痛快小説《異端児※陽介・・16》

 加藤敏江38歳、義娘愛菜22歳、中津川に生まれた娘、父親は七年前
交通事故死、間が悪く強硬な運転仕事で居眠り運転している最中、
自己過失で電柱に衝突、其のまま現場で事故死となる。
其の後会社と揉めた挙句、夫が居眠り運転していたトラックは,
何とか会社で保険が在る中、会社の被害金だけを求められている。
自分の保険は契約違反に嵌り、一銭も来ては居ないと聞かされる。
其の後、義母は家から出ずに義理の娘の面倒を見てくれていたのだ。
パ-トでも毎日ホテルに通い、恵那峡と言う風光明媚なダム湖の畔に
観光ホテルが存在している、其処に通い働いて来たと聞いた。
 思えば不幸な家族だが、昭和の美人女優で名前こそ思い出せないが,
瀬戸内野球少年でいちやく美人で名優の名を持つ女優さん、後に惜しくも
白血病で亡くなられていると知るが、陽介はPCでその題名の名画を見て感動
した事を覚えていた。
其処を思い出させるほどの美人だった。
 その親子が舞い込んで来た、陽介はリビングでどんな話をしているのかが
気になる、あの美咲が金を渡した相手を連れて来ていたのだ。
 漸く食事を終え、リビングに陽介が行くと、直ぐに母親が立ち、キッチンで
洗い物をされる姿、唖然として見送る陽介、其れを見て美咲が笑う。
「何で可笑しんか・・」「え、陽介さんの眼は女性を追っている目やしな」
「・・」返答が出来ずにいる陽介を美咲が再度笑った。
「美咲ね、暫く里に戻るし、其れで此処をと頼んでいたんだがね」
「え、郷って・・」「うん、三重県の員弁やし近いけどな、こんなご時世だが
親孝行や、陽介さんの御陰で懐も温かいしね、感謝して居るんやがね」
「其処は遠慮ない金や、何時迄・・」「其処は判らんけどな、長くは無いと
思えるけど、その間あんたが心配や、それで今聞いたら受けてくれると返事が
来ているんだぎゃ・・」「受けるって何・・」「此処の世話や・・」
「ええ、何でまじか其れ・・」「嫌なら今断るけど・・」「・・」
陽介は返事が出来ない程驚かされていた。
 其処には思いもしなかったことを告げられて、陽介は本当に戸惑う姿に、
美咲がからかっていた。
「二人やし、ゲストとル-ㇺ使うよ・・」「良いけどマジか・・」
「嫌なら断るけど・・」「おい、嫌とは言って無い、でも良いのかなと・・」
「其処はお兄ちゃん、良いよ、内らは其れで大助かりや・・」
「助かるんか・・」「うん、家の何もかもが・・、例えば電気代や水道代も
ガスもや、全部停止するから・・、基本料が馬鹿に為らんし、大助かりや」
その言葉に呆れる陽介、又も美咲が大笑いする。
「着替えは・・」「此処に居てても良いんか・・」
「僕は良いけどお母さんは如何・・」「大助かりやと喜ぶ、コロナで滅茶苦茶
やしな・・」娘にそう返事された。
「愛菜、決まりやね、家に戻って戸締り」「はい、ママは置いておこうか・・」
「え・・、何で・・」「だってお兄ちゃんが寂しんと違うの・・」
「ええ~呆れた子ね、相変わらずだが・・」美咲が大笑いした。
その会話を聞いて陽介は安堵する、其れ程娘は快活な性分と見えたのだ。
 事の経緯を娘から聞く義母は直ぐに陽介に頭を下げられた。
其れで本決まりとなった。
 直に二人は挨拶をして部屋を出て行く・・。
「美咲・・」「なあに・・」「お前仕込んだのか・・」
「違うわ其処はお互い様や、向こうも助かる話やしな、こっちも大助かりや、
そうだろう、お兄ちゃんもやで・・」「おいおい、お前までお兄ちゃんかい」
「あの子の声に感動や、此れから美咲もお兄ちゃんと呼ぶね、ね、お兄ちゃん」
「こいつ、来い・・」「え・・」「早うこいや」美咲は直ぐに理解出来る。
