング道としても報じられるほど美観、
道横にはサイクリング用の道が作られている。
本島から二つ目の島が大島、其のインタ-から車は降りる。
 橋の上から全島が見える程の島でも、ここ等では一番大きな島、
其処の道を裏側に向けて走ったが、交差する車は見当たらない程道は
ガラ空き、スム-スに走れた。
 「あ、ここ等辺だぞ・・」等々到着、車をゆっくりと動かしながら
窓の外を伺う。
 向う側から女性が歩いて来られ、直ぐに車を止めて尋ねた。
「え、そうかいのう、其れはあんたまだ先じゃけ~、此の島の裏側じゃ、
赤い屋根が見えるけ其処じゃ・・」丁寧に教わり頭を下げて車で向かう。
(そうか会えるな、写メは見せてはくれんかったな・・)
そんな事を思いながら遂に到着、直ぐ車を降りて庭に向かい歩いた。
「あ、ここだ・・」中井と表札が消えかかる字でも読める。
「今日は・・」声を出しても応答は無い、車が有ると聞いたが見えない、
どこかに出掛けられたと思えた。
庭先が海、三メ-トル位の高さで石垣が積まれる家、年代物の家と判る。
庭先で座り海を眺めていた・・、すると庭に軽が滑り込んで来る、
慌てて振り返り相手を見て頭を下げた。
「今日は・・」「あ、はい今日は・・、どちらさんですかいのう・・」
「ハイ、僕は広島の田中勉と申します」
「え、そんな方が何か用事ですかいのう・・」
「ハイ、ご相談が有ってきました・・」
「内にか、何か悪い事じゃ無いだろうね、お父ちゃんが留守だし困るけ~」
「いいえ、困る話じゃ無いし、聞いて頂けませんか・・」
そこは未だ馴れていない勉、冒頓に言っても相手は用心される。
「・・」「あのう、この家の娘さんの事で来たんですが・・」
「ええ、じゃ冴美かね・・」「はい・・」
「何か悪い事した、あいつは飛んでいる部分が有る何か起こしたんね・・」
「いえ、そうじゃ無い、お願いですゆっくりとお話がしたいだけですが」
「ほうかね、じゃ家に、外は寒かろう手、どうぞ・・」漸く許しが出た。
 部屋では暖房は点けられて息がし易くなる、其れほど外は寒かった。
 「で、何かね・・」「はい、お話しますね」
なんとか其処までは漕ぎ付けた。
三十分話し詰め、驚かれるまま聞いて頂いた。
「ま~じゃあの子は部屋が、なんと聞いて居ないから、そうかね・・、
じゃあんたが、有り難い事です、もう冴美は捕まえて怒ってやります」
「ええ、其処は辞めて下さい、最高に確りされたお嬢さんですよ・・、
母も婆ちゃんも見惚れて、性格も良いし、会った瞬間婆ちゃんは惚れたと
いんさる」「あらま~、あの子が、信じられんけど、今はお宅の家に・・」
漸く顔色が変化、ほんのりと赤身が出て来ると、勉は絶句・・、
美しいより妖艶さが抜群、あの最初の女性の時恵さんでも完敗・・、
小顔の所為かも、背はそう高くは無いが、見応えがある姿、海で鍛えられた
のかは知らないが、普通の姿じゃ無い、だが出る場所は立派に張・・、
言い難いがお尻も張っている、一番は顔、最高に纏まる顔は見応えがある。
 娘の居所が判ると安堵され、話がし易くなる。
「じゃ、何ですかいのう、冴美はあんたの実家でお世話になろうとしてる
んですか・・」「そう言う事、其処の認可を頂きに参りました」
「ええ、態々かね、年も迫っている中、お忙しいだろうに・・」
「ええ、僕は暇ですよ、学生ですから」「ええ、貴方様は、大学生・・」
「ハイ二年生ですが・・」「そうか、大人びておりんさるから・・」
「でも未だ子供ですから・・」謙遜していったが、言葉に納得されて、
少しがっかりする勉が居た。
 でも話は続いて行く・・。

             つづく・・・・。



























窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・2》

 部屋で勉は本気で相手の話を聞いて居る、冴美も話がし易いのか、
今迄と違って話を聞かせてくれる。
 「ええ、じゃじゃ何かお父さんは船乗りかね・・」
「前もそうだったけど、橋が出来るとお払い箱・・」「え・・」
「渡船の船長・・」「ああ、じゃじゃ橋の為か、成程な、で今は・・」
其処からも意外な事を聞かされた。
 「ええ~じゃじゃ外国巡りの貨物船かね・・」
「うん、色々と免許が有る無線関係も航海も・・」
「成程な、そう言えば有り得るな・・、でも寂しいじゃろうが・・」
「一年間、三月だけおりんさる、其れも合計よ」「何と、そうなるんか」
「それが良いといんさる、金を使わんし、波止場では少し叩くだけと笑いん
さるが、お母ちゃんは如何せ女買うんでしょうと・・」「ええ・・」
「だって溜まるもんね・・」「お前な・・」
「え~お前なの、冴美じゃ無いん・・」「あのな憎たらしい時はお前じゃぞ」
「はい、お兄ちゃん」「こいつ」益々冴美の可愛らしさに毒気が抜かれ出す。
「じゃ、お父さんは幾つ、序にお母さんは・・」
「序でかよ、良いわお父ちゃんとお母ちゃんは八歳差が有るの、船で尾道に
仕事に向かう母を見初めたといんさる」
「そうか、良いな通勤途中で恋が芽生えたんか・・」
「無理やりよ、聞いたら驚いたがね」
「色々有るさ、其処もな、お前もやがて身に染みる事が起こるぞ・・」
「ええ、じゃ、もう嫌だ、染みたく無いけいね」「あはっ、笑えるな・・」
本等に快活、今の立場を思えば気が重い筈、相手は頑丈そうな心を持合わせ
ているのか、微塵も見えて来なかった。
「じゃ計算すると、冴美はお母さんがいくつの時出来た勘定に為る・・」
「え、言うの・・」「ああ、聞きたい事は返事するんだ・・」
「ええ、脅迫か・・」「そう聞こえるか・・」「うん・・」
「じゃそうなるんかのう」「呆れた、お母ちゃん冴美を生んだのが二十歳」
じゃ抱きおうたんは十九か・・」「そうなるよ・・」そんな会話もする。
「生活は・・」「其処は万丈、お父ちゃん給金は六割振込まれているの」
「六割・・」「そう、後はお父ちゃんの旅中での必要資金だって・・」
「あはっ、其処は理解出来そうだよ」「判るん・・」
「ああ、男は色々と必要だしな、そうかじゃ家庭は円満かね」
「え、其処も・・」「言いたくなければ良いぞ」「言いたくないんだけど」
「じゃ話すな・・」「はい・・」勉は本当に良い子だと思え出す。
会話もそうだけど、話していると人の好さと可愛さが増す、
其処だけは芯からそう思えた。
 「な~今夜は如何する・・」「如何って、泊る所無いし、今からじゃ
友達にも頼めんしなあ~・・」「じゃ、家に来んさるか・・」
「家ってマンションか、危ないよ」「あはっ、小娘が危ないか・・」
「だってお兄ちゃん男じゃないね」「そうだぞ、女に見えるんか・・」
「阿保らしい見えんから駄目と・・」「じゃ如何する・・」
「如何するか、ビジネスホテル・・」「泊めてくれるか・・」
「学生書有るし、何とかお金も足りる」「じゃ、其の後は・・」
「お正月郷に為るのかな・・」「帰れるんか・・」
「何で其処迄心配しんさるんかね」「可愛いからな、心配なんじゃがね」
「有難う、じゃじゃ泊めてよ、お金勿体ないがね・・」
「そうか、じゃそうするか・・」「ええ、本気か・・」「何でや・・」
「うん、気が良いお兄ちゃんだと感じたけ~」「阿呆狼かもしれんがね」
「其処自分でゆうんかね」「え・」「黙ってそうなれば良いと思うけどな、
言われると部屋に行かれへんと思う・・」
「そっか、馴れていないからな、御免な・・」「ううん、安心出来る」
そんな会話をしていた。
 「ええ~道違うよ、国道は後ろでしょうが・・」「・・」
「ねね、お兄ちゃん・・」「黙ってて、考えているんだ・・」
「ええ、嫌なこと考えているんか・・」「嫌な事って・・」
「え、其処は言われんけどな、そうかなと・・」「ま、任せろ」
「え、お兄ちゃん・・」「良いから直ぐに判るがな・・」「・・」
会話は其処で途絶えるが、冴美は勉が信用できる人と思えて来た。
 「ここ等辺りや」「ええ~何で田んぼが仰山有るがね、なして・・、
祇園でしょう・・」「ああ、此処からは百姓の館群・・」
「ええ、変なの館・・」「ああ、でかい家が多いいからそう呼ばれている、
別名成金街じゃね」「うふっ、相呼ばれているんか・・」
「ああ、他人からはそう聞いて居るが、あと少し見えて来ただろう向かい
の小山の上・・」「・・、ええ~白壁か・・」「ああ、囲まれているね」
「何で・・」昔から身代の保持に見栄じゃと・・」
そう言いながらその白壁の中に車が入る。
「お兄ちゃんお兄ちゃんでかいがね、此れ・・」「ああ、生まれた家・・」
「ひえ~何とでかいお家・・」「着いたぞ、来て・・」冴美は勉に従う。
 「おや、今日は戻る日かね・・、え何方・・」
「おかん、紹介する、中井冴美ちゃん、年は十七才、今突然部屋を失った
矢先拾って来た・・」「ええ~お前意味が、拾っただと、阿保垂れが、
人様のお嬢さんをなんて事言うか・・」
「あ、御免、手っ取り早いかと路頭に迷うていたんだ、紙屋町でな・・」
「ええ、広島のか・・」「友達と一緒の部屋だったが、追出されたと・・、
学校は精美学園高校二年生、郷は瀬戸内海の大島、以上、後は任せるけ」
「任せる、ええお前・・」「だから、今夜泊めてやってよ、僕の部屋じゃ
拙いだろうがね・・」「・・、アあそういう事か、ふ~吃驚したが、
冴美ちゃんか・・」「ハイ」「良いわ任せて、勉は如何するん・・」
「追い出すんか、婆ちやんが怒りんさろうが、顔を見せんと帰れるのか」
「それは駄目じゃろう、奥におりんさる、いいや出てきんさろう手・・、
ほら~・・」「なんじゃ、わしの事かね、大きな声じゃから幾らなんでも
聞こえるが、アンタが冴美ちゃんかね、上がりんさい婆の部屋に御出で」
「はい・・」「良い子じゃね、真澄、夕ご飯頼んだぞ・・」
「え、お母さん・・」「煩いぞ、何や可愛い子が難義しとりんさるんだが、
何も聞かんでも任せと言えんのかね」「其処は、お母さんに相談と・・」
「そうか、偉いぞ、わしは耳が未だ良いけ聞こえたが,泊めるぞ・・」
「はい、其処はお願いしますけ~」母が婆ちゃんに頼んでくれる。
 奥の部屋では婆が冴美と話をする中,居間では勉が母親に経緯を話す。
「ま~そうかね、可愛そうに、良いわ任せて・・、でも良いのか里・・、
もうお正月に為るけえね」「其処だけど、俺が一人で行こうか・・」
「え、お前偉い力が入るね」「え、そうじゃ無いが、行きがかり上」
「はいはい、そうして置きますか・・」「おかん・・」「何・・」
「・・、え何でも無いが、じゃ夕ご飯食べる」「良いわ、用意する」
なんとかそう決まった。
 夕ご飯に為ると婆ちゃんが娘を連れて食堂に・・、
「勉、お前もう少し女性の扱いを教えんと行かんけ~、真澄、お前が確り
と教えんと、こいつ駄目じゃ・・」「はいはい・・」
「一度の返事で済ませろや・・」「はいはい・・」
「こいつ聞いたかね、あんな大人になりんさんなや嫌われるけ~ね」
「ええ、婆ちゃん、其処は違うと思うけど・・」「何でじゃ・・」
「だって、会話の間合いが最高よ、息が合っている」
「あはっ、お前は賢いがね、判るんか・・」「其れくらいはね・・」
頭を撫でられて並んで座る。
 久し振りに実家での夕食、今夜はお客が居るから賑やか、勉は婆と
冴美ちゃんの会話で笑いっぱなしだった。  
だがだが、この冴美ちゃんは強かな女の子、もう婆と母を丸め込んでいる、
本当に呆れる程、夕ご飯が終える頃、家の中は冴美で仕切られそうに
なりつつあった。
 「勉、如何じゃな、此の子此処から学校に通わせたいが・・」
「ええ~~~婆ちゃん・・」「駄目か、わしの楽しみを潰す気かお前は何て
孫じゃ・・」「ええ~・・」
呆れて声が続かない勉、其れを母親が見て大笑いされた。
「おかん」「うふっ、賑やかで良いし、私の体が開く、持って来いじゃね」
「ええ、じゃお母んも其の気か・・」「ええ、願っても居ないよ、可愛い子
だし、話が旨いし、婆ちゃんにも負けないけ~楽しいわ・・」
「こいつはのうわしが痛めつけると言いふらす様な悪い子じゃぞ」
「婆ちゃん、其処は行けんのよ、我慢しんさいや、寝て助けてくれんより
ましと思いんさいや・・」「冴美・・」
「だから、此処に居れるなら、冴美が面倒を看るけね、お母さんも此れから
時間が空くから趣味でも楽しんでくださいね・・」「ええ、冴美・・」
何と婆と母が名前を呼び捨てにする。
「往々、そうか、じゃあんたアルバイトせんかね」
「え、アルバイト、何するん・・」「此処で婆とあいつの相手と手伝いじゃ、
花嫁修業を自ずから習えるぞ」「ええ、じゃ良いのか・・」
「ああ、一日二千円渡す、あんたの小遣いにしんさいや・・」
「ええ、月に六万円、駄目駄目貰い過ぎ半分にして・・」
「ええ、お前は欲が無いのう・・」
「違うけ~、其処は有るし、でも此処じゃ無体、寝るし食べるし、其れに
余計なお金じゃないね、其処を言っとるんよ」
「うひゃ~、聞いたか真澄・・」「ええ、素敵な子ね」
「だろう、じゃ任せるかねわしらに・・」「はい、存分に扱いて頂きます」
「ええ~冴美ちゃん・・」勉以外は大笑いする。
 十二月二十七日、遅くまで家の中は明るい、勉は既に自分の部屋で寝て
居る中、居間では未だ話に夢中の大きな年齢差が有る三人の会話は続く。

