望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・17》

 舞ちゃんがハンバ-グを食べたいとせがまれ、レストランにと入る。
三人で食事をするが、何か気まずさが漂う、相手に理由があるせいか、
重苦しい空気の中で、舞ちゃんだけが楽しそうにしてくれる。
横で世話する澄人は今は舞オンリ-、母親にはあまり話を向けずに、
専ら舞と話をしながら食べる。
 「美味しかった、有難うお兄ちゃん」「え、お兄ちゃんでええんか・・」
「うん、そうや・・」「え、言葉・・」「おかしんか・・」
「ううん、ここ等じゃないね・・」「そうやねん、大阪やった・・」
「・・」其れで少しは中身が垣間見れた。
 「あのう、嫌な事言わなくても良いけど・・、何で此処に・・」「・・」
言いたくないのか、食後のコ-ヒ-を飲まれる。
それ以上は深堀出来なかった。
「有難う御座いました」「いえ、食事位は、楽しくなかったですか・・」
「済みません・・」謝られるから話を其処で途切れる。
「これからどちらに・・、車でなら送りますけど・・」「え・・」
「良いね、お兄ちゃん乗せて」「良いよ、お母さんに頼んでご覧・・」
「ねね、聞いた・・」「行けません、お礼を言って別れましょう」
「ええ、嫌や・・」「無理言わないの・・」
「だって、何処に行くん、いくとこあれへんやんか大阪に戻れるんか・・」
「舞・・」「そうじゃ無い、金沢で其処でおじちゃんに何か言われてから
お母ちゃん、変・・」四歳の子に言われて、困惑する顔が見れる。
「じゃ、とりあえず車にねね、お母さん・・」「でも・・」
「良いじゃ在りませんか、駅までなら良いから」そこで少し頷かれた。
舞を車に乗せると、後ろの席に母を乗せた。
「何処か行きたい所無いの・・」「何が有るん知らんもん・・」
「そうか、じゃ金沢は如何・・」「駄目やんか出て来たもん」「え・・」
「じゃ・・」「あのう、駅のコインロッカ-に荷物が・・」
「あ、ハイ判りました向かいます」「済みません・・」
とりあえず駅にと向かい、ロッカ-から大きな荷物と半分くらいの大きさ
のトランクを出して、話もせずに車に乗せた。
相手は何も言われなかった、荷物を見ればおおよそ見当がついたのだ。
「じゃ、イルカショウ-でも見ようか・・」「え、イルカお魚のでっかい
奴なん・・」「そう、飛ぶよ」「え、嘘やん、見たい見たいねね何処や」
「うん、西に向かうと有ると思う・・」「思う、お兄ちゃん・・」
「ええや、行けば判るさナビが有る」「ナビ・・」何とこませな舞だった。
 母には聞かず勝手に車を国道八号線を西にと向かう。
旅に出る前、イルカの事は知っている、行けば見たいと思っていたのだ。
「あのう、其れってどちらなのです」「なんか能登半島の入り口に有ると」
「何処かしら・・」「其処は和倉温泉だと書いてありましたが・・」
「・・」返事は戻らいが、駄目とは言われなかった。
 向かうまでの時間、澄人は話をするが母親は話しに入っては来られない、
其れでも一時間半で何とか和倉温泉の街に入ることが出来た。
車を駐車場に入れて、三人はショウ-が見れる会場にと進む。
最高に喜ぶ舞、本当に無邪気そのものだった。イルカが水面方飛上がると
凄い凄いと手を叩き楽しむ姿、結構其処は来て良かったと安堵する。
 一時間楽しむと、もう四時過ぎ、澄人は喫茶店で母親話しをした。
「これからの事も聞きたいし、僕に出来る事なら言って下さい・・」
「え・・、何で層までしてくれるのです、可笑しいですよ」
「ええ、其処は可愛い舞ちゃんが居るからですが駄目ですか・・」
「駄目じゃ無いけど」「じゃお聞きしますけど、どちらに向かわれます」
