望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・8》

 縁側で爽やかな風が程度良く吹き抜ける中、母親と話が続いている。
「考えるに、娘は偉い良い事を経験した、其れも総てあんたの御陰だがね」
「「それ違うと思うけど、其れに応じて頂いた真奈美さんが素敵だから」
「じゃ、聞くが何でアソコの娘を抱いて居ないんだ・・」
「事情が有ります、その方は友の元カノでして・・」
「未だ付き合って居るとは聞かんが、良い子だぞ」
「ええ、知っていますけど・・」「じゃなんでだが、聞かせてくれんかね、
今後の為に」「え・・」「実はのう、娘もそうだが、ここ等じゃ其処が良
いと言う男が居ないんじゃが、其れで済めば良いが、人には言えんが満足
していない女が居るんだ」「・・」
「そいつらは、このままこんな谷で死ぬかと思うと、切ないがね」
「人生其々ですよ」「そうだがな、如何考えても其処を知らずに上に昇る
と考えれば如何・・」「ええ・・」
「実はな、そんな話をしていた事が有る、婦人会の寄合いでのう、そん時
そんな話が出た酒が言わせたか知らんが、不満たらたらじゃっただぎゃ」
「・・」「それで、内はどれ位、内はこん位、小さいや普通や話が弾んだ、
結果皆が口をそろえる事は持続じゃ、ここ等じゃ五分が山だとさ聞いたか」
「え、ハイ・・」「だからじゃ、それ以上まで登れるなら頂上は如何か、
景色は如何なのかと煩いがや、其れでな私が言った、定めじゃ、ここ等で
そんな理想の持続やでかい代物を持つ男が居ないだけだろう、諦めろとな」
「・・」「それでも、未だ話を辞めない連中がいたんだ、そいつらは夫を
強くしたいと寄合いで事も有ろうか、指で大きさや持続をどう伸ばすこと
が出来るとかな、笑えるけど其れほど味わいが薄いと嘆き、浮気も良いか
と大笑いする。でも捌け口に為ろうがね、都会とは違い、出会いなぞ無い、
何処を見ても歩いても知合いだらけ、そんな集落じゃ地獄で潜んで生きる
みたいだとさ・・」「・・」
「考えさせられたが、でもな其れでも生きて行かないと為らん、やがて
其処の部分も諦めと年を重ねると消えて行くだが、そう思いつつも無念
じゃね、此処で亡くなる事を諦めと定めに覆いかぶせ生きているよ」
 「話は変わりますけど、泊めて頂くに多少の金をと思い此れ渡します。
少ないけど受け取って・・」「駄目駄目、要らんが、何でそんな金・・」
「実は聞いて頂けますか・・」「何・・」
そこから経緯を話し始める。
 「ええ、なんとのう、其処かあんた考えたね、そうか少ないか多いか
の境目が一万五千円かね、ここ等じゃ高い、一万円が相場かなでも泊まる
酔狂な御仁は居ないけどね」笑われる。
『じゃ何か、食事は粗末でも構わないか・・』
「え、如何にでもと思えます、肝心は金を渡す事、そう言われました」
「言われた・・のかね」「横浜に住まれる方から指南を受けたんです」
「なんと、そうか、じゃ其処は既に証明されているんかね・・」
「豪傑が居るとお聞きした、その方はわずかな金で日本を廻ったと・・」
「あはっ、半分嘘でも凄いね、高々そんな金で・・」
「いいえ、其れは鼻薬、先は成り行きで話し合いでと聞いて居ます」
「其れなら理解出来るが、良いわソコ、金でとは最初から言えんがね、
良いぞ其れは良いがあんた、此れからそうしてみるだが・・」
「そう考えているんです」「く~、マン旅かね、こいつ・・」
縁側で腹を抱えて大笑いされる。
「娘もやがて戻る、楽しくなりそうじゃがね、あんたよう来てくれた」
肩を叩かれ台所に向かわれる。
 日が落ちて来る、山裾から幕が上がる様に次第に暗く為り出し、
其の幕が山の上を目指して駆け上がる、本当に言葉に尽くせぬ、
春爛漫の舞台は暗幕に覆われ出した。
まだほの赤い色が山頂を覆い里も色変わりしていくらか赤く見えた。
 そんな景色に見惚れていると、庭に軽が滑り込んで来た。
澄人は見逃さない、この家の娘、妖魔の妹が仕事から帰ってこられた。
「あら、今晩は、やっぱり来てくれたんね」「え・・」
「お姉ちゃんがもう煩くてな、何度も仕事場でスマホが鳴るから・・」
そう言われて家に上がられた。
 「・・、・・」唖然として話の中身は頭に入らない、其れほど予想して
いた以上、あの妖魔の妹は正しく妖艶な女性、飛びつきたくなるほど総て
が適うような気がする、意味不明だがそう言うしか言い方を知らない澄人、
脚から頭まで理想タイプ、其れで胸は張出し、腰は細目、顔もこじんまり
として、其は母親と妖魔似だった。
「お母さん、用意してたん・・」「あ、なんもないだがでも旅館じゃない
だぎゃ・・」「そう思って、仕事場で拵えて来たが・・」
「おう~助かるぞ、流石じゃね、じゃこれどうする・・」
「其処は夜なべでも食べられるし、明日でも良いじゃないね」
「だな、流石じゃ、そうしよう」
 そんな会話を漏れ聞くが、、仲が良さそうに思える。
(く~、なんじゃ在の姿凄いぞ、嘘だろう、こんな場所に生きているのか、
凄い凄過ぎるが・・)何度も頷きながら澄人は手に力が入りまくる。
 夕食は最高に美味しい、聞くと娘は郡上八幡で学食の会社に勤務、
栄養士で免許を持っていると聞かされた。
上手い筈だ、感激しながら母とワインを酌交わし、話が弾んで行った。
外は既に蛙の大合唱、向かいの山裾には脈の様に消えたり灯る源氏蛍が
舞い踊っている。
最高な雰囲気は独り占めしたくなるほど綺麗だった。
 「お姉ちゃんね生き方変えると・・」「ええ、如何変える・・」
「うふっ、この人の所為、生きてて良かったとお前もそうなるぞと・・」
「あらら、惚気だぎゃ」「そうじゃ無いみたい、今回で目が覚めたと、
名前も元に戻そうかと言われたがね」
「あはっ、名前なんぞ使い分けすれば良い事、あいつは相当減込んだな」
「其れほどの値打ちがあると聞かされたけど・・」
「そうか、其れをお前にと寄越したんだな・・」
「でも、佳恵はお姉ちゃんほどじゃ無いし困る」「何でだ・・」
「だって、期待に添えるか・・」
「教えて頂けば良いじゃないか、最初からは無理だろうが、往くにも遠慮
があろうしね」「嫌だ~お母さん其処までゆうかね」
大笑いされる顔がまたまた最高、澄人は親子の話を聞きながらワインに
酔いしれて行った。 
「あんた、ワインは風呂の後がええけ」「あ、そうでしたね、汗が・・」
「佳恵、後片づけと夜食・・」「うん、了解」
「あんた、案内する、風呂は古いぞ」
笑われながら言われ、澄人は従って付いて行く。

             つづく・・・・。



























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