                 つづく・・・・。
























★本日初回★窮慕小説106弾《漆黒の迷路・・初回》

         【第一章・・漆黒への道筋・・】

(遂に卒業出来たぞ・・)勉は大仰な校門を後にして歩き出す。
平成二十三年三月・・、漸く大学を終える、長い日々だったが、
いろんな経験をさせて頂いたと、今じゃ感謝のみが残っていた。
 思えば四年前、広島の此の大学に母親と共に来たことが懐かしいとさえ
思える、其れほど学生時代は波瀾万丈、本当にそうだった。
幸いにも勉は恵まれてはいる、実家はソコソコの家で産まれているし、
父親は勉が大学に入る前にガンで亡くなりはしてるが母親が気丈夫な人で、
おまけに煩い婆様が後ろに控えているから、家は其れで安泰、
学生時代は何不自由無く過ごせていたのだ。
どれも何もかもが勉が苦労しないで卒業できたのは家の御陰、此れからは
そうは言って居れない事は既に婆様から言われて居る事、だから、
卒業を良いにつけ悪いにつけ、学生と言う特権はもう世間で通用しないと
弁えさせられる。
 生意気に車で通う身分、駐車場にと歩いて行く・・。
 「お兄ちゃん・・」「・・、あはっ、家政婦さんか・・」
「もう何、未だ言っているがね、人が聞いたら本当とおもいんさろうがね」
「悪い悪い、出迎えか・・」「どんな顔して卒業出来たんか見たくてね」
「阿保か、普通じゃろうが・・」「見たいね、残念・・」「こいつ・・」
相手は二歳年下の女の子、出会いは意外だったが、忘れもしない平成十九年
の暮れ、車で走っていると広島の路面電車の停留所、路面を走る電車だが、
今じゃ有名な乗り物に為っている。

 紙屋町と言う広島では繁華街、其処の停留所で≪歩道側に在る≫
しゃがみ込んでいる少女をライトが照らした。
午後十時前、乗った事は無いが、確か終電かとも思える時間帯、ライトに
浮かんだそのしゃがんだ姿が気に為ってて前で車を止める。
其れに気付いたのか、俯いて居た顔がライトに現れる。
「・・・・」無言で勉は固まってしまう、其れほど強烈な印象と可愛さだ。
窓を開けて怒鳴る様に言う。
「何してる、時間が遅いだろうが、御腹でも痛いんか・・」
ううんと言う代わりに顔を横に振る。
「じゃ為してしゃがんでおりんさる・・」「寒いからよ・・」
「あはっ、そうかね、安心した・・」「・・」睨まれる。
「帰るんか・・」「そうだから電車待って居るがね・・」
「あはっ、言えるのう、じゃな」「ええ~、何で止まりんさったん・・」
「え、気になったからだよ」「じゃ、家は何処、電車有るんかとか聞かんね」
「ええ~・・」その言い方に驚いた、「・・」今度は勉が睨む番・・。
 「ね、そうでしょう、か弱い女性が夜中に居るんよ」
「うふっ、言えるけど、其の剣幕じゃ安心だが・・」
「阿保らしい、早う行きんさい・・」手を振りバイバイと言う仕草をする。
勉はいったん、十メ-トル位走り急に止める。
 「送ろうか・・」「・・」返事は無かったが、でかい荷物を持って車に来る。
「なんじゃ、でかい荷物じゃのう・・」「・・」
其れには返事せずに後部座席にと乗り込む。
「家は何処・・」「あっち」「・・、え~餓鬼じゃ無いし、どこらへんじゃ」
「横川の傍・・」「傍か、まええか、行こう・・」車を走らせた。
 これが最初の出会いに為る、名前は中井冴美と言った、
年は後で知るが二歳年下だった。
 広島の横川は少し走る事に為る、其処は何時もの帰り道に為っているから
造作は無い、直ぐに横川付近に到着、「来たぞ、何処や・・」「・・」
「な、返答せんのかね・・」「言えないがね・・」
「え、あはっ、男だからか相手がね・・」「そうじゃ無いが、帰る部屋無く
なっているんだ・・」「無くなるって・・、どがしてそうなったんか・・」
「友達の部屋だし、今日から都合が悪くなるって・・」
「ええ・・、じゃ部屋は・・」
「帰られんがね、だから、アソコで如何し様と悩んでいた、家に帰ろうか
如何し様かと・・」「ええ、じゃほんまなんか、連れは友達かね・・」
「そう、彼氏が出来たからと・・」「・・、あはっ、そうか邪魔か・・、
成程な其れも有な・・」「他人事だから笑いんさる」
「え、御免な、でも家は何処に為るんか・・」「え、あんたにゆうの・・」
「え、駄目か・・」「・・」「まええか、御腹如何・・」
「空いているがね、生きているもん」「だなようし、飯でも食べるか・・」
「え、お兄ちゃん・・」「おう、良いぞその呼び方で良いがね・・」
そんな会話をしながら車は走った。
 「ああ~何、祇園じゃないね、うひゃ~奇遇よ・・」「え、何で・・」
「だって冴美の高校此処よ・・」「うひゃ~じゃ、其れで横川か・・」
「そう、最初は一人寄宿舎、友達から誘われて出て、其処で住んでいた」
「じゃじゃ、ここ等は沢山女子高が有るけど・・」
「そうね、冴美は中学から大学まで・・」「ああ、済美学園か・・」
「当たり、よく知っているね、何かあるな・・」
「あるかそんなもの、有れば嬉しいけどな・・」
そんな会話をし、行きつけの食堂に顔を出す、其処でたらふく食べさせる。
 「勉・・、可愛い子ね」「ああ、捨て猫同然で拾うた・・」
「え、何なんで、本当かね・・」「あはっ、顔を見んさいや、怒っている
がねおばちゃん」「ま~御免よ、冗談ばかりいんさるけ~困るがね」
「ううん、今日は本当にそんな感じだから良い」「あんた・・」「冴美」
「冴美ちゃん、住まいは・・」
「おいおい、もう喋るな、此処じゃ拙いけ~のう・・」「うん・・」
黙ってくれた。
腹が膨れたのか、お礼を言って店を出る。
 「お兄ちゃんの部屋近くなんか・・」「ああ、直ぐ其処」「何処・・」
「目の前じゃがね、ほら・・」
冴美は唖然と佇んでしまう、其れは目の前のマンションが有名、祇園では
最高級と持て囃されているし、自分の学校の女子大は多くの女生徒がこの
マンション系列に住まわれているからだった。
 「入るか・・」「・・」返事はしなかったが、従う相手、エレベ-タ-で
最上階、自分の部屋にと入る。
冴美は饒舌だったが、エレベ-タ-から部屋まで一言も話さない、
其れほど驚いた様子なのだ。
 此処は自分の親戚と手を合わせ作っているマンション、此れとは別に
女性専門のマンションも数棟持っている。
早く言えば遥か昔から百姓の家柄、親戚も然り、広島市に近い祇園は、
随分と前から、ベットタウンとして開けて来る。
 昔、昭和の頃、此処にでかい鉄工所が有った、名が知れ渡る会社だけど、
あの戦争の中、空襲にもそう被害は少なくて済み、原爆が投下されても,
黒い雲が見えるだけ、無論大きな地震に似た振動は起きたと聞いて居る、
しかも横川くんだりまでは原爆で黒い雨が後で降った地域だとも聞いて居た。
其れをここ等じゃピカドンと言われている、そんな事も有った地域、
生き残ると、此処は最初、其の工場を解体し、引っ越し、跡地を住宅地に
再開発、其処が発端でこの祇園は瞬く間に人が集まり、住宅地として最適と
各所から言われて開発が目白押し、本当に話を聞いたら呆れる程日替わりに
町が変化していったと、今じゃ伝説、そんな話を聞かせながら、
勉は冴美にコ-ヒ-を差し出す。
 「そうか、じゃお兄ちゃんの家は裕福なんか・・」
「成金じゃしな、そう言われても嬉しゅうないが、生活は楽じゃが・・」
「だろうね、家と大違いじゃけ~・・」「冴美ちゃんは何処ね・・」
「うん、もう言っとくけどな、知らせんといてよ」「言わないが・・」
「あのね、瀬戸内の島、今は大橋が繋がっているから便利・・」
「ああ、じゃ瀬戸内大橋、然も島を繋いで四国に行ける・・」
「そう、だから今は便利だけどね、子供の頃は渡船で本国・・」
「あはっ、そんな大袈裟じゃ無いけど、そうか島かね、どれ・・」
「ええ、大島よ・・」「了解、家は中井じゃったな・・」
「お兄ちゃん・・」「何、此れから如何しんさる、住む部屋が無いじゃ
困るだろう、郷には知らせんのかね・・」「・・」
「おいおい、冗談じゃ無いぞ・・」
「だって、今迄嘘ついていたんじゃけ、困る」「ええ、まじか・・」
 そこから渋々と自分の周りの事を勉には話してくれる。
「ええ~じゃじゃ、手紙類は転送か、電話は携帯か、成程なそれじゃ実家は
判らんよな・・」「・・」
「でも、此れからはそうは行かんぞ、今回でそんな生活切を点けろ・・」
「ええ・・」「ええじゃないがね、又宿なしで・・」
「だからどっかお部屋借りる」「金は・・」「お母ちゃんに頼み込むけ~」
「・・」そんな事まで話しをしてくれる。
 事が重大、先ず腰を落とせる自分の部屋が無い、冬休みだから良いものの、
来年は如何するんだろうと気に為り出した。

