望情小説110弾《獅子身中の獣‹二重人格›・・29》

 長い長い時間、酒で顔を紅潮させながら互いが目を瞑る異様な部屋の中、
手は未だ確りと握られていた。
 漸く手を離され、小百合さんは呆然と、窓の暗い外を見詰められている。
「ふ~其処か、なんと知らない筈や小百合が到底考えが及ばん世界や・・」
『え、では見えたん』「うん、あんたが意思を其処に集中するからよう
見えたわ、驚くより、あんたの中での事が理解出来る、そうか其処遣ったん
やね、ふ~凄いわ・・」「小百合さん・・」
「抱えて産まれて来たんや、其処を逃げてもあかんやろうな・・」
「では如何すれば・・」「宥めるしか無い遣ろう、逃げても逃げきれんし、
やに雲に抵抗しててもあんたは其処に負けるよ」「・・」
「そんでな、此れ考えようやないか、あんたは病気を抱えていると思うしか
無い遣ろう、宥め賺して餌を与えるしか方法は無い、リハビリするなら相当
な覚悟と世間が有るしね。亮太は爆弾を抱えていたんや,小百合は其処が
見えんから、そうかそうやったんかと・・」「変える事は・・」
「せん方が良い、したらストレスで体が壊れると思える、事故が起きそうや」
「では・・」「あんたの宿命や、其れであんたがよう見えたんは其れやな、
小百合も他の人と少し違うけど、あんたは丸ごと凄い威力の獣を抱え生まれ
て来たんや、其れであんたの先が小百合には見えるのが理解出来たわ・・、
小百合も少し違う面が有ると感じていたが、アンタほどじゃないと今知った」
「・・」「其れは治らない不治の病と思う方が良いかも、だって中覗いたら
其れであんたの今の道が歩けて居るんとちゃうか、郷での事や尼崎での事も
そうや、松原の家の事も事故でも相手の方が深い心で包んでくれている・・」
「ええ、其処まで見えたん・・」「あんたの意識を其処に向けてくれた御陰
と思うけどなんか悲惨より受ける惨い攻撃が・・、相手に変化を与えている
と知らされたわ、以後は其れなりに抱き合っているしね、良いじゃない、
其処を宥め賺して良い方に向いて歩けば・・」「其処まで見えたん・・」
「あんたが心で其処を思えば見えて来た、相手の抱かれてる中での胸の内は
見れたわ・・」「なんと、そうやったんか・・」
「でも、相当やね、考えられんけど有るんや、そんな大物・・」
「ええ、小百合さん・・」「だって迎える相手は驚いているじゃないね、
小百合は其処の経験は少ないからよう判らんけどな、呆れるわ・・」
そこで笑われた。
 亮太は、言葉一つ一つに感激をする。
其処には慈愛染みた言い方をされるから、なんか亮太が抱える重い鎖が一つ
解き放たれた気がした。
世間で言う、常識や倫理世間体、善と悪の鎖も少し緩んで来たのが判った。
「小百合さん・・」「うん、言いたい事は判るよ、でも其処を宥めるより、
相手に有効に使えば良い事や、見逃さず其処を相手は迎えてくれるのか
だけを考えれば良い事、相手がそんな気が無いならあんたも襲わない筈よ、
考えれば犯罪ギリギリで逃れる境界線や・・」「え・・」
「だって、その威力が出せる相手今までどんな女性や、何人かは知らんけど、
今見えたんは四人だけ、皆後は凄く満たされ幸せな顔をされていたやんか。
其れが互いに生きる喜びに変えれば良い事やないね、アンタは今までの女性
が如何してそうなったかを良く考えれば、先で足の踏外しが少なく成る筈、
考えて行動ね、其れとたまにはその中に潜む獣に餌を与え、安心させるため
にね・・」「小百合さん・・」
本当に悩んで居る事が人に話せた、今迄は後悔して襲った来た相手のみ
伝えている事が此処で見透かして頂いたのだ。
 「見せてくれない・・」「え、何を・・」
「だって透かして見ているだけじゃないね、お礼に魅せて後学の為よ・・」
「え~小百合さん・・」「うふっ、興味あるし使わないけど現物が真どん
なんかとね、良いでしょう・・」「・・」唖然として顔を見てします。
 呆れるが、亮太は相手が小百合さんと思うと嫌と言えない、
なんでか知らないけど言えなかった。
「良いですよ、でも今は休んでいるけど・・」「え、何休んでいると・・」
「え、勃起・・」「ま~じゃ、あはっ笑うね、実はね、アンタを如何かな
と思う相手が居るんよ、相談されて居るんだ」「ええ、意味が・・」
「相手が悩んでいる事を聞いて居るのよ、アソコが疼くんだって、淫乱かと
悩んでいる友達や・・」「何と・・」笑えないけど笑いたくなった。
「それで実物見てと考えたんだ・・」「了解です、見て頂きます・・」
「・・、ええ~亮太あんた・・」
「言われたのは小百合さんですからね、従う・・」「ま~其処言ううね」
立ち上がり、なんと相手の目の前で、見事に素早く下半身を出した。
 「・・、うぎゃ、え何何これなの、此れで休んでいるんか・・」
可笑しな言い方だが、目が飛んで居られた。
 「馬鹿~、もういいから仕舞って・・、見たし・・」「了解・・」
応じてズボンをはいた。
 「く~、凄いわ、其れが立つと・・」「聳えます・・」「阿呆~・・」
笑われて亮太の頭を叩かれた。
 意外や意外、そんな事で互いが今迄より急接近、悩みを告げた時どうなる
かと危ぶまれたが、相手は普通の女性じゃない、其れで自分を見てくれて、
話を聞いた後、互いが理解の上で進んだ事だった。
「良いわ見た、今度友達を料理してくれる」「え、その友達は、あ其処・・」
「良いの・・」「以後、何でも小百合さんの言われるままに行動致します」
「阿保やね、嬉しいくせに・・」「はい、その通り・・」
「参りました、では其のあんたの中の獣さんに乾杯するか・・」「是非」
そこで大袈裟に互いのビ‐ル缶を当てて乾杯する。
「じゃ、今後この悩みは相談させて頂いても良いですか・・」
「良いけど、本気なん・・」「ええ、事此れに関しては悩んでいますからね」
「・・」「駄目ですか・・」「馬鹿ね、相手を女性と見ていないわね」
「そうなるんか、此れ拙いっですよね」「・・」
返事はされずにビ‐ルを煽って飲まれた。
 だが、其処の話は急に其れで打ち切られる、身の危険か其れとも他の思惑
かは判らないが、見事に其処から、又亮太の仕事の話に切り替えられた。
今まで見た中の女性では、凄く強かな相手と知る。
夜遅くにタクシ-を呼んで帰られてしまう。
 (フ~、悩んでいた部分に相手が入り込まれたぞ・・)
寝転んで天井を見ながら、何か顔がにやけて来る亮太、
小百合さんは逃がさない友と考えていたのだった。

            つづく・・・・。