望情小説110弾《獅子身中の獣‹二重人格›・・25》

 五月に入ると、益々忙しく為り出す亮太,会社でもだが、
大学でも単位を取るのに一苦労していた。
連休中でも其処は変わらない、あの美沙さんとも妙子さんとも会うのが儘
為らない状態、其れでも相手は頃を見計らって部屋に来てくれる。
無論親子だから考えてくれているのだろう。
一番は、やがて出て来ると知らせが有った義妹が、通う専門学校から入学
しても良いと知らせが来ていたのだ。
色んな意味で身が急に忙しくなり、琴音について義母が来ると聞くと、
妙子さんに連絡した。
大喜びで、出迎えは妙子さんが受け持たれ、なんと親子を松原の家に
持ち帰ったと聞いて亮太は苦笑いする。
 五月中旬、おくらばせながら琴音は専門学校にと通う事に為った。
何と部屋では亮太に悪いと、妙子さんが義母と相談し、松原から天王寺の
学校に通わせると、電車は其のままで通えるからと言い張られ、
晴子も頭を下げて嬉しいと妙子と抱き合う、そんな関係で、
妹は部屋には住まないが、珠に掃除に来させると決められた。
 ひと段落して、妙子さんの案で亮太と晴子を連れて有馬温泉に出掛ける、
無論其処で二泊宿泊するが、其れがおぞましい中身なのだ。
何と四十に為ってしまった二人は、亮太にとことん肉にでかい楔を受け
善がり泣く、互いが亮太を思う気は同格、其れほど妙子さんも晴子に負け
ない情が芽生えている。
二晩は、物凄い事、食事と風呂場だけは解放されるが、
それ以外はとんでもない事に為っていたのだ。
 学業と仕事に追駆けられてる亮太の身は、有馬温泉で最高に暴れられる
相手二人、しかも義母と妙子は同じ戦場で戦う女剣士如く、迎え撃ち惨い
攻撃に耐えて二日後、其の戦場を後にする時は晴れ晴れとした顔で、
仲良く大阪の松原にと戻った。
 五月末、碧から電話が来て何時戻るかと聞かれた、向かう先からは直ぐに
戻れると言う。
其れで真向かいの喫茶店で会おうと言われ、会社じゃだけかと聞くが、
都合が悪いとだけ言った。
一時間後なら戻れると知らせ、使い慣れたワゴン車で茨木市から戻る。
 「何や、会社じゃ駄目と聞いたが・・」「そうや、大事な事やね・・」
コ-ヒ-を頼んで座る。
「何や・・」「うん、待ってて・・」「え、何でや何か・・」
「そうや、紹介したい人が来るんよ」「え、誰、仕事絡みか・・」
「まええやないね、待とう・・」碧がそう言った。
 家で仲良くしていると碧が義妹の事を話してくれる。
 「え、あ・・、何や誰や~・・」そんな話をしている最中、
急に誰かが亮太の後ろから眼を手で塞がれた。
「・・、追々、誰や・・」「拙者か、聞いて驚くなや・・」
「え、ええ~その言い方何々おおお前~~、何で急にいなくなってからに、
病院からか・・」何と相手はその言い方で懐かしい入学時からの友、
伸介と判った。
 昨年の五月迄は大の仲良し、大学に入学時は煩雑に会い、いろんな話を
していた仲間だった。
だが、急に姿が消えたのだ、碧も知らないと言うし、気に為っていた。
 「何でや、今迄何していたんや・・」「おう~大阪弁がうもう成ってるや
ないか・・」「阿呆・・、点語なしじゃ・・」「日本を離れていたんだ、
碧は一月後に知らせているよ・・」「ええ、何で、きいとらんが・・」
 「御免ね、伸介に口止めされていたんよ、言いたかっわ、でも駄目と・・」
「何でじゃ、友じゃないんか・・」「それがな、まあそこは後じゃ、良いか
俺が現れた限り、お前の会社に入らせろや・・」「良いけど・・」
 「あのね、伸介、あんたの為にと一年間留学していたんよ」
「ええ、嘘や、何で俺の為にと・・」
「そうや、お前が立ち上げた事の所為や・・」
そんな問答で、漸く座り、事の経緯を伸介は話しを始めた。
 「ええ~なんとなんと、じゃじゃアのシリコンバレ-内の専門大学か・・、