              つづく・・・・。



















望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・終節》

 既に四十を越されてはいるが、中々其処は人より違う姿と、
あの貪欲な求め方、然もなんと心地良い事か、呆れる程肌が粘りついて来た。
意外な事を聞かされるから、一段と、此のグル-プに興味が湧いて来る。
海を眺められる部屋で、今までの事を悦子さんから聞いて居る。
「ええ、では大阪で・・」「そうよ、苦労されて来た、六年間も二十人近い
女性と頑張っておりんさったんだ、其処でためたお金が資金、でもその資金
には蟻のように集る人が出て来ている。多くの仕事を現地の人々にと・・」
「何と、物凄い話ですね・・」心から澄人はそう感じる。
色々と夫々の道が有るんだと思え出す、其れに比べ自分は如何かと思うと、
嫌になるほど普通、家族が死を代償に残してくれたお金と財産、
其れを上手く使おうとだけ考えていた自分が恥ずかしいとさえ思え出す。
 暫くして話を終えると動けないほどの衝撃を浴びている、
其の男性の凄まじい人生の道、親が自殺されて由縁を何とか敵討ちだと
決め込んで、大阪で体を鍛え上げたとも聞く、其れに携わった家族が今
ボスの周りに居るんだと知る。
(成程な・・、そんな繋がりもこの世では有るんだ・・)
そう知ると、澄人は其処までは及ばないが、行く道は決して周りの人に
迷惑は無いし、その人たちが、経ち行く道を造れば良い事だと思い知る。
本当に山陰に来て大正解と思える、伝説のボスの話も聞いたし、牛の事も
勉強になっている、一番は猛者の女性と知り合えたことが最高に良い。
これからの事はどうなるかは判らないが、この地の人とは離れているが、
関りは持ちたいと澄人は願っていた。
 二日間、おじさん達には会えなかったが、別荘に戻られた時の顔は笑えた、
本当に満足されたのか、今迄とはまるで違うおじさん二人、
牛を飼う三瓶山にと三人は向かい、其の脚で一度戻る事にする。
悦子さんには又何か手伝う事が有れば、駆け付けると約束して、
五日間の滞在は、めいめいが有意義な時間を過ごせていた事になっていた。
 十月に入ると、澄人の近辺は騒々しい、本当に、山陰から戻ると遣る事が
多くて焦る。
おじさん達は、飛騨での牛を育成する事にだけ、力を注いでと頼んでいる。
自分は如何かと、其れは名古屋での店、調べて、探すしかなかった。
 「うん・・」携帯が鳴るから出ると・・、「ああ~尚美さん・・」
「尚美さんじゃ無いがね、十日も居ないんだからね」「御免なさい・・」
謝るしかない相手、あの敬之さんの娘さん、知り合った御陰で今度の仕事も
捗っている、大事な女性だった。
 午後三時半、部屋に向うとだけ言われた。大急ぎで片付けと掃除を済ませ、
本当に慌てていた。
「良いわ、綺麗じゃないね・・」来て部屋を見渡して笑われた。
「ねね、澄人さんの御陰で、お父ちゃん、大変なんよ・・」
「え、何か有りました・・」「うふっ、あんたも狸よね」「狸ですか・・」
「ええ、母が大笑いしてそういったからそうよ、似ているが~と親子で
大笑いしてたのよ、傑作ね・・」
話しを聞くと、山陰から戻った後、母が驚いたと娘に告げる。
「あのね、お父ちゃん、蘇ったと・・」「蘇る・・」「そう、夜の時間・・」
「・・、あ~じゃじゃ・・」「今迄はとんとなかったことが出来たと・・」
「何とじゃ良かったですね」「其処は如何かな・・、母は良いと言ったけど、
後ろめたさでかと思えるんだ・・」
「あのね、其処は考え過ぎないで、結果良ければそれで・・、ねねっ・・」
「澄人さんと出るとね、戻ると大変、貴方の話しばかりなんですよ」
そんな話をされた。
 其処から肝心な話に移行、尚美さんのお客様で建設業をされている人が
居ると聞かされ、その人に大まかの話を伝えたとも言われた。
相手は、夢のような話だ、是非わが社にと反対に懇願されたと言われる。
 場所も探すと、然もこれからもお付き合いを願いたいと尚美さんが中継ぎ
にと頼まれたとも聞かされる。
「良い、そうか願ったり適ったりじゃがね、良いよ、探して頂くか・・」
「良いわね、じゃ進める、計画書も変更を加えて、頑張るね」
一層目が輝き、眩い女性、本当に出会って、次から次と繋がりが出来て行く、
飛騨は別だが、名古屋では心強い女性にとなってしまう。
 其処にまた携帯が鳴る、出るとあの伊豆の玲華さん、とんでもない程声が
飛んでいた。
何と飛騨の里に一人で来ていると、聞いて唖然、あの喫茶店の沙代里さんを
尋ねて行かれていると知る。
澄人にはに三日したら来てと言われただけ、電話を切ると、暫し茫然、
部屋では未だ尚美さんが、別の部屋で何か片づけをされている。
 (なんと、俺は何しているんだ・・)
至る所で動かれている人々、其れは何もかもが澄人が噛んでいる事、
何とか整理して繋げて仕事を完成する事が大事だと思われ出す。
名古屋もあの御器所の義理の親子、悦子さんと真美ちゃん、此処に居られる
尚美さん、名古屋で地固めが未だ万全ではないと思えた。
(そうか、じゃ地固めが先だな・・)
そう思うと、澄人は何か心に決めて様子・・。
何から何までまだ一つも充実はしていないと判った、そうなると遣る事は
見え出す、株も然り、女性達もそう習いながら突進もうと胸に刻んで覚悟。
これからは、あの山陰のボスを見習おうと・・、冬には其処に伺いに行くと
決めて、今は住んでいる場所で立位置を固める事が大事と判って来る。
 山陰でもう一人の悦子さんに言われた事が脳裏に残っている。
【女性は、相手次第よ、何処でも同じ、出来るならする、貪欲に事を望む
のは誰もが持っている、其処を磨き外に羽ばたかせるのは男の甲斐性・・、
出来る様にフイ―ルドを作りさえすれば暴れられるからね、頑張ってよ
ボスの弟さん・・】苦笑いしながらその言葉を思い出した。
 素直に習い、事を進める事が肝心と知らされる。
高蔵寺のおじさん達と伊豆の人々と名古屋の仲間、此れで進もうと決断。
(まず手始めはと、おう此処に居るがね、最高な女性が、逃がさんぞ・・)
決断後の澄人の顔は晴れやか、此れからの苦労は出来ると決めた様子だ。
 隣の部屋に向う姿は、此れからの共に歩く女性立ちえの確認か、
押し付けかは判らないが、既に向かう部屋では、驚く相手が居る。
 間も無くこの部屋は、驚愕し泣き叫ぶ尚美さんが居る事に為る・・、
決まったみたい、今後も地固めに一度総ての女性を廻ろうと決めた秋の
昼下がりの部屋の中・・、今から澄人のゆく道が、楽しみになる部屋の午後、
既に聞こえだす女性の悲鳴と感嘆・・、其れが澄人が望む道となる筈、
強かな女性を表に出して暴れさせることが、使命と決めた澄人だった・・。

