望慕小説105弾《夢中を彷徨う・・58》

 ビールと枕二つ抱えて愛華が岩上に戻られる。
「此処で徹夜じゃがね・・」「うふっ、タオルケットも持って来た・・」
「良い、お前は名古屋に向かえや、そこで店を開かれる、手伝うんだ」
「はい、喜んで向かう」「良いぞ、聞いたかね遠藤さん・・」
「え、遠藤・・ですか・・」
「うふっ、そう呼ばないと澄人さんと言えば肉が又変化しそうなんじゃが」
「ええ・・」呆れるが、直ぐに笑顔の変わる。
「私ね、今迄色々と身を割いて来たけどね、ボスに合うまではへなちょこ
ばかりだった、九年前お金の問題で会うたが最後、ドツボに邁進していた。
其れがボス何じゃがね、有り得ない程身が泣き叫んで喜ぶから嵌った・・、
其れからボスが歩く後の整理をしながら、商いを少しづつ増やして来た。
牛や、デリバリ-の日常の品も・・、そうして小さなバラの栽培、
挙句にボスが始めた、落合での桃源郷、それと大阪でのアンテナショップ、
無我夢中で走って来た。総てボスの為にと・・」
「おばちゃん、聞いて居るけど、凄いじゃないね」
「あ、人生如何変わるか判らんぞ、あの時僅かな金でおうた人が今のボス、
その後は付いて歩くだけ、でも後の尻拭いは確りと役目は済ませて来た」
「聞いて居る・・」「それが、なんと今夜は如何、初めて自分から挑んで
いるじゃないかね、信じられんほどの事を、思うとしたことに驚かされて
いるんだよ」「おばちゃん・・」
「だがのう、思うと、其れも今までのご褒美と弁えて居る、其れほどボス
に似た威力を認める」「おばちゃん、じゃ・・」
「この人は都会で羽ばたける人物と見た、ボスは此処で縄張りが出来ている
しね、もう四十を超えた今は、守るしかないと思える」「じゃじゃ・・」
「ああ、其処は其れで良いと思えるんだ、此れからは、育つ若者の将来を
見据えて、悦子も頑張る」「おばちゃん・・」
「お前は、名古屋でこの人を援けるんだよ」
「うん、頑張るけど、判らん事は教えてよ・・」
「ああ、いつでも連絡しんさい・・」そんな会話をしながら、悦子の手は、
澄人の棒を握り離さなかった。
 それが災いして、又も岩の陰の広場は獣の雄叫びが夜空に遠吠えの様に
広がって行く・・。
 午前三時過ぎ、澄人は大満足して疲れる体を横たえて爆睡、
朝がしらける事も知らず、寝込んでいる。
「お母ちゃん、見てて・・」何か話声が聞えるが澄人は目を開けたくない
 「ま~お前、此れは・・」「でで、デショウ凄くない・・」
「ボスに負けんぞ・・」「そうなのよ、悦子おばちゃんが夕べ此処で・・」
「え、じゃお前・・」「うん、頂いた其れで話したでしょう、将来の事」
「じゃ、この人に・・」「決めた、決められたのかな、でも今じゃ愛華が
決めていた事を知ったんだ」「・・、そうかね、で如何・・」
「ボスは知らんけど、おばちゃんが物凄いと・・、太鼓判・・」
「うふっ、そうかねじゃ起こして、家に連れて来なさい・・」
「お母ちゃん・・」「頼む事も有ろうが、今の仕事を伸ばしてでも連れて
来るんだよ」そう言われて、岩から帰られる。
 別荘に昼前に漸く戻る澄人、既に食事の支度は出来ているが、
連れが見当たらなかった。
「お帰り・・」「あ、悦子さん・・」「何きょろきょろしんさるんか・・」
「え、連れが・・」「ああ、其れは観光を兼ねて外出、石見銀山観光と、
其の後は温泉津温泉じゃがね」「ええ、聞いて居ないけど・・」
「今言いました・・」「ええ、悦子さん・・」
「うふっ、あれほど良い事受けたんだよ、連れも少しはね・・」
「え、意味が・・、ア、ああ~じゃじゃ・・」
「そう、だから安心して食べんさいや」「・・、・・」唖然とする、
既に出かけた先が読めるからそうなる、本当に化物は悦子さんと知る。
 悦子は既に愛華から話を聞いて居る、其れで連れを外に出して時間
稼ぎとなったのだ。
そんな事は梅雨知らず、美味しい海鮮を食べ尽す。御腹が一杯と苦笑い
する中、悦子さんとコ-ヒ-を飲んでいる。
「牛は総て連れの友達に任せると良いがね」「うん、そう感じた・・」
「じゃ、あんたは未だ此処で地固めしてよね・・」「ええ、地固め・・」
