望情小説110弾《獅子身中の獣‹二重人格›・・10》

 いやはや、亮太はとんでもない木偶の棒だと嫌ほど知らされた。
田舎出で何も知らずに猛勉強をしただけ、しかもそれは過去十年間の問題集
を幾つもの大学からの出題を頭に叩き込んだだけ、其れが現実大学に入ると、
何も知らないと頭を殴られる程衝撃を受ける。
其れ程素人だって事やと歯を食いしばって悔やんだ。
 「亮太さん・・」「ああ碧ちゃん・・」
こうも会うともう相手ににらまれる蛙如き、其処は観念して、コ-ヒ-を
付き会う。「そうね、じゃ詳しくは判らないんだ・・」
「そうなんだ、悔しくて・・」「じゃ一度兄に合う・・」「え、何で・・」
「兄は大手の研究員よ、内緒は話せないと思うけど、大まかには話してくれ
そうよ、会社の極秘は駄目だけど世界を跨ぐ女性なら聞けそうよ」
「え、ではお兄さんは・・」「うふっ、実は姉よ」「ええ、何で・・」
「言わないでよ、姉がそんな会社に居る事言いたくない、男勝りなんよ」
そう言われる。
 だが、関係する会社なら話が聞けそうと思う、亮太は会いたいと咄嗟に
口に出す。
「良いわ、聞いて見るね・・」「碧さん御免な・・」
「ううん、力には為れないかもしれないけど、姉なら話してくれそうよ」
其処で携帯で話をされる。
 「良いわ、夜なら家に来てと・・」「凄いぞ聞けるんだ・・」
「中身は知らないけど,興味が在る人とだけ使えたわ・・」
感謝する、其処で何と碧さんの住む家にと向かう事に為った。
 だがだが、生涯途轍もない事を耳にする。
既に日本は世界に先んじて、その部類の研究は進んで来ていると恐ろしい事
を聞かされる。
「では日本でも・・」「ううん、そうじゃ無くてね、日本は今までどんな事
にも先を見据え、基礎研究に政府も力を入れてくれているの、だから世間は
知らないけど、その基礎研究には莫大な資金投入と、人間を育てて来ている、
だからどこにでも製品は精密に為れば成程、中身には日本の部品や基礎機械
が備わっているわ,何処何処の会社は如何かと並べればきりが無い程世界を
網羅してる、知らないだけ、だって織物会社や薬品会社や、果はセメント
から家造りの会社や調味料の会社まで、専門を決めて深堀して研究し・・、
本来の仕事の他なのに先を見て手を出してくれているの、特許を取り其れが
日本の財産なのよ、だから今回の携帯でも既に基礎の部品の多くは日本製、
其れが次から次と成長するから、世界は其れに振り回されている。
今後は其処に中国が割り込んで来る、絶対にそうなるから、日本は既に製品
から手を引いて、その製品の部品を発明からも進歩させ続けて来ているわ、
でもやがて其処も中国が掌握するでしょうけど、既に其処からまた違う世界
に此れから宇宙も其の戦場に為る、日本は其処を睨んで進んでいるのよ。
もうやがて通信衛星が打ち上げられる筈,其処もほとんど独自の開発で
ロケット製造も大手が始めているし、其処はやがて打ち上げられる」
「何でロケットが要るの・・」「其処はね、今はアメリカの通信衛星を
借りているの、其処を中継点で電波が出る、無論ややこしい暗号で飛ばして
いるのよ、其れがみんなの携帯の通話に変化するのよ」
「なんと、知らなかった、てっきり海底ケ-ブルかと思い込んでいたが、
知らない事とは言え、日本が其処を頑張っているとも知らなかった」
正直そう思っていた。
「だから、色々よ、其れで聞いたけど、研究したいの・・」
「え、今は其処まで考えられないけど幾らか参加して見たいんだ」
「え、PCなの携帯なの・・」「どっちでも其処すら決めていないけど、
僕等でも何か入り込める余地は無いかと探して居るんだ・・」
「聞いたけど仲間がいるそうね・・」
「僕は新参者だけど、話を聞いて居ると途中で訳が分からなくなるんだ、
自分に失望しています」「ま、其処は仕方が無いわよ、今までそこに
のめり込んでいた訳じゃ無いし、此れからよ・・」
「でも割り込むほど柔な部分じゃ無いと思える、悲しいかな、何をすれば
良いのかさえつかまれて居ないのです」
「正直な人ね、碧が推薦するだけは有るわ」「御免なさい、素人が来て」
「嫌だ、そんな言い方嫌ですからね、自信を持っててね・・」
そう言われるが、今は本当にそうだった。
 家で聞いて居るが、家にはいると碧さんの姿が見えない、
部屋は最初からお姉さんと二人きりだった。
 「お姉ちゃん、食事で来たヨ・・」「有難う、行きましょうか・・」
「ええ、僕はそんな積りじゃ無いし、迷惑かけるから帰ります、勉強に
為り、一度専門書を読んでから、疑問を聞きに来て良いでしょうか・・」
「良いけど、今夜は食事しませんか、用意しているみたいだしね碧・・」
「何よ、帰るなんて、酷くない」「え、でも迷惑かけるし・・」
「亮太君、あんたね、もう迷惑かけてんのよ、食事あんたの分残すの誰が