             完・・・・。


















望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・58》

 ビールと枕二つ抱えて愛華が岩上に戻られる。
「此処で徹夜じゃがね・・」「うふっ、タオルケットも持って来た・・」
「良い、お前は名古屋に向かえや、そこで店を開かれる、手伝うんだ」
「はい、喜んで向かう」「良いぞ、聞いたかね遠藤さん・・」
「え、遠藤・・ですか・・」
「うふっ、そう呼ばないと澄人さんと言えば肉が又変化しそうなんじゃが」
「ええ・・」呆れるが、直ぐに笑顔の変わる。
「私ね、今迄色々と身を割いて来たけどね、ボスに合うまではへなちょこ
ばかりだった、九年前お金の問題で会うたが最後、ドツボに邁進していた。
其れがボス何じゃがね、有り得ない程身が泣き叫んで喜ぶから嵌った・・、
其れからボスが歩く後の整理をしながら、商いを少しづつ増やして来た。
牛や、デリバリ-の日常の品も・・、そうして小さなバラの栽培、
挙句にボスが始めた、落合での桃源郷、それと大阪でのアンテナショップ、
無我夢中で走って来た。総てボスの為にと・・」
「おばちゃん、聞いて居るけど、凄いじゃないね」
「あ、人生如何変わるか判らんぞ、あの時僅かな金でおうた人が今のボス、
その後は付いて歩くだけ、でも後の尻拭いは確りと役目は済ませて来た」
「聞いて居る・・」「それが、なんと今夜は如何、初めて自分から挑んで
いるじゃないかね、信じられんほどの事を、思うとしたことに驚かされて
いるんだよ」「おばちゃん・・」
「だがのう、思うと、其れも今までのご褒美と弁えて居る、其れほどボス
に似た威力を認める」「おばちゃん、じゃ・・」
「この人は都会で羽ばたける人物と見た、ボスは此処で縄張りが出来ている
しね、もう四十を超えた今は、守るしかないと思える」「じゃじゃ・・」
「ああ、其処は其れで良いと思えるんだ、此れからは、育つ若者の将来を
見据えて、悦子も頑張る」「おばちゃん・・」
「お前は、名古屋でこの人を援けるんだよ」
「うん、頑張るけど、判らん事は教えてよ・・」
「ああ、いつでも連絡しんさい・・」そんな会話をしながら、悦子の手は、
澄人の棒を握り離さなかった。
 それが災いして、又も岩の陰の広場は獣の雄叫びが夜空に遠吠えの様に
広がって行く・・。
 午前三時過ぎ、澄人は大満足して疲れる体を横たえて爆睡、
朝がしらける事も知らず、寝込んでいる。
「お母ちゃん、見てて・・」何か話声が聞えるが澄人は目を開けたくない
 「ま~お前、此れは・・」「でで、デショウ凄くない・・」
「ボスに負けんぞ・・」「そうなのよ、悦子おばちゃんが夕べ此処で・・」
「え、じゃお前・・」「うん、頂いた其れで話したでしょう、将来の事」
「じゃ、この人に・・」「決めた、決められたのかな、でも今じゃ愛華が
決めていた事を知ったんだ」「・・、そうかね、で如何・・」
「ボスは知らんけど、おばちゃんが物凄いと・・、太鼓判・・」
「うふっ、そうかねじゃ起こして、家に連れて来なさい・・」
「お母ちゃん・・」「頼む事も有ろうが、今の仕事を伸ばしてでも連れて
来るんだよ」そう言われて、岩から帰られる。
 別荘に昼前に漸く戻る澄人、既に食事の支度は出来ているが、
連れが見当たらなかった。
「お帰り・・」「あ、悦子さん・・」「何きょろきょろしんさるんか・・」
「え、連れが・・」「ああ、其れは観光を兼ねて外出、石見銀山観光と、
其の後は温泉津温泉じゃがね」「ええ、聞いて居ないけど・・」
「今言いました・・」「ええ、悦子さん・・」
「うふっ、あれほど良い事受けたんだよ、連れも少しはね・・」
「え、意味が・・、ア、ああ~じゃじゃ・・」
「そう、だから安心して食べんさいや」「・・、・・」唖然とする、
既に出かけた先が読めるからそうなる、本当に化物は悦子さんと知る。
 悦子は既に愛華から話を聞いて居る、其れで連れを外に出して時間
稼ぎとなったのだ。
そんな事は梅雨知らず、美味しい海鮮を食べ尽す。御腹が一杯と苦笑い
する中、悦子さんとコ-ヒ-を飲んでいる。
「牛は総て連れの友達に任せると良いがね」「うん、そう感じた・・」
「じゃ、あんたは未だ此処で地固めしてよね・・」「ええ、地固め・・」
「あの子の家、相当なんだけ~、議員さんの実家・・」「え、では・・」
「そう地元の偉いさんだけね、ボスも其処だけは手が出せんかった」
「・・」「そんでね、愛華を連れてあんたと、判るでしょうがね」
「では、先が有ったんだ・・」「ええ、大有よ、伊達に抱かれる事は無い
がね、私たちは同じ事で身が結ばれて来ているのよ」「じゃ、仕事関係」
「其処は後で生まれた事、先は皆ボスに・・」「何と、凄いがね・・」
其処から今迄の話を具に聞かされる。
 「良い、男女の繋がりは幾通りも有るけど、肉体関係はどれよりも強い、
相手が凄い男なら尚更よ、其れで何もかもが流れて育って行く、女と男
だけの世界じゃないね、仕事絡みは卑怯と皆がいんさるけど、結果其処に
入れない人が嘆いて言われるだけ、商いが順調に為れば文句は無い、
此れが田舎も現状を持ちこたえる原動力、だから何も言わない言えないの
よね、今の田舎は目を覆うばかり、すたる部落は多くなっているし・・、
ここ等は既に見捨てられた地域、其処を頑張らせる力は、あのボスだけと
思えるのよ」そうも言われる。
「都会じゃ、其処まで逼迫した現象は見えないけど、田舎は既に原因が見え
ているの、だからボスは頑張って来たの」「なんと、そうでしたか・・」
「今じゃ、もうみんな何も言わないし言えない、お零れがでかいからね」
そう言われてコ-ヒ-を飲まれる。
 「あんた、此れから頑張ってね・・」「え・・」
「だって、朝から電話してたんだ」「何処にですか・・」
「うふっ、此処の主よ、ボス」「え、嘘でしょう、ええまさかアレ迄。。」
「総てよ」「。。」呆れた澄人唖然とした。
「だって隠し事は無いの、あれもそうだし仕事も、でね、あんたに任せたい
とまで言われたんだ」「任せるって何・・」
そこから、意外な驚く話を聞かされる。
「ええ~ではでは、中部地方にも有るんですか・・」
「ええ、ボスが旅している間に出来た事なんだけど、此処から遠くでしょう、
行くにも大変なのよね、既に七年前、事を起こしたのが経過しているから、
此れからの先は見えているのよ、でも煩雑に出向けないと前から聞いて居る
しね、其処であんたの話を聞かれると、笑われて弟が出来たのかと・・」
「・・」「それで、詳しく話をするし、スマホの写メを送った」
「・・、うげ~なんですか、送った、ああ、ボスにですか・・」
「そう、だからあんたに白川と日本海の滑川の海岸の店を譲りたいと・・」
「譲る・・」「そう、中部は別扱いにすると・・」
「待ってくださいよ、何で僕に・・」「弟にするからよ」「ええ~~~」
本当に驚愕し捲る澄人・・。
「だから、今回は其処も加味しててね・・」
「悦子さん、其れって、大事な事じゃない・・」「そうよ・・」
「だったら先に僕に教えてくれないと・・」「今話したけどね」
「ええ、そんな・・」慌てる澄人を見て笑われる。
 だがだが、最初はそうでもなかったが、話を聞いて行く内に、
本当だと知らされる。
既に此処では牛からバラ栽培、果はコンビニ紛いの店のデリバリ-と、
バラの鉢迄作成されていると聞かされた。
「何と、物凄い話ですね・・」
「だから誰にもとは任せられない訳よ、肉が絡んでいるからね」
「肉・・、アあ、そうか其処だ・・」「ですよ・・」笑われる。
「お連れさんは、二日くらいなら逗留される、あんたは其処まで色々と
在るからね、頑張って・・」「ええ、悦子さん、助けて・・」
「何と、ボスと大違いね、でも其処も有よね、楽しいから素敵よ」
とんでもない女性だった。
 仕事を譲ると言われても、其処はどう考えても納得がいかない、
はいそうですかとは言えないし思っても居ない、
其処はどれだけ皆が頑張って築き上げたのかは澄人は想像出来る。
身を挺して勝ち得た仕事は相当な事、返事は既に決まっている。
澄人、頭を抱えて忘れていた見事な砂浜に出て立ち竦んでいた。

