望情小説110弾《獅子身中の獣‹二重人格›・・27》

     【広がる峠上からの視界‹2話の一部のみの続き›・・】

平成八年六月末、苦労し続ける亮太に突然の雨と風、正しく亮太の行く末を
思わせるような嵐に為って来た。
だがだが、この雨は亮太が唯一幸運に恵まれだす嵐となる。
尼崎の商店街傍を通り過ぎようとした時、シャッタ-が閉まる店の軒下で
雨宿りされている女性が、ワゴン車のワイパ-が激しく動く中でも見えた。
少し車は走るが、急に止めて傘を渡そうと亮太が車から飛び出て行った。
だが、其れがきっかけで奥さんを芦屋の家にと送る事となる。
この出会いがなんと亮太に対して氏神様、いいや女神様にとなってしまう。
家に上らされ、夕食まで頂いている。
そのご主人と会話が弾む、殆どが亮太の学生ながら起こした会社の話・・。
 最高に美味しい夕食を頂いて、引留められるのを何とか振り切って戻る。
だがだが、その数日後、そのご主人が会社にひょっこりと顔を出された。
 其処から色々中身を話す亮太に対して、突然投資したいと言われ、
驚愕、然も友人とで五億という大金を提示されたのだ。
その夜は、挨拶をかねて、又あの芦屋の豪邸に向かう亮太、
其処で奥さんにお礼を言いながら、友に合えと名刺を頂いた。

