淫従小説≪ 女ののりしろー33 ≫

 其の夜、真澄に純が耳打ちをする。
「おば様、お話が在るけど此処では駄目、母を送るから真吾の家で待って
いて、おば様にだけは如何しても話しておきたいことが在るの・・」
「そ、そうかい、良いよ。良美さんに言って抜け出すよ」「お願いね・・」
その後小百合を乗せ純は実家に行くが其処で泊まらず、
兄には後で詳しく話すからと逃げる様に出る。
 そうして真吾の家に夜遅く来て、真澄が待つ部屋に入る。
「何・・」「此れから話す事は二人の秘密・・、守れる」
「馬鹿ね・・、真澄を如何思っているのよ。純が頼む事なら守れるわよ」
「嬉しい、流石ね・・、じゃ~話すからね、最後まで口は挟まず聞いてね」
「ウン、聞く」部屋は純と真澄だけ、話は始まり、真澄は何度も驚愕して
仰け反り・・、青い顔や赤い顔をしながら純の話を聞いている。
何度もこの世の事かと疑いながら自分が聞く話を頭で解釈しようと勤めるが、
純の思いには着いて行けない中味だった。
 三十分聞いて真澄は純を見詰て声も出ない・・。
「聞いたでしょう・・、如何・・」「如何ってお前・・、本気か・・」
「うん、考えたあげくよ、私は決めてる、だって純だけはお母さんと
呼びたいの・・」「マ~お前・・、正気か・・」「正気よ・・」
「マ~怖い子ね・・」「ウフッ・・、おば様を見ているからね・・」
「おば様か未だ・・」「今はね・・」
「もう~憎たらしい子ね、真澄を泣かせてからに・・」「出来るの・・」
「お前が言うなら鬼でも蛇にでも為れるわ・・」
「マ~嬉しい、じゃ~決行出来るわね」「何とか計らうが本当に良いのか・・」
「良いわ、真弓も、真吾も、真吾は腰を抜かすほど驚いたがね、真弓が賛成
すると呆れた顔で俺も良いぞと言ってくれたわ・・」
「マ~本当かい。此れが上手く行けば・・」「うん、総て幸せに成れるわ」
「マ~呆れた子ね、アンタは・・」「ウフッ、おば様早くしてよ・・」
「そうだね、お母さんと呼ばれたいしね・・。実家は如何する・・」
「泣き落とすわ、兄は私が可愛いから・・」「マ~計算してからに・・」
頭を小突いて真澄は涙を浮かべる。
「今日は此処で泊まるわ、あんたと打ち合わせしないと大変・・」
「そうね、良いわ、寝ようね」真澄も悪だが純は飛び抜けて悪だと思い、
最高だと叫びたいほど嬉しかった。
 何を話したのか・・、それから真澄は晩くまで純と並んで寝て話は切れない、
朝近くまでいろんな事を話していた。
丸で泣き笑いそのものの顔をして真澄は純を抱いて最後は泣いて居た。
 七月七日、早朝・・、真澄は小百合を上手い事言って誘い出し車に乗せて
走っている。
「ネネ~何処に行くのね・・、家に何も言って居ないし・・」
「アア~其れは純が総て任せてと・・」「マ~純が絡んでいるの・・」
「そうよ・・、もうあの子はうちの子と同じだから・・」「ええ~真澄さん・・」
「そうよ、はなしませんよ絶対・・、私の後を継いで貰う子ですからね・・」
「だって離婚したし・・」「そうね・・、確かに・・」
「ネ~何が在るのこの前から気に成って・・」「良いわ、総て其れが見える」
「マ~怖いわ」美しい顔と体、育ちが良いから同じ姿でも中味が違う女性、
真澄も其れは認めている。
何処に出しても目立つ綺麗な女性だし、何せ可愛い上におしとやか・・、
真澄には絶対無い部分を小百合は持っている。
女でも惚れるほど大和なでしこで気品溢れる小百合だった。
 車は小百合の心配する顔を乗せて直走る。
「何処、もう宝塚を越えたわよ・・、何処に行くのだけ教えてよ・・」
「そうね・・、私と地獄よ」「ヒエ~地獄って地獄なのう~」
「そう・・、地獄・・」「マ~何処・・、嫌よ、恐ろしい所は・・」
「フフッ・・、もう向かっているわ」「ま~真澄さん正気なの・・」
真っ赤なベンツは軽快なエンジン音を残して走る。
中国道を直走り、山崎から日本海に抜ける高速に入りまだ走っている。
小百合は流石に少し疲れたのか助手席で居眠りをし、
車に身を任せて揺れながら寝てしまう。
 二時間半後、小百合は起きると悲鳴を挙げる。
「マ~何処何処何処よう~此処・・」
「フフッ・・、起きた・・、少し休もうか・・」「・・・」
何もいえない・・、山の中で家も見えないところを走っている。
(嘘だ~本当に地獄に・・行くの・・)
体を震えさせながら小百合は真澄の顔を覗く。
「あと少しで休めるわ・・」「アア~あれ・・、あの高い山・・」
「見える・・、大山よ、ほうき富士とも言うけど・・」
「ギャッ・・、と、と、鳥取・・」「正解・・」
「正解じゃないわよ、どうしてこんなに遠くに来たの・・」
「良いから、休むわよ。此処の牛乳は特別に美味しいわ・・」
サ-ビスエリヤに入り、其処で二人は牛乳を飲むが小百合は穏やかでは無い、
此れからまだ走ると聞いて、若しかして温泉津かと聞くが真澄は答えて
くれない、小百合はオドオドしながら又車に載せられるが今度は眠らず前を
見ていた。
 米子を通る頃は既に昼過ぎ、小百合は話もせずに何処に向かうのかと
標識を見て考えている。
(そうか、温泉津なのね、其処なら良いわ)そう思うと気が少し楽に為る。
「ネネ~会えるね・・、多恵さんと・・」「・・」