                    つづく・・・・。




















望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・57》

風雲雲行きが急に怪しく為り出す、其処は本当にそうなって行く。
あれほど夜空が綺麗だったのが、事が起きる前に雲が張り出している。
其れが岩の広場でも起きつつあった。
「貴方、御免ね、愛華の将来が懸る出来事に為りそうなのよ、御免ねじっと
しててね・・」「悦子さん・・」
「何もいんさんなや、此処はもう止められんようになったがね、あんた・・、
脱がすよ・・」「ええ・・」呆れる澄人を構わずに、ズボンが降ろされ、
腰を上げてと言われ従う澄人が居た。
 横で見る娘は益々綺麗に浮かんで来る、あれほど穏やかだった日本海が、
波風が出てきだして、岩場の上での動きもそれに従事て進みそうだった。
 「ま~貴方・・、見ろ愛華・・」「・・、・・」
「有り得ないぞ、でもボスと良い勝負じゃがね、此れ貴方凄いが・・、
悦子の目は狂ってなかっつた、愛華バスタオルとテッシュ、其れに・・、
良いわ早く持って来い・・」「はい・・」素直に応じられた。
 「貴方、此れ頂くけど良いよね」「え、悦子さん・・」
「あの子を此処から出す理由が出来たが、悩んでいたんだ、あの子は違う道
をと、でも考えれば同じかね、相手は違うけど、似ている・・」「・・」
「ね、あんたこれでのし上がりんさいや、此れなら誰とでも太刀打ちできる
がね、ボスに笑うほど似ている・・」「悦子さん、無体・・」
「うふっ、無体がどう変化するのか此処は勝負と行こう、今後の道が見えて
来るね」「悦子さん、触ると・・」「そう願うんだからね、動くがね」
「・・」呆れる程、澄人は従う、其れほど、違う意味で魅力が有る、
其処は如何見ても伊豆といい勝負だと思え出す。
 愛華が戻った時は既に悦子の顔が澄人の股座に覆い被さっている。
 「ぷは~~、でかいぞ凄いが、貴方勝負になるよ、此れボスといい勝負
じゃけ~、愛華見んさい・・」「キャ~、何よ、でかいでかいね・・」
「ああ、此れ育てよう、お前名古屋に向かえや、大学出たら直ぐにだ・・」
「うん、判った、でもおばちゃん、どが~しんさるん・・」
「でかいからしゃぶる、おまえは待機してろ・・」「え、何で待機なの」
「阿呆、ご落胤頂くんだ・・」「ええ、待ってよ、何で愛華何・・」
「お前が此処じゃ最初の相手だ、今後の為にそうする」「おばちゃん・・」
呆れるが、叔母の顔を見ると断れない気迫が垣間見れる。
「く~・・、良いが天にまで届け」「あはっ、笑えるが届くもんですか」
「阿呆、気じゃがね、お前の気が舞い上がる」「おばちゃん・・」
「良いから、如何じゃでかいぞ、写メ取らんか・・」「うげ~まじ・・」
「早くせんか、相手に悪いがね、従ってくれんさる内に・・」
「うん、もう酷いが、お兄ちゃん御免ね・・」スマホを片手に寄って来て、
上からと横からと指図され、愛華は写メを取りまくる。
「此れが記念に為ろうがね、良いぞ、相当元気が有るがお前此れ使えよ、
一生離すな、相手が来てくれるまでひたすら待つんだよ、良いね・・」
「待つの・・」「ああ、其れが最高に良い事、誰もが我儘出来んけどな、
そうして健気に待つと、より以上の喜びを持って来てくれる」
「おばちゃん・・」「もう、座れ、交代じゃ・・」
「ええ、駄目よ、した事無いがね・・」「教えるが,コンか・・」
無理やり横に座らせると、愛華の指を悦子は口にくわえて、
唇と舌の使い方を伝授する。
「良いね、後は自分で工夫、躊躇うと相手に悪いぞ、良いか、交代・・」
「おばちゃん、傍に居るんか・・」「ああ・・」
「じゃじゃ、教えてよね」「良いとも・・」
可笑しな二人、澄人はもう諦めて星が見えなくなった夜空を見ていた。
岩にぶち当たる波が勢いが増してくる、其れが岩上の三人の気持ちを
掻き立てるかのように打ち波が暴れ出した。
 流石に澄人とて唖然、今迄色々と破廉恥な行動をとって来たが・・、
今自分に降りかかる出来事は想像を遥かに卓越した動きの真只中、
有り得ない程相手は其処にまっしぐら、か弱き若い女性を引き連れて、
修羅場、魔道にと向かわれている。
何でこうなったのかさえ、澄人は理解に苦しむが、相手はそうじゃ無い、
既に澄人の着ている物は脱がされ、おまけに若い女性が、悦子さんを丸裸、
その間でも澄人の股座に顔を埋められ動かれる。
有り得ない、考えられないと思いつつも、澄人は身をくねらせて、
見事な愛撫、身がよじれて行った。
「ああ、あう~~、凄い~~~・・」「・・、あんた、感じて見んさいや、
勿体無いがね、凄いから頑張れる、早う愛華を連れて極楽に滞在してよ」
「・・」もうとんでもない事に為った、片方の口技は絶品、もう一人の
若い方は、豪快、其れが入れ代わり立ち代わりの責めに、遂に澄人は我慢
の紐が解かれる。
 「く~・・、溜まらんぞ、もう止められんがや、覚悟・・」
今度は澄人が跳ね起きて吠える。
年上の悦子さんを転がすと愛撫のやり返し、とんでもなく粘っこい肌、
秋の闇夜で愛撫を受けて燃え盛る、暫くすると、横で座り暗闇で見ている
愛華を倒し、其処でも愛撫敢行、此処では体や反応が違う二人に・・、
澄人は孤軍奮闘、喘ぎ泣き騒ぐ、愛華、応じる体を摺り寄せて受ける悦子、
二人は次第に違う道ながら、前進、愛華は燃え盛る肉Tらいを男に任せ、
悦子は未だ澄人の棒を許してはくれなかった。
互いが、今迄の経験を駆使しながらの応戦、遂に愛華が最初の昇天を
告げて落ちた。
 横で痙攣をしながらのた打ち回る中、悦子が目を真開き驚愕、
なんと悦子の股座に・・、男が挿入開始、受ける身が反応をする。
其処からが又狂喜、本当にどこまでも貪欲な悦子の肉体は、澄人とて、
敵わないと察した。
 其れでも果敢に攻撃をしながら、何とか相手が迎える姿に変化を見た、
膣内の最高な弱い所を探し当てていたのだ。
 其処をでかい棒がくまなく動くから、悦子はもう半狂乱、
凄いわ~あんた、其処が良いけあんた~~~、泣き叫んで身を起こし上で
豪快に震え出すと膣が最高潮の余韻を残し一度目の大陥落、失神をされ、
エビの様に跳ねて転がられる。
其れを呆然と眺めていた愛華、其処に澄人が挑んで行った。
慌てて受ける愛華、其処はすぐさま反応が起きて、瞬く間に快楽に溺れ、
撃沈、若い肉は既に味をしみこませられた身体は、修羅場の中で本開花、
とんでもない喜びの中で舞い上がる我が身、本当に極楽往きと知らされる。
 其れからも、澄人の遠慮が無い動きは止まらない、悦子、愛華・・、
どれも体つきは違うが、絶品、熟された肉と新鮮な肉、双方が味を男に
与えつつ、わが身の味も噛み締められていた。
 既に岩の上は、波が激しい時と似て、豪快、だが、なんと今は海の波も
し御寄せては居るが穏やか、今迄の激しい打ち寄せは収まりつつある。
其れが何と転がる二人も同じような姿、少し前までは泣き叫んで応じられ
ていた、人二人、其れが今は思い出す様に体が跳ねる中、
手を繋いで言葉は無いが、満足の顔と見える。

         つづく・・・・。














望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・56》

 澄人が従う女性は、自信に溢れた言動をされ、まるで大きなカニを上から
見ているような場所、別荘をカニの胴体と例えれば理解出来る。
大きな鋏を両方に広げ、入江を包むような姿、左側の鋏の場所に上られる。
「何と、凄い・・」「でしょう、此処なら誰も見えない場所なのよ・・、
ほら少し下ると・・」「え~~何と平たくなっている・・」
「手を少し加えたのよ、この岩は長年の波で奇岩、造作なく此処が平らに
出来たのよ」「凄いですね、絶景、明日此処に来ても良いですか・・」
「どうぞ・・」案内された場所から日本海が一望、其れに最高な場所に狭い
が広場が作られている。
「うふっ、此処は秘密の場所よ、用事が有る時は此処で・・、篭に飲物や
食べ物持参で来るの、マットも、枕も。。、見て・・」
「うひゃ~、何々岩が動いたが、岩を動かすと・・、く~見事ですね・・」
笑うしかなかった。
マットを出されて、二人はその上で座る。
 「さてと、お話しますね、貴方を此処にお連れしたのは聞きたい事が有る、
私から言いたい事も有るの・・」訛りが出て来ない言葉、其れに妖艶さは夜
には適しているとさえ思えた.話の中身は、今迄どうして此処に来れて居る
のかと、慕う男性がどれ位凄いのかと自分と似た一の女性は各地に存在する
事も、つぶさに恥も惜しげもなく話されて行く・・。
 「ええ、では色んな仕事関係の中身は其処ですか・・」
「ええ、男女関係が有って、続けることが出来るのよ、此処は肉と繋がって、
何処よりも強靭、壊れる事は無い」「では皆さんご存知なんですね・・」
「出会う前から承知で来られている人も居るし、自分から望まれて来た女性
もいる、こんな話をとお思いでしょう・・」「はい・・」
「じゃ、其れは貴方から出る匂いが似ているのよ」「似ていますか・・」
「うふっ、当たりだわ、悦子は其処に気付いていたの・・」「・・」
「それでね、ボスはなるべく平等にが大前提、無論中には好きなタイプが
居ても他では表情を変えない、二人だけの時判れば良い事、中には不倫の方
も居られるけど、其処も同じ扱いなのよ」「・・」
「それで、八年間過ごしてきて、既にそんな関係が無くなりつつあるけど、
其処は・・」「其処は・・」「悦子もそうだけど,一番長い付き合いの女性
は既に身代わりが・・」「身代わり、ああでは・・」
「そう、親戚や自分の娘などね・・」「なんと・・」
「其処までする値打ちが有る男なの・・、とんでもなくでかく強い・・」
遂に、相手の男性が脳裏に浮かんで来た・・。
「うふっ、如何自分と似ていると・・」「ええ、そんな大それた事等・・、
そうなんですか・・」「だから、此処に呼んでお話をしているのよ」
「はい・・」「あ、白状されたわね・・」「え、返事だけですが・・」
澄人はそう言ったが、相手にはとても敵わないと思っている。
でもね、其処は段々と・・」「ですね・・」「あら・・」又笑われる。
「でも先が有るのよ、我らのボスは四十過ぎてもとんでもない男、
弱くなってくれないのよ・・」笑われる。
 「いえね、こんな立ち位置など誰でもが出来ない事よ、其れを認めさせる
には、力が一番、有無言わさない程の威力を持つ事よ、そうなれば、皆が
独占は無理と最初で知らされるからね」「・・」
「其処を磨けば言わないでも、女性はそうなって行けれるわ、私もだけど、
仲間と一緒に抱かれた事が多かった、でも其処は、其れなりに楽しいのよ、
負けまいと競り合うからね」「・・」
「でも、もう四十半ば、以前とは今度は迎える肉体が変化するじゃないね」
「お聞きしますが、どれくらいに期間で会えるんですか・・」
「ああ、其処ね、其れは相手次第かな、待てるのよ、不思議と待てちゃう、
だから久しぶりなら泣き叫んで味わえるしね」「・・」
「其処が味噌かな、相手は承知の助ですよ」大笑いされる。
「だから、世間は広いけど、こんな男に巡合えたは不幸か幸せかどっちかね、
半端な位置じゃ無いのは確かね」そうも言われた。
 満天の星空を見上げている、其処に相手の携帯が鳴った。
「え、愛華ね、何処・・、うふっ来るか・・、岩の上、飲物頼めるかね」
そんな会話をされていた。
今度は澄人の立ち位置を話され出す。
 「え、ご存知でしたか・・」「アソコも仲間ですからね、驚かれているが、
あんたがそんな男とは知らないからね」「え・・」
「そうじゃ無い、如何見ても普通の若者じゃないね、でも中身知ったらどう
なるのかね・・」「・・」又其処に行かれる。
「貴方は、このまま進まれたほうが良いかも、其処は宿命と弁えれば立てる
場所よ、でも強靭さは如何なのかね・・」「・・」
「それが叶うなら貴方はこれからとんでもない程上がれそう、落ちないでね、
悦子が言った事を思い出してね」「はい・・」
「あら、正直も程々よ、相手に見せる時を考えないと鵜飲みされるからね」
「はい・・」「ま~・・」大笑いされた。
 「実は名古屋に貴方と同じ名前の女性が居るので・・」
「あらら、そうなの、矢張ね、で、如何・・」「如何・・」
「良い体しているのかしら、其れなら嬉しいけど・・」「はい・・」
「あらら、もう正直は程々・・」並んで顔を見て笑われる。
 「おばちゃん・・」「おう、来たか、座れ・・」
現れたのはまだ若い女性、本当に青い世界に浮き出る姿態は・・、
美しい残影を澄人に刻んでいた。
「愛華、恐ろしい男紹介する・・」
「うふっ、おじちゃんを見ているしね、如何かな・・」
「其処は未だ調べては居ないが、相当と見たが」「え、じゃおばちゃん・・」
「ああ、お前には他所の人が良いかなと思えている、此処はもう満員かもね」
「え、ではあの話は・・」「其処、お前が大学を出たなら、外に飛び出せや」
「え・・」「この人を伝に羽ばたけ・・」「ええ、おばちゃん・・」
「あのな、世間は広いぞ、名古屋でお前の場所が出来るかもしれんがね」
「名古屋か・・」「ああ、今度リニアが出来る頃は化けているが、アソコは」
「そうなるね、じゃお兄さんは名古屋から・・」
其れから、澄人は海と夜空を見ているだけ。
横で話が進む中、愛華は黙って聞いて居た。
 「おばちゃん・・」「其処はお前次第だが、どう考えても、この人にはお前
が合うかなと・・」「「・・」
「だから、期間を懸けても良いがね、お前名古屋にと考えておくんだ・・」
「・・、はい、信じているおばちゃんの言葉肝に収める」
「良い子だ、あんた御免よ・・」「・・、ええ~~~」
仰け反る間に、なんと澄人の股座を掴まれていた。
「・・、ま~・・、なんと此れかね、く~似ているがね、愛華手を貸せ・・」
「・・」今度は二つの手が股座に有る。
「寝て・・」無理やり澄人を寝かせると・・。
有り得ない事に為りつつある岩の上だった。