 六月二十八日、今現在、その相手先の家に招かれて、午後三時過ぎに亮太
はなにがなんでも伺うと車を走らせて行く。
向かう先は千里ヶ丘・・、目当ての家は直ぐに判る、其れ程あの芦屋の家に
負けない風格がある日本家屋・・。
指定された時間よりやや早めだが、玄関に立った。
 大広間に通され、家の主だろう方が顔を出される。
直ぐに亮太が立って深々とお辞儀する。
 ただっ広い部屋で二人きり、其処に婆様がコ-ヒ-を出され、微笑まれた。
「話の中身に入るけど良いかね・・」「はい・・」
そこからまるで被告席の尋問もどきに緊張する亮太、直ぐに笑われ、
硬くならずに気楽にな・・、と助けて頂く。
其処から、仕事の説明をするが、相手はほとんど理解されている。
「そうやったね、でも君らは遅いぞ・・」「ですが、此れには機械が煩雑に
変化進んで来ているんです、全て追いかけると大変ですから、悩んでいます」
「そうじゃね、でも考えによっては付け込む余地は、まだまだ多くある事業
だと思えるが・・」「はい、事実そうです、ですから・・」
 その後は亮太が今会社で進めて居る事や、遣りたい事をなんとスラスラと
言えて来た。
「ほほう、じゃ既に十二程のユ-ザ-が集まっているんだ、凄いぞ・・」
その中身も其処で説明する。
 「なんとそういう仕組みか、良いぞじゃ媒体を造って其処にユ-ザ-
集めか・・、で金の動きは如何なっている、課金するだろうが・・」
「自分たちが起こしたゲ-ムは別、ユ-ザ-の課金は5パ-セント入ります」
「お金の受け渡しは・・」「クレジットですが・・」
「え・・、勿体無いぞ、君らはコイン造らんのか・・」「え、其れは・・」
「なんや・・」「したいけど、色々越さないといけない関門が有るんです。
必ず先にはしようと其れで地固めを急いでいます」「何時出来そうかね・・」
「一年後か二年かと・・」「遅いぞ、聞いたら既に大手二社は自前でコインを
発行していると聞いたが・・」「その通りです」「じゃ、君らもせんか・・」
「ええ、其れには条件が・・」そうなれるには資格と信用が必要と言った。
「作れ、わしらが後押しする、其処が先に作らんと、成績が良いユ-ザ-など
集まらんぞ、然もクレジットだけでは子供や、若者が・・、クレジットの
番号を渡る相手だぞ、信用も大事じゃないか・・」「はい・・」
「じゃ創ろうや、野田と話し合うから、君の会社でコインを起こすんだ・・、
そうすればユ-ザ-も集まる」「はい・・」本当に予期せぬ部門をつかれた。
 「其の信用は銀行の後押しが一番や其処は我々がする、コインで遊べる様に
システムは出来るのかね・・」
「既にそうなればとセキュリテイからソフトまでは出来ているんです」
「ようし、良いぞ、じゃ其処は私たちが補償金を請け負う」
「ええ、ではでは・・」「ああ、任せ、君らは中身を濃くしてな、ゲ-ムも
良いが、何かゲ-ム中でも育てるような物を造ったら良いかも・・、競争には、
何やスキルたるものが有ると聞くが,こんな年じゃ、僕も将棋か麻雀くらいは
暇な時間遣りたいが・・」そこで笑われた。
 美しい庭を眺められる部屋、亮太は大感激して興奮が収まらなかった。
「旦那様、お食事は如何なさいます・・」
「おう、其れはな、あいつと会食をと決めて居るんだ、知らせずに済まん・・」
「いいえ、そうでしたか、何時頃御仕度を・・」「三十分後にしてくれ・・」
「はい、お兄さん、コ-ヒ-は冷たい方が良いかね・・」
「お願いします、考えられない事に為りつつあるんですけえ、慌てて喉が・・」
「え、あんた、田舎何処・・」「え、ああ訛り出ましたね、興奮したら出るん
ですけえね・・」「うふっ、良いじゃないですか、其れがあんたの履歴書ね」
「おう、良い事言うが、そうか、郷は広島近辺かな・・」
「はい、其の山奥です」そんな会話も出来た。
 夕食は神戸と言われ、途中までは亮太の車に同乗された。
そこらへんは気さくな人と思える、ワゴン等普通は乗られていないと思える、
亮太には隠さずにその車で尼崎で駐車場に止める。
 そこからタクシ-で神戸タワ-傍の高層ビルの最上階にと二人は向かう。
店の入り口で慇懃に出迎えられ、亮太は従って歩いた。
 「おう~来ましたね・・」「往々、奥様は相変わらず美人ですな・・」
「うふっ、もっとお美しい女性を掴んで下さいよ・・」「言われますな」
そんな会話の相手は、芦屋のご夫婦・・。
 懐石料理を堪能しながら,無論大金を出す相手となる亮太に質問攻め、
苦笑いされる早苗奥様、如何も千里のご主人は奥様が居られないかと思う、
家でも顔を見て居ないし、此処に同伴もされていなかった。
 和やかな会食では有るが、亮太はおちおちと味を堪能できるほど余裕は
無い、仕事の関連する話が主、其れで緊張してる。
「さすがや、武藤さんは鋭いね、そうか課金か良いじゃないですか・・」
「媒体で賄えるんですよ、遣りましょう・・」
「それがな如何や此の媒体だけでは網羅出来かねる、いっそ其のPCと携帯
に今は無理だがやがて通用するようには為る、必ずな、だから先に総てが
使える程度にして置く方が良いと思うが・・」「え・・、では・・」
「これな考えれば、今知り合いが開発しているインタ-バンクに組込める
と思うが・・」「なんとでは全国に・・」
「今な完成寸前だ、コンビニで其の機械で球場や、映画、新幹線の切符等が
買える仕組みを造りつつある」「なんとなんと良いですな、じゃ其処何とか
話は・・」「あはっ、元は僕が入っている、君も参加せんか十億積むか・・」
「良いですね、じゃご相伴致したいですな・・」「・・、・・」
唖然騒然、亮太は開いた口が閉じれないほど驚いた。
 (この人たちは化け物か・・、何されて居るんだろう・・)
聞きたくても聞けないまま、恐ろしい程かけ離れた話をされていた。
毒気に晒されている亮太、今迄食べていた食事の味が一気に消えてしまう。
 二時間後、何とか食事が終わると亮太は其処で別れようと挨拶をする。
「え、君逃げるんかな、まだまだじゃ、な~野田君・・」
「ええ、梅雨の最中ですが、心は微風で心地良いからまだ帰れませんな・・」
「貴方、私は此れで後は殿方でどうぞ・・」「え、早苗さん・・」
「良いですのよ、じゃ貴方も世の中何もかもが勉強と体験ですからね・・、
このお二人は特別飛んでいるから大変ですけど、見ておく方が良いかもね」
「言われたが・・」早苗さんの旦那さんが大笑いされた。
 その後亮太は生まれて初めて歓楽街と言う別次元え足を踏入れる事となる。
クラブという名の店数軒はしごされる中、お供の青年が至る店で目立ち、
話の餌食になって行く。

                 つづく・・・・。