望情小説110弾《獅子身中の獣‹二重人格›・・20》

 12月24日、晴れ晴れとした笑顔を見ながら亮太は会社の仲間と
クリスマスパ-テイを店を借りて行う。
知らぬ間に年越しを迎える日が迫っていた。
皆が驚くほど快活、其れはあの凄い女性から振り込まれた五千万円、
来る新しい年えの輝ける道として使うから、皆が驚きながら喜び気が晴れて
いるのだ。
 いつまでも続きそうだから、早々と宴会場から抜け出す亮太、
後の始末は碧ちゃんに頼んで出て来た。
 今年の冬は、空天気が続く中、珍しく空っ風に舞い踊って初雪とは言い
難い程、舞う粉雪を浴びながらタクシ-を拾い部屋にと戻った。
寝転んで、目を瞑ると、この一年間の忙しさと学生生活も加えると、
いろんな事が起こって来ていた。
 義母との事は明白に亮太が悪いが、其処を忍んで頑張ってくれた義母に
感謝の思いを募らせる。
明日は、勝負の日と決め東京に向かう無論、今後の為にも大事な上京に為る。
だから早目に部屋に戻り、考えや思う事をまとめたかった。
 翌朝、起きるとバスで新大阪に向かう、尼崎からはバスが早い、
其処で太田さんと待ち合わせして二人は新幹線に乗り込む、年の瀬が迫る中、
相変わらず車内は人が多い、既に里に戻られるのか荷物を多く抱えて乗車
されている。
 十時過ぎには東京に到着、直ぐにタクシ-で会社に向かう,
場所はメモを運転手に渡し、亮太と太田さんは手を握り合い頷いた。
 港区の高層ビルの中に入り、目当ての会社のフロア-でエレベ-タ-を
降りる、そして受付で名を名乗りロビ-で待つと、案内されるのか素晴らしい
女性に案内されてその会社の部屋にと入った。
 待つ事五分、応接室に三人の方が入って来られた。(えぇ~若いやないか)
座る前に名刺交換、其れから五人はコ-ヒ-を飲みながら歓談、
亮太に対しては驚きの声が上がる、其れ程相手は若くても二十五歳前後、
此方は未だ大学生、其処に驚かれていた。
 だが中身に入られるとテキパキとされそんな中、意外な事をお願いする。
「え、ではそちらは三千万円では無いと・・」
「そうです、エリヤを頂くのは其れで良いと思いますが、此れから伸びるから
その後のスペ-スを頂きたく願っているんです、一年もすればまた此処に
お願いにとなる筈ですから、先にと構えて来たんですが・・」
「なんと、ではそちら様のお考えは・・」
「はい、締めて五千万供託(保証金)として預けたいんです・・」
『なんと・・、聞いたかね、御見それ致しました、交渉が派手で凄いです、
ではこちらは異存御座いません、一年経過されると一度成果を見た上で手数料
など相談致しましょう。今後どんな事でも申し付けて下さい』
丁重な言い方で承諾を頂いた。
 以後、いろんな話を聞いた、本当に参考になる話ばかり、専門は太田さん
任せだから、其れからは横で聞いて居るだけ,最高で思い出深い時間が東京で
過ごせた。
昼食と誘われたが、「まだ学生で此れからです、今度本当に此れが良かったと
思えるまで、其処は棚上げして頂けませんか、僕等は大阪で頑張りますから」
丁寧にお断りして、退社する。
 ビルを出ると、太田さんと握手、忘れられ無い程きつく握られ、
頑張ろうやと言われる。
東京は初めてだ、見学したいがあの会社でさえ食事を断っている身、
其処は直ぐに駅に向かい新幹線に飛び乗った。車内で買って来た弁当を
二人は並んで食べた。
 思い出が満載の東京、意気揚々と大阪に戻ると会社では皆が立って迎えられ、
二人は大感動、本当に狭い部屋でも思いは熱い連中だった。
東京での話合いと成行きは太田さんが説明されている、碧ちゃんが泣きそうな
顔で、コ-ヒ-を持って来てくれた。
「お母さんに知らせてね・・」「勿論です、おめでとう御座います」
短い会話だが中身は人知れぬ中、無論碧ちゃんには手を付けて居ないが、
母と長女は亮太の餌食にされた身、其れでも何時でも心配して頂いて来た。
 会社も既に年越しの為、掃除は済んでいるし、正月明けまでは仕事が無い、
今年はボ-ナスは出ないが其れでも八人は良いと言ってくれた。
「来年はたんまりと頂きますわ・・」藤田先輩が笑いながら言われた。
 こうして何とか最初の年は超せそう、夕方一番早く会社を出る亮太、
大阪の空は珍しく星が数個輝いてキラキラとしていた。
 二十七日、里えの土産を買いに尼崎の駅前の商店街に向かう、
色々目移りがする中、義母と琴音は何が良いかと捜しまわる。
衣料店に入るが、何が良いのかさえ判らず、迷っていた。
 「あのう、お伺いしても良いでしょうか・・」
