驚道小説《一炊の憑依に惑わされ・・8》
賢太も立って手を合わせ、眼下でゲ-トに集まる馬を見ている。
「駄目でも落胆しないでね、相手は動物だからね・・」
「はい心得て居ますけど、興奮しますね」
「うふっ、其処よね、道理で真奈美は勝負するから、男性と縁が無い訳ね」
笑いながら、ゲ-トに収まる馬を見詰める。
ゲ-トが開くと、一斉に十四頭が駆けだし爽快、四階からは小さく見える
が総て見渡せる最高な場所、其処で向こう正面に向かう馬を見た。
「あらら~なんと、そうかねヒメコンドルが疾走か・・、逃げ切れるね、
あれほど後ろが開くと一人旅、流石に強いわ・・」
そう言われ双眼鏡で見られていた。
賢太は気が気じゃ無い、自分だけなら良いけど,奥さんが乗られて買われた
事に責任を感じているのだ、先頭を走る頭の中で会話した馬が疾走・・、
場内アナウンサ-ががなり立てるように叫ぶ中、彼女が先頭で直線に入り
未だ相当後ろと差があり、賢太は嬉しい反面、馬券の駄目を思い知る。
座り、諦めて、ゴ-ル前を見ていた・・。
「ひえ~~~嘘や~~何で脚が足が止まりかけただぎゃ、ええ~~、何々
来た来た後ろから、ええまさか~」奥さんの悲鳴染みた叫びが聞こえる中、
なんと十馬身開けていたヒメコンドルの差がみるみるちじまり・・、
まるで止まって後続を待つにも見えた。
「嫌だ~凄い凄いが~」奥さんが大興奮され、横の賢太にしがみ付いて
飛び跳ねられる。
「来た来たよ、賢太さんが正解だぎゃ、凄い~」なんとゴ-ル前で後続の
三頭がなだれ込んで来る、其れも僅かな差でヒメコンドルは四着、
賢太でも見える着差だった。
唖然騒然、賢太は抱かれた侭気が逆上せる、馬が勝った事より、
今の姿が大変な事になっているのだった。
「凄い的中じゃ無いね、此れ付くよ・・」「・・」
返事が出来ない賢太、未だ抱かれた余韻が残る中返事を忘れていた。
「ねね、此れ記念よね、写メ取りなさい、私も入れて撮ってね」
記念で馬券と共に撮る。
「正解だわ、私ねどれも一着でも良いと裏返しで買った,然も大変よ、
一着が人気薄のメイブルタ-ンなのよ、相当つくよ」「・・」
そこもまだ返事が出来無い賢太だった。
1-9-3と入り、賢太は連単では無くて連複、其れでも二千七百円
付いた、三連単を買われた奥さんは一万五千七百円の配当を取られる。
直ぐに二人は食堂に向かい食事、その間でも昂奮はお互いするが、
中身がまるで大違い、奥さんは賢太の鋭い観察力を褒められているが、
自分は抱き付かれた余韻をまだ残し酔い痴れていた。
「ねね、聞いて居るの・・」「・・、え、はい聞こえますけど・・」
「ええ、貴方‣・」自分が興奮しすぎと思われたのかしょげられた。
「はい此れ・・」「え、何です・・、お金じゃ無いですか・・」
「そう、あんたに教えられて取れたのよ、だからね、半分配当する」
「要りません、僕も勝てたし早く仕舞って・・」「でも・・」
「デモもくそも無いですよ、勝負の場で金渡すの駄目,其れに僕は幸せと
喜びを受けたんです、其れで充分・・」「貴方・・」
言葉が続かない程感動される。
食事を終えると、席に戻るが、其処に大勢の人が押し寄せ、感服です、
良く見つけましたね、流石此処のお局様じゃが、大笑いされる中人が
次から次と来られた。
賢太は九と十レ-スを見逃し、今日のメインのレースをしようと決め、
其処は何と言われた父親が居る馬が居るから脳裏で会話したくそうする。
早めにパドックに陣取り、十一レ-スの馬が出て来るのを心待ち。
すると出て来たお目当てはスカイブル-チャンプだ、番号は十番・・、
その馬が一度前を通過。
眺めていると、向こう正面で顔が賢太の方を見る。
(え、感じるんかな・・)そんな思いで来る馬を待った。
「今日は、様子如何ね」【・・、ええ、あんた何でや・・】
「ええ、関西訛りか・・」【あはっ、厩舎が栗東やないか、そうなるわさ】
「で調子は如何ね・・」【おいおい、聞くなよ、恥ずかしいゃないか】
「あのな、ヒメコンドルちゃんから聞いて居るんだ」
【嘘や、何でや、何で話が通じるんだよ、怖いが・・】
