異淫小説102弾《獣を潜ませ生きる・・24》

翔太と冴香は谷の唯一の宿に向かう。
「今日は・・」翔太が玄関口で声を出す。
暫くすると女性が現れる。
「あのう・・」「宿を求められてこられましたか・・」「はい」
「あいにく今日は休業にしているんです、本当に御免なさい」
「いえ、宿泊ではないです、落合の光江さんから聞いてきました」
「落合・・、え・ああ~先輩」「先輩ですか」
「はい、バレ-の大先輩ですが、じゃ何かで来られましたの」
「そうなりますが」「失礼をしました、では上がって下さいね」
なんとか其処までは行けた。
ロビ-と言っても広くはないが、湯治客用は良いかもと思える雰囲気がある。
女性は奥に行かれる中、「お兄ちゃん」「うん、何とか会えたな」
「・・」二人は縁側から見える景色に絆されていた。
「休みですから、何もなくて、コ-ヒ-を今出しますからね」
「お構いなく、座って頂けませんか」
翔太が言うが、女性は一人なのか奥に向かわれた。
「お兄ちゃん、焦らないで」「判ってる」遣取りの後コ-ヒ-が運ばれる。
頂きますと二人はコ-ヒ-を飲む。
「あのう何か御話でも」「はい、勝手に押しかけてきました」「それで」
なんかやつれた顔つきだけど素は綺麗な顔立ちと思える。
「実は光江さんから昨日話を聞いて、横にいる女性は光江さんの姪なんです」
「そうでしたか、光江さんは学校の先輩です、卒業されてからもちょくちょく
指導を受けて居ました」「そうですかお年が離れているし如何かなと」
「七つ下ですの」そう言われる。
「話は単刀直入にしませんか」「はい、何でしょう」
「実はこの宿についてですが、此れから如何なさいますか、誠にぶしつけで
申し訳ないが、気に為って来ているんです」
「それは有難うございます、中身は先輩からですの」「はい」
「じゃ、隠す必要は無いようね、もう疲れました、その一言が総てですの」
「・、そうですか」「あのう、冴香と申します、宿は継続されるんですよね」
「・・」「其処を最初にお聞きしたいんだけど」
「・・、其処はどうなるか今は確かな事は言えないの」
「では続けるか辞めるかですよね」「どちらかに為りそうですけど」「
そうですか・・」そこまで冴香が話を進める。
コ-ヒ-を持って縁側の椅子に腰を下ろす翔太、、ロ-ビ-では冴香とこの宿
の主が何か話を続けている中、翔太は縁側から眺められる景色に魅入る。
 暫くすると冴香が翔太を呼ぶ。
「何・・」「あのね、娘さん、今警察だって」「うん」
「其処で何か動きが有ったと」「何・・」
「それが如何も相手の里」「倉敷だろう」「それが生まれは違うのよ」
「何処・・」島根県だって」「え、隣だな、でそこの何処」「邑南町」
「・・、何邑南町、其処の何処」「其処までは知らないけど、女将さん」
「田所だそうよ」「た、田所って其処の何処」
「ま~それ以上は未だ聞いていない、其処に立寄ったと聞いたと知らせが」
そう言われる。
翔太が驚くのは仕方がない、日本広いと言えどまさかまさか、翔太の里近くで
生まれた相手だと耳にする。
「実は僕も邑南生まれなんです、高校までは其処に、田所とは車でニ十分程度
離れているけど、里の叔母がその地域から来ています」「ま~そうですの」
里美は驚きの顔をする。
「其処は娘が戻り詳しく聞きましょう」そう言われる。
暫く心を絆されるようにと翔太だけが縁側から庭に出て少し下がった場所に
流れる川を眺めている。(そうか、俺の里から来たんだ)
持ち逃げした相手の女性の事を聞かされると、翔太は遣る瀬無い気持ちが湧く。
暫くすると冴香の声で部屋に戻る。
 「色々話して頂いた」「うん」「それね、もう娘さんと此処を出ようと」
「決められていたんだ」「そうみたい」会話の中相手の女将は俯かれている。
「良い里だけど、人が住んでいない分、自然に戻る速さが違いますね」
「そうなんです、此処は五年前から娘と二人きり、色々有った里でも今は
この様ですのよ」「でも此処で踏ん張れたじゃないですか」
その言葉は虚しく翔太に戻る、其れほどやつれた顔が中身を証明する。
「中身を聞いても良いですか」「・・」「貴方は娘さんと同意見でしょうか」
「意見」「はい出る事についてです」「其処は、娘と話すと仕方ないかなと」
「そうなりますよね、ご自身は本音は如何です」
「其処を聞かれても所詮流れは」「変わりませんか」小さく頷かれる。
「大変ぶしつけですが、大事な事です、、貯え総て持ち逃げされたんですよね」
「・・、其処は少し違いますけど、預金と現金はそうなりますけど、多少の
定期預金は残っています」「そうですか、じゃ生活は少しは出来るんですよね」
「知れているからでも生活はそうなります」聞いて翔太は正直な人と認めた。
「娘さんお帰りは何時頃に為ります」「夕方までにはと思いますけど」
「待たせて頂いて良いですか」「如何して其処まで」
「光江さんに頼まれているし、僕自身気に為るんです」「他人でしょう」
「そうなりますけど、本当なんです」「冴香もそうよ」
そう聞いた相手の顔が曇り、今でも泣きそうな顔をされる。
しべりたくない部分を掘り下げ過ぎたと今後悔をする。
「御免なさいね、本当にずけずけと聞いて」「・・」
「僕は聞いた以上貴方たちの行く末を来る前以上に気に為ってきました」
「でも其処は他人ですし、私たち親子は自分に降りかかった事は何とか」
「ですよね、この先は娘さんを待ってていいですよね」「・・」
返事は無いが小さく頷かれる。
「冴香、光江さんに連絡しんさい、気に為られているぞ」
「そうね、電話する」今度は冴香が庭に出て電話をした。
 暫くすると、冴香が顔を青ざめ飛び込んで来る。
「お・お兄ちゃん大変」「なんだ如何した」
「叔母ちゃんが警察に駆け込んでいる」「ええ~何で、あこの件でか」
「そう、叔母ちゃん先走りしんさるから」「で、先は早く・・」
「うん、向こうで娘さんと会えたと」「ええ~真か」
光江さんの行動も翔太が及びつかない程先を飛ばれていると感心する。
「それでね、此れから如何したら良いかと」「え、何で」
「だって、此処にていくと、其れともお前たちが戻るかと」「意味が」
「其処よ、このまま親子じゃ決断がと」
「・・、成程な其れもそうだ、良いぞこっちは戻れるし待てるが」
「聞いてみるね」また庭に出た。
「あのう、先輩が警察にですか」
「そうみたい、向こうで娘さんと会われているそうですよ」
そう聞いたら里美は床に顔を叩きつけるように落とし泣き叫ぶ、
此れこそ心の慟哭、背中を撫でながら翔太はなすすべはなかった。

                 つづく・・・・。





















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