品物を選抜されるお客様に声を懸ける。
「え、何かしら・・」「振り向かれた姿に圧倒されつつ、亮太、義母と妹の
年を言いながら郷は田舎で派手は不味いし、かといって何が良いのか・・、
さっぱりわからないと告げた。
その言草が可笑しいのか笑われるが、亮太の真剣な顔に押され頭を下げられ、
「そう言われても私も困るわ・・」「じゃ、貴女が母にともし妹が要れば何
を買われます」「あ、其処ね今母の物を見ていましたし、じゃ背丈は・・」
「155以上かな小太りですが、そうは見えない程度です。妹は同じくらいの
背丈ですが、顔は今風の派手さと思います」
「判った、じゃ妹さんは私が求めるのと同じで良いわね、色は・・」
「お任せで・・、お母様には普段着が良いわね、じゃこっち・・」
反対側の通路に移動する。
 「これ如何かしら、今母にと決めた所よ」
「く~良いわ良いじゃ無いですか、此れはたまげるぞ、お願いします、
決めるけえ・・」「え、貴方訛り・・」「ハイド田舎です・・」
「ま~でも私と近いわ・・、田舎何処です・・」
「広島から奥の県境を超えると有ります」「あら~、じゃ八重の先ね・・」
「うひゃ~、そうなるんですけえ、驚いた貴女も・・」
「うふっ、そうや、出て四年かな、今回は帰ろうと決めているの・・」
「良いですね、是非そうして下さい、僕も今回は帰らないとと・・」
「お仕事は・・」「え、其処からは出てからじゃ拙いですか、此処は買物」
「ま~あ・・、やるわね,本当に田舎から出た年かな疑う・・」
「揉まれました、でも本当なんです」何と会話が出来ている、不思議だが、
結構話が弾んで来ていた。
 出て喫茶店に入ると中は暖かい、コ-ヒ-を頼みながら話は止まない、
其れ程同郷の好身か方言はお構いなしで出て来る。
その訛りを二人は大笑いした。
「で、何時帰られるん・・」「何時でも明日にでも、明後日でもと・・」
「ま~今聞いたらね、大雪だって・・」
「う~、じゃ郷は貴方の里より奥だから大変だ、じゃパ―カ-を買わんと
行けんけ・・」「え、無いの学生でしょう・・」
「そうですが、今ね会社を興して居るんです二股、だから外を出歩くから,
コ-トしかない、田舎に古いのが在る事は有るけど買わないと拙いですね」
「ええ~貴方面白い方ね、まだ名前聞いてないけど・・」
「ああ、そうや教えて居ませんね」「私は、小百合、古臭い名だから嫌い」
「じゃ僕は亮太です、良い名でしょう・・」「ま~嫌だ・・」笑われた。
 会社は何かも聞かれない、其れが良いと思える本当に話が弾んで行った。
「兄弟は・・」「血は繋がらないけど妹が一人いるんです・・」
「え、じゃお母さんは・・」「そうなんです義母です,でも父が昨年亡く
なってしまい、僕が頑張らないとと・・」「で、大学は何処‣・」
「あのう身元調査ですか・・」「違うけど何処かなと・・」
「じゃその話の続きは貴方が御帰りになる時じゃ拙いでしょうか・・」
「え、帰るって、貴方・・」「亮太です、僕は荷物が多くなったし車でと
考えているんです、でも大雪なら急いでタイヤ交換せんと・・」
「あらら忙しいわね、何時帰るの・・」「会わせます年内なんでしょう」
「そうだけど八重よ、貴方の里なら浜田道で大朝に降りたら良いだけじゃ
ないね」「ですから降りて戻ると八重に為るでしょう」
「ええ・・、でも無駄な道よ・・」「無駄でも良い時も有りますよ」
「貴方・・」ほとほと呆れられた顔をされた。
「うふっ、住まいは何処・・」大物・・」「ま~じゃ私は東よ・・」
「く~近くだ・・」何ととんでもない程何時の間にか古い友達に感じてた。
「笑えるね、じゃ明日帰るけど・・」「じゃ何処に伺えば良いかな・・」
「あのね、ああそうだ、最近出来たドラック・・」「あ、知っています」
「其処の駐車場でなら、電話番号は・・」「はい、只今・・」
携帯の番号を知らせた。
「私のは明日よ、今は駄目・・」「了解です・・」
そんな会話をして再び、亮太と共に衣料店にと入り、パ-カ-を買うが、
其処でお揃いの女性用も買うと、店を出ると手渡した。
 「え~要らない」「じゃ明日着て来て下さい、後は捨てても構わない、
明日同じ形のパ-カ-で里帰りは如何です、お願い聞いて下さい・・」
「・・、もう負けたわ、はいはい従いますね」
本当に後から爽やかさが湧き出て来る出会いだった。
 いつの間にか亮太は人に話しかける度胸が身に付いている、
金策で駆回り、銀行でも驚くほど通っている身、
自然と話が出来るように一年で馴れていた。

           つづく・・・・。