            つづく・・・・。


















望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・55》

 話をしながら、移動、車内でも辰巳さんと友達の仲間、話が途切れない。
「え、此処は・・」「今から向かうのは凄いぞ、俺も何度も行けたが・・、
何時でも考えを変える場所だぞ・・」「意味が、海際なのか・・」
「ああ、貸し切りの浜が有る、プライべ-トじゃがね」「・・」
呆れて外の景色を見るが夕暮れの浜は綺麗だった。
「あそこだ・・」「ええ、明かりが凄いが、何で工場か・・」
「ああ、仕出しの工場・・」「何其れ・・」「後でじゃ、今着くぞ・・」
「・・、え、え、ええ~何何これなんじゃ凄いがね、おう此れ・・」
「今から入るでな、行こう・・」何と到着して場所に驚かされる。
其処は夕やみに浮かぶ百夜の殿堂・・、本当にそう思えた。
「・・」三人は無言で達也さんに従う。
 「ま~、よう御出でなさいました、ささ上がってつかあさいや・・」
出迎えられた。
真っ白い建物に入ると、又其処でも足が止まる、何もかもが揃う中、
二人の女性が部屋で出迎えて頂く。
「辰巳・・」「ああ、此処は竜宮じゃろうな・・」
「ええ、竜宮って、あれか・・」「おとぎ話じゃな・・」
その言い方にも呆れるが、正しくそう言われれば、満更大袈裟とは思えない
から不思議だった。
「おいでなさい・・」又また現れた女性に、三人は驚く、年こそ四十過ぎかと
思われるが、妖艶さは半端じゃ無い・・。
「悦子さん・・」「そうね、夕食支度してて・・」「はい・・」
三人の女性はキッチンに向かわれるが、交代に応対してくれる女性、
本当に妖艶とは此れかと澄人は感嘆。
「では、見学は・・」「ああ、向こうの方で進んでいるね、僕は直ぐにでも
向かいたいと思う」「じゃ、工事は順調なの・・」
「既に手配は済んでいる、仲間だし問題は無い」
「では行かれますのか・・、どちらにです」「そうだ、飛騨と聞いたが・・」
「飛騨の何処・・」「ええ、悦子さん・・」
「済みません、其処らに知り合いがいますからね、聞いたの・・」
「おい、何処だ・・」「そうだ、澄人説明・・」
「はい、飛騨と言われても広いですからね。聞かれる場所は高山から少し奥
に入ると有ります、中山です」「中山・・、じゃ落合は近くですの・・」
「落合か、聞いて居ないけどそうなるのかな・・」「おいおい・・」
「だって、僕もあまり知らん・・」「そう、じゃ地図で調べて見ましょうね」
「え「え・・」「そうか、あのね、私たちの仲間が其処で頑張っているのよ」
「仲間・・、ですか・・」「ええ・・」そこから意外な事を聞いた。
 あの牧場も、此処も全てその人と関係が有ると聞かされる中、意外な話に
三人は驚愕する。
「ええ~では旅をされた中でアソコを・・、なんと豪快な人じゃがね」
敬之が感嘆、義雄も頷いて聞いて居る。
「なんとでは其処でデリバリ-老人に品物をかね、凄いねその人たち、いいや
あんた達じゃね、じゃ上の工場は仕出し・・」
「そうなるわね、今じゃ此処も落ち着いて領域は広がるばかりで大変なのよ」
「でしょうね、でも良い事されて居ます、感激です」敬之は本当にそう思う。
 夕食の間も三人の女性と悦子さんは相手して頂くが、話は続いている。
「呆れる程、物凄い話じゃないかね、じゃその方お幾つなんですか・・」
「今は既に四十を超えて居ますけど、意気軒昂ですのよ・・」笑われる。
「で、その方の住まいは・・」「中国山地のど真ん中、島根と広島県の県境
に居られるけど、今は如何かな、大阪かも知れない・・」そう言われる。
「辰巳さん、では行かれますのか・・」
「もう此処は落着いて居ますし、暇です今度は飛騨で暴れますよ、仲間が
こうして来てくれているし・・」そういった。
悦子さんと言う女性は半端な人じゃ無い、執拗に澄人の事を聞かれているし、
この関係は何でかとも聞かれる。
「ええ、ではなんと伊豆の女性の方凄いじゃない、へ~でも其れを知合った
貴方も凄いわ・・」「其処は弟の関係ですから、凄いとは言えないですよ」
「でも、投資されるなんて、ねね雅美さん、聞いた似ているわよ」
「ええ、先ほどから聞いてて、有り得ないと、ね珠美・・」
「お姉さん、凄い事、似ているし、年はこちらが若いけど、資本が・・」
「そうね、世間は広いけど、似ているなんて有り得ないわ・・」
「悦子さん・・」「待ってよ、考えている、ねね、其処を詳しく聞かせて
頂けないかしら・・」身を乗り出される。
 怪訝に思えるが、興味が在る事は間違いが無い、澄人の代わりに調査され
ている敬之さんが話を薦めらた。
「ええ~、じゃじゃ、亡くなられた弟さん、ま~其れで婚約者の方の家と、
ま~そうですの・・」悦子は身が震える思いがして来た。
何がともあれ、歩く道は同じと思える、あの龍哉さんと似ていると動物の
感で見据えていた。
「ねね、じゃじゃこれから仕事を・・」
「そうなんですよ、我らも一枚加わろうと、此方迄見学に・・」
「何と良いじゃないね、名古屋で店か其れも牧場を持って、ねね其れって
場所何処ですの・・」悦子さんが執拗に聞いて来られる。
 「ま~じゃ、間違いないわよ、雅美・・」
「ええ、驚いて居ますけど、でも、同じとは思えないけど・・」
「うふっ、如何かな、知らないけど匂うわよ」「え、匂いますの・・」
「お姉ちゃん・・」「御免・・」
 外は既に夜になってるが、押寄せる浜のさざ波が心地良く聞こえて来る。
「良いな、浜に出て見たい・・」「おじさん、案内しましょうか・・」
「右方~、良いのかね、良いねじゃ話は敬之と澄人さんに任せてと・・」
「・・」呆れる敬之をしり目に義雄は外に出た。
 部屋では未だ話が続く、悦子さんが執拗に聞かれるから、澄人と敬之は
逃げ出せなかった。
「ま~じゃじゃ、あのね良い場所教える」悦子さんが話をはじめられた。
「え、其処も関係が有るんですか、凄いぞ、どんな男性か興味が湧いて来る、
澄人さんもそうだが、なんか最近同性に興味が移ったかな・・」
そこで皆が大笑いする。
 その話とは、機会が有れば行ってみてと言われた、場所は中山からそう
遠くない、日本海に面した滑川伝の新潟寄りの場所、然も此処に二て海岸の
素晴しい景色が望めると聞かされる。
「なんと、では是非お伺いいたします」敬之さんがそう返事される。
 夜も遅くなり、部屋にと向かう敬之さん、澄人は未だ許して貰えない。
『あのね、相談が有るんだけど・・』「なんでしょうか・・」
「大変な事お聞きしますけど、伊豆の方貴方との関係が有るでしょう」
「ええ・・」「ううん、判るのよ、同性の感覚よ」「悦子さん・・」
「だって、見てよ、女性だけじゃ無いじゃないね、男性おも惹付けるのは
何故よ、ね~雅美・・」「ええ、私に振りますの・・」
「あんたが今若手じゃないね」「そうは変わらんけど、そうなりますね」
「嫌味かね・・」そんな会話をされるが、落ち着けない澄人が其処に居た。
 二人のおじさん達は既に部屋で横に為られて居る中、
悦子さんが、澄人を誘い外に出られた。
秘密の場所が有るの・・」「ええ、秘密ですか・・」
「そうなるね、誰もが知っている場所じゃない事だけ、行きましょう・・」
「・・」従う澄人が居た。

