望情小説110弾《獅子身中の獣‹二重人格›・・9》

       【 世間に押し出された獣 】
 尼崎の阪神電鉄駅から十五分の所に東大物という町が在る、
晴子は探した部屋がその名前の土地と知ると大笑いする。
「亮太、大物やで・・」「変な名じゃね」互いが大笑いして、
細長いマンションの二階に部屋を借りる事にする。
 翌日から三日間、晴子は生活用品を買いに駆けまわる中、亮太は電車に
乗り込んで散策、大学に通う道を調べて歩いてみる、其々が今後の為にと
動いていた。
 愈々別れる日が迫る前の晩、部屋では抱合う事が儘為らぬ、
壁は厚いか薄いかさえ判らないから、又も外で夕食を済ませラブホ探し、
見つけてその夜はあのおぞましい抱き合いが行われた。
散々善がらされた後、晴子は泣いて亮太にしがみ付き、負けるな頑張れ
晴子は里で大人しくまっていると言いながら、又も大汗を滲ませていた。
 母がとうとう帰ってしまう、新大阪駅は尼崎から近い送ると駅を出て、
帰りは歩るけるまで歩こうとて行こうと決めて、歩き出す。
地図では相当近くに感じるが結構遠い、其れでも見学かてらに歩き通して
部屋に戻れた。
高価な携帯電話を買い与えてくれてる、其れで電話すると義母が出て、
其処で折り返しかけると言われるが、お金は同じ財布じゃと大笑いした。
長い電話が亮太を安堵させ、その代わりプレッシャ-も懸って来る。
 そんな会話を終えるといよいよ此れから本当に独り暮らし、
気が付く義母が,簡単な料理本を買ってくれている、
其れを見て作りなさいと、本を手に取ると義母が浮かんで来る。
 四月、入学式は義母は来ない,既に郷は忙しい季節に為る頃、呼ばないで
独りで大学の校門を潜る。
 「もう止めてくれ~、恥ずかしいじゃないか、もうおふくろ勘弁してよ、
大丈夫だからさ・・」そんな声が聞こえた。
「え、何や、変か・・」立ち止まっていた亮太を見つけ、
「え、そうでも無いけど良いなと聞いて居るんだ・・」
「何が良いんか、俺の身に為ってみろや、もう直ぐ十九ゃないか、そんでも
付いて来るんじゃぞ」「良いじゃないか、君も其の御腹の中で育てもろうて
いるじゃないか・・」「ええ、あんた、何処の学部や・・」「経済・・」
「良いな、俺は嫌々電子工学や・・」「え、良いぞ其処はこれからの世界が
覗けるが・・」「え、君は名前は・・」
「おう、もうされるな、よしんばそこを尋ねなさるならそなたが先に名乗る
べきじゃないかね・・」「うひゃ~、何やおもろいが、なんと時代劇か・・、
ようし任せ、拙者は聞いて驚くな、後藤伸介と申す、そなたは・・」
「我は田舎出の芋侍じゃ、今後とも宜しくな・・」
「ひや~聞いた、おふくろ、おもろい遣っちゃで・・」
「済みません、此の子寂しがり屋で付いて来て怒られています」
「いいや、心では大感謝されていますよ、もう入学式も最後と思えるし、記念
ですよね」「ええ、そんな事で、貴方は・・」
「僕は田舎ですから、今は母も忙しい季節になるから呼んでいません」
そんな会話をする亮太だった。
 式を終えると、真っ先に義母に電話し、遂に晴れて大学生と為れたと思った。
 四月の半ば、なんとなく大学生活も慣れて来た頃、キャンパス内の長椅子に
座っていると・・、「ああ~居たぞ、ななおもろい奴がいるが・・」
「ああ、そなたは・・」「おう、また会いましたな、奇遇とは此れですかな」
「ええ、後藤君なによ・・、その会話」「あはっ、会った時の約束事なんや、
おもろい遣ろ・・」「うふっツ、吃驚したやんか、もう驚かさないでね、
今日は・・」爽やかな顔をして長い髪がそよ風に揺られる中挨拶をされる。
「どや、再会を期してお茶せんか・・」「良いね、行こう」
誰も知り合いは未だ出来ていない時有難かった。
 粋な喫茶店で座り、自己紹介を相手の女性にする。
「ま~、亮太君なの良い名ね、私は佐伯碧、伸介君とは同じ高校を出たの、
二人が合格したのよ」そう言われた。
聞くと、家から通う距離、其処は羨ましいが、独り身も良いかと思い始めて
いる時に聞かされる。
「なな、俺はプログラマ-に興味が在ってな,其処のクラブに入ろうかと
悩んでいる、君は・・」「僕は未だ、何も分らんから後でと・・」
「何でや、判らんから早く部活に入るんだよ」
「そうなるんか、じゃ僕は携帯に興味が在るけど、何処の部が良いんか・・、
判らんが・・」「じゃじゃPCクラブが良いわよ」「え、何ですか其処・・」
「聞いた話だけど、なんか携帯やPCで何か起こそうと考えているグル-プと
聞いて居るけど・・」「え、有るのそんなのが・・」