食べるんよね、ねね・・」「あ、そうなるんか、仕舞った、先に言えば
よかったんだ。御免なさい謝ります、気転が利かない田舎の子供です、
許しちゃんさいや・・」大事な場面では訛りが出てしまう亮太が頭を
下げて謝った。
 「ええ、あんた、なんと真面目な男やね・・」
「え、ああ・・、お母さんでしょうかお邪魔しています」
「いいから、遠慮は無いやね、あんたが気にいっているんよ,ささ食事
してから考えようかね・・」「ええ、食事してから・・」
「あ、そうか、食事を断っていたんかね、笑えるが其処は如何でも良いが、
値打なぞ無い私らも田舎もんゃ、私らも五十年前まではここ等は皆田んぼ
ゃったんや、其れがお金に化けて変わっただけじゃないね、元を質せば
同じ部類じゃ無いかね,遠慮なしで食べんか・・」
「お母さん、感激ですけえ・・」
「ええ、幾らでも食事の後で感激しててよね」大笑いされた。
 「どうぞ・・」「え、御主人が来られるまで待ちます・・」
膳の前に座ると亮太が主人が居ないからと待った。
「ええ、あんた、待てるかね・・」「ええ、失礼に為りますから待ちます」
「そうか、じゃ私らで始めようか待てんがねあんな奴・・」
「そうやね、待てん、お姉ちゃん・・」
「そっか待ちきれんのが正解ね、本当に待てんお父ちゃんだったね・・」
「え、だった・・、ですか・・」「そうや、だったで区切れるやんか」
「何でです、お出かけでしょうか・・」
「ええ、二年前からお出かけに為られたよな碧・・」
「ああそうや、其れでコンクリ-トの台の上で寝かされ、果は火が燃える
だろう穴に入り、其処から戻られていませんけど・・」
「あ、あああ~~またやらかしたぞ、もう何度も済みません・‣、
許しちゃんさいや、この通り・・」
頭を床に擦り付ける姿に、家族の女性達は大笑いされた。
 だけどその姿は、此処の主の母親には強烈に印象を植え付けてしまう。
「明日は朝からかね碧・・」「ううん昼からで良いわ、講義聞きたいのは
昼からやね・・」「亮太さんは如何・・」
「え、僕は午前も午後も暇ですから、大きな本屋に向かいたいけど碧さん、
何処がええかいのう・・」「ああ、紀伊国屋がええかいと思うがな・・」
「ええ~お前呆れるが、可愛そうじゃないか亮太君が泣くぞ・・」
「お母さん、すでに此処で滅茶苦茶になりそうで、心では大きな涙溢して
居ます」「往々、そうじゃろうな、此処は女地獄の家じゃが、お父ちゃん
もこき使われてな早死しんさった、この言い方で良いかな‣・」
「訛りは真似せんでくれんさいや、音が高低差が在り聞きずらいけええね」
「はいはい、相済みませんね,では紀伊国屋にいきんさるんかね」
「上手い、そうや行けたらな・・、もうお母さん笑えるけえ・・」
又また大爆笑、堅そうな姉もお腹を抱えて大笑いされていた。
 酒を飲み始められだす中、「美沙や、何か亮太に仕事作らんか・・」
「え、何言っているんね、亮太さんは学生じゃ無いね、無理や・・」
「何でじゃ、だって学生デモ起業家は居るやないか、テレビで見たぞ、
なんか仕事作れや、私が資金出すぞ・・」
「ええ~何でや、お母ちゃんぼけたんか・・」
「ああ大呆けや、この方に呆けたぞ」「ええ、じゃじゃ亮太君にか・・」
「そうや、とんでもなく気は良くて、そんでな母のハ-トを鷲掴みされた
のや、此処は男に恵まれて居らんやないか、其れでお前から聞いたら
すでに両親が亡くなり、今は義母とその母親の娘だけと言ったよな・・」
「うん、そうやでもなんでなん、意味が判らんがね」
「家は男日照りやないか、お前も姉もろくに男を捕まえんと勉強し腐って
ばかりじゃ、妙子は生きてても面ろうないんや、ここ等で何か異変を
起こそうやないか・・」「それでも投資とは豪儀な事・・」
「出来んと思うんかね・・」「ううん、お母ちゃんなら出来そうだけど、
何で亮太君か聞きたいし・・」「お前は嫌いなんか・・」
「え、其処は・・、よう判らんけど・・」「けどなんや・・」
「だから判らんのや其処は・・」
「お前な逃げるぞ、この男謝る事が上手いし、逃げた後、悔やんでも遅い」
「お母ちゃん、何で今夜は変やないか・・」
「変にも為りたいが、二人して男を横に置きっぱなしで勉強か呆れるが、
お前等は子供を産んで何ぼのもんじゃ無いかね」
「ひや~蔑視言葉吐いた~・・」碧さんが大袈裟に驚かれた。
 だけど本当に家の中は健康な笑い声が絶えない、其れ程仲が良い証拠、
亮太は漸く大阪に出て、気を抜いて笑えることが出来ていた。
 その後引留められる中、何度もお礼を言いつつ家を出て、駅に向かう。

           つづく・・・・。


















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