               つづく・・・・。



















望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・54》

 九月二十九日、朝早く、名古屋を出る、車は敬之さんのセルシオ、
長距離には適して居る事からだった。
車内では色々な話が出てくる中、車は一路島根県の三瓶山を目指す。
名古屋からは名神高速を走り、大阪と神戸の境では中国道に入り、
其処から山崎ジャンクションから中国横断道で日本海に向けて走る。
無論その道路の横手には、もう一つの名高い大山が見える、
其処でも酪農と牛も有名だし、今は競走馬を育成する大手の会社も
出来ていると聞いた。
長時間だけど、皆元気,澄人もつられて笑顔が見えた。
名古屋から大阪まで二時間半、其処から池田ジャンクションまでは
混んでいたが、池田のトンネルを過ぎると、快適なドライブ、
いつの間にか運転は澄人がしていたのだ。
 朝七時半に名古屋を出て、早くも昼過ぎ漸く大山が見える所まで来てる。
一度昼食を取る、サ‐ビスエリアで休憩、其処で飲んだ牛乳の美味しい事、
義雄さんが一番喜ばれる。
 午後二時過ぎ、何とか日本海が見えだす、其処から国道九号線の道を西に
と走る、やがて見えて来る中湖と宍道湖、走り続けるから、流石に疲れる、
其処で敬之さんが、電話され、向かい先は明日にと言われた。
 そう、ここ等で一泊と決められていた、直ぐに玉造温泉だと義雄さんが
叫ばれると、車は宍道湖を後ろにし、玉造にと向かう。
和風の旅館が取れて、澄人も疲れを癒そうと風呂に向かう、
時間は既に午後四時過ぎ、風呂から上がると電話が来る。
 相手は伊豆の玲華さん、そちらに向かおうかと聞かれたから、
大変だから無理はしないでと諫める。
「じゃ、飛騨に向かう・・」「ええ~~」
「何でよ、良いじゃないね、あんたね、もう玲華は身が軽くなっているの、
行くからね」「ええ、独りでですか・・」
「内緒、其処は如何でも良いじゃないね、独りじゃ運転疲れるしね・・」
「・・」呆れて話を聞かされるだけだった。
 その夜は流石に疲れた三人、酒を飲んだ後すぐに横になる。
 九月三十日、午前十時、車は又国道九号線に出て今度は西にと車は走る
「結構遠いいな・・」「そうですよ、右手は日本海じゃ無いですか、対岸
はもう韓国ですからね」「ひや~そうなるよな、なんと日本は細長いわ」
義雄さんがそう言われるが其れも確かにそう、本島のど真中から来たから、
そう思えた。
松江から玉造、そうして九号線を走り、今やっと標識に地名が出だす。
「おう~何と兆しが見えだしたぞ、日本海も綺麗じゃ無いか・・」
車の窓から見える景色は凄い、澄人も運転しながら見惚れる程、
最高な景観だった。
 太田市に入り、其処の海際のレストランで昼食、本当に長旅、
でも三瓶山は直ぐそこと聞いて居るから元気は残っていた。
太田市から目的地には早く到着、無論見たい石見銀山も有るけど、
帰りにしようと敬之さんが言われる。
 午後二時半、ナビに従い、現地に到着、車を止めて辺りを見渡す、
左上に三瓶山、裾野が広がる中で来る途中、何度も牧草地帯を見ている。
其処に牛が居る事も確認していた。
「ここ等かな・・」澄人が運転しながら、車はゆっくりと進む。
あまり広くも無い道だが、走る車さえ見当たらない、
其れでユックリ進めた。
 「ああ、アソコじゃ無いか・・」義雄さんが言われる。
「おう、此処だぞなんと石見牛生産牧場・・、お、牛舎が並んで見えるが、
此処だ・・」漸く到着、道の空き地に車を止める。
「まあま~あんた達は名古屋からかね・・」
「え、あそうですが、おばさん此処の人ですか・・」
「そうなろうがのう、あんたは清水さんの知り合いと聞いて居るが・・」
「ハイ悪仲間です」「あはっ、いんさるのう、疲れんさっつろう、家に
来んさい・・」聞きなれない訛りだが、其処が結構良いと澄人は思えた。
 牛舎の傍だから牛臭い、其処は仕方が無いのだろうと匂いを吸込んだ。
「うひゃ~、本当にきんさったんかね・・」
「おう、辰巳、久し振りじゃがね・・」友との出会いは誰も一緒、
肩を抱き合いながら懐かしいと言われる。
部屋に入ると、直ぐに話が始まる。
 澄人が描いている予定図を出して話が進む、無論素人の計画図だが、
現場は間違っていないから、大人の頭が寄り、話を聞かれていた。
「成程、既に牛は飼われているんだね」「少ないがそうじゃ・・」
「じゃ、写メ見させてもろうたが、其処は良いと思うぞ、雪は此処と
同じくらいかな・・」「そうみたい・・」「で、牛はどれ位・・」
「ゆくゆくは三百から上と・・」
「何とものすごいじゃないかね、じゃ敬之と義雄が・・」
「ううん、この人が主・・」「え・・」若い澄人を見て呆れられる。
其処から敬之さんが話をされ出す。
 「何と、そうかね、じゃじゃ、あんたがのう・・、で名古屋で店を開いて
捌くのか・・」「そうなる、余れば売るしな・・」
「何と良いぞ、じゃ牧場が名古屋で店開いてか、良いな良いよ其れ、
じゃ此処は其処だけは違うが、全て似ているぞ・・」「似ている・・」
「ああ、なんとそうかね、此処もな、以前は細々と既に辞めようと思われて
いたところなんだ、其れがのう、有る人が此処に来られて、其れから豹変、
あれれと思う間もなく、此処はこんなに変化出来た、総てその人の御陰
なんじゃが・・」「何で似ているんか・・」
そこから話をされ出すと、知らない間にあの迎えてくれたおばさんが
座られて、話の中身に手を加えられる。
 「それがのうとんでもないい人でな・・、今は隠居だが、家の母親が話を
聞いて、なんと私らが、出向いて頼み込んでいたんだ」
「出向いてですか・・」「ああ、相手は豪儀なお方じゃった、金は有るし、
なんと男其の者よ、遣れんほど男・・」「ええ、意味が・・」
「あはっ、今じゃ伝説よ、八年前に起こった出来事が今じゃこうして此処も
凄い事に為った」「意味が・・」「待ちんさいや、話はゆっくりとな・・」
「あのう、ご飯・・」「ああ、そうじゃが、ご飯な、泊るにも此処じゃ、
拙かろう臭いし・・」「じゃね、じゃ電話してみようかね」「お願い・・」
なんか理解出来ないが、泊るのは此処じゃ無いと思えた。
 でも話は続く、此処は平成十七年から、ある男が乗り込んで様変わり
出来たとは聞かされる。
其れが、今計画して居る事と似ているとまで辰巳さんが言われ、
此処は三部構成に為っていると・・。
「えでは分担か・・」「そう、子牛を育成する部分と肥料作成、種牛の管理、
商品の発送及び解体・・」「何とじゃ此処で総てか、種牛は金が懸るぞ」
「其処が摩訶不思議、其の大元が乗り込まれたんだ、然も大阪からだぞ、
五人が揃われて、シンジケ-トを作られた、その資金で種牛を六頭抱えられ
たんだ、其れが今も引き継いで、今は二代目と三代目かのう・・」
「なんとでは総て此処で育成と販売まで・・」
「ああ、忙しいぞ、御陰で此処は今じゃ誰もが知る牧場、ロ-カルテレビで
ドキュメントが放送されもしたんだ・・」「なんと凄いぞ・・」
そんな話を聞いて居る、澄人も呆れる程驚かされた。
 周りを見学しながら、話は続いて行く・・。

            つづく・・・・。





















望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・53》

 本当に澄人は意気消沈、調査書に書かれている事は総て本当、
だが中身は上っ面であるから其処の部分は胸を撫で下ろす。
けど、懸る関係者は総て調査書に乗っていた。
「此れね、悪いと思ったけど、知りたかったの、でも知ってても変わりが
無いわ、尚美もお父さん達も驚かれたけど、最後はあの人なら有得るかな、
でも凄いぞ遠藤さんはと、言われた」「・・」
「だから、此れから遠慮は無いの、貴方を知ってて会うのよ」「え・・」
「ねえ、今後も同じ動きなんでしょう」
「そうなるのかな、でも知られたし・・」
「だから良いじゃないね、動き易いでしょうが・・」「でも・・」
「何よ、澄人さんらしくないが、飛騨も伊豆もそうなると判る気がすると
お父さんが・・」「・・」そこも返事出来ない、澄人は頭を落としていた。
「さ、飲もうか・・」そう言われると従う。
 其処に尚美さんの携帯が鳴った。
「ええ、お父さん、嘘何処に居るのよ・・、ま~じゃ向かっているの・・、
嫌だ~信じられん・・。もう気が早いから、知らない馬鹿・・」「・・」
電話の中身が判らない、最後に馬鹿と言われて驚いた。
「もう、お父さんったら、娘の気持ち位判る筈じゃないね、嫌いよ・・」
「え、如何したん・・」「もう酷くない、こっちの事も考えずに・・」
「だから何か・・」「こっちに来ているのよ」「来ている、何処に・・」
「此処・・」「・・、うげ~何で何でよ・・」
「だから驚いているのよ、もう馬鹿じゃない・・」
呆れる尚美もそうだが、聞いた澄人は驚愕した。
なんと、尚美さんの父親がもうこっちに向かっていると聞くと、
心臓が止まりそうなショックを受ける。
「で、何時頃・・」「今、御器所だそうよ、もう直ぐ来そう」「・・」
呆れ果てて、声が出なかった。
「待て、じゃ何か食事は、未だ七時前だぞ・・」「知らない・・」
「おいおい、そうは行かんが、如何し様・・」
「知らないからね、もう酷い親」泣きそうな顔をされるが、来ると知ると、
慌てて居られた。(何で、今来られるのか・・)
理解に苦しむが、既に向かわれていると判ると、澄人も落ち着けなかった。
 電撃とは此れかと澄人は半ば諦めて居る、既に尚美さんのお父さんの
行動力は知っている身、伊豆も然り、今回も・・。
 午後八時前、遂に相手が到着、部屋に招き入れる澄人、又も唖然・・、
既に尚美さんのお父さん一人じゃない、義雄さんも一緒だった。
「尚美ちゃん御免な・・」「馬鹿、おじさん最低・・」
「御免、怒るな、あんたのお母さんもご承知なんじゃがね」
「ええ、呆れた親ね・・」憤懣遣る方無い尚美、だが、部屋に入ると、
そうは言ってられない、食事はと聞くと未だと言われ、
澄人が急いで寿司屋に電話、慌てる姿は、事を表していた。
「御免、もう気が焦ってな、早く会いたいと・・」「おじさん・・」
「御免御免・・」平謝られてリビングで座られる。
 「実はな・・」そこから話をされ出す中、澄人は驚いている。
昨日、既に飛騨の谷を見て来たと言われると、腰を抜かして呆れ果てる。
「それでな、遠藤さんが気に入られた場所を備に見て回った、無論写メも
撮ってな・・」話が続くが、未だ衝撃から戻れない澄人。
「それでな、あの谷は凄いぞ、あんたが言った中心の山にも上がった、
其の写メも有る、でな、あそこはあのままでいいが、なんといっても深い
雪が積もる土地、冬季を過ごすための設備も必要、其れで義雄が思出し
たんだ、俺達の大学の仲間が居たと・・」「仲間ですか・・」
「ああ、遊び仲間だな、其れが、この間同窓会で聞いて居たが忘れていた、
なんとあいつは一級建築士、そいつが石見の三瓶山の麓で同じような事を
委託されているんだ・・」「何と、では・・」
「ああ、其れで昼過ぎ電話すると、今も石見に居ると聞いた、で飛騨も
似たような土地じゃろう、夏も冬もな・・」「ですね・・」
「だから、今度の話を其処でも出来んかと・・」「ええ・・、じゃ・・」
「ああ、そうだ、あいつは喜んで是非と、今迄苦労したノウハウを発揮
できると喜んでくれたんだ」「・・」
「直に合いに行くと言ってしまったんだ」「ええ・・」
「な、急ぎアンタに話しをと・・」「なんとそうでしたか、でも・・」
「なな、其処は既に動いて、参考にはなる、強みは其れを作上げている奴
が友だ、飛騨も如何かとな・・」そう言われた。
「では見学に・・」「そう、あんたを連れて行こうと・・」「ええ・・」
「なな、善は急げじゃ、出来るところから始めるのが良いぞ、牛は待って
くれん、育成を速めるだけ、事が進むぞ、なな動いてくれんかね・・」
「え、僕ですか・・」「そうなろうがね、言い出しはあんただろうが」
「ええ~~」呆れるが、相手の顔は真剣そのものだった。
 聞いて居た尚美も怒りは何処えやら、父親の顔は何時もの顔じゃ無いし、
話は悪い事じゃない、其れが進めば何時でも澄人さんに会えると思込んで
しまう。「なな、尚美もな・・」「お父さん唐突よ・・」
「だから謝っているが、此れは急いだほうが良いぞ・・」
「で、谷の人に会えたの・・」「いや、其処は義雄が止めた、先走りは
不味いとな・・」「偉いわおじさんにしては珍しいじゃないね」
「おいおい・・」頭を掻きながら笑われた。
「じゃ先方には・・」「ああ、連絡すると」決まっていたと澄人は思えた。
 遅い食事をおじさん達に食べさせ、澄人は未だに話を聞かされている。
 「ええ、では・・」「ああ、アソコは総て捨てる物は生じないと、小便
だけはろ過して捨てるだけと聞いた」「何と出来るんですか・・」
「あ、アソコはしていると、飛騨も金は懸るがしようと決めているんだ」
「なんと・・」本当に動き始めていると其処で知らされた。
「ではお供いたします」「あのな、主役は何処でもあんただ、お供なんて
こっちが言うセリフ・・」笑われる。
「お父さん・・」「聞いたか・・」「うん、良いわ、其れじゃ許すか」
「ええ、お前・・」今度は同じ笑いでも苦笑いだった。
そうして、朝早く発とうと決まる、ホテルにと言われたが、
此処で寝て朝行くと決まった。
「でな、伊豆も連絡して置いたぞ・・」「ええ・・」
そこだけは驚いてしまう。
「直は無理だけど、此方も向かいたいと言われた・・」そう聞いてしまう。
本当に手回しが良過ぎる相手、でも其処は澄人は多少含みが有ると睨んだ。
「お一人で向かわれるのかな・・」「・・」返事が戻って来ない。
「なな、此れは本腰で懸りたい、遠藤さん宜しく・・」
「義雄おじさん・・」「今迄飲んべんだらりと過ごして来たんだ、此れで
良いと思い込んでいた、だが如何してあんたを知ると間もないが如何よ、
この変わりよう、我ながら驚いているんだ、こんな意欲が湧く等考えても
居なかったぞ」「おじさん・・」
「わしらの夢にあんたが付合ってくれ、未だ先は有ると見込んで頑張る」
「おじさん・・」迫力に負けそうな澄人、傍で頷かれる尚美の父親、
本当に行動力が有り過ぎだと言いたかった。
 呆れたのか、尚美さんが酒を出され、寿司を食べ終えると、
さ寝てよ・・と急かされ、ゲスト部屋にと追いやられる。
「ね、御免ね・・」「ううん、こっちはそうじゃ無いけど、尚美さん・・」
「うふっ、邪魔が入っちゃった・・」笑われた。
二人は、当然澄人の寝室のみが開いてるから、其処に消えるが、
その夜は何も動きが無い、有る筈もない、父親が隣の部屋で寝ている。
尚美の思いは複雑だが、此処迄来れば後は流れで良いとさえ思えた。
親の本気度の御陰で、何時でも澄人さんに合えるんだと思うと、
其処は自然に身を任せても良いと考えだす。
 喧騒の部屋も、静かになり、朝方から始まる思いがけない事を澄人は
待って目を閉じた。