「何よ黙って、私会いたいわ、一度だけど在って良い人だなと思うし・・、
温泉津を見たいし、ま~良いか騙されて連れ出されたけど今は良いわ・・」
「・・」「何よ、黙ってないでお話して・お願い・・」
「聞いているわよ、楽しくね・・」「マ~イケズね・・」
漸く小百合が笑ってくれた、真澄も笑い返す。
「後どれ位走るの・・」「そうね二時間は無い」
「ええ~そんなに近いの、温泉津・・」
「温泉津ならこんな道走らないわ・・高速ばかりで速いわよ」
「ええ~温泉津では無いの・・嘘・・、何処・・ね~」
「また始まったわね・・。着いたら判るからね・・」
「いやだ~何処困る、着替えも無い」「全部トランクには入っているわよ」
「ま~・・」何とも年に似合わず可愛い会話だ、
真澄はからかい半分で楽しい会話をしていた。
 「ま~綺麗何なんて言う海」「此れは中海、海では無いわ。もう少し走ると
宍道湖・・」「ヒヤ~そうなの初めて見る・・、綺麗・・」
小百合ははしゃいで外見ている。
「此れが宍道湖よ・・」「マ~そうなの・・、じゃ~出雲大社も近くね・・」
「うん・・、帰るとき参ろうか・・」「良いわお願い・・」「良いわよ」
「素敵・・、着て良かった・・。初めてよ」「ウフッ、地獄は初めてだね」
「ま~又脅してからに・・」いやはや可愛すぎて呆れる、この年で此れだけ
可愛ければ男は泣いて喜ぶないや困るかな、真澄は小百合を見てそう思った。
 「ェ・ええ~曲がった・・、何処に行くの・・」
「煩いわね・・、運転出来ないわよ・・」

