望情小説110弾《獅子身中の獣‹二重人格›・・30》

事態が急展開、会社は瞬く間に大勢の人が出入りするようになり出すし、
伸介の千-ㇺは膨れ上がり、其処は欧州やアメリカが大影響・・。
既に日本でもメ-ルが携帯で本格的に出来ると知らされ、
マスコミも一大改革だと大騒ぎしていた。
その間、亮太はそんな浮足立つ会社から少し遠ざかる姿を見せ始めていた。
夏の盛りの中、大学は夏休みだが亮太はそうじゃ無い、二日に一度くらい
会社に顔を出すが、その姿は直ぐに会社から消える。
何処に行くのかと、碧も気を病むが、どっこいそんな心配をよそに、
なんと亮太は、大事な家と決込んでから、芦屋と千里の家に姿が見える。
何しているのかと訝るが、其処は田舎で育った亮太は、大きな屋敷廻りの
掃除や庭の芝刈り、果は梅雨明けの庭木の剪定、裏庭迄こまめに這い蹲り、
八月に入る頃は見違える美しい庭が喜んでくれるのか、朝露に光っていた。
 六月の雨の中で知り合った、芦屋の奥様、その旦那様に可愛がられて
来ているし、特に千里は女手が少ないし無論男はご主人一人だけ、
だから此処に居る時間は芦屋と比べると多くの時間費やしていた。
 「何でする、疲れるやろうが」野田さんに怒る様に言われるが平気・・、
「だって、もう僕にはする事が無いけえね。会社は冥々が凄く張り切って
いる。皆この家のご主人の御陰、其れでこうして通い奉公です・・」
「君な勘違いするなや、そんな事望んではいないぞ・・」
「判っていますけえね、僕はする事が会社じゃ少ないし、あいつらが遣り
たい事のサポ-トに廻ろうと決めたんです。こんな頭じゃもうついて行け
ない、あいつらは化け物じゃ、会社も宣伝とコイン発行で瞬く間に会員が
多く為り出したんです。携帯のメ-ルも全て各社が揃い始まりました。
PCもWindow95が今主役ですが、一年後には全く新しいソフトXPが出る
と大騒ぎ、会社では早くもその情報を手に入れて、研究者をアメリカに
出向させました・・」
「おう~そうか、じゃ其処も既にな、良いぞ君達は凄いやないか・・」
「え、其れは私以外ですわ、置いてきぼりに合っています・・」
そう答え、二人は汗を滲ませ縁側で話をしていた。
 夕方には亮太の姿は其処には無い、見えるのは千里の豪邸の中、
婆様と仲良く話をしている姿が在った。
「亮太や、そんなに気を遣うなや・・」「ううん、まだ足りんと思う、
どれだけ恩が在るか、考えられんほど会社が大きく為り出したのかこの家の
ご主人と、芦屋の野田さんや、僕が出来る事はこれ位しか無いやないか、
させて下さいよ‣・」「嬉しいが、そう気を遣うな・・」
「ううん、楽しいからしているんや、庭もそうアソコ少し如何かなと変えて
も良いのかとか考えるとな、庭には変えてとせがむような植物を見つけると
ワクワクするんや、郷のド田舎で育った僕には贅沢なおもちゃかな・・」
「呆れるわ・・」婆様が喜んでくれる。
 「じゃ、婆が頼む事聞いてくれんかね・・」
「ええ、何でも言ってくれんさいや・・」「此れは誰にも内緒じゃぞ・・」
「判りました・・」その後二人はリビングで、長い間話を続けていた。
 「判りました、何とか考えますね」「ええ、お前、簡単に引受けて・・」
「家の為じゃ、何とか考えてみます」
きっぱりと断言する姿、何を考えるのかは知らないが、
亮太の顔はまともには見えた。
 妹も都会に馴れ、今は学校を終えると仲間が大勢いる会社の一室に溶込み、
動画やスト-リ-の制作に奮闘していた。
この部屋はアニメ染みた動画作成と物語や、其れに必要なスキルやアプリ
制作に関わっていた。
しかもほとんどが専門学生と卒業生の仲間なのだ。
 此処は既に伸介とは離れた場所、この会社は本社所属の動画制作会社、
伸介はもう一つできた新しい組織の社長、コンピュ-タ-の開発事業に寄与
している。
無論中身はゲ-ムをスム-スに稼働できる仕組みを独自に研究し、
セキュリテイもかねての研究だった。
そんな会社だから、亮太は頭が追い付けていない、いまする仕事などたかが
知れてる、投資された人々の面倒を見に駆回るのが今の仕事と弁えている。
 九月に入り、亮太は意を決めて電話する。
待ち合わせも今は西区が多い、其処に亮太の行きつけの粋な喫茶店で待つ
姿が見える。
「気が合うわ、そろそろ電話をと思う中にあんたから来た・・」
笑顔で来られた相手はアノ気を知る相手、小百合さんだった。
アイスコ-ヒ-を飲みながら既に話に入り、亮太の力説開始、
聞かれる小百合さんはと言えば、終始微笑まれている。
「じゃ、私の事も聞いてよ・・」今度は小百合さんから話しが出た。
 「ええ、じゃじゃ、経理辞めるんか・・」
「其処も向かう先で必要なら手助け出来るしね、良いでしょう・・、
あんたの顔が見れる場所なんや・・」
「なんと其処が有ったな、ようし、じゃじゃ企画調査室造るわ・・、
其処は会社運営の顧問としてじゃ・・」「ええ、亮太あんた・・」
「ああ、今な会社もデカくなり過ぎ、その方向に疎くなりつつあるんだ、
だからこの際社内全体を見廻し管理をする部署造りたいと願っていた。
小百合さんなら絶対叶う、決めたぞ~、そうしてえなお願い行く末は僕が
何とか頑張るし、生涯見る」「・・」
「お願いじゃ、其処を考えてくれんさいや、望みが見えたんだ逃がさんよ」
「亮太・・」「な、願ったり叶ったりや、僕は凄くそうしたくなった・・」
「其処は少し考えさせてくれん・・」「良いよ、小百合さんが来て頂くなら
考えてくれんさいや・・」「良いの・・」
「悪い訳無いやんか、会社も其処がスッポリと抜けて居る、小百合さんが
其処を埋めるために空いていたのかもと思え出すわ・・」「あんた・・」
嫌な顔つきじゃないから亮太は心から喜んだ。
 「じゃ、其処は其れで良いとしてや、良いわ亮太の問題は任せて・・、
でも小百合が言う通りに展開してや・・」「了解です、では中身詳しく」
「馬鹿ね、こんな場所で言える話かね」「そうかじゃ如何するん・・」
「良いわ、待って電話する・・」
待つ間、感動し、小百合さんを会社に迎えれば、恐ろしい程亮太は安堵、
気配りが其処の分は減る、全面的に信じている相手だし、此れから社内でも
色々と問題が起きる筈、先手で其処を封鎖出来ると確信する。
伸介の要望で社内機密は外部に持ち出さない事、個人のPCには会社の仕事は
打ち込まない事等、決め事を色々と決め出している最中、
其処にこの話が舞い込んで来たのだ。
 「良いわ、相手先の承諾を得たわ・・」「え、では・・」
「今からなら行けるけど、如何する・・」
「従う、全てこれからの小百合さんの為にも・・」
「ええ、あんた其処突くのかね、卑怯ね・・」
苦笑いされるが駄目とは言われなかった。
 亮太の車で、大阪の西区を出る。
向う先は生駒山と信貴山の中間の場所と聞かされる。
向かう途中、色々とその家の事情を話されて亮太は聞くだけだった。
外環状線を走り到着寸前、小百合さんの携帯に電話が来る。
会話され、小百合さんは返事だけされ、中身は聞き取れない。
終わると其処電話の事は話されない、其れでも何かとは聞かない亮太、
暗黙の了解はすでに気を見透かされている相手、野暮は言えなかった。
 向かう相手先の中身はほとんど知らされてはいない、其れでも向かうのは
紹介される人は小百合さんで、真底相手を信じている証拠と思える。
(覚悟して懸ってね、相手は小百合がよく知っている人や‣・)
その言葉だけ聞かされたままで向かう亮太、聞いた場所はもう直ぐ、
瓢箪山と言う近鉄の駅が有るが、其処を通り越して生駒山の山裾にと車は
坂道を駆け上がる。
 場所的には八尾に近い位置、山手に向かうと小百合さんが、
言葉なしで指さされた家が現れる。

               つづく・・・・。