「え、其処は」「言えないんでしょうか・・」「貴方に言う必要が無い」
「ですよね、でも聞きたいと迫れば如何します」「ええ、貴方・・」
「ねね、向かうにしても、話だけでも聞かせてくれませんか・・」
「何で其処まで・・」「僕は家族を一年前に亡くした、しかも交通事故、
弟が結婚を決めて、挨拶にと先方に向かう途中、父と母も同行、
東名高速の清水前でトラックに挟まれて」「ま~何と、そうでしたか」
「だから、今は天涯孤独、癒すために旅に出て来たんです」
「そうでしたか、知らないから・・、私、最近男恐怖症なんです・・」
「そうでしたか、じゃ無理も無いですね、僕は危険じゃ無いし・・」
「男は総言ううのよ」「あ、当たりかな・・」「ま~・・」睨まれる。
 漸く顔がまともに見れた、本当に綺麗、芸能人の誰かに似ているけど、
名前が浮かんで来ない、其処方面は疎い澄人なのだ。
「では、話を聞かせて頂けますよね」「聞いて如何なる事でも無いけど」
「話の中身によると思うけど・・」「貴方・・」
今度は少し眉を寄せられていた。
「御免なさい、舞ちゃん、どこかに行こうか・・」「ええ、暗くなるよ」
「あ、そうか、じゃホテルか温泉かどっちが良い・・」
「温泉、行った事無いもん、熱いんでしょう・・」
「あ、熱いぞ、でも我慢すれば快適に為れる」「嘘や~、熱いから無理」
本当に会話をするのが楽しい相手に為る舞だった。
「お母さん、今日一日だけ、舞ちゃんと居たいけど駄目ですか・・」
「え・・」「ねね、お母ちゃんお願い、ね~・・」
「これ無理でしょうが行けないし・・」「え、何で・・」
「贅沢は出来ません・・」「ええ~・・、聞いたお兄ちゃん・・」
「ああ、其処は無理じゃないとゆうだぎゃ・・」「え、何・・」
「あ、御免、温泉は任せてとお兄ちゃんが言うたとお母さんにね」
「あ、そうね、聞いた・・」「聞きました、でも無理、ビジネスホテルで
我慢しなさい・・」「ええ~・・」そう決まる。
 だが其処で引き下がらない澄人、何かこの親子は何か有ると睨んでいる
からだ、このまま別れると後で後悔するかもと思えた。
「じゃ、ビジネスは明日にでも、今夜は和倉に来ているし、温泉でも」
「貴方・・」「待って、聞いて来るね」
澄人は一人で会計をする店員に何か聞いて居る。
「お母ちゃん・・」「あんたね、無理は出来んのよ」
「うん、だからお兄ちゃんが任せと」「其処も駄目でしょうが」「だよね」
 「聞いてくれるって・・」「え・・」「まとう・・」「・・」
残りのコ-ヒ-を飲み干す。
 「あのう、大きな旅館は今日は満室だそうですけど・・」
「え、そうなの・・」「でも友達がいる宿は有るそうですけど・・」
「え、何処・・」この先の崖の上に有る良い旅館ですよ」
「何と良いね、頼んでくれる」「はい・・」
「聞かれました、有るそうです、とりあえずねね舞ちゃんの為にも・・」
返事は戻らないがそう決めた。
 また車で走り和倉温泉でも有名な加賀谷の手前の道を登る、
その道があの崖の上の温泉宿に通じると聞かされていたのだ。
直ぐに見えて、最高な場所、玄関も古風な和風造り、
多少「だよね」舞ちゃんの年齢では似合わないが、落ち着けそうな宿だ。
キャンセルが出て一部屋あると言われ、最高な部屋に通される。
角部屋で湖に面したテラスが良いし、部屋も最高に良いと感激する澄人。
舞ちゃんも喜んでくれていた。

                つづく・・・・。




























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