凄い本当か・・」そこからも伸介は一年間交換留学をして来たと話す。
『なんと、まじか、驚いたぞ、そんで専門はやはりプログラマ-か・・』
「ああ、其れに付随する事まで、あそこは凄いぞ考えられんほど先の事に
進んで行っていた」「中身聞かせろ・・」
「ああ、暫くはそうなるな、其れでなお前媒体でユ-ザ-集めも良いけど、
其れは波に乗れれば太田さんに任せろ、未だ他にやることが出来るぞ・・」
「意味が読めんけえ、ゆっくりと聞かせろ・・」
「ああ、望む処だ、土産も有るしな・・」「何処で話す、会社か・・」
「其処は未だ良い、お前と話を煮詰めたいんだ」「じゃ部屋に行こう」
そう決まり碧を連れて、部屋にと向かった。
途中何度も水臭いと亮太が怒るが、其れは行ってから知らせようと決めて
いたと、伸介は言う。
 部屋に入ると、碧は片付けに追われた、その後は食事の世話、
二人は話に夢中、其れを見て碧は微笑んでいる。
「うへ~、じゃ何か、既に其処まで進んでいるのか・・」
「ああ、アメリカじゃ、其れも遅れる程の進み方なんや、だから、こんな事
しててものし上げれんぞ、今の会社は其れで良いけど、中身は凄い・・、
もう呆れる程じゃ、其れでな・・」
そこから伸介の話を亮太は聞いて居るだけ、驚く話で口も挟めない、
其れ程理解が要る中身だった。
「く~俺には理解が半分しか出来んが、物凄い話だぞ・・」
「ああ、だからな俺とお前はこの上を目指す、此れからはコンピュ-タ-の
世界、だがな、既に大手では考えられない方向に向かっているわ・・」
そこからも話を聞いて驚愕、亮太は目から鱗が数枚剥げ落ちたと思えた。
急にいなくなった友、其れが一年間留学と聞かされ、しかも中身は今の亮太
には大事な中身、いいや総てが大事な事なのだ。
「あのな、日本から来られている研究生も友達に為れた。一年後には戻ると
聞いて居る、その間此処で待ち受けると言った。用意は出来ると・・」
「用意か、何・・」「ああ、機械や、だがな其れも新しいものは必要ない、
要るのは頭の中に有る。其れでな此れからはPCも携帯もとんでもなく利用が
増えて来る、メールや写メは初歩、携帯で何でも買え支払えるようになる」
「ええ、意味が判らん何でじゃ・・」
そこから話を聞くと、 亮太は口をアングリと開けた侭・・。
 「・・、なんと恐ろしや・・」「だからな、日本は追従は無理や、追従は
愚の骨頂や、考えて見ろ、今日本でもPCも卓上から、ノ-トPCだろう、
其れもやがて中国やアジアの国にとって代わられる、考えると簡単や・・、
工賃が馬鹿安い途上国に総て完成品を作らせると聞いたぞ・・」
「なんと有り得るぞ・・」「だからな日本から来ている人の話を聞いて居る、
日本は此れから変わる」「え・・、変わるのか・・」
「考えて見ろや、完成品など何処の国でも出来るやないか、良い例が日本で
発達した電化製品や諸々が既に周りの途上国に取って代わられた様に部品を
提供すれば良い事、事のつまりな、言いたい事はその中身や・・」「・・」
 その後、聞かされた話は、此れからは生き延びるにはその中身の革新を
研究し作る事やと、簡単に言われたが、まだその重大な事が、
亮太には理解出来ていなかった。
 長い時間、話を聞いて居るが、悔しいけど半分も理解出来ていない。
「まてや、俺じゃ無理や、俺は会社の金策で追われていて、中身が未だ理解
出来ないし無理や・・」「其処は碧ちゃんから聞いて居るから急いで戻った、
な、聞いて此れから俺は其の中身を研究する、殆どが特許で取られているが、
どっこい日本でも既に其処を凌駕するほど研究が進んでいる、中身の勝負や、
部品や、今迄の仕組みを総取替出来る程度は日本でも考えていると聞いた,
だからな、俺達も一つや二つの肝心な部分で特許を取りたい其れで戻った」
力強い言い方に押されながら、大きく頷く亮太だった。

                つづく・・・・。