「其処な父親が同じだと聞いたが・・」【そうやねん、半年前聞いたが兄弟
じゃね、でも俺は今度は三番目が限度だぞ、敵わん奴が二頭、其れも調子が
良さそうだしな、俺を買うなよ、参着も今は怪しいからな・・】
「うん、了解‣・」【じゃ買わないのか・・】「買うよ、楽しみで見る・・」
【ようしじゃ、かますか、見てろ二着には滑込める、本気で走ろうやないけ】
「出来るん・・」【俺様じゃ、もう五歳だが最高な時だな、だから任せ気に
為る馬が居るんや、そいつは二度負けているしな、其処を抜かしたる】
「おう、良いぞ鼻息が荒いね、良いね気に入った応援する」
【まてや、抜け切るかも連単じゃ行かん、連複じゃぞ,良いな負けても文句
は言いっこなしじゃ・・】「了解、良い男だねあんた・・」
【阿呆、名前よばんかい・・】「はい、チャンプ様・・」
【あはっ、笑わしよるのう、後は後ろの三番目やぞ、抑えは前の二番目
が良いと思うけどな,調子良さそうだし目が違うぞ】「了解です・・」
そんな会話が楽しかった。
尻尾を豪快に振りながら周回する馬、其処を出る時もう一度振り返り、
尾を大きく靡かせて消えた。
既に懐には二十四万円が三万から化けている、その半分を使おうと決めた、
其れでも余る金額だった。
席に戻ると、コ-ヒ-を取り待たれている。
「如何ね、今日はあんたに乗るわ、何でもいい、もう金が膨れているしね」
笑われる。
「乗るのですか、じゃ僕は別の場所で乗りたいけど・・」
「ええ~貴方、言われるがね、・・、ま良いか其処は、で何買う・・」
「此れです・・」「・・」返事は無い、其れ程驚かれていると思える、
心根は今度だけは駄目ね、でも付き合うか・・、そう読めた。
「じゃ、買うね、此れ買うと帰ろうか明日は暇かね・・」
「其処は未だ、一度経験はしたからもう良いかなと、でも出る馬を見て
考えます」「ええ、貴方、其処相当な事なんだけどね、そう馬でかね、
へ~~~」そう言われて買いに行かれた。
賢太は買った馬券は聞いた三頭と気に為る馬が居たのでそこも流して
買っている,当然中心はチャンプ、其れを筆頭に流した、無論連複、
チャンプから言われた通り従った。
いよいよ、走る、距離は長く二千四百メ-トル、チャンプはじり脚と
書かれているし、先に走る馬が気に為る賢太は流しで加え、
人気の二番を入れ十三番と六番が加わる馬券を買っている。
だが、真奈美も同じ買い目で買う、其処は今回はアの男性に乗ろうと
決めているし、何か爽やかな気持ちがそうさせてしまった。
いよいよ、レ-スが始まる、互いが同じ馬券を胸に秘めレ-スを見た。
其れが何となんと、言われた通り着順こそ弐着だったが、頭差で頑張って
くれたチャンプ、感動して手を叩き、ありがとうと叫んでしまう。
だが、思い掛けずに気に為る馬が壱着、其処は賢太とチャンプの思いが
合体したお蔭なのだ。
だから一二着が穴に為る,本命や人気は其の二頭の後塵を浴びて入着に
終わった。
今度は奥さんは何も言われず、涙目で感動され、抱き付かれないが
手を確り握られて離しては頂けなかった。
配当に驚愕、一番が八番人気、二着は六番人気,呆れる配当に目を丸くす
る賢太と真奈美、連単またまた二万参千五百円、連複三千七百円が付いた。
二人とも大儲け、狐に化かされたと言われ、ドキッとする賢太をよそに、
今度は四人の男性が来られ、真奈美さんに握手されていた。
「あのう、お礼はこの男性にしてよ、真奈美は言われた侭かっただけ・・、
其れを聞かれるから言っただけなんですのよ」
「ええ、真かね、追々、馬券師さん、何であんな馬がいや失礼、考えられん
けどな御陰で今月の負けが埋まるが感謝だ、今度会うと何処かに行かんか、
錦でもな連絡は・・」「え、其処は真奈美さんから聞いて下さい、僕から
じゃ拙いでしょう・・」良い青年だが、俺の娘の婿に来んか・・」
豪快に笑われる、別の男性にも握手された。
漸く博打場から出て家路にと向おうとすると、送る・・、
一言言われて返事せずに従う賢太が其処に居た。
つづく・・・。
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