「有るわ、小さな部屋だけど見た事在る、校舎裏の建物に沢山部が存在して
居るから其処行くと見つかる」
「そう、有るんだ、じゃ明日にでも見てみる」
「何で、そんな事に興味が在るなら、経済学部は違うだろう」
「だよな、取敢えず受けたんだ・・」「ええ、じゃあんたは競争率が高い学部
を取敢えず選んだというの・・」「そうなりますね・・」
「驚いたぞ、そんな男が居るんだ、てっきり目的があってかと思ったやないか」
「在りそうで無さそうじゃね・・」「何や~またや、敵わんな・・」
三人が大笑いする。 
 だが、その相手と長い付合いになる、其処は後だが今はその部を見つけて
訪問をする。
大歓迎をされる中、なんと部活は少人数だった。
二年生後藤智樹、江田紘一、二年生、今休部している人が二人いると聞く。
でも、直ぐに知り合い、いいや友達になれる程懐が広い連中だった、
話は総て携帯とPCの話しだけで、色気もしゃしゃりけも其処は存在して居ない、
部屋はうす暗く、古いなんて代物じゃない、勝手に看板を挙げて部を名乗り、
居つくだけと大笑いされる。
其れで機械という代物は皆無、卓上で計画を練り描くだけで問答が出来る,
簡単そうに見えるが専門用語が飛び交う,其処にしばらく居て、
気が変になりそうだから外に飛び出た.
 「あら~、待ち伏せ成功よ、ねね言った通りでしょう・・」
「あ、この間は有りがとう御座いました」「え、何よ碧・・」
「あ、其処ね、喫茶店で奢っただけ安いし、お礼はせんといてね恥ずかしい
やない」「いいえ、其処はケジメですけえ・・」
「けえ、って、あんた何処から出てきたん・・」「はい、ド田舎の猿です」
「ま~聞いた自分から言うてはる~・・」三人が大笑いされた。
「ねね、今度は食事如四人で・・」「え、ご勘弁を恥ずかしいし、食事作法
がまるで駄目、箸だけは器用に使えるけど,おこがましい場所は逃げる」
「ま~先手戦法ね、負けませんからね・・」
にこやかに笑われる中、嫌だと言い張るが連れられて校門を出てしまう。
 いやはや危惧するほどの相手では無いと見えた。
会話が飛び交う中、皆が明るい顔、其れでしなやかさは壊れていなかった。
(なんと都会育ちって此れか~、見事だが・・)助かったのは焼肉パ-テイ、
其れなら任せと従い店に入る、其処は食べ放題と聞かされ仕組みが判らず、
碧さんに聞いた。
だがそれが大問題に発展し、独り占めは駄目と女性三人が大騒ぎ。
溜まらず亮太が割込んで入りお願い、「其処は揉めんといて、僕はそんな
値打ちなどありゃ~せんけえ・・」「ええ、今何とありゃ~せんけえ・・、
なの・・、く~良いわ大好きその言い方惚れるが~~」
其処で大笑いが起り、亮太は遂に焼き肉を仇と思うほど食べ続けた。
 ビールを豪快に飲まれる中、亮太だけはビ‐ルを飲んでいない、
他の三人は二十歳は超えて居られるかも知らないが、女性は既に二十歳過ぎ
の顔つきと化粧、其処は男と大違いだった。
 そんなこんなで、なんと寂しい時期に懸るが、どっこい亮太にはその単語
が今は見当たらないし、探しても居ない、都会を満喫するようになってくる。
 五月に入るが、流は変化なし、有るのは二度も伸介と会い、楽しい時間を
過ごすことが出来ている事と、部ではもう本当の仲間に馴れた状態・・、
そんな中で気に為るあの碧さんとはその後二度合っているが、
其処は変わりない食事や、コ-ヒ-を飲んで話をするだけだった。
 そんな日々の中、部活は大騒ぎ、何事かと亮太も行くが・・、
「お、きたな大変だぞ、これ見て・・」雑誌のペ-ジを指で刺されていた。
「ええ・・、何で何で出来るんか・・」「あのな、携帯だからさ・・」
「だって、電波飛ばして会話するだけと、今はメ-ルも出来る器具が出来て
いるだけ・・」「そうなるんだが、もう世界は先を覗いているんだ・・、
やがてメ-ルも日本では出来ると聞いて居るし、此れは急がんと乗り遅れる
ぞ~、会議だ、ええいめんどくさい、エレクト部を呼んで来い~江坂・・」
「おうし任せ行く・・」「おい、遅れたが、日本はなにしているんだ・・、
此れじゃ手遅れだろうが、大手は手をこまねいてまた輸入か何で出来んのや
もう頭が割れそうじゃが・・」後藤さんが大きな声で叫ばれる。
其処に二人の学生が部屋に来られる。
 驚く話を聞かされた、其れは携帯で今後できる事を並べられているが、
其れが何で出来るのかさえ知らない亮太が居る。

          つづく・・・・。


























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