 「お兄ちゃん・・」もう其処から部屋の様子が様変わりする。
瞬く間に美咲は陽介に抱かれて鼻声で荒い息をしながら縋り付いている。
夕方から部屋では既に汗を滲ませる凄い身体、掘り起こされた肉の喜びは美咲
自身が驚くほど応じて行く、此れが有るから生きれる、其れほど今は陽介命の
身なのだ。
喘ぐ姿も良く顔も全て陽介の喜ぶ中で現れる美咲の感度の良さ、
其処をとことん掘り下げて美しい肉体を味わう。
 三十分以上堪能した陽介は、浴室で互いの身体をシャワ-で汗を流すと、
抱いて部屋に戻った。
美咲は今は泣いている、其れ程の値打ちがこの男に有る、そう知っているから
泣きじゃくり縋りついていた。
 暫くすると、美咲は・・、「お兄ちゃん、帰るね、有難う・・」
「おい待てや、此れ持って行け・・」「何・・、えお金じゃない、要らない」
「良いからな、お母さんに何か買ってむかえや・・」「・・」
感動して手が震える中、美咲は飛び上がり抱き付くと熱いキスを陽介にした。
「良いから、親孝行やど・・」「・・」
返事の代わり泣き顔を陽介に見せると部屋を出て行った。
「ああ、遣られたな・・、美咲か・・」
何度も繰り返す名前に、今の陽介は美咲に魅入られていると知らされた。
 午後七時過ぎ、外は漸く薄暗くなってくる、今日売買した株を数字に表し、
一日の仕事を終える陽介、だが食事は無い、其処で仕方ないからビ‐ルでもと
キッチンに向かう、とその時ドアが開いた・・。
「え・・」と思う間に・・、「お兄ちゃん来た・・」
その声は愛菜の声、出迎え様と向かう廊下で出会った。
「荷物が多過ぎてな、助けて・・」「良いぞ、行く・・」
気軽に応じて陽介は2人でエレベ-タ-に乗り込む。
 一階では小型の軽の荷台に多くの荷物が積んで在る。
 「ま~見事なマンションやで、敏江此処で住むんかね・・」
「いいや、居候やで」「其れでもどえりゃ-が、あ、あんたが陽作さんか・・」
「ええ~おばちゃん酷いわ、其れこそどえりゃ-間違いだがね、陽介さんや」
「あらら、此れは済まんこって、田舎育ちやしな、敏江,良いなお前は・・」
「話は後やで、荷物運んでよ・・」「おう、任せや、運ぼう・・」
なんと運転されて来られたのか、見ると田舎のおばさんそのものだが、
ここ等では目新しい、陽介も動きも話し方もツボにはまり、終始笑顔で荷物
運びをする。
 瞬く間に運び込んで里のおばさんも部屋にどっかと座られていた。
 「あ、そうやお腹すきませんかおばさん・・」
「おばさんかね、名前有るんだけどな」「え、あ申訳ない、お名前は・・」
「請求したわ、私はこいつの後見人や、見てくれは悪いが化粧すると変われる、
真澄や良い名じゃろうがね」「はい、素敵なお名前です」
「じゃ、此れから真澄と呼んでくれんか・・」「はい、是非に・・」
本当に振り回されつつ、其れが嫌とは感じて居ない陽介、寿司でもと電話して
いる中でも真澄さんの会話が聞こえて心で大笑いする陽介だった。
 食事の手配が終わると・・、「愛菜ちゃん、汗を落として来んかね・・」
「え、ああ、そうや今日は汗まみれで体が・・」
「だから食事が来るまで身体をな・・」「は~い、ママ行こう・・」
引きつられて頭を下げながら娘に従われた。
 「あんた、良い事しんさったね・・」「えっ・・」
「だってそうだろうがね、あの親子は凄いわ、旦那が亡くなって其の後始末
を今もしているんやで・・」「後始末・・」
「そうや事故の後始末や、金や・・」「え未だにですか・・」
「そう、七年も前なのにな未だ返済やと聞いて居るけど・・」「・・」
黙って聞いて居る陽介が其処に居た。
 其処に風呂からあがってきた親子、その姿にも又また驚かされた。
見事な姿態が丸わかりの浴衣姿、慌てて陽介は目をそらした。
