異淫小説102弾《獣を潜ませ生きる・・56》

 二月十二日、翔太と沙織は漸く里にと戻って来た。
群馬で四日間滞在し、本当に何も知らなかった部分が少し垣間見れて来た。
何とか其れを里でと思い向かったが、見学する度に本腰を入れて行かないと
思い知らされる。
 一方沙織さんと旅をする中で其処は手応えより、益々素晴らしい女性だと
知る事になっていた。
 終えてから足を延ばして、初めての鬼怒川温泉、其処で二日滞在するが、
何とも言えない程最高、湯もだが、其処に同行された沙織さん。
本当になんといえば良いのか例えようが無い程素晴らしい女性、
長野と群馬を見学した後、沙織さんも少しはその気に為られたのか、
動画を何度も見直して見学した場所を懐かしく思うのか、それとも何か有るのか、
夕食を食べ終えた後でも釘付け、其れを見る翔太は苦笑いするだけだった。
其処でも翔太は異変を感じる、なんと翔太らしさが其処には無いと思えた。
永い間一緒に旅しているが、其処で何も二人の関係は起こらない、
本当に起こっていなかった。
帰り道で大阪の樟葉に寄るが、其れは小百合さんも感じている。
一番は、娘の玲奈、母に何も起こらなかったことが直ぐに判る、
翔太さんに縋身付いていただろうと想像していたが、其処は無いと思える。
恵も、其処は薄々と知る、なぜと思うが此ればかりは二人の関係の中の事、
知りたいが如何しても其処には話しが向かない、樟葉の家では沙織さんが
撮って来た動画を食い入るように見ているだけ、
話も今回向かった先の出来事だけなのだ。
三者三様の思いだが、皆何事も二人の間で怒っていない事は見えていたのだ。
 里に到着すると、早くも幸子が来て其処を一番気にする、此処での仕事関係
で見学に行った事は判るが、幸子は男女の関係がどうなったかを知りたくて、
帰りを待って居たのだった。
 だが、その事を確かめる間でも無い、男女で何か起これば態度が変わる筈、
其処を見極めるが何もないと思い知る。
「戯けじゃが、もう翔太・・」独り言を言いながら幸子は諦めと、
これから先の事を思うと遣る瀬無い思いがこみ上げる。
しかし、里で帰りを待つ翔太の仲間は其処は考えていないから、戻ると集り、
沙織が撮って来た動画を真剣に見ている。
その間、何時もの宴会支度、幸子と沙織が台所,居間では翔太を捕まえ質問
攻め、其処には里の若者の気が変化して居る事に翔太は驚かされた。
本が届くと、なんと毎晩この家に夜集り読書会、そうして疑問な事を聞合い、
メモを取っていたと知らされた。
だから動画で見る事に感動や驚きや、そうして何とかなりそうと思いつつ、
皆は宴会などそっちのけで何度も動画を見直していた。
 夜遅く宴会が始まる、其処でも群馬の事が話題だった。
「じゃ、此処から三人行ってくれんか」「三人か、何で一人余るじゃないか」
「え・・」「そうだろう、誰かひとり残されるぞ、其れは不公平じゃろう、
此れからの事だ、其れは行けんけ、翔太何とかこの四人を・・」
「成程な、そうか、じゃじゃ四人で行けるんか」
「おうよ、今は暇じゃが、絶対皆で行きたいぞ」正之が叫ぶ。
「沙織さん、如何しようか、先方には三人と言ったが」
「其処は電話すれば何とかなると思うけど・・」
「じゃ悪いが電話してくれんか」「良いわ、いまするのね」
沙織は電話をし滞在のお礼を言い本題に入る。
 その電話が長いから皆心配して静か、電話が終わり、沙織が皆の所に戻る。
「あのね、頼んでいた家は一人だけにしてと、意味は翔太さんがご存知だと
いんさる。そんでね、後三人は知り合いの家にと言いんさる。其処は今から
頼むけど心配ない任せてと」「え、では頼んでいた家一人か・・」
「翔太さんならご存知といんさったがね」
「・・、ああ~そうか其処か、あはっ、なんと美咲さん感がえんさったな、
良いぞ其れなら嫌われているんじゃないし、なら電話しんさい其れで頼むと」
「すぐに折り返しある、待とう」沙織さんがそう言う。
「おい、なんか都合が悪いんか・・」正之が聞いた。
「待ちんさい、電話が有ると僕が変わり聞いてみるけ~、僕が思う事が
当たっているなら良いけど」「何じゃ・・」
「まてや、後じゃ飲もう」外は粉雪が舞い落ちて来た。
 一時間後、座は宴会の真っ最中、其処に電話が来た、最初に沙織が出て
聞いていたが、直ぐに翔太を手招き、向かうと電話を交代する。
沙織が居間に戻り頷いた、其れを見て皆は少し安堵する。
 暫くして、翔太が居間に戻る、すると皆が動きを止め翔太を見た。
「如何・・」「みんな引受先が決まったぞ」「え、そうかじゃ行けるんか」
「ああ、皆行けるが、でも遊びじゃ無いぞ」「期間は・・」
「所長に任せている、半月以上は頑張りんさい、アソコは良いぞ」
「本当か・・」雅満が声を出した。
「それでみんな習う部門は決めたのか・・」「え、未だだが・・」
「おいおい、其処が肝心じゃろうが、酒など飲んでいる暇が無いぞ、
今動画見たろうが習う事は多い、部署を決めて向かえ」
「え、じゃ」「子供じゃ無いんだ、自分がしたい部署は何処か見たろうが、
向かって何処でも習うと言うような不細工な事はしんさんなや」「・・」
「では正之は何が其処で習いたい」「うん、見るとキノコの育成がしたい」
「じゃ雅満は・・」「培養じゃ」「澄人は・・」「俺は野田先生がしたい
といんさった、菌床が習いたい」「良いぞ、じゃ浩二は・・」
「何が残ったんか、習うこと未だ有るんか・・」「有る・・」
「何・・」「お前は建築科だったな」「そうだが・・」
「じゃ設備総てじゃ、建物も含むぞ、其処は大変だぞ」
「ええ、じゃ俺は設備担当か」「そうなるが出来るか・・」
「・・、任せ、頑張る」其れで皆とりあえず分担は決まりそうだ。

            つづく・・・・。