望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・52》

 九月二十三日、熱川と伊豆下田の中間地白浜の屋敷に澄人は滞在している。
既に、名古屋の高蔵寺のおじさん達二人は、昨日帰られていた。
本当に豪快な二人、此処で出会ってからの驚きは生涯忘れる事は無い、
其れほど卓越された遊び人、其処は既に玲華さんから何もかも聞いて居る
からだが、矢張澄人が予想してた通り、二人の家は、昭和の大発展の中、
高蔵寺は一大開発、其処に住んでいた、おじさん達の家は、とんでもない
当時の金額で、土地が公社から入っていたのだ。
其れをいち早く、おじさん二人は会社設立、マンション経営に乗り出され
然も其処が、また呆れる程幸運なのか、手掛けていた、場所が、高蔵寺より
名古屋に近い、桜町、交通の便利が良いと知り、其処に集中的にマンション
を建てられている。
 だがだが、なんと其処も、公社の目に適い、開発をドンドンされ出す。
しかもモノレ-ルまでもが作られて昭和から、平成に跨いで住宅が出来る。
呆れる程最高に幸運な家族なのだ。
 そんな話も寝床で玲華さんから聞いて居る、本当に貪欲な二人だった。
二日に一度参加される菜摘さん、此処は天国と地獄の境目かと思うほど、
肉を躍らせていがり泣く姿、でも澄人は嫌じゃ無い、其れほど玲華さんに
神髄している証拠、弟の御陰で繋がる二人、其処に菜摘さんと美佳さんが
加わるから、帰りたくないのも理解出来る。
 だが、そうも言っておれない、心は焦るほどざわついている、
名古屋の事が気懸りだった。
「あんた、名古屋に戻るのも良いよ」「玲華さん・・」
「ほとんど聞かせてもろうたし、今度は玲華が出向くね」「え・・」
「そうじゃ無いね、飛騨も、名古屋の店を探すも手伝う・・」
「玲華さん・・」「同じ船に乗っているのよ、向かう先は同じじゃないね」
「店は・・」「既に娘に委譲した、美佳さんも居るしね」そう言われる。
本当に得体がしれない凄い人、だが傍に居ると教えられる相手、
澄人は恵まれていると今更感じていた。
 九月二十六日、漸く名古屋に帰ることが出来た、玲華さんは少し仕事の
整理が有ると言われ、後日来られることになっていた。
澄人はお土産を持参して、桜通りの証券会社に出向く。
歓迎された、特に支店長が満面笑顔で迎えて頂く。
担当の尚美さんも笑顔、其処は既に色々と父親から聞いて居られるのか、
伊豆での事は聞いて来られないが、出会ってから、今は急に距離が狭まる
相手、然もお父さんが伊豆で逗留されているからか兄弟の様にさえ思えた。
 無論、仕事が終わる、午後三時過ぎには会う約束をされ、
一度澄人は名古屋の栄にと脚を伸ばす。
 駅前とはまるで違う、既に今迄名古屋一番の繁華街は落ち着いて、
盛りを誇る建物や人の歩き、ここ等は既に完成された、
場所に為っていると今更知る。
 二時間を費やすると、約束に時間、澄人は待合わせの場所にと向かった。
既に相手は待たれているし、二度目のデ-トはすんなりと動き出す。
「お父さんは・・」「うふっ、其処よね、もう大変、あんたの話しばかり」
「えっ・・」「続きが有るの、恥ずかしいのか、何時でも会話はあんたの
話しからは始まるのよ、其れで義雄おじさん・・」
「あ、其れだ、如何なっているの・・」「え、どうなっているとは・・」
「・・、ああ~仕舞った」慌てて口を押える澄人を見逃さずに睨まれる。
 いやはや、とんでもないデ-トに為りそう、失言が尾を引いて、
会ってから一時間近くに為るが、未だ喫茶店でヒア汗をかいて話をさせられ
ている澄人が居た。
 「な~、頼むから内緒にしてよ、そうじゃ無いともう会えないぞ・・」
「え、其処に行くん・・」「そうでもしないと男だぞ、べらべら喋ったと
思われる・・」「なあんだ、そんな事ね、良いわよ、内緒でしょう、でで、
ねね、其の芸者さんどんな人・・」「ええ・・」
もう逃げられないと覚悟する、相手は執拗に其処を攻め込んで来る、
仕方が無いのでええ加減に話をするが、許してはくれない、
尚美さんは強かな女性と嫌程知らされた。
 苦痛の時間を何とかやり過ごすと、今度は食事、今日は部屋でと言われ、
買い物をされる姿にも呆れる。
何でか、尚美さんとでは既に主導権は相手側に有ると知る。
 部屋でも鼻歌交じりでキッチンで動かれる、澄人はPCを眺めて計画図の
続きをするしかなかった。
食事の用意をされる姿も悪くは無い、最高な女性が自分の部屋で動かれて
いるのだからだ。
「ね~、お風呂どうぞ・・」「え・・」「支度で来ているし、入れば・・」
「・・」呆れるほど反対は出来ない我が身、部屋でも同じなのだ。
「では・・」「どうぞ・・」どっちが部屋の主かと疑うほど、今は反転,
苦笑いしながら風呂にと向かう。
 風呂から上がると、早めの夕食、二人はまるで何時も通りと思えるような
姿、初めてなのにどうしてかそんな雰囲気、澄人は不思議な人だと感心する。
 「ねね、此れから、尚美はあんたの歩く身をを付いて行くね・・」
「ええ・・」「だって楽しそうじゃないね、お父さんが、あんたの話をする
時顔が違うのよ、母も其処は感じているみたいだし・・」「・・」
「それでね、飛騨に向かいそうよ」「ええ、まじ・・」
「そう、昨夜、義雄おじさんと其処を相談されている」「・・」
声が出なくなった、呆れるより驚いているのだ。
「じゃ何時や・・」「其処は今度は貴方に初めに相談と聞いて居るけど」
「・・」食べる動きが止まる澄人。
「それでね、何時が良いかと・・」「未だ早いと思うよ、アソコは稲刈が」
「え、未だなの、九月末よ・・」「あ、そうかじゃ落ち着く頃だね・・」
そんな会話をするが、飛騨の事は荒してほしくは無いと思った。
「見るだけなら良いけど」「え・・」「だって田舎だぞ、驚かれるがね」
「え、あんた、まさか、いやだ~、其処は別よ」「え、其処って・・」
「あのね、既に母が調べているのよ、あんたの近辺・・」
「調べるって何・・」「待って・・」バックから何か取り出して渡された。
 「・・、ああ~調査書・・、何~~~僕じゃないか・・」
とんでもなく驚いた澄人、書類を持つ手が震え出す。
 暫く中身を読んでしまう・・。
「此れ・・」「もう既に皆読まれているの・・」「・・」
絶句、とんでもなく狼狽える澄人、だが、前に座る尚美は平気な顔、
其処が不気味だった。
 澄人も負けてはいない。
話をするが、決して調査書の中身には触れていない、其れでも不思議と
相手も其処を深堀されてこなかった。
 食事を終えると、片付けをされる。
「出来たわ、お風呂頂くね・・」「・・、えハイどうぞ・・」
返事をするが、既に澄人は困惑している、
(此の侭泊まるのだろうか、いいや帰るよな、如何なんだろう・・)
 先が読めないで困惑する澄人だけが部屋に居たのだ。

       つづく・・・・。

































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