「ごめんなさい・・、でも知りたい・・」
「良いわホラ・・、其処に看板が見えるでしょう・・」
「エ・エエ~玉造・・温泉・・ヒヤ~じゃ~温泉・・ねね~そうでしょう・・」
「そうよ・・」「ヒエ~温泉・・、ま~真っ赤な橋が見える」
「其処を渡るよ・・」「ウン・・」
車は其の赤い欄干の橋を渡ると日本造りの豪壮な旅館の玄関だった。
二人は長い時間車に乗り背伸びして外に出ると慇懃に仲居さんに迎えられ、
署名して離れに案内された。
「綺麗、小川のせせらぎが聞こえるわ・マ~露天風呂、ま~お部屋が・・」
真澄は苦笑いして疲れた体に冷たいお茶を流し込んだ。
「さて・・、大風呂に行こうか・・」「そう・・、行きたい・・」
二人は浴衣に着替えて部屋を出る。
 そうして夕方蝉の鳴くのを聞きながら小百合はテラスに腰掛け、
何時までも外を眺めている。
(パパ、思い出すわね、貴方と行った伊豆・・、懐かしいわ、貴方・・)
漸く太陽が沈む頃、居間に食事が運ばれて来る。
「ェ・ええ~何々、座布団が三枚ある・・、ねね~真澄さん他に誰か・・、
アア~多恵さんね・・」「煩いわね・・、座れば・・」「は~い・・」
「全く・・もう四十過ぎだろうが・・」呆れ顔で小百合を見る真澄だった。
 「お連れ様が見えられました」仲居さんが言うと真澄は通してねと言う。
「ェ・ェ・ェギャッ、え~浩二・さん・ね・・」「はい、お久振りです・・」
「マ~真澄さん浩二さんなの・・」「そうよ・・」「だって多恵さんかと・・」
「勝手に貴方が思ったのよ・・」「マ~如何しましょう・・」
「良いわ浩二、お風呂は入りなさい・・、私達先に始めるわね・・」「はい・・」
浴衣を持って部屋を出る。
「真澄さんいけないわ、男よ」「そうよ見たら判るわ・・」「マ~困る・・」
「何が・・」「だって、温泉よ此処・・」「そうよ・・、早く食べよう」「・・」
急に小百合は態度が変わる、今までのはしゃいだ姿と大違い、俯いてビ-ルを
飲むが落ち着かない様子だった。
「何で浩二さんが来るの・・」
「馬鹿ね・・、言って置くけど総て純が仕込んだ旅行」
「げええ~嘘・・」「何が嘘よ・・、本当よ。此れから内の家に入る男」
「ヒエエエ~聞いて居ない・・」「だから今言った・・」
「嘘でしょう・・、なんで浩二さんが貴女の家に入る訳・・」
「もう疎いわね・・。内の子に為るの・・」
「マ~聞いて居ないし嘘でしょうが、真吾が居るわよ」「其れは其れ・・」
「なんで・よ・・」「判らないのか・・、純だよ」「ェ~娘が何・・」
「うちの子に為る」「為る・・、どうして・・」「養子にする」
「ゲッ・・、嘘嘘聞いていないからね・・」「今言った・・」
「だって可笑しいわよ、離婚したばかりよ。其れが養子なんで・・」
「浩二と結婚させる」「ウウウウソダアアア~・・」
「総て純が考え仕込んだ事。私も聞いて最初は驚いたわ、腰を抜かしたわ・・、
真弓を連れて来たのも其の理由が在ったんだって、用意周到だわ全く・・」
「で・・、浩二さん良いと言われたの・・」
「ウウン、其れはまだ知らないし、今回の旅は二人で口説く役目が在るんだ」
「嘘~大変、純がそう言ったの」「そう死ぬほど好きだからお願いとね・・」
「マ~如何するのよ・・。私とっても駄目・・」
「良いから成り行きだよ・・、もう戻るから普通にしてよね・・」
「・・、もう・・、酷い・・、如何するのよ。養子、できないわよ・・」
「其れは純が貴女に話すからと其処は真澄も出来ないからね・・」
「もう~嫌や・・」拗ねてしまう・・。
此れからどんな展開に成るのか流石に真澄でも判らなかったが
純に言われた行程は判っていた。

             つづく・・・・。






















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