「な~今な話をしていたんだがね、お前の夫は居眠りと聞いて居るけど、
其れ事実かね・・」「そうとしかありえないと会社側が・・」
「そんで引き下がったんかね・・」
「仕方が無いし弱みや、居眠りしていたと思っているし・・」
「じゃ何か五百万は未だ払って来ているんか・・」「あと一年少しかな」
「毎月かどれ位や・・」「言うの此処で・・」「うん、幾らや・・」
「月払いで五万円、其れも既に六年間払って来ているし、あと一年と少し」
 「え、ではお聞きするけど、其の金額は法廷で決まった金額か・・」
「ええ、法廷って、其処は警察で書類で決まっていると聞いたけど・・」
「ええ、あり得ないぞ、其処詳しく聞かせて・・」
其処にお寿司の出前が来て、テ-ブルで食べながら陽介は聞いて居た。
 「じゃ会社は何処ですか・・」「中津川の会社です」
「じゃ地元ですね、トラックはどれ位あるんです・・」
「十五台かな、当時はそう聞いたけど・・」「今も会社有るんですよね」
「はい・・」其処迄聞けた。
 「陽介さん、何か・・」「おばさん、いいや真澄さん、此れぼったくりや、
調べたら判る事、相手の言いなりで今迄金を払って来た訳か、なんと相手も
相当な強者や・・」「陽介さん、事故起こしたんは間違いないから、其処は
あんまり言わんほうがええと思うけど・・」
「真澄さん、行けん事は駄目じゃ、まして仕事絡みでは尚更や・・」
「ええ、何でそう言い張れるんや、被害者は会社やで・・」
「其処はそうでも中身が違うと思える、話を聞いただけだけだけどな・・」
「え、敏江聞いたか・・」「ええ、でももう払い終えるし・・」
「待って、間違いで苦労して来たんなら其処は違うと思える、詳しく話して
下さい・・」「お兄ちゃん・・」「待って、其処は匂うぞ、事故は事故や、
でもな其処の中身を考えると会社側に損害金など払う必要が見えん、反対に
強行スケジュ-ルなら労災が降りる筈や、其処を追求せんと六年間苦労して
払い込んだ金は間違いかも」「陽介さん、あんた理解出来ているんかね・・」
「ええ、聞いただけだけどね、匂うわ・・」
「そうや、そういえばお父ちゃん何時も疲れるきついスケジュ-ルやしなと
ぼやいていたわ・・」「・・」愛菜が叫ぶように言った。
「じゃ、事故の現場の事を詳しく聞きたい・・」
「あんた聞いて如何するんね・・」「故人を悼みつける会社は好かんのや、
まかり通り弱者が、泣いて苦労して人生を過ごすなど以ての外や許せん」
「・・」聞く三人は唖然として陽介を見詰めた。
其の後は其処の話を切り終えると、美味しい寿司をつまんで食べた。
 夜中におばさんは帰られ、部屋には三人が居る。
「疲れたでしょう、今日は早く寝て下さい・・」
「いいえ、先程の話が聞きたい、貴方はどんな会社の社長ですの・・」
「あはっ、小さな会社です、社長だなんて呼ばないで下さい、其れより、
六年前の事故の話を聞きたいですね」「其処は大まかにしか分らんです、
でも当時一緒に働いていた人が、お葬式できついと話されているのを耳に
しているけど、其処は問題ないと思えた其のままです」
「では、当時の同僚は今は何処に・・」
「え、あの会社に居られるけど、今は管理に廻られていると聞いて居ます」
其処で名前を聞き出しメモをする陽介、その後、親子は部屋に行かれて
休まれていた。
 陽介はPCで検索し、弁護士の免許を持つ陽介には直に間違いと
決断してしまう。
 夜中まで部屋の灯りは消えない、隣の部屋は引っ越し疲れか、
明かりは灯っていなかった。

             つづく・・・・。












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