           つづく・・・・。







望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・52》

 九月二十三日、熱川と伊豆下田の中間地白浜の屋敷に澄人は滞在している。
既に、名古屋の高蔵寺のおじさん達二人は、昨日帰られていた。
本当に豪快な二人、此処で出会ってからの驚きは生涯忘れる事は無い、
其れほど卓越された遊び人、其処は既に玲華さんから何もかも聞いて居る
からだが、矢張澄人が予想してた通り、二人の家は、昭和の大発展の中、
高蔵寺は一大開発、其処に住んでいた、おじさん達の家は、とんでもない
当時の金額で、土地が公社から入っていたのだ。
其れをいち早く、おじさん二人は会社設立、マンション経営に乗り出され
然も其処が、また呆れる程幸運なのか、手掛けていた、場所が、高蔵寺より
名古屋に近い、桜町、交通の便利が良いと知り、其処に集中的にマンション
を建てられている。
 だがだが、なんと其処も、公社の目に適い、開発をドンドンされ出す。
しかもモノレ-ルまでもが作られて昭和から、平成に跨いで住宅が出来る。
呆れる程最高に幸運な家族なのだ。
 そんな話も寝床で玲華さんから聞いて居る、本当に貪欲な二人だった。
二日に一度参加される菜摘さん、此処は天国と地獄の境目かと思うほど、
肉を躍らせていがり泣く姿、でも澄人は嫌じゃ無い、其れほど玲華さんに
神髄している証拠、弟の御陰で繋がる二人、其処に菜摘さんと美佳さんが
加わるから、帰りたくないのも理解出来る。
 だが、そうも言っておれない、心は焦るほどざわついている、
名古屋の事が気懸りだった。
「あんた、名古屋に戻るのも良いよ」「玲華さん・・」
「ほとんど聞かせてもろうたし、今度は玲華が出向くね」「え・・」
「そうじゃ無いね、飛騨も、名古屋の店を探すも手伝う・・」
「玲華さん・・」「同じ船に乗っているのよ、向かう先は同じじゃないね」
「店は・・」「既に娘に委譲した、美佳さんも居るしね」そう言われる。
本当に得体がしれない凄い人、だが傍に居ると教えられる相手、
澄人は恵まれていると今更感じていた。
 九月二十六日、漸く名古屋に帰ることが出来た、玲華さんは少し仕事の
整理が有ると言われ、後日来られることになっていた。
澄人はお土産を持参して、桜通りの証券会社に出向く。
歓迎された、特に支店長が満面笑顔で迎えて頂く。
担当の尚美さんも笑顔、其処は既に色々と父親から聞いて居られるのか、
伊豆での事は聞いて来られないが、出会ってから、今は急に距離が狭まる
相手、然もお父さんが伊豆で逗留されているからか兄弟の様にさえ思えた。
 無論、仕事が終わる、午後三時過ぎには会う約束をされ、
一度澄人は名古屋の栄にと脚を伸ばす。
 駅前とはまるで違う、既に今迄名古屋一番の繁華街は落ち着いて、
盛りを誇る建物や人の歩き、ここ等は既に完成された、
場所に為っていると今更知る。
 二時間を費やすると、約束に時間、澄人は待合わせの場所にと向かった。
既に相手は待たれているし、二度目のデ-トはすんなりと動き出す。
「お父さんは・・」「うふっ、其処よね、もう大変、あんたの話しばかり」
「えっ・・」「続きが有るの、恥ずかしいのか、何時でも会話はあんたの
話しからは始まるのよ、其れで義雄おじさん・・」
「あ、其れだ、如何なっているの・・」「え、どうなっているとは・・」
「・・、ああ~仕舞った」慌てて口を押える澄人を見逃さずに睨まれる。
 いやはや、とんでもないデ-トに為りそう、失言が尾を引いて、
会ってから一時間近くに為るが、未だ喫茶店でヒア汗をかいて話をさせられ
ている澄人が居た。
 「な~、頼むから内緒にしてよ、そうじゃ無いともう会えないぞ・・」
「え、其処に行くん・・」「そうでもしないと男だぞ、べらべら喋ったと
思われる・・」「なあんだ、そんな事ね、良いわよ、内緒でしょう、でで、
ねね、其の芸者さんどんな人・・」「ええ・・」
もう逃げられないと覚悟する、相手は執拗に其処を攻め込んで来る、
仕方が無いのでええ加減に話をするが、許してはくれない、
尚美さんは強かな女性と嫌程知らされた。
 苦痛の時間を何とかやり過ごすと、今度は食事、今日は部屋でと言われ、
買い物をされる姿にも呆れる。
何でか、尚美さんとでは既に主導権は相手側に有ると知る。
 部屋でも鼻歌交じりでキッチンで動かれる、澄人はPCを眺めて計画図の
続きをするしかなかった。
食事の用意をされる姿も悪くは無い、最高な女性が自分の部屋で動かれて
いるのだからだ。
「ね~、お風呂どうぞ・・」「え・・」「支度で来ているし、入れば・・」
「・・」呆れるほど反対は出来ない我が身、部屋でも同じなのだ。
「では・・」「どうぞ・・」どっちが部屋の主かと疑うほど、今は反転,
苦笑いしながら風呂にと向かう。
 風呂から上がると、早めの夕食、二人はまるで何時も通りと思えるような
姿、初めてなのにどうしてかそんな雰囲気、澄人は不思議な人だと感心する。
 「ねね、此れから、尚美はあんたの歩く身をを付いて行くね・・」
「ええ・・」「だって楽しそうじゃないね、お父さんが、あんたの話をする
時顔が違うのよ、母も其処は感じているみたいだし・・」「・・」
「それでね、飛騨に向かいそうよ」「ええ、まじ・・」
「そう、昨夜、義雄おじさんと其処を相談されている」「・・」
声が出なくなった、呆れるより驚いているのだ。
「じゃ何時や・・」「其処は今度は貴方に初めに相談と聞いて居るけど」
「・・」食べる動きが止まる澄人。
「それでね、何時が良いかと・・」「未だ早いと思うよ、アソコは稲刈が」
「え、未だなの、九月末よ・・」「あ、そうかじゃ落ち着く頃だね・・」
そんな会話をするが、飛騨の事は荒してほしくは無いと思った。
「見るだけなら良いけど」「え・・」「だって田舎だぞ、驚かれるがね」
「え、あんた、まさか、いやだ~、其処は別よ」「え、其処って・・」
「あのね、既に母が調べているのよ、あんたの近辺・・」
「調べるって何・・」「待って・・」バックから何か取り出して渡された。
 「・・、ああ~調査書・・、何~~~僕じゃないか・・」
とんでもなく驚いた澄人、書類を持つ手が震え出す。
 暫く中身を読んでしまう・・。
「此れ・・」「もう既に皆読まれているの・・」「・・」
絶句、とんでもなく狼狽える澄人、だが、前に座る尚美は平気な顔、
其処が不気味だった。
 澄人も負けてはいない。
話をするが、決して調査書の中身には触れていない、其れでも不思議と
相手も其処を深堀されてこなかった。
 食事を終えると、片付けをされる。
「出来たわ、お風呂頂くね・・」「・・、えハイどうぞ・・」
返事をするが、既に澄人は困惑している、
(此の侭泊まるのだろうか、いいや帰るよな、如何なんだろう・・)
 先が読めないで困惑する澄人だけが部屋に居たのだ。

       つづく・・・・。