「あの子の家、相当なんだけ~、議員さんの実家・・」「え、では・・」
「そう地元の偉いさんだけね、ボスも其処だけは手が出せんかった」
「・・」「そんでね、愛華を連れてあんたと、判るでしょうがね」
「では、先が有ったんだ・・」「ええ、大有よ、伊達に抱かれる事は無い
がね、私たちは同じ事で身が結ばれて来ているのよ」「じゃ、仕事関係」
「其処は後で生まれた事、先は皆ボスに・・」「何と、凄いがね・・」
其処から今迄の話を具に聞かされる。
 「良い、男女の繋がりは幾通りも有るけど、肉体関係はどれよりも強い、
相手が凄い男なら尚更よ、其れで何もかもが流れて育って行く、女と男
だけの世界じゃないね、仕事絡みは卑怯と皆がいんさるけど、結果其処に
入れない人が嘆いて言われるだけ、商いが順調に為れば文句は無い、
此れが田舎も現状を持ちこたえる原動力、だから何も言わない言えないの
よね、今の田舎は目を覆うばかり、すたる部落は多くなっているし・・、
ここ等は既に見捨てられた地域、其処を頑張らせる力は、あのボスだけと
思えるのよ」そうも言われる。
「都会じゃ、其処まで逼迫した現象は見えないけど、田舎は既に原因が見え
ているの、だからボスは頑張って来たの」「なんと、そうでしたか・・」
「今じゃ、もうみんな何も言わないし言えない、お零れがでかいからね」
そう言われてコ-ヒ-を飲まれる。
 「あんた、此れから頑張ってね・・」「え・・」
「だって、朝から電話してたんだ」「何処にですか・・」
「うふっ、此処の主よ、ボス」「え、嘘でしょう、ええまさかアレ迄。。」
「総てよ」「。。」呆れた澄人唖然とした。
「だって隠し事は無いの、あれもそうだし仕事も、でね、あんたに任せたい
とまで言われたんだ」「任せるって何・・」
そこから、意外な驚く話を聞かされる。
「ええ~ではでは、中部地方にも有るんですか・・」
「ええ、ボスが旅している間に出来た事なんだけど、此処から遠くでしょう、
行くにも大変なのよね、既に七年前、事を起こしたのが経過しているから、
此れからの先は見えているのよ、でも煩雑に出向けないと前から聞いて居る
しね、其処であんたの話を聞かれると、笑われて弟が出来たのかと・・」
「・・」「それで、詳しく話をするし、スマホの写メを送った」
「・・、うげ~なんですか、送った、ああ、ボスにですか・・」
「そう、だからあんたに白川と日本海の滑川の海岸の店を譲りたいと・・」
「譲る・・」「そう、中部は別扱いにすると・・」
「待ってくださいよ、何で僕に・・」「弟にするからよ」「ええ~~~」
本当に驚愕し捲る澄人・・。
「だから、今回は其処も加味しててね・・」
「悦子さん、其れって、大事な事じゃない・・」「そうよ・・」
「だったら先に僕に教えてくれないと・・」「今話したけどね」
「ええ、そんな・・」慌てる澄人を見て笑われる。
 だがだが、最初はそうでもなかったが、話を聞いて行く内に、
本当だと知らされる。
既に此処では牛からバラ栽培、果はコンビニ紛いの店のデリバリ-と、
バラの鉢迄作成されていると聞かされた。
「何と、物凄い話ですね・・」
「だから誰にもとは任せられない訳よ、肉が絡んでいるからね」
「肉・・、アあ、そうか其処だ・・」「ですよ・・」笑われる。
「お連れさんは、二日くらいなら逗留される、あんたは其処まで色々と
在るからね、頑張って・・」「ええ、悦子さん、助けて・・」
「何と、ボスと大違いね、でも其処も有よね、楽しいから素敵よ」
とんでもない女性だった。
 仕事を譲ると言われても、其処はどう考えても納得がいかない、
はいそうですかとは言えないし思っても居ない、
其処はどれだけ皆が頑張って築き上げたのかは澄人は想像出来る。
身を挺して勝ち得た仕事は相当な事、返事は既に決まっている。
澄人、頭を抱えて忘れていた見事な砂浜に出て立ち竦んでいた。

                    つづく・・・・。




















ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント